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2017年6月18日

「自宅の茶」で廻り花

家元招請研究会 

吉川恭子(青森不白会)

 お伺いした山本先生のお宅の二階に上がると、広い洋間の寄付に、家元の筆による「つつじ咲く門跡寺院の雅かな」の掛物が掛かっていました。下に活けられた芍薬と露草が風情豊かで、しばしそこで歓談しました。
 一献では心のこもったご馳走を、続いて名菓「鮎」をいただいた後に移動。廊下伝いに造られた露地には筧が涼やかな音をたてておりました。
 本席は立礼でした。思いがけず、「廻り花を」と所望され、稽古不足の私は大変困りましたが、逃れることもできず、床柱の竹の掛花入に、見よう見まねで挑みました。貴重な経験になりました。
 濃茶に続いて薄茶、野点もできるという広いバルコニーでフルーツまでいただき、時間を忘れて優雅なひと時を過ごしました。
 反省会では、八席の客と亭主の話から、趣向を凝らしたおもてなしの多様な表現を知ることができ、大変勉強になりました。「自分で点てたお茶を自分も一緒に呑む事で、初めてお茶の味や湯の加減が分かる」という宗匠のお言葉が、心に残りました。

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試行錯誤の自宅の茶

家元教場研究会 - 自宅の茶 

奈良恵雪(青森不白会)

 未熟な私が席主になりました。我が家にお茶人をお招きする。寄付は書斎を仕切ってカーペットを敷き、茶室は仏壇の扉を閉めました。庭から隣の洗濯物が見えます。水屋を隠していた古い屏風を立てました。すると水屋は丸見え、台所までも見えてしまいました。どうしましょう……衣桁がある、衣桁を屏風のようにして立てて、布を垂らしました。床のお軸は「大国主命と兎」(荒川静淵画)、花入は「泊舟」杜若とシマフトイを活けました。
 時分どきでございます。粗飯を差し上げます。飯は紫蘇塩を散らし、そっと型押して、汁は海老、豆腐、千切みつば、向付は、鯛の昆布締め、菊大根の酢の物にオクラを添えて、香の物は茄子ときゅうりの醤油漬け、八寸は帆立てと茹えんどう。お酒は地酒「亀吉」。お客さまは明るいお方たちで固くなっている私をほぐしてくださいました。主菓子は鮎の塩焼きかと思われんばかりの「鮎姿」、鮎の塩焼きには蓼酢です。この時期、道路にまで広げているイタドリ、これも「蓼」イタドリの葉を主菓子の下に敷きました。
 お濃茶、ゆっくり、ゆっくり練りました。お湯も上々。五名様で、私もご自服を勧められいただく、美味しいです。ほんに静かでした。これより続けてお薄を差し上げます。座布団を出し干菓子「竹流し」と「薄紅」、お茶碗は「九谷木米」歪の茶碗です。面白いのでお喜びのご様子でした。
 寄付で焙じ茶を差し上げて終了しました。午後の報告会、宗匠からは力強い御筆「涼風吹衣抱衾臥」をいただきました。次回は、お床に掛けようと思います。楽しい一日でした。

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2017年6月17日

亭主になって気付くこと

家元教場研究会 - 自宅の茶 

中野里雪(新潟不白会)

初座 テーブルにて洋食
 床 啐啄  中川一政
  料理 ワイン 吟醸酒
   前菜 キスのマリネ バゲット添え
      ホワイトアスパラガス
   コンソメスープ
   のどぐろのハーブ焼
   とりどり野菜の梅ゼリー和え
   生姜ご飯 香の物
   葛焼

