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2016年12月11日

慈恵の一服を味わう

千田文雪(岩手不白会)

 十二月十一日、支部恒例の歳末チャリティー茶会が開かれました。
 夫は突然の病魔に襲われ、「延命は?」と医者に問われる程でしたが回復し、一年ぶりの茶会です。
 三田宗明先生の立礼お席で、夫は病回復のご報告をし入席いたしました。
 会のお終い近くに、先生は主茶碗でもう一服点てられ、「千田さんのご主人、どうぞ」と。
 夫の表情が驚きに替わり、恐縮極まりない様子、やがてお茶を手にし、感慨深げな様子でゆっくりと頂戴し、茶席は終了となりました。
 お礼を申し上げたところ、「お元気になられて本当によかったですね」と笑顔で語られました。
 床のお軸は家元の筆による「慈恵」。茶席で「支部では毎年慈善茶会を行い、多くの方々にしあわせな暮らしができるよう義援金を届けています。今年も「慈恵」の言葉の通り、皆様に安穏で幸せな暮らしが続くよう願いを込めて一服を差し上げました」とお話くださった三田先生は齢百歳。息子のような年の夫に健やかであれと心を込めて点てて下さった一服のお茶は、夫にとっても私にとっても何物にも替え難い忘れられない慈恵の一服となりました。いくつになられても他人の幸せを願い最善を尽くす慈恵の念は私の心に深く焼きつくものでした。
 帰路、夫は先生のお心に感謝し、報いる事ができるよう励みたいと、言葉を詰まらせ語っておりました。
 お茶入も家元好み、お茶杓は宗康先生のお作、寄付の掛物は家元の消息と、江戸千家ゆかりのお道具で、たくさんの方々をおもてなし下さり深く心に残る茶会でございました。

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2016年11月23日

茶会を皆の〈和〉で

山崎宗明(八女不白会)

 十一月二十三日、開運寺様主催で「第六回山寺のもみじ茶会」が開催されました。現在八女支部の全行事はこのお寺様をお借りしておこなっています。
 多くの行事が開かれる時期で、その日参加できる方の自由参加ということで始めましたところ、各回二十数名集まり、無事に席を持つことができました。お寺様では、今年は座禅と写経の会をお持ちになりました。私共は室内に一席と庭に一席で、何か新しい工夫をと思い、市販ではなく山寺に似合ったもの、野点席にはカリンを使った手作りの菓子に銀杏の葉を添えて、もう一席には蓋付の平椀に栗と白玉団子に小豆あんを添え、小さめの折敷にて外の紅葉を眺めながら召し上がっていただく趣向にしました。
 会員の方々は当日参加ですので、朝色々な手順を知る事で最初は少し戸惑いアタフタとされましたが、今自分は何をすべきかを身体で感じられ、社中は違っても菓子所、内外の茶席と手すきの所へ声を掛け合い、楽しげにお客様をもてなしていました。最後に恒例のお寺の奥様の心尽くしの「だんご汁」をいただき、解散となりました。反省点は数多くありますが、それぞれの社中の垣根を越え茶会を終えることができ、これが一番の収穫ではと思います。
 会員数の減る中、まずは〈和〉をもっておし進めるのが大事ではないかと思う一日でございました。

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2016年11月19日

岩手不白会研究会

家元招請研究会 

(岩手不白会)

 去る11月19日、20日に、岩手不白会家元招請研究会が行われました。
 会の様子と、翌21日に家元が訪れた伊豆沼の風景をともにご紹介します。

朝焼けの伊豆沼を飛ぶ雁

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2016年11月7日

お客としておいしい一服を

家元招請研究会 

野口宗都(佐賀不白会)

 午前中は「体操十種」です。ゆったりとした動作で呼吸法を取り入れ、心穏やかになる心の修行です。普段から運動をやっている私にとっては茶の湯への姿勢かなと思いながら取り組みました。
 午後は一献のあと濃茶の中置きでした。私は次客に座りお家元が立てられる一服に、お茶の薫りが空気を包み美しい緑色と口当たりのやわらかさ、とっても美味しい一服をいただき、うれしい時間を持つことができました。そして一服のお茶をいかにお客様に喜んでいただけるかがとても大事なことで、奥深いものです。日々のお稽古でも心を込めてお茶を点てる姿を身に付けていきたいと思いました。

