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2014年11月24日

岩手不白会 茶事研究会報告集から

亭主 高橋宗初

亭主 高橋宗初(11月24日)

家元招請研究会−【自宅の茶事】

岩手不白会

 平成二十六年に岩手不白会で行われた家元招請研究会の報告集が届きました。六月二十二日、二十三日、十一月二十三日、二十四日の二回の研究会で合計三十一席の自宅の茶事が行われ、各々の会記、客の感想、亭主の感想など、写真も添えられたレポートです。その中から、ごく一部の報告を抜粋して紹介します。

   ◇   ◇   ◇

■席主 竹花宗昭 六月二十二日
 お家元が常日頃お話し下さいます「車の運転免許をとったら、実際に運転しないとドライブの楽しさが分からない」。そろそろ運転しながら周囲の景色を愉しみ目的地に着けるようにと思ってはいたのですが……。今回自宅の茶の機会をいただきました。「さあ、ドライブ!」ハンドルをとる手がガタガタしそうです。
 目標は二つ。一、風炉の茶事、その基本を学ぶこと。二、お客様、水屋、亭主、参加する人が楽しい思い出を残すこと。
 目標一は、社中の先生にお炭のこと、夏の道具組みについて相談し、ちょうどいい道具がなかったので、旅行で求めた物をお出しして楽しむことができました。
 二つ目は、暑い季節ですので、火を通したもの、冷たいもの、季節感のあるものを考えました。お花は庭にあるもの七種を籠に入れてみました。食事の量が少なかった、亭主に余裕がなく動作が早かった、と反省。冷や汗が出るようなことがあったのですが、「事故」は起こさず目的地に着いたことを嬉しく思っています。お家元より建仁寺で詠まれた色紙を頂戴しました。建仁寺の天井絵の龍の目がとてもやさしく描かれていました。今度は自分からドライブをしてみようかと思っています。近場にもきっとステキなところがあるような気がします。

   ◇   ◇   ◇

席主 石田宗洵

席主 石田宗洵

■席主 石田宗洵 十一月二十四日
 今回の客組みの連絡を受けて「東京から若いお客様を迎えて、みちのくの初冬の雰囲気を味わっていただく」ということを基本に据えました。
 床は岩手山の冬景色を詠じた山口青邨の俳句、後座の花入には地元の漆職人にによる一閑張の能管筒を、炭も木炭生産全国一の県産のものを使いました。点心は、『豆腐百珍』にある「鶏卵豆腐」を使った椀盛、銀杏ご飯、柿と帆立の白あえ等で整えました。菓子は、沿岸の菓子店の季節にあわせた「ころ柿」、地元菓子店新作の「不来方」と、不白案と伝えられる「常盤栗」を参考に「もどき」のようなものの手製を試みました。
 茶席においては、会話が弾んで和気あいあいの初座になりました。気軽な会話の正客、インタビューのプロである次客、和やかに話に応じる三客、四客で、楽しい初座になりました。
 後座の濃茶席は一転して静寂の中で推移しました。続いて薄茶では、再び会話の楽しい席。茶入の銘から、紅葉の移動の話、仕服の「永観堂金襴」から京都の紅葉名所の話題に移りました。地元窯の濃茶碗、京都で修業した正客に会わせて薄茶碗には和楽の「真」を加えました。薄器には、平泉中尊寺の金色堂の柱の模様「宝相華唐草」のデザインを使い、伝統工芸士に塗ってもらったものでした。この模様は敦煌にも見られたもので、奈良、平泉を通過して、シルクロードの果が「みちのく」のこの茶席に及んだような話になりました。大変楽しいひとときでした。

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2014年11月20日

地元の食材を使って

家元招請研究会−【自宅の茶事】

飯泉宗江(茨城不白会)

茨城不白会研究会
 十一月二十日、家元研究会のテーマ「自宅の茶」をお家元、博之様をお迎えして、それぞれ四ケ所の自宅で行われました。私の家には、お正客の博之様他三名のお客様です。
 博之様が「研究会ですので、気楽に」と待合でお声をかけてくださいましたが、いざ本番になると緊張してしまいました。
 床は「好日」の掛物。胡銅の鶴首に錦木、椿を生け、三島芋頭一つ置という取り合わせ。自分の持っている数少ない道具の中から愉しみながら準備をしました。お酒は、地元の霧筑波、点心は、筑波ハム、霞ヶ浦のレンコン、わかさぎ、川エビ、我が家で採れた秋野菜。できるだけ地元の食材をと思い、心がけました。主人も参加してくれ、楽しい茶会になりました。身近な食材を使うことにより「自宅の茶」に一歩近づけたように思います。
 終了後、私の自宅にお家元をはじめ参加者全員が集まり、部屋の設えや心尽くしの料理、客側の楽しく過ごした様子など報告会が行われ、お家元からご指導いただきました。
 お家元がいつもおっしゃっている「茶の湯の目的は自分の家に人を招き一献、点心とお茶一服差し上げること」を実践するには日頃の経験を重ねることの大切さに改めて気付きました。

