2013年8月25日
研究会の経験を糧として
家元招請研究会−【体操十種・テーブル茶】
酒井毅(福島不白会)
涼風を感じる八月二十五日、東日本大震災で被災し新築なった支部長のお宅で福島不白会家元招請研究会が行われました。
課題は「体操十種とテーブル茶の実践」です。
宗匠に、日ごろから身体を動かすことの大切さと体力に合わせた呼吸と姿勢を取り入れた体操の必要性を教えていただき実技に移りました。「わずか三秒で十歳若返り、更に美しくなります」と聞き熱が入りました。
姿勢を正しく保つ、正しい呼吸を行うことが、内面の美しさにつながり体内の循環を高めることを実技で実感しました。後は継続して健康な日常生活に繋ぎたいです。
体操の後、いよいよテーブル茶で私は次客に入りました。
ご亭主の宗匠が私たち三人に酒肴とお茶を振る舞ってくださいました。
テーブル茶では、家元ご持参の影青の水注に友禅菊とオグルマが生けられ、庭先の借景を眺めながら静かな時が流れます。ご亭主が緊張を察して身近な会話を進めて下さり気持ちも落ち着きました。八寸は塗の黒板盆に大葉敷き帆立のソテーにオリーブの実とパプリカが乗り、赤の皆敷にはゴマ豆腐とラッキョウの酢漬けで冷酒が進みました。
「酒で酔った後のお茶はとても美味しいのですよ」と、不白作の馬盥茶碗で点てて下さったお茶は力強く、いただくとふんわりと香高く喉を通り、なんと優しいお茶なのだろう。思わず「本当に美味しい」と声が出てしまいました。
宗匠と酒肴を楽しみ、不白作の茶碗で宗匠が点てたお茶を二服もいただき、今、日に日に事の重大さを感じます。お稽古を始めて日も浅い私にこのような経験をさせていただいたことに感謝です。この経験を糧に精進したいと思っています。
宗匠は仙台に向かわれ、皆様も帰られた後、急に夕立が来ました。
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2013年8月18日
福島県民の日、茶会で市民と交流
岩谷宗洋(福島不白会)
福島不白会前支部長 岩谷宗清氏
八月二十一日は、福島県県民の日です。郷土への理解と関心を深めるという県民の日を記念し、郡山市では市の指定重要文化財である「安積開拓官の舎」「旧立岩一郎邸」にて、八月十八日、江戸千家福島不白会の担当により記念茶会が行われました。
林で囲まれたかやぶき屋根の明治開拓時代の郡役所として使われていた建物は、当時そのままの姿を留め、一歩足を踏み入れると、開拓期の人々の息遣いさえも感じられるようです。クーラーも無く水道の設備も建物の外でしかない水屋でしたが、それさえも趣があり、明治時代にタイムスリップしたようでした。
まだ猛暑の中ではありましたが、襖を全て取り払い吹き抜ける涼しい風や、時折木々の間から聴こえる蝉の声が、ゆったりとした茶会を盛り上げてくれました。
公園から引き続きの施設であるため、散歩の途中の普段着のままのお客様や、全く初めてで座り方も知らないのでと、笑いながらお席入りして下さった方など、さまざまな方々にお茶に触れていただいたことは、とても嬉しく、このような歴史を持つ場所で、茶会を開けることに幸せを感じながら「おもてなしの心」を改めて思う一日となりました。
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2013年8月16日
名物茶碗飾りについて
博子先生招請研究会
玉田宗正(岩手不白会)
九月八日、盛岡市中央公民館にて博子先生ご指導の研究会が行われました。
最初に「名物茶碗」の由来と、現代における「名物茶碗」についてのご説明がありました。研究会では建盞天目「銘宇宙」を用いました。この茶碗は、お家元より岩手不白会が賜ったものです。
名物茶碗飾りは、茶事形式にて、二通りの方法をご指導いただきました。
一つ目は、初座に名物茶碗を床に飾る方法で、博子先生がご亭主になって、実際にご指導下さいました。正客から茶碗拝見の所望があり、博子先生のお茶碗の扱い方をつぶさに拝見することができました。実に自然に、大切にお茶碗を扱われるその所作に、出席者一同目が釘付けになりました。そのあと、一献あり、ご亭主もご相伴されました。中立ちのあと後座は、別のお茶碗でお濃茶を点てられました。
二つ目は、初座において、床にお茶碗を飾らず、後座で茶筌飾りをして、名物茶碗の扱いをする方法でした。茶筌飾りは自分が担当しましたが、健盞天目茶碗でのお点前は初めてで緊張いたしました。ご亭主が名物茶碗の扱いをされた時は、半東も同じような扱いや所作をしなければならないというご指導をいただき、もっともなことであると思いました。