後座 小間にて濃茶 続き薄茶
 床 竹 掛花入 田中泰阿弥
   花 マツモトセンノウ 鳥足ショウマ
     ツリフネソウ
   茶碗 斗々屋
●感想
 一、お客様が興味を持って話をリードしてくださり、そこから話が発展し、つながりや共感を持つことができました。ひとえにお客様の力で交流を深められたと感じています。
 一、自宅の茶では自分の今まで生きてきた全てが出ると思います。良いものを見たり、感じたり、考えたりする毎日の積み重ねが大事だと痛感しました。
 一、たどたどしい亭主でも、周囲がしっかり支えてくれましたので、安心しておいしいお茶を点てることに専念できました。茶事はチームプレイ、数多くの作業と準備を整えてくださった半東さんと水屋がいてこそと感じました。
 一、漠然とした不安や自信のなさが実践をとおして具体的な課題と解説策に変わりました。実際に亭主を務める事で何を勉強したらよいのかがよりはっきり見えてきました。(お迎えつけや、水のまき方等)  一、洋食では前半、盛り付けた料理を銘々にお出ししたので使用するお皿が多すぎたようです。あらためて向付の器を最後まで利用する会席料理の合理性に気付きました。

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2017年6月16日

祖母の愛した百花園で追悼茶事

家元教場研究会 - 自宅の茶 

佐原華雪(東京不白会)

 主:佐原華雪  半東:丸山宗恵  水屋:岡部南雪
 客:疋田宗静様 横溝圭仙様 加賀秀雪様

 祖母の追悼茶事でしたので、やはり百花園のお成座敷を使い「祖母が愛した庭と座敷で、楽しくゆっくり、笑って偲ぶ」を主題として用意を進めていきました。
 茶室は芭蕉の間。中の間を支度部屋とし、お成の間に点心席をあつらえました。道具は百花園にゆかりがある物と祖母が懇意にしていただいた方々の作品をなるべく用いて、作品の経緯をお話しできればと思い取り合わせました。また、居心地良い宴会を提供することを心掛けていた祖母に習い、点心を召し上がっていただく部屋にはテーブルと座椅子を用意し、祖母制作の一代記アルバム、茶の湯の方々との写真集を数冊置きました。
 点心の後、写真を見ながら少し歓談を楽しみ、茶室にて濃茶と付薄茶を召し上がっていただきました。先生方の思い出話が尽きなかったので、テーブル席へ再び戻りほうじ茶を飲みながら、色々な話題を楽しみました。
〈考察〉  この度、人生で初めて茶事の亭主を務めさせていただき、一人で行う茶事は私にはまだまだ不可能だと再認識しました。右も左も良く分からないまま手を挙げてしまった私に、岡部さん、丸山さんが親身に助言と提案をして下さり、当日の点心の用意も陰の段取りも、ほとんどをしていただきました。
 そしてこんなに拙い茶事に御足労いただいた先生方に感謝すると共に、祖母の思い出に新しく、この偲ぶ茶事も入れていただく事ができたら幸いだと思っております。
 茶事を終えて家で点心の残りを家族と一緒に食べて薄茶を点てて飲んだとき「はあー」と自然と一息ついている自分がいました。お料理や濃茶がとても美味しかったことを改めて心の底から認識しました。自分がどんなに緊張してお客様に対していたか、自分が一番茶事を楽しめていなかったことに気付きました。
 今後何年掛かるかわかりませんが、いつかはお客様も自分もゆっくりと楽しめる茶事ができるようになりたいと思いました。
 沢山の道具と有り難い程に頼りになる人間関係を築いてくれた祖母と、今回の自宅の茶事をもつ機会を与えて下さった家元に、改めて感謝いたします。今後も励んで行きたいと思っております。

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2017年6月14日

高層ビルの茶室で一服

家元教場研究会 - 自宅の茶 

清水艸香(東京不白会)

 鈴木宗明様のご新居、お茶室は高層ビルの十五階。林立するビル群、家並みを眼下に見下ろし、まるで空に浮かんでいるような心地がいたしました。広いベランダには竹垣に大ぶりの鉢の蹲、和の設えで大層風情がありました。京間のゆったりとしたお席に通され、客は石橋先生、宮井先生、私の三名、半東はご亭主の弟様、終始和やかに過ごさせていただきました。
 お手作りの松華堂弁当、お菓子は「紫陽花」、お濃茶は、万葉集和歌「むささびの……」と家元が箱書きされた百碗展でのお茶碗で見事に練られた美味しいお茶を頂戴いたしました。
 今回は亭主客共にお仲間だった事もあり、なれ合いの雰囲気とならないように研究会のテーマがきちんと実践できるよう心した一日でした。