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2014年10月26日

上越茶道会開府四百年記念茶会

高田不白会 小島秀雪

上越茶道会開府四百年記念茶会
今年は高田開府四百年にあたり、色々な記念行事が行われました。「越後の都・高田と徳川家康の血族」特別展では、高田とゆかりのある〈初花肩衝〉茶入が展示されました。平成二十六年十月二十六日には、高田別院会館で記念茶会が開かれ、広間にて薄茶席を担当しました。
 茶席には、東條琴臺(幕末、明治の儒学者。高田十一代藩主榊原政令の招きで高田藩校の教官となる)の屏風、六曲一双と、献杯酒器を展示しました。
 当日は晴天にも恵まれ、さながら清風に吹かれた心地がいたしました。
【会記】
寄付 句 仏上人 丙寅の秋越後にて
     身の上も背に夜寒き越の秋
本席
床 孤峰不白筆一行 清風生蓬莱
 脇 床 時代寒山拾得蒔絵硯箱
 花入 尺八 筒 乙御前 藤村正員
 花  かくれみの なでしこ
    せんのう
 香合 瓢 月に芒蒔絵
 釜  車軸    道也作 寒雉極
 風炉 やつれ   庄造
 風炉先 雪輪透
 水指           妙高焼
 茶器 菊平棗  不白好 良造
 茶碗 黒楽  一入作   不白箱
  替 古萩 銘 山の神  不白箱
 茶杓  銘 風池  当代家元
  建水 えふご  八代 浄益
  蓋置 青楽 つくね  了入
 菓子 里の秋  大杉屋
  器 呉須赤絵写鉢   和全
 御茶 小倉山       小山園

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2014年10月21日

自宅の茶亭主を引き受けて

家元招請研究会−【自宅の茶事】

橋本光雪(山形不白会)

山形不白会研究会
 山形不白会は、教授者会員が四つの地区に分かれて各会場の趣向で実践の運びとなりました。
 日下宗愛、小室宗加、芳賀宗紀、橋本光雪の四名が亭主を務めました。
 私は二年前体調を崩し、手術を致しました。その折、お茶仲間の皆様より優しい言葉と励ましをいっぱいいただき、茶の湯という趣味を長年持ち続けてよかったと心より思いました。この度お家元をお迎えするに当り、心身とも不安でしたが、体調もよく元気にお迎えできたこと何よりでした。
 お家元には直におもてなしの心、茶事の流れ等々をを、そして会食の時も茶を点てるにも自分が亭主である自覚をもつことの大切さを改めて学びました。和やかな会話を楽しみましたこと、夢のようです。今振り返り反省もありますが、これからの課題としていきます。
 お家元より主人にお声をかけていただき、夫も素直に同席し、会話が弾んだことも収穫でした。お家元の優しいお人柄と見識の深さに触れ感動した様子です。私と娘が何のために茶の稽古をやっているのか、改めて興味と理解が深まったようで嬉しく思いました。

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お家元 塚原宗清さんをご訪問

生亀寿雪(山形不白会)

塚原さんを囲んで
 昨秋の十月二十一日、山形の「家元招請研究会」の際に、お家元と博之様が、塚原先生のおられる「ソーレ吉原」にお立ち寄り下さいました。
 先生は手押し車に手を添えて玄関で待っていて下さいました。玄関先での再会に、お二方とも満面の笑みを浮かべ、本当に嬉しそうでした。
 事務所の方々の計らいで広間に準備してくれたソファに座り、博之様を交えてお茶とお菓子をいただきながら、にこやかにお話をされていました。
 そして、お家元が先生のためにわざわざお持ちになった篠笛で、「ふる里」「月の砂漠」「赤とんぼ」を奏でてくださいました。先生がじっと耳を傾けて聞き入っておられる姿がとても印象的でした。
塚原宗清さんの「百歳の春」の作品