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2016年11月6日

炉開きの半東を受け持って

家元招請研究会 

田中宗央(福岡不白会)

 今回のテーマは「炉開き」で私共社中が当番を担当、炉開きの準備をしました。家元が亭主でのお炭点前。ふくべの炭斗、たっぷりのしめし灰、菊の葉をお塩で清めて火打ち石の火花をパチパチっと出された折は凛とした気持ちになりました。
 その後、博之様に代わられ、一献。お酒と八寸で亭主とお客様の会話がはずんだ後の静寂の中でのお濃茶。お濃茶の美味しさと、ご持参のお道具に、お客様は堪能されていました。私は半東を担当致し、お客様に喜んでいただけるよう、また亭主が動きやすいように機転を利かせることがいかに大切かを再認識致しました。
 家元に、田中孝先生の漢の時代の「緑釉囷」の花入に花をお入れいただきました。花の選別、不要な花や枝、葉などの剪定。床全体、お軸や花入とのバランス等を考えることが大事だと思いました。床や席のしつらえの勉強とともに、準備の大切さを心にして精進していただきたいと思います。

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2016年10月23日

工夫の研究会 「自宅の茶」

家元招請研究会 

内山宗博(新潟不白会)

 拙宅、了知庵に家元はじめ三名のお客様にお越しいただきました。
 見よう見まねで作り上げた待合、外腰掛、露地を通って席入。家元のご挨拶で「あちこちに風呂敷が掛けてありますが、何か趣向?」片づけが済まず目隠しですとも言えず、口ごもりましたら皆様、大爆笑でした。
 地の物で一献。お家元が喚鐘一回打たれて隣の部屋のテーブル席で、お濃茶。半東さん点前で薄茶、至福のひとときを過ごし楽しみました。茶を習い始めた時から集め育てた茶花を庭で見ていただき散会。
「茶の湯は実践の世界、お客様を招くことです」の元で研究会で今まで続けて下さった支部の皆様のお陰でこのようなまたとない幸運に恵まれ勉強できましたことを感謝しております。これからも体操を続け少し痛んだ身体を手当てして好きなお茶が長く続けられたと思っております。

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2016年10月16日

正客で濃茶を味わう

家元招請研究会 

佐藤俊雪(熊谷不白会)

 お家元と博之様をお迎えし、本庄市児玉町の「セルディ」で行われました。参加者は三十名。
 今年のテーマは「体操十種」。①まず頭の位置について、灯籠の一番上の石のように頭が体幹の中心の上にあることが大切。自分の体軸の中心を、普段意識してないせいかむずかしい。②柔軟体操、立居歩行。まず膝、足首を柔らかに、足の指も動かします、立居は呼吸を合わせ、姿勢を正しゆっくりと、気持ちを込めて。歩行は、安定した状態でバランスよく。またゆっくりと歩くことも練習しました。③気功と太極。④座式。⑤臥式。それぞれに目的があり、美しい所作を修得するためには、大切な運動ばかりでした。
 午後は家元の点てて下さった濃茶をいただきました。香り豊かな、たっぷりとしたお茶の量、手に取って一口いただくと全身にしみわたり、本当においしいと感じました。美味しいお茶を点てることももちろんですが、ふさわしい客になる事も修練が必要なことを感じました。「その場に一緒にいられる」という幸せを、しみじみと感じられる至福の瞬間でした。

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2016年10月6日

ついて行きたい体操十種

家元招請研究会 

古川宗愛(茨城不白会)