博子先生には、名物茶碗を用いた二つの茶事の仕方、また名物茶碗を理解して扱う方法や所作を整えることの重要さ、そしてお客も半東も気持ちを一つにすることの大切さを本当に丁寧にご指導いただきました。
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2013年7月31日
高村光太郎の茶道観
石田宗洵(岩手不白会)
詩集『道程』で芸術院賞を受けた高村光太郎は、その晴れやかな授賞に日の夜、内部に千利休を意識した「独居自炊」と題する侘びしさの漂う詩を書きました。私はこの詩に触発されて「高村光太郎覚書——茶道観と隠逸性を中心に」(盛岡大学日本文学科『東北文学の世界』第二十一号)をまとめてみました。
戦災により岩手県の山村で「独居自炊」の生活を始めた光太郎は、この地に本阿弥光悦のような芸術村を夢見て、地域での講話に「茶について」を取りあげ、世界の人類に寄与する最も進んだ美と説きました。閑寂な中で精神を研ぎ澄まし、最上の美を見出すところにお茶があると考えていた光太郎は、美の本質を「比例均衡」にあるといい、茶を能面と同様に「節度」「含蓄性」の美しさを持つものと考えていました。山居で湧水を汲み、山の花を生け、湯を沸かして茶を点てている光太郎の「独居自炊」には、精神の自由を味わう生活者の姿がありました。
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2013年7月7日
濃茶続きお薄
宗康先生招請研究会
諏訪田宗教(新潟不白会)
去る七月七日、燕喜館におきまして、宗康先生をお迎えして研究会が行われました。テーマは三木町棚を用いての「濃茶続きお薄」でした。私は亭主役、お客様役も同じ社中でしたので、初めての経験ですが、精一杯務めさせていただこうと当日を迎えました。
七月七日ということで、お道具、お菓子など七夕を意識した設えで、花入は「彦星」という銘でございました。「皆様が織り姫ですね」との先生の言葉に、場が和みました。
常日ごろ、中野先生からご指導いただいていることを思い出そうとしましたが、目の前のことに追われ余裕がなく、宗康先生にも同じことをご指導いただくことになりました。「お点前ばかりではなく、お客様をもてなす気持ちが大切です」とのお言葉に、おもてなしの精神を、お客様にいかにお伝えするか、今後の私のテーマのひとつとなりました。
午後からは、七種の蓋置の扱い方、服紗の捌き方、茶器の清め方の実践と、盛りだくさんでありながら丁寧なご指導をいただきました。
今回、はじめてこのような経験をさせていただき、お茶の世界に導いてくれた母に感謝しました。とても充実した幸せな一日でございました。
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2013年6月16日
花所望に季節の風が
宗康先生招請研究会
加賀秀子(青森不白会)
八甲田連峰に残雪が美しい青森に、宗康先生をお迎えし、青森七戸合同研究会が開催されました。
三木町棚のお話に始まり、「続き薄茶」の実践へと移りました。ご亭主の母上の思い出の濃茶器が飾られ、花所望にお正客がたおやかに花を生けられるとお席には季節の風が吹いてまいりました。棚特有の扱いと飾り方、「続き薄茶」の型に嵌まらない多様さを学びました。
午後皆様にお薄を差し上げた後、「花月」の実践、「不白筆記」のお勉強へと進み、先人の苦労と深い考えを知ることとなりました。
終わりに「七種の蓋置」のご指導もあり、盛り沢山の研究会でした。
宗康先生の「変革にも常に基本ありき」そして「是非、続き薄茶での茶事の実践を」との力強いお言葉が胸に刻まれました。
熱心な質問もあり、今日のお軸、一元斎筆「一門大和」を体感致しました
。
この光景は、五月に青森を離れて今は三島においでの敬愛なる岩崎先生にきっと届いていると感じました。
若輩の私にとって研究会は、地方に足をお運びくださる先生からの直接の御指導と、出席の諸先輩方とお会いでき、お話を聞くことのできる貴重な機会です。更に今回はじめてお当番を経験し、私をこの世界に導いてくれた母が愛して止まない茶の湯の道、その心に少し近づけた一日でした。
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2013年6月10日
◎基本をテーマに
博子先生招請研究会−【基本】
長雄宗悦(茨城不白会)