塚原宗清さんの「百歳の春」の作品

先生はひと言、「私の大好きな歌なの」と嬉しそうに、こっそり教えてくれました。穏やかな心洗われるうつくしい調べが館内に響き渡りました。
 三十分という制限された時間がすぐに来てしまい、お帰りになられるとき、お家元が「ちょっとお部屋にお邪魔してよろしいですか」と入ってこられました。そこで二年前にいただいた「めざして百歳」の色紙をご覧になり、「今度は『めざして百二十歳』と書かなくてはね」とおっしゃり、懐かしそうに、嬉しそうに眺めていかれました。
 お二人に至福のひと時をお過ごし戴けて本当に嬉しく思いました。(山形不白会)
塚原さんは「めざして百歳」の記事にも登場されています。

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2014年10月8日

孤峰不白作 鶴亀図平茶碗—流祖の茶碗で稽古をして—

藤田宗明(羅府不白会)

絞り茶巾
流祖作の茶碗での稽古
 先日師の鶴林庵にて、平茶碗と絞り茶巾のお稽古をさせて頂きました。師の新井宗京先生は「是非とも、孤峰不白作の平茶碗でお稽古を致しましょう。」とおっしゃられ、恐れ多くも流祖の遺作である平茶碗で茶を点てさせて頂きました。
 この茶碗は不白が七十七歳の祝いに鶴亀図を施し製作したもので、聞くところによるとそれを友人に献呈したとされます。七十七歳という年齢から換算すれば、今から218年前、江戸後期の寛政8年に作成されたことになります。この流祖ゆかりの茶碗を手に取ると、決して重くはないにもかかわらず、手に触れる重厚感があり、赤みかかった茶色の色彩は深淵をみるごときに落ち着き深い色合いであります。この平茶碗は高さが4.7糎、径が15.4糎で、この数字からご想像がつくかと思いますが、大変に平たい、皿に近いほどの平茶碗でございます。茶碗に描かれている鶴亀の図は簡潔な一筆書きのようではございますが、亀は茶碗の周りをまるでぐるぐると如何にも泳いでいるようであり、鶴は春風駘蕩たる穏やかな立ち姿であります。高台は力強く平たい無造作のような作りであるため、茶碗は畳と平行に座らず少し傾きをもたらしますが、それがとても自然体に映ります。もしかしたら、これも流祖の作意であったのかもしれないと考えを巡らしました。こんな稚拙な検討をしながらも、流祖の人物像が浮かび上がってくるようで、「孤峰不白」と名前を授かった意味が微かながら見えるような気がいたしました。
鶴亀図平茶碗
鶴亀図平茶碗
 この茶碗は不白が七十七歳の祝いに鶴亀図を施し製作したもので、聞くところによるとそれを友人に献呈したとされます。七十七歳という年齢から換算すれば、今から218年前、江戸後期の寛政8年に作成されたことになります。この流祖ゆかりの茶碗を手に取ると、決して重くはないにもかかわらず、手に触れる重厚感があり、赤みかかった茶色の色彩は深淵をみるごときに落ち着き深い色合いであります。この平茶碗は高さが4.7糎、径が15.4糎で、この数字からご想像がつくかと思いますが、大変に平たい、皿に近いほどの平茶碗でございます。茶碗に描かれている鶴亀の図は簡潔な一筆書きのようではございますが、亀は茶碗の周りをまるでぐるぐると如何にも泳いでいるようであり、鶴は春風駘蕩たる穏やかな立ち姿であります。高台は力強く平たい無造作のような作りであるため、茶碗は畳と平行に座らず少し傾きをもたらしますが、それがとても自然体に映ります。もしかしたら、これも流祖の作意であったのかもしれないと考えを巡らしました。こんな稚拙な検討をしながらも、流祖の人物像が浮かび上がってくるようで、「孤峰不白」と名前を授かった意味が微かながら見えるような気がいたしました。
 流祖のゆかりの茶碗を扱うことだけでも、大変緊張致しましたが、このような平たい茶碗で果たして茶が点てられるのであろうか不安でもありました。しかし、いざ茶を点ててみると想像とは裏腹にある意味点てやすい茶碗であることがわかったのです。そして、抹茶が張った茶碗は生き生きとした様相を持ち、茶の緑と釉薬の赤茶色のコントラストは絶妙であり、深淵と思っていた景色が大海原に一変したように思えました。御自服で頂いたとき、暖かい茶碗を両手で取るとその重厚で豪気な茶碗の精に触れ、唇に茶碗を当てた瞬間に自分が寛政の世にタイムトリップをしたように思え大きな感動を得ました。ましては流祖の遺作で一服を頂けたことに感慨無量でしばらく言葉も出ないほどでございました。
 茶道具の素晴らしさはこうした崇高な芸術品を手に取り使えることにあるのではないかと思いました。美術館でガラスに囲まれて大切に保管されている茶道具も、使われることで命が復活しその光が蘇るのではないかとも考えました。師には大変貴重な体験をさせて頂いたことに心より感謝しております。本当にありがとうございました。
点茶
抹茶の緑と赤茶色の釉薬のコントラスト
◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇
   This past September, I had a lesson in Hirajawan (with a twisted tea cloth) from Madam Arai at her tea house, Kakurinan. Madam Arai said “Let’s study with Koho Fuhaku’s Hirajawan.” I was graciously granted this special opportunity to make a cup of tea with the Grand Master’s handmade tea bowl.
This tea bowl was made by Fuhaku when he celebrated his 77th birthday. I’ve heard that he made it to give to his special friend. If you calculate the year from when he was 77 years old, it would be 218 years ago, in the year 8 of Kansei, in the late Edo era.
When you carefully lift the bowl, there is no heavy weight sensation, but there is a feeling of dignified elegance. The color is a reddish brown, which expresses a sense of calmness and a profoundly distinct and special style. My imagination creates a vision of looking into an abyss of a great and deep valley.
The measurement of the bowl is 4.7cm high and 15.4cm in diameter. As you can imagine from these numbers, this bowl is very flat and wide, almost like a deep dish. The crane and the turtle design on the outside of the bowl are one stroke drawings. It is as simple as possible; however, you can almost see the movement of the turtle that is swimming around the bowl. The crane is standing so tranquilly and peacefully.
Kohdai (a bottom sitting part of bowl) is flat and powerful with an uneven design that makes the bowl not sit parallel with the tatami. This unevenness looks very natural in its design. I wonder if the Grand Master made it this way intentionally, or did it just happen during the course of its creation? The characteristics of the bowl seem to paint a picture of his personality and soul.
I was nervous about handling a bowl with such great history, and also worried about how I could make tea in this super flat bowl. However, I realized it was not that difficult as I imagined, rather it was the perfect bowl to easily make a cup of tea. I was very impressed and surprised by how it was made. The bowl looked like it came to life again with the tea in it. The contrast of the color of green and reddish brown is absolutely exquisite. What I saw as an abyss now turned into a vast beautiful ocean. I made a cup of tea for myself with the bowl. When I lifted the warm bowl, I felt like I touched the profound and bold spirit of the bowl. The moment my lips touched the bowl, I traveled back in time to the year 8 of Kansei. I was so touched with the fact that I had tea from the Grand Master’s handmade cup. I was speechless.
What is great about art of tea is that you can actually handle noble and sublime art pieces. I thought of all of the art pieces of tea utensils that are behind glass cases in museums and how they bring back their own lives once they are used. I am very grateful to have experienced this precious opportunity through my lesson. I truly appreciate Madam Arai, who gave me this rare and invaluable opportunity.

