江戸千家 >  不白会だより > 2016年

2016年9月1日

家元句集 〝行雲流水〟を拝読して

森 宗恭(青森不白会)

 読み心地の良さ、心に残る句集でした。

  セーヌ河岸 夏満載の 船が往く

 一度も国外に出たことのない私でも、セーヌの流れを感じ、岸辺で川面を眺める私を感じることができました。
 心を揺さぶる句は、遠い昔へ誘ってくれるようです。

  くねくねと 酸ヶ湯を越えて 雪回廊

 「くねくね」の雪回廊の道、二メートルを越す雪の壁面
 十和田湖への北線が開く四月の一番バスが浅虫から出ます。春スキーの帰り、所々に水たまりのある、どこまでもくねくねと見通しの悪い道、ストックで雪の回廊に文字や絵を描いたり、かくれんぼをした遠い遠い昔をこの句に見つけました。

  湯ノ島は 亀の甲羅か 紅葉山

 浅虫は私の嫁ぎ先。裏の雨戸を開けると湯ノ島が見え、あの島を亀の甲羅と見るおもしろさ、春のわらび、カタクリの花、秋の紅葉は湯ノ島の定番の行事。
 亀の甲羅に季節の満艦飾を乗せてたゆとうている湯ノ島は、一服の絵のようでありました。
 *「行雲流水」とは、今年の春の茶会の月光殿に展示された、家元による七十点のスナップ句を集めた小冊子です。

カテゴリー:その他 「家元句集 〝行雲流水〟を拝読して」のリンク

2016年8月28日

正客をゆったりと楽しむ

家元招請研究会

岩谷宗洋(福島不白会)

 八月二十八日に、家元をお招きして今年の課題である体操を中心とした研究会が行われました。
 茶の湯と体操は決してかけ離れたものではなく、体操を日常に取り入れることによって、呼吸法などが身に付き、体の中の筋を通すことで基本の姿勢も身に付いていく、という家元のお話を伺いながら、皆で楽しくよい汗をたくさんかきました。
 午後からは、家元のお点前で濃茶をいただき、私は正客を務めました。茶事はお客様が主人公ですというお話しでしたが、自分に正客が務まるか緊張して入室しました。でも、客である私達三人のために、家元がゆっくりと心を込めてお茶を点てている姿を間近で拝見したとき、家元のお客様を迎える温かな気持ちが感じられ、気持ちも落ち着きゆったりとした心で、お濃茶をおいしく味わうことができました。

カテゴリー:研究会/家元招請研究会 「正客をゆったりと楽しむ」のリンク

2016年8月7日

七夕茶会記

澤住宗津(鳥取不白会)

 七夕茶会を小学校夏休み中の八月七日夕方六時から地区の公民館を会場に催しました。
 お客様は小学生十八名です。定年退職後始めた登校、下校時の見守り。公園の清掃、ラジオ体操で一緒に体を動かし、日頃から身近に接している子どもたちです。約三十畳の和室に短冊「竹有上下節」を掛け、庭に自生の高砂百合、水引き、秋海棠などを籠に生け、沢蟹蒔絵の香合で床としました。点前中ふと気付けば四、五人の子が右手側近くに真面目な顔で座っておりました。お互い真剣モード全開でした。筆に梶の葉の茶碗にお茶を点てました。この子等の健やかな成長と平和な世の中が続くよう願いました。一回目は低学年に高学年がお茶を点てて運び、二回目は、高学年に低学年が保護者の方に手伝ってもらいお茶を点て運びました。お菓子は小さなお口に合わせて干菓子二種にしました。服加減は「意外と全部飲めた」「苦かった」など率直な感想でした。
 盆点前は若い時稽古したのを思い浮かべ、教本の「基本の点前」を参考に練習しました。ずいぶん昔なので、もしや変わっているかも知れない、うろ覚えではいけないと思い、家元の事務所に確認いたしました。やはり心配的中。服紗の扱いが変わっておりました。詳しくご教授下さり有り難かったです。バックアップシステムに感謝しております。
 お客様をお迎えするには修行の足りない私ですが、嬉しい事がたくさんありました。終わって道具を持ち帰り茶碗など拡げておりましたら、天の川の牽牛、織姫の二星を見上げる事なく夜が更け、それだけが心残りでした。

カテゴリー:行事・茶会 「七夕茶会記」のリンク

2016年8月6日

はすまつり茶会--先人を偲ぶ

中村宗友(高田不白会)