六月十日、笠間神社寿山の間に、博子先生をはじめてお招きしての研究会を行いました。今回は、基本をテーマとして、はじめに博子先生の家元好の四方棚、平点前で、半東、客三人で、お点前がはじまりました。
その後、茶杓の拭き方、服紗捌き、なつめの捌き方、一つ一つの細かい動作を丁寧にご指導いただきました。
「短い時間に意識をする」という言葉をお聞きして、立ち方、背筋などの点前をしながらの注意を見直さなければと思いました。
午後は御指導いただいたことを元に、お茶を点てて皆さんで一服いただきました。
次に、廻り花で三人が担当いたしました。時間ぎりぎりまで、ご指導いただきました。色々な質問が出て、先生の丁寧なお答えでよく理解することができ、充実した研究会ができた一日でした。
次の研究会を愉しみにしたいと思います。
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2013年6月2日
諸流のお茶会にて 涼をテーマに
疋田佑子(青森不白会)
六月二日、六流派による諸流のお茶会が三カ所に別れて開催されました。今年は、私が所属している竹内社中がお席をもち、先生が席主を務められました。
会場は正覚寺の一階です。お茶室にしつらえた大広間に面した、立派なお庭の木々の葉擦れの音がかすかに聞こえ、優しい色合いのさつきのお花が咲き、池では小鳥たちが、気持ちよさそうに水浴びをしています。
今回のお席のテーマは「涼」です。竹内先生は、初夏を思わせるお天気に、いらっしゃるお客様に少しでも涼を感じていただけるようにと、お道具の取り合わせを考えて下さいました。
床の間のお軸は、家元、名心庵筆の「松頼」が掛けられていました。松の梢や木々の間を爽やかな風が吹いてくるのと、その涼しさの中に、少し温かさを感じる書です。その下には大山蓮華の代のつぼみがよく映えていました。「曲水」と銘が付けられた一兆作のお茶器も金地に黒で曲見ずが描かれ不白好の米棚にスッキリと収まっています。
もう一つ、特筆すべきお道具の一つにお茶杓があります。家元、名心庵と箱書きのある銘「初瀬川」で、櫂先が通常より角張っています。先生はそれこそ宝物のように扱って私達弟子たちにも「優しく丁寧に扱ってくださいね」と気を配られていました。
私は同門の山田さんの半東を務めた後、五席目にお点前をしました。半東が気心の知れた山田さんだったこともあって次第に落ち着いてきました。お点前の最中、緊張して汗ばんだ顔に、お庭から涼しい風が吹いて心地よく、正に今回のテーマである「涼」そのものを感じました。
もう一つ、微笑ましく思ったことがあります。それは、お運びの中に中学生のお嬢さんと高校の男子生徒がいたことです。二人とも若いにもかかわらず、この道の先輩であるお母様はおばあちゃまのいうことをよく聞き、お運びの時も足運びや物腰が由がで落ち着いていて関心させられました。
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マイ茶碗作り
小野寺宗錦(福島不白会)
私達岩谷社中には、長年お稽古に通われている陶芸家の桑原さんという方がおられます。その方の作品は、地元の郡山の土を十年以上もねかせて焼き上げるもので、お稽古に来られる毎にお茶碗やら水指などをご披露してくださいます。私達はそれを拝見するたびに、自分で自分の茶碗を焼いて「マイ茶碗」をこしらえてみたいと話題にしていました。
それはなかなか実現しませんでしたが、六月の日曜日に第一回の、社中のみの陶芸の時間をとっていただき、「マイ茶碗」作りが始まりました。
桑原さんの指導の元、粘土を捏ね、手で筒状に形を整え、難しいところは桑原さんの手をお借りしながら、形成まで二回ほど通い素焼きをしました。釉薬をかけ本焼きするのは、桑原さんと自然の炎まかせの仕上がりではありましたが、世界に一つだけの「マイ茶碗」ができあがりました。
大満足とまではいかなくとも、皆の作品には一人ひとりの個性が出ていて、普段のお稽古とまた違った楽しさもありました。宗匠のいつものお言葉の通りにこの「マイ茶碗」で、それぞれにお茶を点て友達を呼んで、小さなお茶事をしてみたいと、お話に花が咲きました。
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三木町棚を学ぶ 茶事の流れの中で
宗康先生招請研究会
亀山穂雪(高田不白会)
去る六月二日、東本願寺高田別院にて、宗康先生招請研究会が開かれました。課題の三木町棚について、棚の特色や時代背景、江岑棚との違いなどを教わった後、三木町棚を用いた付薄茶の後座の席が設けられました。お花をたくさん集まりましたので花所望も加わりました。