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2014年10月5日

「よいかげん」

家元招請研究会【自宅の茶】

中野里雪(新潟不白会)

露地風景
 どんな場所でも、今の自分にできることをとの家元のお言葉に押され、テーブルにて、初座はワインと新潟の食材、チーズを中心に。後座は茶箱で濃茶、続き薄茶を差し上げることにいたしました。あれこれと考えを廻らす準備の時間、当日、抽選でどなたがお見えになるかとお待ちする時間、 そして反省と共に次回への想いを新たにする時間、と亭主の楽しみは長く続く物だと実感しております。
 お客様をはじめ周囲の援護で和やかなひとときとなりましたが、濃茶と薄茶のポットの湯加減や時間配分など、丁度よいものを丁度よいタイミングでお出しする難しさも自覚しました。今後は、頭の中の「よいかげん」を実際に形に表せるよう精進して参りたいと存じます。
八寸
 

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2014年10月4日

熊谷不白会役員研修会

森田宗十(熊谷不白会)

支部研究会
 熊谷の熱い夏もひと区切りの九月六日、市内緑化センターにて、役員研修会が行われました。課題は、午前「茶碗飾り」、「茶筌飾り」、午後は「台天目」でした。今回私は、茶筌飾りのお詰の役をいただきました。実演を拝見しながら、支部長松崎先生の解説・細かなご指導を受け、参加の皆さんは熱心に聞き入っていました。格別大切なお茶碗の扱い方等を経験し、改めて多くのことを学びました。
 「台天目」では、担当を交代し、貴人をお迎えする折のお点前を、拝見させていただきました。また、貴人そして連客の所作も大変勉強になりました。
 研修会全体を通して、「大切な人をお迎えする」「大切なお道具を扱う」人・物そして心を改めて気づかされた様に思います。日本は今、「オモテナシ」を合言葉に動いています。研修内容を振り返りながら、茶の湯を様々に応用しながら、日常生活にも取り入れられる事を感じ、有意義な一日でした。