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2017年6月13日

「自宅の茶」を実践して

家元教場研究会 - 自宅の茶 

千田文雪(岩手不白会)

〈亭主の感想〉
 東京からお二人と花巻からのお客様をお迎えしました。遠路お越しくださったお客様に岩手の夏にふれていただきたく、薄茶を初夏の風物詩チャグチャグ馬ッ子の趣向(馬上杯 馬鈴蓋置 槍鞘建水)で差し上げました。また、社中の皆さんには大事な実践の場と捉えて主体的に茶席つくりに取り組んでもらったので、お茶の奥深さの一端を感じられたようでした。鶯、夕影鳥、郭公の声、雑草と乱れ咲く花々、緩やかな川の流れに助けられながら、都会の喧噪からしばし放たれ、岩手の夏を味わっていただけたのなら幸いです。旧知の友の如くに交わることのできたひとときでした。
〈客の感想〉
 北上川が流れ森林の中、季節の花が咲き、小鳥のさえずる声を聞きながら、先生の自宅の茶事にお招きいただいたこと、東京に戻ってもあの風景が目に焼きついています。数々のお料理は全て心のこもった品々でした。大変勉強させていただきました。賢治記念館にも最後までおつきあいいただき、本当にお世話になりました。

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初めて家元教場研究会に参加して

家元教場研究会 - 自宅の茶 

青木宗幸(東京不白会)

 一昨年にお看板をいただいたばかりですが、今年の研究会に初めて参加させていただく機会に恵まれました。
 全国いろいろな所からおいでになった皆様の熱心なご様子に私も家元のお話をメモにとり、また目に焼きつけるようによく拝見させていただきました。脇床に置かれたつぼやお盆などを、私たち参加者に直に手に取らせて下さいましたことは、とても貴重な体験でございました。
 特にお軸のお話は毎回とても印象深いもので、書かれた方のお名前やその背景などを知ることができ、とても良い勉強となっております。
 先日の第二回目の折には、蓮華庵にお客として入れていただき、テーブルでの一献と和韻点てを堪能しました。郡司さんのお席は心尽くしの酒肴の品々とワインで、大分や静岡からいらした方々の地元のお話、おいしいお茶を点てる秘訣など、話題も時間も豊かに過ごすことができました。雨に映える緑の静かなお庭を眺めながらのお席で、忘れられないことでございます。
 自宅の茶事、今年のテーマ、日頃あまり考えておりませんでしたけれども、茶の湯を学ぶ者にとってとても大事なことであると改めて思い至りました。いつか実践できたらと思います。

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2017年5月30日

六年越しの岩手と長野の交流

家元教場研究会 - 自宅の茶 

高橋宗敏(岩手不白会)

 この度のお客様は長野支部の方々で、第十八回全国連合不白会高知大会での観光のバスの中で席が前後で話が弾み、岩手に行ってみたい、長野にもと、六年越しで実現致しました。
 寄付には家元の色紙
  「たっぷりの濃茶飲み干し半夏生 手捥の枇杷の甘さほのかに」
を掛けてお迎え致しました。
 お席には「流水寒山路」のお軸、後座には庭からカザグルマと鳥足ショウマを青磁の鶴首に生け、点心はできるだけ岩手の食材を使いました。
 向付は鯛、小鉢を氷頭なます、ホヤに山菜のミズ、椀物を玉子豆腐に焼雲丹、預鉢には生ハムをアスパラに巻き、お酒は釜石の浜千鳥、山菜は北上産で整えました。初座ではすぐにお相伴をさせていただき、半東さんに動いていただきました。
 家元の短冊と食材で話が弾んで楽しい初座になりました。
 後座の濃茶席はお軸との繋がりを考え、水指を萩焼の「編笠」を取り合わせ静寂の中でゆったりと過ぎ、続きお薄で楽しい会話の時を過ごさせて頂きました。お客様方にただただ感謝申し上げます。