 家元をお願いしての研究会の日、まさに小春日和、さわやかな気持ちでお迎えする事ができました。
 「体操十種」、軽い運動からはじまり、だんだんむずかしくなり臥式などは拝見させていただきました。
 古稀をお迎えに成られたという家元の身の柔らかさに感動したり、あぐらを組んでみてはひっくり返ったり、楽しい体操の時間でした。日頃あまり動かすことのない節々がほぐれたのでしょうか、久しぶりに眠れたことを思い出します。
 午後は、家元の点前で中置濃茶のご指導をいただきました。緊張の中にも亭主と客とのやわらかい雰囲気を感じ、主たる者の持つ何かを感じさせられました。小間の設定でしたので半東さんの動きにも窮屈と思われる場もありましたが、お客様を大切にとの持ちの表れとも思われよかったと思ったりしました。また家元ご持参のお道具を最後に拝見させていただきました。
 お茶碗が自分の手元にくるまでのお話など温かい人とのふれ合いのことなど、思い込めたいろいろのことをお話くださいました。祖父を感じさせられますね、と家元のおっしゃる濃茶器のお仕服の何とも言えない柔らかさなど身にしみております。
 秋晴れや今日は筑波がよく映ゆる  後にお家元からお送りいただいた一句です。ありがとうございました。

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2016年10月2日

はじめてのテーブル濃茶

家元招請研究会 

空閑宗純(久留米不白会)

 体操を午前中に約二時間も続けていると、程よく気持ちのよい疲れを感じました。相撲の四股踏みが、足腰を鍛えるのにすごくいいときいたことがあり、以前やってはみたものの上手く出来ませんでした。けれど、家元の合図を聞きながらすると、身体に効いている感じがよくわかります。立ったり座ったりの多い茶事を、いつまでも楽しくできるよう、続けていこうと思います。
 午後のテーブル濃茶は初めての事もあり、半東として後ろで見ていた私は、参加者の真剣なまなざしをひしひしと感じました。客人は緊張されていたようですが、家元との会話で和まれ、次第に楽しく会話が弾まれていたように思います。
 日頃のお稽古でも、テーブルでの濃茶をしてみようと思います。

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2016年10月1日

「自宅の茶」を終えて

市川宗恵(長野不白会)

  去る十月、自宅の茶の亭主をはじめて実践いたしました。二グループを二日にわたりお招き致しました。
 当日までの準備にはもちろん不安もありましたが、楽しいものがありました。
 掛物は亡き義父の思い出の軸で月に薄と鶉の画賛。花入は虎班竹の籠。お花は水屋お手伝いのお仲間が用意して下さいました。
 道具組は中置でと考えながら持ち合わせの少ない中で準備を進め当日を迎えました。点心席もお仲間が何品か持ち寄って下さり半月盆が賑やかになりました。
 勉強不足、経験不足を、客様、そして水屋と半東などをお手伝いいただいた皆様方に助けられ何とか二日間を終える事ができました。
 拙い自宅の茶を終えて改めて今、お茶のお仲間のひとりひとりに感謝の気持ちでいっぱいです。

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2016年9月25日

米寿のお茶会によせて

遠藤宗光(福島不白会)

 九月最後の日曜日、岩谷宗清先生、社中の金田恵雪様、須藤宗寛様のご三名の米寿のお祝いのお茶会が岩谷先生の自宅でありました。
 私達が率先して行うべきところ、「米寿を祝えるのも皆様あってこそ。八十八歳の年でお茶を点てられることは喜びであり、皆様に是非私達のお点前でお茶を差し上げたい」とお、岩谷先生が私達をお招きくださるという寿ぎの茶会となりました。
 お席に入ると、床には家元のお筆である『穂波』が掛けられ、台目にしつらえてある点前畳には、「もう私達は十分にやつれているから」と、やつれ風炉のお釜の中置き。茶入は虎渓三笑の蒔絵があり、茶杓は『寿輪』と、米寿の茶会にふさわしい取り合わせでした。
 お濃茶は岩谷先生のお点前で、大樋のお茶碗にたっぷりと練り上げられ、皆豊かな気持ちでいただきました。薄茶は金田様がお点前され、一同おいしくいただき、話も弾みました。お茶の奥の深さを感じた一日でございました。皆様の更なるご長寿と長くご指導たまわりたいと祈念した茶会でありました。