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家元にお越しいただいて

家元招請研究会

伊藤宗翠(新潟不白会)

 今回で「自宅の茶」を担当するのは五回目です。寄付に会津八一の句の色紙を掛け、本席には初めてお当番をしたときに宗匠からいただいた「清秋」の色紙を表掲げました。予感通り我が家に宗匠がおいでになりました。びっくりしましたが、嬉しくもありました。主人には事前にお願いし、宗匠をお迎えしてもらいました。
 我が家は普通の二階建ての住宅ですが、息子が東京に就職し、二階が空きましたので、老後は楽しいお茶で過ごしたいと思い、水屋、和室、立礼席(寄付)に改造しました。
 初座が始まり一献差し上げると宗匠より、主人にも仲間に入ってもらってくださいとお声がかかりました。私はびっくり仰天で、もうなるようにしかならないと思い、主人にも入ってもらいました。我が家の家族構成、主人が戦争で学童疎開したこととか、白根名物大凧合戦などの話でなごやかになり、初座に時間をかけてしまし、お炭、後座の濃茶は省略し、お菓子と抹茶のみとなってしまいました。宗匠、お客様にはすまないことをしたと反省いたしました。
 翌日は新潟市の護国神社斎館に会場を移し、中野支部長が亭主となり、宗匠はお正客に、私はお詰めをさせていただき,お茶事のお勉強をさせていただきました。二日間とも私には有意義なお勉強会でした。

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支部研修旅行に参加して

橋本可雪(熊谷不白会)

笠間稲荷神社
 去る十月四日、熊谷不白会主催の、第四回研修旅行が行われ、益子・笠間へ行って参りました。二十六名のお茶のお仲間を乗せ、バスは出発致しました。
 益子参考館はバスを降り、緩やかな坂を少し行った緑豊かな中に在りました。濱田庄司さんの作品や、作陶現場、登り窯などがあり、どれも興味深く見学しました。各自お菓子を盛る器・茶碗など、思いを巡らせ買い物を楽しみました。
 次は春風萬里荘です。北大路魯山人が北鎌倉にて住居としていた茅葺き民家を移築したとのこと。本来は厩であった所を洋間に改造、魯山人の「工夫とこだわり」が様々なところにあり、素晴らしいと思いました。「夢境庵」という四畳半の茶室もあり、床柱は黒柿の自然木とのこと。外には石庭が見え、心落ち着く空間でした。
 次は笠間稲荷神社です。以前から訪れたいと思っていましたが、今回思いが叶いました。さすが日本三大稲荷神社の一つとあって、どっしりとした松など、歴史の重みを感じました。お参りの後は笠間日動美術館へ。そうこうする内に帰路に着く時間となりました。
 熊谷支部研修として、第一回足利学校・栗田美術館、第二回長野奈良井宿、第三回河口湖・久保田一竹館、その後東日本大震災で中止となり、久々の研修旅行でした。支部の中でも、日頃余り交流のない社中同士が、こうした研修旅行を機に、新たな交わりが生まれることが楽しみです。

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2014年9月28日

亭主の力量に感服

家元招請研究会−【自宅の茶事】

田中宗俊(久留米不白会)

 今回は、基山の有吉宗夏先生宅での「自宅の茶」に、お家元と一緒に参加させていただきました。
 秋晴れの一日でしたが、残暑で暑いくらいでした。有吉邸の家周りの庭は所狭しと茶花がいっぱい植えられていて、水打ちして、清々しい装いでお迎えいただきました。
 初座は、床の間に一元斎宗匠の「喝」のお軸が掛けられ、茶席を引き締めておりました。家元の軽妙なお話を伺いながら、盛りたくさんのお料理、美味しいお酒をたっぷりいただきました。特に豪華な椀物、秋の風情の栗ご飯をたっぷりいただき大満腹でした。時間がゆっくり流れていくようで、研究会での茶席とは思えない内容の濃いものでした。
 後座は、たくさんの秋草を入れての床飾り、お濃茶をたっぷりいただきました。家元もご満悦の様子でした。最後のお薄茶は点て出しを取り入れ段取りよく、時間をうまく使われて、すばらしいお席でした。物語のある道具の取り合わせ、段取りのよさ、力量のある亭主ならではの技、なかなか真似のできるものではないなーと感心しました。すばらしい時を楽しませていただきました。

