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2016年5月1日

茶の湯と体操に思う

家元招請研究会

高橋尚子(新潟不白会)

 数年前から家元が体操を始められ、最初は短い時間でしたが段々時間が伸び、午前中は体操という日もありました。お茶の研修と体操はどうしても私の中で結びつかないでいました。実の話「お茶の研修なのにどうして体操?」と自問自答でした。しかし先日、家元のお話に「はっ!」と気付きました。家元は専門的に体の仕組みを学ばれ独自の体操「体操十種」をつくられました。自分にあった体操をゆっくりと繰り返し行い、正しい姿勢、身体作りの役に立つようにというお考えからです。お茶室でお点前をするとき、精神的に心が穏やかであることは、一つ一つの作法を丁寧にきれいにこなすことと同様に、いやそれ以上に大切だと思います。「体が健康で心が穏やかであれば、ほんの小さな音もやさしく心に響きます」と家元は話されました。
 茶杓を置いた時のわずかな響き、茶筌通しの柔らかな音、お釜の中でお湯が沸く穏やかな音、小さな音が心にとまり、和やかな場を作るのだと思います。体が健康であることは、心が穏やかでいられる一番の条件だと考えられたのではないか、と思いました。
 武士道の訓えに「心・技・体」とあります。心=精神 技=技術 体=体力 この三つのバランスがよく調和していれば、自分のもてる力を余すことなく、もしくはそれ以上の力を出すことができます。お茶の訓えにも通じると家元の言葉から気付きました。お客様をもてなし、おいしいお茶をご馳走すること、それは体の健康が何よりも大切で、人として優しくあるための全ての基礎になるのではないかと思います。私の小さな気付きをお話しました。

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