 八月六日土曜日、高田公園内の小林古径邸において「はすまつり茶会」が開催されました。席主は木村蓑心氏。
 暑さの中、多くのお客様をお迎えして始まり、お席に入りますと床の掛物からは、舟遊びの水面に新月を感じ、美しい十六弁の蓮の水指には葉蓋が使われており涼やかで、そこには別世界が拡がっていました。黄泉の人々に想いを寄せた設えに心が洗われるような清々しさと同時に、席主の深い思いが伝わってまいりました。
 私は水屋のお手伝いでしたので、水屋での物の位置や動線を考え、日々の稽古で「自然に流れるような所作」という師の言葉を思い出し、流れるようなリズムでおいしいお茶をお出しできるように努めました。なかなかいつも通りにできずに反省もしながら多くを学んだ有意義な一日となりました。
 ときおり本席から水屋に届けられるお客様と席主の楽しそうな声を聞きながら、酷暑の中、お越し下さった皆様への感謝の気持ちでいっぱいでした。
床 荷香十里
  新月一鉤
     米寿雷斧
   権田雷斧 仏教哲学の権威、
        東大印度哲学教授

カテゴリー:行事・茶会 「はすまつり茶会--先人を偲ぶ」のリンク

2016年7月24日

千宗屋先生の審美眼に学んで

吉田英津子(新潟不白会)

 去る七月二十四日、武者小路千家官休庵十五代家元後嗣 千宗屋先生をお迎えし、講演会「茶碗との語らい~飲みたい茶碗、点てたい茶碗」を開催いたしました。茶道具のみならず古美術や現代アートにも造詣が深い宗屋先生のお話をお聞きできる貴重な機会であり、当日、会場の万代シルバーホテルは流派を超えた約三百人もの皆様の熱気に溢れておりました。
 講演会は博之様がかつて官休庵で四年間学ばれたご縁から実現したもので、宗屋先生と私共をお繋ぎくださった博之様に心より御礼申し上げます。
 宗屋先生のお話はたいへんわかりやすく、人を引きつける魅力がございました。溜息が出るほど美しい茶碗の写真の数々、豊富な知識……茶道具の世界の奥深さを堪能させていただきました。先生は『芸術新潮』で連載執筆中とのことで、ぜひ皆様もご覧いただけたらと存じます。
 また講演前、皆様へテーブル茶のお席が用意され、各テーブルの亭主がそれぞれ趣向を凝らしたおもてなしは大好評でした。
 学びを得ることの素晴らしさ、幸せを感じた一日となりました。

カテゴリー:行事・茶会 「千宗屋先生の審美眼に学んで」のリンク

2016年7月23日

研究会に参加して半東を学ぶ

家元招請研究会

藤田宗松(福岡不白会)

 七月二十三日、日本庭園において、午前中は体操、午後は家元による濃茶のお盆点てテーブル茶でした。
 家元はご自身でテーブルのセッティング、花入替え、ご持参の中村宗哲の棗(宝暦年間作、片身替わりの仕服付)に抹茶を入れ、お膳の点検等をされました。八寸の量などは時によって増減することを自分なりに納得することができました。家元はお客様にご挨拶ののちお膳を運び出します。私も半東としてお手伝いいたしました。お酒も出、勧め上手の家元の話に、和やかに談話もはずんでおりました。
 銅鑼の音で背筋と気持ちが引き締まります。床には「白雲抱幽石」が掛かり、竹籠に赤水引、岡虎の尾、仙翁華が置かれています。テーブルには、栃の木盆の中央に濃茶器が、テーブル下の左側にポットが置きつけてあります。平茶碗に茶杓、茶筌、茶巾等が仕組まれて持ち出され濃茶の点前が始まりました。家元ご持参の川喜田半泥子作の白い平茶碗にたっぷりときれいに練り上げられたお茶に皆さんの感動の声が上がりました。
 お家元の「お客様へのおもてなしはいつも真剣ですよ」という言葉に深く納得いたしました。梅雨明けの明るく華やかなお席でした。
 半東としては、膳や菓子を持ち出すときの間、座る位置などが気になりました。テーブル茶でもできる濃茶の点前の経験を積んで、身に付けていきたいと思いました。

カテゴリー:研究会/家元招請研究会 「研究会に参加して半東を学ぶ」のリンク

2016年7月3日

茶箱の濃茶点前を学ぶ

博子先生招請研究会

工藤宗幸(青森不白会)