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2014年9月14日

お茶事形式で「盆点」を学ぶ

博子先生招招請研究会

里舘宗泰(岩手不白会)

盆点
 空の青さに秋の訪れを感じる九月十四日、博子先生をお迎えして盛岡市中央公民館にて研究会が行われました。お忙しい先生に直接ご指導していただける貴重な機会とあって、峰雪会員四十一名が参加致しました。課題は「盆点」でしたが、博子先生がご亭主になられ、光栄にも私は次客に入れていただきました。
 はじめに「盆点」について、「唐物や瀬戸の名物など特別な茶入を披露するときのお点前であり、茶入を盆にのせて特別に重く扱います。その他についてはさらりと流してメリハリをつけることも大切です」というお話がありました。
 席入りで床の家元筆『心月輪』のお軸を拝見し、ご挨拶の後、当番の先生が用意してくださったお膳と一献を頂き、正客のお誘いに応じてご亭主もお持ち出しになりました。博子先生のお優しいお話に座がなごみ、次々と出てくるお料理に話が弾み、研究会であることや諸先生方の視線が背後にあることを忘れ、それまでの緊張もほぐれていきました。お炭点前を拝見した後、中立となりました。
盆点の手前
 後座では、「盆点」でお濃茶をいただきました。本日の主役のお茶入は、南部家伝来の流祖不白作『立布袋』、盆は真塗のものでした。お茶碗は高麗茶碗で、お家元が南部会長と八幡平でお会いになった際に『一声彷彿又千声』と箱書きされたという思い出のこもったものでした。ご亭主のお茶入に対する思いが、丁重なお点前から伝わってきて、自ずと「盆点」の世界に引き込まれていきました。また丁寧に練られたお濃茶はとても美味しく御心が込められておりました。博子先生の洗練されたお点前を間近で拝見させていただき、お客役をいただいたことに感謝致しました。
 「盆点」について学ぶとともに、お茶事のあり方、美しい所作など多くの事をお教えいただき、充実した研究会でした。

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2014年9月11日

居待の月見茶会

平野宗靖(岡山不白会)

床の間
 陰暦八月十八日に当たる九月十一日、金浦湾沿いにお住まいになる桑田宗千先生のご自宅で三十名のお客様をご招待し、月見の茶会を催しました。当夕刻の湾は干潮、干潟には羽を休めた青鷺が上る月を待っているようでした。
 この金浦湾を望むお茶宅の廊下に祭壇を作り月見団子と芒を供え、お床には江戸時代中期の僧侶で歌人の西山澄月が、月を詠んだ和歌のお軸と、福井宗九様のお庭で咲いた芒、朮(おけら)、吾亦紅、秋海棠等七種の花を籠に活けて飾り、茶会に相応しいしつらえとなりました。
 夕日が沈みはじめ薄明るい午後六時、一席十名のお客様を迎えて、静寂な空気に包まれたなかお点前が始まりました。「生江浜の月」、このお菓子は当地生江浜に因んで銘をつけ和菓子店に依頼したと席主宗千先生がご説明し、味わっていただきました。お席は和やかな雰囲気になり、殊に小学生のお嬢さん二人がお運びをし華を添えました。
 辺りが暗くなり、二席から三席へと続くにつれ遠く離れた樹々の間から月が上り、月に照らされた干潟は明るく映え、幻想的なお茶席を醸し出しました。心をこめて点てた一服のお茶。「美味しく戴きました」、退席されるお客様の一言が、社中一同安堵と嬉しさをかみしめ会を閉じました。
桑田先生を囲んで

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2014年9月7日

ひと足早い月見の茶会

家元招請研究会−【自宅の茶事】

山本文雪(静岡不白会)

 今回は正客を大磯の新保様にお願いし、詰として佐藤様のお席に参加させていただきました。
 十五夜を目前に、床には月の画賛のお軸が掛けられ、お膳には季節感溢れる品々が並び、しかもご亭主様が勧め上手とあってついつい杯も重なり、とても和やかな初座となりました。
 後座は家元のアドバイスで座る位置を替えました。すると主客が近くなったことで、一体感が生まれ適度な緊張感も相まって至福の一服となりました。
「少しでもお茶が冷めないうちに」のお言葉は、まさにもてなしの真髄で亭主は勿論、客も心掛けねばと痛感致しました。
 十五夜は静岡では生憎の雨となり、この御席が今年の月見となりました。

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2014年8月31日

客振りを学んだ茶事

家元招請研究会−【自宅の茶】

五十嵐宗合(福島不白会)

