2011年7月1日
紅花山芍薬に魅せられて
西山宗稔(高知不白会)
雨に濡れる紅花山芍薬
この花のこと、生まれて初めて知りました。昨年愛媛の友人の山荘で写した絵はがきです。
余りの美しさに、今年も咲き始めましたとの知らせを受け、梅雨の最中でしたが車でかけつけました。
その山荘に咲く雨に濡れた薄紅のあでやかさ、可憐さは喩えようもなく美しく、思わず感嘆の声をあげました。昔、愛媛の皿ヶ峰では林床の中によく見かけたそうですが、その美しさゆえの盗掘、自生地の開発などで今では絶滅危惧類として指定され、幻の花とのことです。
後日調べたところ、北海道、九州まで広い地域に分布していたとの事、東京の高尾山にも見られたそうで、知らなかったのは私だけだったのかも知れません。北海道標茶(しべちゃ)では、町の天然記念物に指定されたとのこと。
十三歳でお茶のお稽古をはじめ七十年、はじめて出逢った紅芍薬の花の美しさに魅かれ、一筆したためました。
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2009年5月25日
おなかも心も満たされて–茶懐石マナー教室体験
菊地 和子(福島不白会)
まず、寄付で白湯をいただく
四月に福島不白会家元招請研究会で、「正午の茶事」が取り上げられました。私は楽しみにしていましたが、参加できずとても残念に思っていました。その折、先生から「柿傳の茶懐石」の話を聞き、私たち九名は「茶懐石マナー教室」に行くことになりました。
「柿傳」(都内の懐石料理店)の待合に通された時、都会の真ん中にこのような静けさがあるのに驚き、またマナー教室なのに皆緊張しているのがわかりました。いよいよ茶室へ。正客に見習って全員がぎこちなく席入しました。茶室は、「青嵐」の軸、「芍薬、撫子、縞葦」の花々で設え、私たちを爽やかな気分にしてくれました。
私は、茶懐石は初めてなので、「マナー教室」では多くのことを学べました。
一、飯椀と汁椀の蓋を両手で取り、それらを合わせて汁碗右側に直線になるように置くこと。
二、ご飯は、出されたものを一口残しておく心遣いが必要なこと。
三、お替わりの飯器の蓋をお詰めへ送ること。ご飯は、自分ですくって飯椀へつぐこと。
四、小吸物は、別名箸洗いともいうそうで、口を直すのと同時に箸を清めること。
記念に皆で写真撮影
五、最後に湯桶と香物が出て、おこげと湯を飯椀に入れぶぶ漬けにしていただくこと。これで椀をきれいにすること。
六、椀、蓋、皿等懐紙で清めること。
七、箸音で終わりを告げること等々、特に印象に残りました。(後日、この作法は表千家流で、江戸千家とは違う点があることを先生から説明を受けました)
懐石料理の所作等は、禅の作法の影響があるらしく、料理は空腹を満たす程度だそうですが、今回は、進肴も加わり豪華な食膳になりました。さらにお酒も入りましたが、すべての料理を残さずいただきました。
季節の食材の料理、亭主の「温かいものは温かいうちに」の心からのおもてなしに、おなかも心も充分に満たされた一日でした。
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2008年12月28日
暮の一日 —恩師に感謝する至福のとき—
伊藤俊彦(八女不白会)
暮も押し詰まった十二月二十八日、社中の有志七名が研究会の名目で、群鶴庵に集まった。
花を持ってくる者、得意の料理を持参した者等、思い思いにやってきて、いつものごとく準備をする。
さて、何をするか……花所望、且座、相伝物等の案も出たが、結局廻り炭をすることとなり、折据で順番が決まった。久しぶりの廻り炭をしながら、亡き恩師がよく稽古をして下さった思い出を語っているうちに炭が入った。
昼時になり、料理自慢の手作りの品々に京都土産の粉で練ったソバ掻きと甘酒がついた質素ながら心のこもった素敵な味を楽しんだ。
食事の後、唐物によるお濃茶となった。良く練られたお濃茶の美味しさに思わず「うまかあー」の声が!
お濃茶がまわり、さらにお薄茶をいただき豊かな時間が静かに流れるその雰囲気を心ゆくまで味わいながら、亡き恩師あったればこそ、この至福のひと時を経験できる幸せを感じた一日であった。
「感謝」。
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2008年10月13日
ご相伝をいただいて
近村和子(青森不白会)
むかしご一緒した先生にお会いするたび「お茶を飲みに来て」と声を掛けられ、友達とお稽古を始めました。これが江戸千家の茶の湯との出会いでした。稽古は楽しく、また、日常の慌ただしさを忘れられる安らぎのひと時でした。おいしいお茶を飲むことを幸せに感じる日々でした。でも先生のご病気で一時お稽古を休みました。
お茶をじっくり味わいたいと思い、木立先生のもとで、お稽古を始めることにしました。楽しい中にも厳しいご指導、そしてみなさんと過ごすなごやかなひと時。明日への励みとなる時間でした。
秋晴れの十月十三日、最初のご相伝として「入門・茶通箱」をいただくことになりました。いつもとは違った緊張感でお席入りしました。お床の「寿」の掛け物、お花、すばらしいお道具。先生の心のこもったお点前を拝見していると、少しずつ気持ちも落ち着き、穏やかな思いになりました。
「祝の白」という銘のお茶、格別な香りでまろやかなお味でした。続いて「茶通箱」のお点前では、「星の奥」というお茶を特別おいしくいただきました。茶通箱を用いる茶の意味をうかがい、先人のお茶を大切にする心が理解できた気がします。
式典の後、お茶室でお正客の薄茶をおいしくいただきながら、お軸のこと、お道具のこと、話しが弾み、終始和やかに充実した一日でした。
先生、お正客、お詰の方々のご苦労により、こうしてご相伝をいただくことができまして感謝の気持ちで一杯です。これからも忙しい毎日の生活の中ですが、茶の湯を楽しんでいきたいと思います。
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2008年9月3日
茶の湯から拡がる好奇心
下津浦靖雪(久留米不白会)
林原美術館のお茶室前で記念写真
私がお茶を習始めの二十三年前は、道具の名前や、お茶を点てる順序を覚えることで精一杯でした。でも、慣れてくると、稽古や、お茶会だけでなく、歴史上の人物を知り、史跡、名跡、美術館を巡ったりなど、楽しみが色々増えてきました。
今年、七月のことですが、先生、友人達四人で、岡山に行ってきました。最初に行った林原美術館では、桃山時代の古備前、白磁に似せた白備前、色を施した彩色備前などを見て、こんなにも沢山の種類があるのかと、ただ驚くばかりでした。中でも「白備前獅子牡丹香炉」や、「絵備前」の、大皿、小皿などは、今でも目の前に浮かんでくるほど印象に残っています。
昼食は珍しいことに、後楽園の中にある料亭でした。ここは岡山城家老の、伊木三猿斎様のお邸跡とのことで、玄関に足を踏み入れると、何故か、懐かしさを覚えゆかしい雰囲気に満たされていました。
美味しい懐石料理に舌鼓をうったあと、つぎに訪ねたのは、日本で一番古い学校として有名な閑谷学校です。農民の子供達にも学問の場をと、藩主、光政公が、孔子廟をモデルに建てた学校とのこと。その広く静かな敷地に佇んでいると、大昔に学んでいた子供たちのかわいい声が、私の耳に、聞こえてくるような気がしました。本当に盛り沢山な有意義な一日。是非また、この様な新しい愉しみを見つけて、知識を拡げたいと思っています。
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