自宅の茶で拡がる輪

李 宗福(長野不白会)

昨日は自宅の茶に岩手の高橋宗敏先生のお宅に長野より四名お招きいただきました。
 寄付広間には家元の大色紙、

たっぷりと濃茶飲み干し半夏生
手捥ぎの枇杷の甘さほのかに

 ご主人様が庭のビワをとって来て下さった事を記して色紙を送られてきたと大変喜んでおられました。
 小間では大徳寺の”流水寒山路”のお床にお花、風車が見事に青磁の花入に活けられておりました。香合は古木に波の蒔絵。濃茶も「百碗展」で求めた物で、豪快にたっぷりと点てていただき、点心の後だけに格別美味しくいただきました。ご亭主様も御相伴されました。終いは広間で果物、ほうじ茶、半東も交え雑談に話が弾み、お水屋の永井さんも加わり、証拠写真を。どんな写真ができますか?
 楽しい自宅の茶は、どんどん輪が広がって行く事でしょう。

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2017年5月28日

仙台藩のお姫さまの遺愛品を用いて

家元招請研究会 

蟻川宗順(群馬不白会)

 遠隔の中之条町に家元、会長をはじめ五人のお客様をお迎えしました。
 皆さん到着し、寄付から家元の声が聞こえてきます。夢ではなく、私の家においてです。気を静め席入りし、いつもと変わらぬ家元の姿を拝見し、ほっとしました。家元が自然の風を希望されたので、クーラーを止め五月の爽やかな風の中、茶事を進めました。
 季節がら山菜中心の粗飯を召し上がって頂きました。後の反省会で指摘がありましたが、料理の品数は少なく、ゆっくり味わえる事が大切とのこと。本当にそうでした。限られた時間に用意した品をお出ししなくてはと、気持ちが急いてしまい、亭主の都合を優先し、召し上がるお客様の配慮を忘れていました。大切な課題となりました。
 中立ち、後座の準備。床に菖蒲の花、仙台萩、風露草を飾りました。後座、つづき薄茶でお茶を召し上がって頂きました。
 当日の道具ですが、主人の父親の伯父に仙台藩のお姫様、桃子さんがお嫁入りして来ました。若くして亡くなり、形見となったお嫁入り道具の茶道具を使いました。長く使われる事もなく平成の年、この日にお家元、皆さまに御覧頂けたこと、さぞ喜んでいることと思います。桃子さんを忍び、仙台萩を席に添えさせて頂きました。

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2017年5月26日

十和田中学校二年生たちの大福茶

阿部行成(岩手不白会)

 盛岡桜山神社の例大祭では、毎年岩手不白会男子の亭主にて大福茶のお振る舞いを致しております。今年は鹿角市立十和田中学校の生徒五名様が大福茶席にお越し下さいました。
 「三十センチもある大茶碗で抹茶を皆でいただくのは大変貴重な体験ができた」と喜んでいただき、体験した生徒さんから岩手不白会にお礼状が届きましたので、ご紹介致します。
 「大きいお茶碗に皆で順番にお茶を飲み、和菓子を食べ、お茶の苦味に美味しく合わさってより美味しいなと関心しました。昔の文化にふれて楽しみながらも学べることができました。お茶の違う味も知ることができて楽しかったです。ありがとうございました」
 佐藤公英先生からは「鹿角市は以前、南部藩の領地であり百五十年の時を経て自分たちの殿様を祀る神社でこのような体験ができたことに不思議な縁を感じます」といただきました。
 こちらこそ中学生の皆様と楽しい時間を共有できましたことを、厚く御礼申し上げます。

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2017年5月16日

自宅の茶に家族として参加して

家元招請研究会 

山口三男(歯科医(佐賀県))