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2016年9月11日

「体操十種」と濃茶点前

家元招請研究会 

船山宗恵(山形不白会)

 赤湯温泉の旅館「御殿守」において家元招請研究会を行うことができました。前日、お家元と随行の郡司様を交えての食事会で昔話に花が咲き、山形で第二回全国大会を開催した時の話になり、みんな若かったお話で盛り上がりました。十一日の当日は、家元教場研究会に参加すると、立居、歩くから入り、気功や簡単な体操を行い、身体を動かしてからお勉強に入っていって、私は身体がほぐれてとてもいい事だと思っておりました。でも最近は体操が主になって来、少し違和感もありましたが、深呼吸や体幹を鍛えることにで身体作りがなされるというお話に納得したところです。
 健康な身体作りが最も必要だと思います。「体操十種」の自分に合った所を毎日少しずつでも続けて行きたいと思っております。
 午後からは、家元自ら皆様に見えるようにお部屋を設えて下さり、お花も活けてくださいました。また、ご持参のお茶碗とお茶器でお濃茶を点ててくださいました。お客様の三人はお茶のおいしさに感激しておりました。他の参加者には郡司様一人で薄茶を点てて下さり、おいしくいただく事ができました。いつまでも楽しくお茶のお勉強をできればいいと思っております。

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2016年9月1日

家元句集 〝行雲流水〟を拝読して

森 宗恭(青森不白会)

 読み心地の良さ、心に残る句集でした。

  セーヌ河岸 夏満載の 船が往く

 一度も国外に出たことのない私でも、セーヌの流れを感じ、岸辺で川面を眺める私を感じることができました。
 心を揺さぶる句は、遠い昔へ誘ってくれるようです。

  くねくねと 酸ヶ湯を越えて 雪回廊

 「くねくね」の雪回廊の道、二メートルを越す雪の壁面
 十和田湖への北線が開く四月の一番バスが浅虫から出ます。春スキーの帰り、所々に水たまりのある、どこまでもくねくねと見通しの悪い道、ストックで雪の回廊に文字や絵を描いたり、かくれんぼをした遠い遠い昔をこの句に見つけました。

  湯ノ島は 亀の甲羅か 紅葉山

 浅虫は私の嫁ぎ先。裏の雨戸を開けると湯ノ島が見え、あの島を亀の甲羅と見るおもしろさ、春のわらび、カタクリの花、秋の紅葉は湯ノ島の定番の行事。
 亀の甲羅に季節の満艦飾を乗せてたゆとうている湯ノ島は、一服の絵のようでありました。
 *「行雲流水」とは、今年の春の茶会の月光殿に展示された、家元による七十点のスナップ句を集めた小冊子です。

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2016年8月28日

正客をゆったりと楽しむ

家元招請研究会

岩谷宗洋(福島不白会)

 八月二十八日に、家元をお招きして今年の課題である体操を中心とした研究会が行われました。
 茶の湯と体操は決してかけ離れたものではなく、体操を日常に取り入れることによって、呼吸法などが身に付き、体の中の筋を通すことで基本の姿勢も身に付いていく、という家元のお話を伺いながら、皆で楽しくよい汗をたくさんかきました。
 午後からは、家元のお点前で濃茶をいただき、私は正客を務めました。茶事はお客様が主人公ですというお話しでしたが、自分に正客が務まるか緊張して入室しました。でも、客である私達三人のために、家元がゆっくりと心を込めてお茶を点てている姿を間近で拝見したとき、家元のお客様を迎える温かな気持ちが感じられ、気持ちも落ち着きゆったりとした心で、お濃茶をおいしく味わうことができました。

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2016年8月7日

七夕茶会記

澤住宗津(鳥取不白会)