 夏とはいえ涼しい七月はじめ、博子先生をお招きしての研究会が青森市善知鳥神社で開催されました。今年は何年か振りに課題は茶箱でした。お盆に乗せた場合、掛子を使ってのお点前、拝見がある場合、ない場合、またそれぞれの道具を置く位置も違いますし、細々とした所作等ご注意を受けながら、とても丁寧にご指導いただきました。特に濃茶ははじめてという方も多く、私も初心者のような気持ちで教えていただきました。家元のおっしゃるように、この頃は住居に和室のないことも多くテーブルの上でお盆にお箱をかざって濃茶ができますことはお客様としても亭主としても、襟を正すような気持ちながら、気軽に取り組め喜ばしいことと思いました。
 博子先生は少しの合間をぬって、松葉杖をつきながらの参会者にやさしく「大丈夫ですか」とお言葉をかけてくださったとのこと。そこここに細やかなお茶の心を教えられた一日でした。

カテゴリー:研究会/雲鶴(博子)先生招請研究会 「茶箱の濃茶点前を学ぶ」のリンク

2016年6月21日

ホンダモータース 茶の湯でおもてなし

西村宗櫛(羅府不白会)

 六月二十一日、ホンダ・モータースの幹部の方々三十二人がアメリカ中からロサンゼルスの本社に集まるため、日本の伝統文化の紹介を兼ねおもてなししてほしいと、江戸千家ロサンゼルス不白会に依頼がありました。ミヤコハイブリドホテルでお茶会のデモンストレーションとお琴の演奏を披露したところ、皆様興味深そうに見入っていました。和菓子とお抹茶も美味しそうに召し上がっていました。その後、和食とお酒で夕食が振る舞われました。
  今、アメリカ、世界中でお抹茶がブームです。六月十五日にはラスベガスのコンベンションセンターで二〇一六年ワールドTEAエキスポが行われ、八百人以上の人達が集まる中、茶の湯のデモンストレーションをして来ました。
 その他、五月にはUSCアジアンナショナル美術館で日本の茶の湯のおもてなしを依頼され、お茶のデモンストレーションでおもてなしをして来ました。皆楽しくお弟子達もお茶会をして日本の茶の湯を紹介をしております。日本からの応援宜しくお願い致します。

カテゴリー:行事・茶会 「ホンダモータース 茶の湯でおもてなし」のリンク

2016年5月1日

茶の湯と体操に思う

家元招請研究会

高橋尚子(新潟不白会)

 数年前から家元が体操を始められ、最初は短い時間でしたが段々時間が伸び、午前中は体操という日もありました。お茶の研修と体操はどうしても私の中で結びつかないでいました。実の話「お茶の研修なのにどうして体操?」と自問自答でした。しかし先日、家元のお話に「はっ!」と気付きました。家元は専門的に体の仕組みを学ばれ独自の体操「体操十種」をつくられました。自分にあった体操をゆっくりと繰り返し行い、正しい姿勢、身体作りの役に立つようにというお考えからです。お茶室でお点前をするとき、精神的に心が穏やかであることは、一つ一つの作法を丁寧にきれいにこなすことと同様に、いやそれ以上に大切だと思います。「体が健康で心が穏やかであれば、ほんの小さな音もやさしく心に響きます」と家元は話されました。
 茶杓を置いた時のわずかな響き、茶筌通しの柔らかな音、お釜の中でお湯が沸く穏やかな音、小さな音が心にとまり、和やかな場を作るのだと思います。体が健康であることは、心が穏やかでいられる一番の条件だと考えられたのではないか、と思いました。
 武士道の訓えに「心・技・体」とあります。心=精神 技=技術 体=体力 この三つのバランスがよく調和していれば、自分のもてる力を余すことなく、もしくはそれ以上の力を出すことができます。お茶の訓えにも通じると家元の言葉から気付きました。お客様をもてなし、おいしいお茶をご馳走すること、それは体の健康が何よりも大切で、人として優しくあるための全ての基礎になるのではないかと思います。私の小さな気付きをお話しました。

カテゴリー:研究会/家元招請研究会 「茶の湯と体操に思う」のリンク

香付花月と総飾りを学ぶ

博子先生招請研究会

佐藤令子(福島不白会)