 先日、家元が自宅にお越しになるという事で、私も参加することにしました。当日、お客様に少し緊張気味な挨拶をした後、席に着きました。作法を全く知らない私に、妻は懐紙を渡して「皆様のされるように」との一言のみ。額にうっすら汗が浮かんだのを覚えています。会食中、皆様が私のたわいのない話にもにこやかに対応して戴き、少しずつ気持ちが楽になってまいりました。その後濃茶をいただく事となり、静寂の中、釜の湯の「シュー」という響きのみが部屋に広がり、非日常の心地よい緊張感に包まれている感じがし、とても新鮮な体験をさせていただきました。
 日頃、妻が出入りの業者やスタッフに抹茶を出していて、それを皆が楽しみにしているようです。毎日の生活の中に、この伝統文化は生き続けて欲しいと願うばかりです。

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2017年5月15日

風薫る五月に家元を迎えて

家元招請研究会 

飯田宗美(須坂不白会)

 風薫る五月でございます。
 昨日は我が家にお出でくださいましてありがとうございました。
 初めての自宅の茶は自分の事で精一杯で、お客様を思いやる余裕がなく、中途半端な挨拶から始まり、玄関の打ち水や花への霧吹きなど、基本的な事を忘れ、不手際が思い出され赤面しております。
 そんな中でもお客様のあたたかな見守りを感じながらお陰様でとても楽しく幸せな一日を過ごすことができました。
 いつか余裕をもって亭主を務められるよう経験を重ねて参りたいと思います。
 色紙「国破在山河 城春草木深」を賜りまして誠にありがとうございました。まずはその色紙のお披露目の茶席を実現したいと考えております。

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2017年5月13日

自宅の茶 ―家元をお迎えして―

家元招請研究会 

市川宗恵(長野不白会)

 去る五月十三日、家元はじめ三名のお客様を拙宅にお迎えして「自宅の茶」の実践となりました。
 緊張と不慣れな私は会話などいろいろな点でつまずきながらでしたが、家元の優しいお言葉やお心配りに感謝と感動の気持ちで一杯になりました。
 午後の全体会では家元より直筆の大色紙を頂戴いたしました。
 後はその句についての解説書が届き、内容を読んでいるうちはるか昔の伯祖父の姿が脳裏に浮かんできました。
 晩年俳句の大家と言われた伯祖父はいつもボロのような服を着ていました。お家元のご配慮で「お取り替えを」とのことでしたが、とても心魅かれるものがありこのまま大切にいただき置きたくお願い致しました。
 今回の研究会を終え、家元の広いお心に感謝しつつこれからも益々精進しなければと大色紙を前に自分に言い聞かせております。

家元招請研究会に参加して

依田宗康(長野不白会)

 長野不白会では、自宅の茶を取り入れ実践しております。私は自然豊かな西軽井沢の市川宗恵様のお宅に、家元、李先生と共にお伺い致しました。今回は生憎の天気で観ることができませんでしたが、浅間山が円窓に映えるお茶室で、おいしいお茶をいただき、点心では家元のご配慮で、大きな丸テーブルでご亭主、半東さんも一緒に頂きました。ご亭主の心のこもったおもてなしに感謝申し上げます。
 それから全体会では、他のお茶席の様子も伺うことができました。立派な松のある素敵なお庭と本会席も楽しめたお席や、愛らしいお孫さんがお茶を点てる姿に会話も弾み、和やかなお席の様子が伝えられました。家元は自宅の茶では、ご家族、特にご主人様のお茶席への参加を奨励されておりました。会の最後では、家元の篠笛に合わせ彼方、此方から歌声が聞こえ、心地良い雰囲気に包まれました。このように楽しく温かみのある江戸千家に出会えたこと、改めて感謝しています。お茶と共に日本文化を微力ですが、少しでも広めていくことができれば幸いでございます。長年お休みをいただき、二十三年ぶりの招請研究会で、お久しぶりに家元にお会いでき、懐かしく嬉しく、色々な思いが込み上げてまいりました。

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2017年5月12日

喫茶往来で元気で楽しく

家元教場研究会 - 自宅の茶 

中尾宗禮(新潟不白会)