 七夕茶会を小学校夏休み中の八月七日夕方六時から地区の公民館を会場に催しました。
 お客様は小学生十八名です。定年退職後始めた登校、下校時の見守り。公園の清掃、ラジオ体操で一緒に体を動かし、日頃から身近に接している子どもたちです。約三十畳の和室に短冊「竹有上下節」を掛け、庭に自生の高砂百合、水引き、秋海棠などを籠に生け、沢蟹蒔絵の香合で床としました。点前中ふと気付けば四、五人の子が右手側近くに真面目な顔で座っておりました。お互い真剣モード全開でした。筆に梶の葉の茶碗にお茶を点てました。この子等の健やかな成長と平和な世の中が続くよう願いました。一回目は低学年に高学年がお茶を点てて運び、二回目は、高学年に低学年が保護者の方に手伝ってもらいお茶を点て運びました。お菓子は小さなお口に合わせて干菓子二種にしました。服加減は「意外と全部飲めた」「苦かった」など率直な感想でした。
 盆点前は若い時稽古したのを思い浮かべ、教本の「基本の点前」を参考に練習しました。ずいぶん昔なので、もしや変わっているかも知れない、うろ覚えではいけないと思い、家元の事務所に確認いたしました。やはり心配的中。服紗の扱いが変わっておりました。詳しくご教授下さり有り難かったです。バックアップシステムに感謝しております。
 お客様をお迎えするには修行の足りない私ですが、嬉しい事がたくさんありました。終わって道具を持ち帰り茶碗など拡げておりましたら、天の川の牽牛、織姫の二星を見上げる事なく夜が更け、それだけが心残りでした。

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2016年8月6日

はすまつり茶会--先人を偲ぶ

中村宗友(高田不白会)

 八月六日土曜日、高田公園内の小林古径邸において「はすまつり茶会」が開催されました。席主は木村蓑心氏。
 暑さの中、多くのお客様をお迎えして始まり、お席に入りますと床の掛物からは、舟遊びの水面に新月を感じ、美しい十六弁の蓮の水指には葉蓋が使われており涼やかで、そこには別世界が拡がっていました。黄泉の人々に想いを寄せた設えに心が洗われるような清々しさと同時に、席主の深い思いが伝わってまいりました。
 私は水屋のお手伝いでしたので、水屋での物の位置や動線を考え、日々の稽古で「自然に流れるような所作」という師の言葉を思い出し、流れるようなリズムでおいしいお茶をお出しできるように努めました。なかなかいつも通りにできずに反省もしながら多くを学んだ有意義な一日となりました。
 ときおり本席から水屋に届けられるお客様と席主の楽しそうな声を聞きながら、酷暑の中、お越し下さった皆様への感謝の気持ちでいっぱいでした。
床 荷香十里
  新月一鉤
     米寿雷斧
   権田雷斧 仏教哲学の権威、
        東大印度哲学教授

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2016年7月24日

千宗屋先生の審美眼に学んで

吉田英津子(新潟不白会)

 去る七月二十四日、武者小路千家官休庵十五代家元後嗣 千宗屋先生をお迎えし、講演会「茶碗との語らい~飲みたい茶碗、点てたい茶碗」を開催いたしました。茶道具のみならず古美術や現代アートにも造詣が深い宗屋先生のお話をお聞きできる貴重な機会であり、当日、会場の万代シルバーホテルは流派を超えた約三百人もの皆様の熱気に溢れておりました。
 講演会は博之様がかつて官休庵で四年間学ばれたご縁から実現したもので、宗屋先生と私共をお繋ぎくださった博之様に心より御礼申し上げます。
 宗屋先生のお話はたいへんわかりやすく、人を引きつける魅力がございました。溜息が出るほど美しい茶碗の写真の数々、豊富な知識……茶道具の世界の奥深さを堪能させていただきました。先生は『芸術新潮』で連載執筆中とのことで、ぜひ皆様もご覧いただけたらと存じます。
 また講演前、皆様へテーブル茶のお席が用意され、各テーブルの亭主がそれぞれ趣向を凝らしたおもてなしは大好評でした。
 学びを得ることの素晴らしさ、幸せを感じた一日となりました。