私は、二客として参加したのですが、先生のご指導と正客、三客の先生に助けられ、お床の花、ご亭主のお菓子と抹茶に至福のひと時をいただきました。
その後は服茶、七種の蓋置の説明と扱い方の実践、茶器の清め方の実践と盛りだくさんの内容でした。「心を込める」ということを強調され、頭で覚えないで身体で身に付けるようにとも教えてくださいました。ご教示を胸に今日からまたお稽古に励みたいと思います。
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2013年5月26日
アート&ミュージュック フェスティバルに参加
シェルドン宗園(羅府不白会)
サンデェイゴマガジン(ゆうゆう)6/16掲載
江戸千家ロサンゼルス不白会、シェルドン宗園社中は五月二十六日のアート&ミュージュック フェスティバルに参加いたしました。当日は立礼式のデモンストレーションでしたので、亭主、シェルドン宗園 半東、グリーン美和、正客、グリーン舞佳と一つになって行いました。
野点傘の歌花筒に朝顔、短冊には自筆の(喫茶去)を掲げました。お琴の音色に励まされながら、落ち着いてお点前がでました。デモンストレーションは午前、午後行い、その間に百人のお客様にこ大福とお薄のおもてなしを致しました。場所柄高級なものはございませんが、抹茶は八女星の園・星の昔、生菓子・サンフラワーパンのこ大福でした。日本人の作法、精神、美意識を親しみやすい茶の湯を通してご紹介できた事は、嬉しい限りでした。
江戸千家を歓迎して頂いた、このグループに感謝致します。
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茶入名物飾り
宗康先生招請研究会
江崎宗代(八女不白会)
去る五月二十六日、開運寺に宗康先生をお招きして「名物飾(茶入名物飾り)」についての研究会が行われました。
その一ヶ月くらい前だったでしょうか、お稽古の折、先生から「今度の研究会で亭主をやってみませんか」と問われ、身の程も弁えず引き受け手しまいました。「名物茶入飾のお点前」については漠然としたものしか分かっていませんでしたので、ひとゝき草を読み漁り準備をしました。事前に先生に茶入の披露の仕方、大切なものの扱い方等一生懸命教えていただきました。
当日、宗康先生からは「茶入を盆に乗せて運ぶときは手を添えること」「客の所望により拝見に出すときは膝行すること」「名物飾は客の拝見の仕方が最も大切」等々、午後からは服紗の捌き方、濃茶器の拭き方、七種(他二種)の蓋置の扱い方など、ご指導いただき勉強になりました。
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2013年5月25日
体操、正しい姿勢、そして柔軟性
家元招請研究会
工藤省子(七戸不白会)
以前より研究会の始まりには軽く体操を取り入れていらっしゃったお家元が、ついに「体操十種」として本格的にまとめ上げられ、今回は我々にもそのうち五種をご指導くださった。
何度も「私は本気なのですよ」とおっしゃる宗匠の解説を伺いながら身体を動かすうちに、正しく美しい所作を身につけるには正しい姿勢が、そして正しい姿勢を保つには柔軟な筋肉が必要なのだと、自分なりに理解した。
が、良いと分かっていながらなかなか実行に移せないのが凡人の悲しさ。秋には残りの五種も教えて下さるとの事であったが、それまではせめて画面の中からお声をかけていただけるよう、一日も早くDVD付きテキストの発行を、と願う次第。
午後は宗匠自らがご亭主となり、「テーブル茶」の実践をお示し下さった。最後のまとめでの「お稽古を積まれた方ほど客を招かなくなるという傾向があります。それでは本末転倒でしょう」というお言葉が心に沁みた。私などはまだまだ怖さも解らぬほどの初心者であるが、いつか怖さを知るその日が来てもこわばらない、心の柔軟性も持たなければならないのだなと感じた。
後日譚を一つ。
わが町の川辺は野鳥の宝庫なのだが、そこにレンカク(蓮鶴、チドリ目レンカク科、全長五十五センチ)という鳥が飛来したと知人の野鳥愛好家が教えてくれた。本来はインドから東南アジアに住む鳥で、二本では迷鳥としてごくたまにしか見られないという。
早速私も足を運んでみた。後頭部から首の後ろまでがあざやかな黄橙色で尾がしゅっと長い美しい姿であった。
聞けば初見されたのは二十六日の朝との事。もしや飛来したのはお家元が来青なさったのと同じ二十五日かも?