 新緑の美しい季節となりました。
 この度は大色紙を頂戴いたしまして、誠に有り難うございました。とても良い記念となりました。
 五月十二日「自宅の茶」ということで、遠方より有川宗良、金井宗美、松田清雪様にご来新いただきまして、大過なく終えることができました。
 早速にお礼状を頂戴しました。楽しく幸せな一時を共有出来ました上に、皆様からたくさんの元気をいただきました。年を重ねます毎に世間が狭くなってまいるのが普通のようですが、―喫茶往来―これからも元気に茶道を学びながら楽しんで参りたいと存じます。

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2017年5月9日

自宅の茶―庭の芽吹きをご馳走に

家元教場研究会 - 自宅の茶 

白井宗節(福島不白会)

 我が家は山の中の長閑な所なので、芽吹きを眺めながら一服差し上げたい旨案内状を送付しました。高知の石元様、東京の中村様、阿部様から参加のご返事をいただきました。
 当日、半東役の太田さんに車で迎えに行ってもらい、出迎え挨拶の後、十一時三十分から、八寸程度で一献。私も持ち出し一緒に話をしながら戴きました。
 中立の後、待合でお菓子を差し上げ、鳴物で茶席へ入席いただいて濃茶付薄茶にしました。
 亭主として一番良かった事は、招いた目的の芽吹きを眺めることが出来たことです。庭の一番美しい時に来ていただくことができました。主人が手入れしている庭でつつじが色とりどりに咲き誇り、この日牡丹が満開になりました。
 遠方からお出でいただき恐縮でしたが、実施できた満足感を味わいました。

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2017年5月7日

ロサンゼルスからの報告

西村宗櫛(羅府不白会)

 日米文化会館主催により毎日曜日、表千家、裏千家そして五月七日は江戸千家でお茶会をしました。草月流により竹やぶの庭など庭園が作られ、そこに野点を作り芝点でした。外では子供の日の催しも行われました。江戸千家のお点前にお琴の演奏を添え、その後津軽三味線の演奏という日本の伝統文化の紹介です。英語のナレーションも付き、多くの外国人が着物袴姿のお点前に感動して、是非お茶のお稽古に来たいと言われております。柏餅と星野園の星峰でお茶を出しました所、美味しいととても喜んでもらえました。夜は日本より狂言の野村万作、萬斎さんが来てくださり満席で盛り上げて下さいました。
 又ホンダモータースから依頼されアメリカ中の代表者に日本の文化、茶の湯にて毎年おもてなしをしております。今、アメリカでは、和食と共に日本の伝統文化が盛んです。特に抹茶ブームは凄いです。日本からの応援宜しくお願い致します。

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2017年5月4日

豪農の館「椿寿荘」で気楽な茶会

窪田宗恵(新潟不白会)

 「椿寿荘」は、大正時代、新潟県に千町歩を越える大地主が五家あり、その内の一つである田巻邸の離れ座敷として約三年半をかけ、各地の銘木を集め、寺院様式で釘一本も使わず作られています。今は新潟市の隣にある小さな町、田上町の観光名所「豪農の館」として公開されています。
 私達がここで、年に二回、新緑の五月と紅葉の十一月に、気楽なお茶会をさせていただいて九年目になりました。お茶を初めて飲むという観光客の方、雰囲気がいいからと毎回お越し下さる方、着物を着る会の方等、今年の五月は、百五十人ほどの方からお越しいただきました。
 今年は新緑を眺めながら、野点風に設えてみました。どのお部屋でどんな設えをしようかと社中で楽しみながら決めています。昨年は広間を使って初めてのテーブル茶、気楽にお話ができてよかったと好評でした。今年の秋は今まで使ったことのない奥の間を使って、どんな設えにしようかと相談中です。
 お越しいただいた方に「楽しかった、また来たい」「お茶をまた飲みたい」と思っていただけるようにと努めています。
 最近は足腰が悪く座れないという方が多く、椅子の準備は必須です。無理をしないで、気楽に楽しんでいただくことを目的にしていますので、迎える私達も楽しんでいる事が大切だと思います。
 そして、私自身も体力の衰えを痛感していますので、これからもお茶を長く続けて行くためには、体操も必須だと感じているこの頃です。