自宅の茶事
 福島不白会のお家元招請研究会、私は那須塩原の幸田様よりご招待いただきました。
 露地に打ち水がされ、寄付にも様々な工夫が施され、随所にご亭主のお心遣いが感じられました。今回の茶事にあたりご亭主は、何度も「茶の湯のすすめ」を読み返されたとのこと、後日お伺い致しました。
 お席はお正客にお家元、お次客に博之様、河原さんと私で三客とお詰を務めました。初座ではいろいろなお話を伺いながら、心尽くしのお料理をいただき、ほんの少し緊張がほぐれました。後座では、ご亭主がお花を所望され、博之様が応じられました。ご亭主と共においしいお茶をいただき、床に掛けられた宗旦槿が美しくとても印象に残りました。
 お家元から、茶事はお客様と会話を楽しみ、より親密になることが目的なので、食べることやお料理を運んだりに忙しすぎてもいけないこと、ご亭主がゆったりとお客様と向き合えることが大事であるとお話がありました。
 今回は、ご案内状をいただいたり、お返事をお返ししたりと初めての経験を致しました。勉強不足を痛感致しましたが、私もまずは背伸びをしないで身の丈にあった茶事から始めたいと思いました。

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2014年8月3日

社々の森の名水茶会

岡田宗春(新潟不白会)

 今年も栃尾(現・長岡市)の社々(とど)の森で「名水茶会」が開かれました。社々の森は、全国名水百選に選ばれた地です。一席は宗徧流の那須社中、二席は裏千家淡翠会、そしてサービス席として、地元の中野俣小学校が席をもちます。
 中越地震の少し前に教頭として単身赴任したとき、名水の地でぜひ子どもたちにお茶を教えたいと始めたことが、嬉しいことに今も続いているのです。
 僻地一級のその学校は、公民館の分館の役目ももっていました。そこで、親子茶道教室を始め、夜に親子や地域の方々に盆点前を教えました。その後、名水の地の特色を生かした教育を進めようと提案し、総合的な学習の時間に茶道を取り入れるようになりました。
 学校の大きな行事、文化祭や創立百三十周年記念式典では、盆点前で子どもたちがお客様を迎えました。中越地震後、校舎が壊れ隣の学校に間借りしたとき、前平山県知事さんがご家族で慰問コンサートを開いて下さったことがあります。その時も子供たちはお茶でお迎えしました。
 今年、新たに赴任した校長から、「名水茶会」に今年も是非来て欲しいと嬉しい電話をもらいました。毎年参加していきます。
 これからも、自分の社中だけでなく、機会をとらえて、子ども達にも茶の湯の楽しさとすばらしさを教えていきたいと思います。

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新潟不白会講演会——「芦屋釜と天命釜」を聴講して

石川昇二郎(新潟不白会)

 さる八月三日、新潟不白会講演会「芦屋釜と天命釜」が長野烈先生を講師にお招きし、開催されました。  長野先生により、芦屋・天命などの古典釜の調査・研究に基づいた特徴、デザイン、工法についてご説明いただきました。桃山から江戸期にかけての豊かな感性と技術の高さについてのお話は大変興味深いものでした。
 特に筑前をはじめ全国に波及した工人たちのこと、見所としての耳の位置や、繰口のディテール、羽根の特徴、意匠や肌などポイントごとにわかりやすくお話いただきました。
 当日は当時の釜の他、長野先生の作品など多数の特別展示もあり、美術館のガラス越しではなく、まさに目の前でその質感や造詣のすばらしさを感じる貴重な体験ができました。
 講演の最後に、長野烈先生と来賓の永井此君亭様で、茶の湯の釜をはじめこれまで長く伝えられ大切に使われてきた茶道具の散逸についてのお話がありました。なぜ数百年もの間、茶人たちの心をとらえてきたのかを学び、その価値を知ることも大切とのことでした。
 茶事をすることを、「釜を掛ける」といいます、今までは茶席に最初から最後までずっと鎮座する釜をただ拝見するだけの私でしたが、この講演で伝世の重みや、洗練されたデザインについて学ぶことができました。さらに茶の湯に対するひとつの楽しみが増えました。
 開催にあたり、各社中の皆様の素晴らしいテーブル茶のお席もあり、心満たされる大変充実した一日となりました。
 

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2014年7月1日

留学生を招いてミニ茶会

畝迫佳雪(岡山不白会)