 五月一日、福島不白会家元招請研究会が博子先生をお迎えし、白河市南湖公園の翠楽苑で行われました。
 課題は「香付花月」と「総飾り」です。
 まずはじめに香炉の準備の仕方をご指導いただきました。
 香炉の灰を小さな炭火で十分に暖めておくこと。底まで暖まった事を確かめてから炭団を埋めて筋目をきれいに入れて火窓を開ける。
 お香の奥深さに感心したところで、いよいよ「香付花月」です。私は三客としてお席に入り、見事に「花」を引いてお香を焚くことになりました。点前畳に入りお盆を引き香炉を取り出します。銀葉を灰にのせ香木を香箸で探るように取り出して横一文字に置きました。そしてお香が薫っているのを確かめてから炉縁の横に出しました。お正客から順にお香を聞き回し、最後に私も聞いて片付けました。続いてお薄ですが、ここでも「花」を引きましたので、替え札を要求しました。前回の「濃茶付花月」をご指導いただいたときは札の展開と折据の扱いだけで頭がいっぱいでしたが、今回は他の方の札の動きや点前畳から戻るタイミング、仮座の使い方など考える事ができるようになってきたかなと思います。
 午後は「総飾り」です。「香付花月」と同じ客組でしたので、お点前をよく見ながら勉強することができました。とても有意義な研究会となりました。

カテゴリー:研究会/雲鶴(博子)先生招請研究会 「香付花月と総飾りを学ぶ」のリンク

茶の湯の祭典で

西村宗櫛(羅府不白会)

 五月一日、パサデナ市にありますUSCパシフィック・アジアンミュージアムで、お茶の祭典が催され、江戸千家ロサンゼルス不白会西村社中が茶会を担当しました。
 掛物は、少し早かったのですが「清流無間断」。水の流れのように静かに琴の音色を聞きながら、あやめなどの季節の花を眺めていただき、、美味しくお茶を味わっていただこうという趣向です。
 今、アメリカでも日本のお茶のブームで、特に抹茶を飲まれる方が増えてきています。和菓子を食べていただき、お抹茶の飲み方をお教えして皆でいただくというおもてなしは大変好評でした。
 この美術館は江戸中期から後期の掛物や茶碗、壺、着物などが多く展示されています。様々な面で日本の伝統文化が紹介できた催しでした。日本を訪れたことのある外国人たちがとても喜んでおられました。

カテゴリー:行事・茶会 「茶の湯の祭典で」のリンク

2016年3月20日

高田不白会研究会

亀山 穂雪(高田不白会)

 去る三月二十日、旧高田師団長官舎において高田不白会研究会が開かれました。この会は、教授者と一般会員が知識や繋がりを深めるため、一年に三回課題を決めて勉強会が開かれます。
 今回の課題は、茶カブキということで、私は亭主役として参加致しました。引き受けたものの実は、濃茶を点てるのは不得意な上、均一の濃さに練る大役に困惑しておりました。しかし、お客様たちのお顔を拝見した瞬間「おいしいお茶を召し上がっていただこう」という気持ちに変わり、何とか役目を果たすことができました。お客様皆様、好成績でよかったのですが、私が点前に気を取られて会話がおろそかになってしまったのが今後の課題です。
 この会が発足されて三年になりますが、教授者の先生方がして下さっていた「準備のための準備」や気遣いを学ぶ事ができるのが、一番大きな収穫です。今後もますます盛んになるよう協力していきたいと思います。

カテゴリー:行事・茶会 「高田不白会研究会」のリンク

2016年2月20日

「茶通箱」と「七種の蓋置」

博子先生招請研究会

緒方宗和(大分不白会)

 博子先生をお迎えして大分で初めての研究会が行われました。課題の一つである「茶通箱」の亭主を務めることになった私に、準備の段階から優しくご指導をいただき、勉強になる事ばかりでした。「茶通箱」の由来・意味や扱い方、初伝としている理由等の説明があり、お点前に入る前の心構えが自分の中ですーっと変化した気がしました。大切なお茶を美味しく味わっていただけるよう一層心が入った感じです。お客様から配慮ある言葉をいただいたり、主客末客のスムーズな動き、水屋の方の気配りや段取りの良さに助けられ、和やかなお席で楽しく稽古させていただきました。
 午後からは「七種の蓋置」の扱い方について様々な質問の一つ一つに実演を加え、丁寧にお応えいただき、参加した皆様も充実した時間が共有できたのではないかと思います。
 博子先生の所作に注目してしまい、メモを取るのも忘れてしまいましたが、博子先生にはじめてご指導をいただいたお席に飾った掛物の『直心是道場』を平常から意識して、この体験を励みに、これからも精進してまいりたいと思います。

カテゴリー:研究会/雲鶴(博子)先生招請研究会 「「茶通箱」と「七種の蓋置」」のリンク