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2016年7月23日

研究会に参加して半東を学ぶ

家元招請研究会

藤田宗松(福岡不白会)

 七月二十三日、日本庭園において、午前中は体操、午後は家元による濃茶のお盆点てテーブル茶でした。
 家元はご自身でテーブルのセッティング、花入替え、ご持参の中村宗哲の棗(宝暦年間作、片身替わりの仕服付)に抹茶を入れ、お膳の点検等をされました。八寸の量などは時によって増減することを自分なりに納得することができました。家元はお客様にご挨拶ののちお膳を運び出します。私も半東としてお手伝いいたしました。お酒も出、勧め上手の家元の話に、和やかに談話もはずんでおりました。
 銅鑼の音で背筋と気持ちが引き締まります。床には「白雲抱幽石」が掛かり、竹籠に赤水引、岡虎の尾、仙翁華が置かれています。テーブルには、栃の木盆の中央に濃茶器が、テーブル下の左側にポットが置きつけてあります。平茶碗に茶杓、茶筌、茶巾等が仕組まれて持ち出され濃茶の点前が始まりました。家元ご持参の川喜田半泥子作の白い平茶碗にたっぷりときれいに練り上げられたお茶に皆さんの感動の声が上がりました。
 お家元の「お客様へのおもてなしはいつも真剣ですよ」という言葉に深く納得いたしました。梅雨明けの明るく華やかなお席でした。
 半東としては、膳や菓子を持ち出すときの間、座る位置などが気になりました。テーブル茶でもできる濃茶の点前の経験を積んで、身に付けていきたいと思いました。

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2016年7月3日

茶箱の濃茶点前を学ぶ

博子先生招請研究会

工藤宗幸(青森不白会)

 夏とはいえ涼しい七月はじめ、博子先生をお招きしての研究会が青森市善知鳥神社で開催されました。今年は何年か振りに課題は茶箱でした。お盆に乗せた場合、掛子を使ってのお点前、拝見がある場合、ない場合、またそれぞれの道具を置く位置も違いますし、細々とした所作等ご注意を受けながら、とても丁寧にご指導いただきました。特に濃茶ははじめてという方も多く、私も初心者のような気持ちで教えていただきました。家元のおっしゃるように、この頃は住居に和室のないことも多くテーブルの上でお盆にお箱をかざって濃茶ができますことはお客様としても亭主としても、襟を正すような気持ちながら、気軽に取り組め喜ばしいことと思いました。
 博子先生は少しの合間をぬって、松葉杖をつきながらの参会者にやさしく「大丈夫ですか」とお言葉をかけてくださったとのこと。そこここに細やかなお茶の心を教えられた一日でした。

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2016年6月21日

ホンダモータース 茶の湯でおもてなし

西村宗櫛(羅府不白会)

 六月二十一日、ホンダ・モータースの幹部の方々三十二人がアメリカ中からロサンゼルスの本社に集まるため、日本の伝統文化の紹介を兼ねおもてなししてほしいと、江戸千家ロサンゼルス不白会に依頼がありました。ミヤコハイブリドホテルでお茶会のデモンストレーションとお琴の演奏を披露したところ、皆様興味深そうに見入っていました。和菓子とお抹茶も美味しそうに召し上がっていました。その後、和食とお酒で夕食が振る舞われました。
  今、アメリカ、世界中でお抹茶がブームです。六月十五日にはラスベガスのコンベンションセンターで二〇一六年ワールドTEAエキスポが行われ、八百人以上の人達が集まる中、茶の湯のデモンストレーションをして来ました。
 その他、五月にはUSCアジアンナショナル美術館で日本の茶の湯のおもてなしを依頼され、お茶のデモンストレーションでおもてなしをして来ました。皆楽しくお弟子達もお茶会をして日本の茶の湯を紹介をしております。日本からの応援宜しくお願い致します。

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2016年6月6日

石川前支部長に感謝して

家元招請研究会 

佐藤宗博(静岡不白会)