留学生ベッキーと
 桑田先生の所で一緒にお稽古をしている赤田さんのお宅に、ニュージーランドから留学生の女の子がホームステイで来られました。彼女ベッキーは平日、市内の高校に通い、日本の高校生と交流を深め、日本語の勉強などスケジュールに追われますが、「日本の文化に触れたい」との事で赤田さんが急きょ思い立ち、桑田先生の所にお話がありました。
 当日は先生と他二名のお仲間と、私も娘と一緒に着物を着てベッキーと赤田さんご一家でミニ茶会をしました。
 まずは一献といきたい所ですが、外国の十七歳の高校生。桜茶を入れて和やかになったところで、お茶席にご案内し一服。彼女はお菓子の取り方や、茶碗の扱い方など、とても上手に出来ていました。ベッキーにも、お点前をしてもらってホストファミリーの赤田さんに一服。一口飲まれた赤田さんの口から「大変美味しいです」と言葉が出ると、満面の笑顔で胸に手を当てて、ホッと一息つかれていました。すごく愛らしい仕草で茶室全体がやさしい雰囲気に包まれました。片づけも手伝っていただき、炭を初めて見たと興味津々でした。
 我が娘は「ベッキーは『お先に』と『かたづけ』って日本語は覚えたよね」と変な所に感心していました。
 大事な方に、美味しいお茶を飲んでもらいたい、という純粋な気持ちが表れていたベッキーの姿に、何か気づかされる思いでした。短い時間でしたが、楽しい時間が過ごせ、日本の文化に少しでも触れていただけたかなって思いました。

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2014年5月25日

風炉の炭点前とお濃茶の基本

博子先生招請研究会

八女不白会

炭点前指導
○お詰として学ぶ………田島宗美
 夏日を思わせるような五月二十五日に、博子先生の研究会がありました。
 客の詰の役をいただきました。直接に先生の指導を受けましたが、緊張の余り身体が思うように動きませんでした。人前ですることの難しさ、普段のお稽古が如何に大事かを感じました。また、基本を重視しながら、その部屋のつくりや正客、亭主、半東の方との関わりの中で、臨機応変な対応ができるようにということも学びました。
 今回の研究会では、入室の手がかりから始まり、お客の拝見の仕方を詳しく教えていただきました。扇子の使い方など、日頃からやっていることでも改めて実践することで、色々な疑問が湧いてきました。点前の要所要所で指導をいただきましたので、随時、疑問を解決することができ、とても勉強になりました。
 色々と指導をいただきましたが、先生のお人柄でしょうか、皆さんの質問もたくさん飛び交い和やかなうちに、研究会があっという間に過ぎてしまいました。
一服
   ◇   ◇   ◇   ◇
○亭主として学ぶ………川島宗濱
 先ず席入り、お床拝見の仕方を教えていただき、お炭点前と進み、羽帚での清め方、実際に塵を払うようにとご指摘を受け、手順の型にばかりとらわれる自分に気づきました。
 炭点前の一番は、次にお濃茶を点てるための釜の湯が沸くことである。そのためには種火の付け方から始まり、もし火の回りが良くない時は、中立の時に火を足す。今回はじめて亭主を務めさせていただき、お家元がおっしゃる「自分の家でお茶を」の意味がほんの少し分かったような気がします。
 お濃茶における服紗捌き、お茶入の扱い、出し服紗、客としての使い服紗の使い方、半東としての使い服紗の返し方等、質問にお答えいただき、また一番基本の立ち居についても踵をつけて立つ様、日頃のお稽古時に意識すると身に付く事等とても有意義な研究会でした。
 博子先生とのご縁を得たことで、基本に立ち返り久し振りに本気で勉強させて頂きました。目標は自宅での実践です。

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自宅の茶で極上の時間を

家元招請研究会−【自宅の茶事】

市川宗恵(長野不白会)

 お家元が推奨されている「自宅での茶事」が、去る五月二十五日、晴天に恵まれた中、三軒のお宅で行われました。
 日頃、勉強不足の私ですが、お家元とご一緒のお席にお客として参加させていただきました。寄付で迎え付けを待つ間、お家元との和やかなお話などで、それまでの緊張が何処かに消えていました。
 お席入り後、早速の一献から始まり、正客のお家元の是非とのお勧めで、ご主人もご自分のお盆を手に席に入られました。ご主人の歌あり、ご主人を交えての楽しい会話ありで時は過ぎて行きました。中立の頃にはご主人は退席されましたが、お暇するまでのこの極上の時間と空気を味わえた喜びは言葉では言い表せない私の宝物となりました。ここにあらためてお家元の人柄に敬意を表したいと思います。
 また、ご亭主になられた先生方にも、心のこもったおもてなしに感謝申し上げます。

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