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2017年4月29日

茶カブキを学んで

雲鶴先生招請研究会 

大内慶雪(福島不白会)

 四月二十九日、福島不白会家元招請研究会が、雲鶴先生をお迎えして、白河市南湖公園内の翠楽園で行われました。
 はじめに、雲鶴先生から茶カブキの本来の目的は「利き茶」、お茶の味を比べること。味覚はもちろん視覚、嗅覚など五感を使って吟味することであり、入念な準備と均質に抹茶を点てる技術が大切であるとご指導ありました。掛け板には試茶の順に明示して、皆さんから見える場所に下げること。今回は三種の茶を当てるので、試茶二つ本茶三つ計五つの小棗に、当番で亭主となった私が、計りの容器で茶を入れました。通いなしの亭主なので、自分で折据を持ち出して、正客の前に置き、に茶碗を持ち出し、常の如く試茶を二回点てました。その茶が次客に廻ったとき、正客へ本茶に入ることを告げ利き茶(本茶)の始まりです。
 正客より茶を吟味し、切り掛けの一つを選び折据えに入れて廻し、執筆の元へ。同じく二服目、三服目を点てる。亭主の役目として同じ品質に点てることができたか不安の中、棗盆を執筆まで運び、棗の蓋を打ち返して見せ、執筆は当たり点を付ける。亭主は、丸めた記録紙を正客に渡しお仕舞いです。客の皆様は、記録を見て微笑みがあり、緊張感が解きほぐれた様子に安堵しました。反省点は数多くありますが、有意義な一日でした。

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2017年4月23日

家族も交えての自宅の茶

家元招請研究会 

諏訪田宗教(新潟不白会)

 初孫の初節句の祝いの翌日に今回の自宅の茶の機会をいただきました。
 お待ち合いのテーブル席にてまずご挨拶。お客様のお顔は存じていてもお話しする機会がなかった方と、お家元を通してお話しするきっかけができ、和やかに進めることができました。一献差し上げながら、料理のこと、仕事の事、壁に掛けた武者絵のこと、椰子の実に設えた春蘭のことなど会話を愉しみながら時が過ぎていきました。
 後座は四畳半で、風炉にてお濃茶と続きお薄を差し上げました。板床には二年前の招請研究会にて家元より頂戴した水沼にて詠まれた大色紙をかけさせていただき、情景、書に込めた思いを伺うことができました。
 お薄は水屋の方も一緒に、今日のアドバイスをいただきました。「お濃茶はもう少したくさんがよい」と、細かい所までご教授いただきました。
 最後に家元からのお声掛かりで、二階に住む嫁と孫もご挨拶させていただき、家元の優しいお人柄に感動いたしました。これからは肩ひじ張らずに、交流の輪が広がる自宅の茶を実践できるよう心掛けていきたいと思います。

前日22日には、体操十種と茶事の勉強会が開かれた

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2017年3月26日

春の好日を、徒然に

水野宗美(高田不白会)

 未だ肌寒い弥生二十六日、上越茶道会定例総会が、謙信公ゆかりの、春日謙信交流館において開催されました。
 まず越後一の宮、居夛神社宮司、花ケ前盛明様に「NHK大河ドラマおんな城主直虎」と題して講演をいただきました。子孫にあたる井伊直弼は、『茶の湯一会集』を著された彦根城主で、余情残心、独座観念等、茶の精神性を再発見する事によって、近代における教養主義的な茶道の展開への道をひらいた素晴らしい大茶人でありました。
 さて、私が担当した呈茶席は、会の合間の一服で、できるだけ簡素にと考えました。お床は、孤篷庵関不羨斎筆の「茶徳拾条」、香合は、紀伊大納言様お好みの貝香合。茶杓は、家元作の銘「湧泉」を拝見盆に飾りました。銘の由来は「気功」からとのことですが、私には足を地につけてしっかりと生きなさいと感じて茶の道を歩んでまいりました。一碗のお茶に、おもてなしの心を込める難しさを感じたお茶席でした。一句を添えさせていただきます。

  かよい筒 一華そっと茶徳かな

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