  今年の課題の「体操十種」、濃茶席の支度、お家元ご亭主による濃茶席について、参加者の感想です。
 ◦熱心な体操のご指導に、疲れが午後に出ないか心配だったが、筋肉をほぐし、体幹を整え、腹式呼吸をする事でむしろ活性化され集中できた。
 ◦小笠原式礼法の立居の美しさに感嘆させられた。所作も点前も全身を使って心を表すことが大切なのだと教えられた。
 ◦茶席の支度では、見学者の為に点前座を移動された。自分が固定観念に囚われていたことに気付いた。工夫次第で自分の茶席を作る事ができるのだと得心した。
 ◦気迫のこもったお家元のお点前を一つも見逃すまいと拝見した。記憶に残し自身のためにも活かしたい。
 ◦博之様の水屋でのご指導が役に立った。

 濃茶席は、三十三年に亘って支部を支えて下さった石川宗貢前支部長への家元からの労いの席となりました。同席させていただき、石川先生のお母様の思い出話と現在までの流れを感慨深く伺わせていただきました。明治生まれの女性の気骨と茶道への情熱で人生を貫かれた方で、江戸千家が困難に直面した折にも信念は揺らぐことなく今日の静岡支部への道を繋いで下さった事。そして石川先生がお母様の意思を継いで三十三年間、守って下さった事などを。
 石川先生は、箏の名手でもおられ、教育長賞、文部大臣賞、二〇一四年には旭日双光章を受賞されました。茶道と邦楽を究められた先生のお人柄の、雅さと大らかさで支えられた三十三年間でした。家元の思いの込もったお濃茶をお相伴しながら、バトンは受け継いだものの未だ不安だらけの私はしっかりせねばと自分に言い聞かせておりました。

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2016年5月1日

茶の湯と体操に思う

家元招請研究会

高橋尚子(新潟不白会)

 数年前から家元が体操を始められ、最初は短い時間でしたが段々時間が伸び、午前中は体操という日もありました。お茶の研修と体操はどうしても私の中で結びつかないでいました。実の話「お茶の研修なのにどうして体操?」と自問自答でした。しかし先日、家元のお話に「はっ!」と気付きました。家元は専門的に体の仕組みを学ばれ独自の体操「体操十種」をつくられました。自分にあった体操をゆっくりと繰り返し行い、正しい姿勢、身体作りの役に立つようにというお考えからです。お茶室でお点前をするとき、精神的に心が穏やかであることは、一つ一つの作法を丁寧にきれいにこなすことと同様に、いやそれ以上に大切だと思います。「体が健康で心が穏やかであれば、ほんの小さな音もやさしく心に響きます」と家元は話されました。
 茶杓を置いた時のわずかな響き、茶筌通しの柔らかな音、お釜の中でお湯が沸く穏やかな音、小さな音が心にとまり、和やかな場を作るのだと思います。体が健康であることは、心が穏やかでいられる一番の条件だと考えられたのではないか、と思いました。
 武士道の訓えに「心・技・体」とあります。心=精神 技=技術 体=体力 この三つのバランスがよく調和していれば、自分のもてる力を余すことなく、もしくはそれ以上の力を出すことができます。お茶の訓えにも通じると家元の言葉から気付きました。お客様をもてなし、おいしいお茶をご馳走すること、それは体の健康が何よりも大切で、人として優しくあるための全ての基礎になるのではないかと思います。私の小さな気付きをお話しました。

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香付花月と総飾りを学ぶ

博子先生招請研究会

佐藤令子(福島不白会)

 五月一日、福島不白会家元招請研究会が博子先生をお迎えし、白河市南湖公園の翠楽苑で行われました。
 課題は「香付花月」と「総飾り」です。
 まずはじめに香炉の準備の仕方をご指導いただきました。
 香炉の灰を小さな炭火で十分に暖めておくこと。底まで暖まった事を確かめてから炭団を埋めて筋目をきれいに入れて火窓を開ける。
 お香の奥深さに感心したところで、いよいよ「香付花月」です。私は三客としてお席に入り、見事に「花」を引いてお香を焚くことになりました。点前畳に入りお盆を引き香炉を取り出します。銀葉を灰にのせ香木を香箸で探るように取り出して横一文字に置きました。そしてお香が薫っているのを確かめてから炉縁の横に出しました。お正客から順にお香を聞き回し、最後に私も聞いて片付けました。続いてお薄ですが、ここでも「花」を引きましたので、替え札を要求しました。前回の「濃茶付花月」をご指導いただいたときは札の展開と折据の扱いだけで頭がいっぱいでしたが、今回は他の方の札の動きや点前畳から戻るタイミング、仮座の使い方など考える事ができるようになってきたかなと思います。
 午後は「総飾り」です。「香付花月」と同じ客組でしたので、お点前をよく見ながら勉強することができました。とても有意義な研究会となりました。

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茶の湯の祭典で

西村宗櫛(羅府不白会)

 五月一日、パサデナ市にありますUSCパシフィック・アジアンミュージアムで、お茶の祭典が催され、江戸千家ロサンゼルス不白会西村社中が茶会を担当しました。
 掛物は、少し早かったのですが「清流無間断」。水の流れのように静かに琴の音色を聞きながら、あやめなどの季節の花を眺めていただき、、美味しくお茶を味わっていただこうという趣向です。
 今、アメリカでも日本のお茶のブームで、特に抹茶を飲まれる方が増えてきています。和菓子を食べていただき、お抹茶の飲み方をお教えして皆でいただくというおもてなしは大変好評でした。
 この美術館は江戸中期から後期の掛物や茶碗、壺、着物などが多く展示されています。様々な面で日本の伝統文化が紹介できた催しでした。日本を訪れたことのある外国人たちがとても喜んでおられました。

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2016年3月20日

高田不白会研究会

亀山 穂雪(高田不白会)

 去る三月二十日、旧高田師団長官舎において高田不白会研究会が開かれました。この会は、教授者と一般会員が知識や繋がりを深めるため、一年に三回課題を決めて勉強会が開かれます。
 今回の課題は、茶カブキということで、私は亭主役として参加致しました。引き受けたものの実は、濃茶を点てるのは不得意な上、均一の濃さに練る大役に困惑しておりました。しかし、お客様たちのお顔を拝見した瞬間「おいしいお茶を召し上がっていただこう」という気持ちに変わり、何とか役目を果たすことができました。お客様皆様、好成績でよかったのですが、私が点前に気を取られて会話がおろそかになってしまったのが今後の課題です。
 この会が発足されて三年になりますが、教授者の先生方がして下さっていた「準備のための準備」や気遣いを学ぶ事ができるのが、一番大きな収穫です。今後もますます盛んになるよう協力していきたいと思います。

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2016年2月20日

「茶通箱」と「七種の蓋置」

博子先生招請研究会

緒方宗和(大分不白会)

 博子先生をお迎えして大分で初めての研究会が行われました。課題の一つである「茶通箱」の亭主を務めることになった私に、準備の段階から優しくご指導をいただき、勉強になる事ばかりでした。「茶通箱」の由来・意味や扱い方、初伝としている理由等の説明があり、お点前に入る前の心構えが自分の中ですーっと変化した気がしました。大切なお茶を美味しく味わっていただけるよう一層心が入った感じです。お客様から配慮ある言葉をいただいたり、主客末客のスムーズな動き、水屋の方の気配りや段取りの良さに助けられ、和やかなお席で楽しく稽古させていただきました。
 午後からは「七種の蓋置」の扱い方について様々な質問の一つ一つに実演を加え、丁寧にお応えいただき、参加した皆様も充実した時間が共有できたのではないかと思います。
 博子先生の所作に注目してしまい、メモを取るのも忘れてしまいましたが、博子先生にはじめてご指導をいただいたお席に飾った掛物の『直心是道場』を平常から意識して、この体験を励みに、これからも精進してまいりたいと思います。

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