これはやはり、蓮鶴先生がお姿を変えてお家元を見守っていらっしゃるのか……あるいは岩崎前会長が遠方に越され、何やら大きな穴がぽっかりあいたような寂しさを感じている我々を慰めにきて下さったのかもしれぬと思うのは私だけだろうか……。
残念なことに六月の十日前後にレンカクは姿を消した。せめて写真でご覧いただきたく添付した。
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2013年5月19日
不白愛用の三木町棚
宗康先生招請研究会
下津浦靖雪(久留米不白会)
久し振りの雨で庭の木々も、勢いづいた高牟礼会館で、宗康先生をお招きし、研究会がありました。課題は、三木町棚を使っての「濃茶つづきお薄」です。最初に、宗康先生が、三木町棚と江岑棚の違いを両棚を並べて説明して下さいました。三木町棚は、三種類の木がそれぞれの役割を果たし見事なまでに調和されていて江岑棚しか見たことのなかった私には、珍しさと驚きでした。
また、会長の森田先生が持参して下さった三木町棚は、とても年代物で地板の裏に流祖の御尊名と花押がありました。二百五十年位前のお棚ということでした。古いながらも、天板、地板とも杉目もはっきりして、中板の底の部分に五ミリ位の隙間がありましたが引き出しの開け閉めもスムーズにできて今でもその感触が指に残っています。
二百五十年を経て、ぎくしゃくすることもなく、今の世でも立派に使えるこの三木町棚には、先人たちの茶に寄せる思いが深くこもっていることを知りました。
午後からは、七種の蓋置の扱い方のお勉強でした。蟹や三つ葉、特に駅鈴など、宗康先生がひとつひとつ丁寧に実践してくださいましたのでとてもお勉強になりました。初めは緊張しつつも宗康先生の細かいご指導や和やかな雰囲気のお陰で「濃茶つづきお薄」のお点前、当番を無事終わる事ができました。
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2013年5月7日
家元招請研究会に参加して
家元招請研究会−【基本】
木山真紀(新潟不白会)
拝啓 新緑の候 中野支部長先生におかれましては、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
先日の研究会では、半東のお勉強をさせていただきましてありがとうございました。
お家元が準備される様子を間近で拝見できることに感謝し、学び取りたい一心で務めさせていただきました。
道具の選び方、室礼の決め方、動きなど一つ一つに迷いがなく、身も心も引き締まりました。経験と、それに基づく判断があってのこととおっしゃっていましたが、日々の稽古も日頃の振る舞いもすべてつながっていて、行動に表れるのだと実感しました。
いつか、自分が主となってお客様を迎えられるよう精進してまいります。これからもご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
末筆ながら、御健康をお祈りして御礼とさせていただきます。 敬具
平成二十五年五月七日
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2013年5月4日
お城まつりで呈茶席を
河野春雪(大分不白会)
木々の若葉が、日の光を受けて一層鮮やかに目に映る五月四、五日「きつきお城まつり」がありました。全国各地より大勢のお客様がおいでくださり、江戸時代の仮装をなさっている方やお着物をお召しの方、洋服をお召しの方と江戸時代から平成の時代の服装で、散策する楽しいお祭りです。
杵築藩時代のご家老屋敷大原邸での亭茶で、前日より、お座敷の床に「鯉」の掛け軸をかけ、子どもの健やかな成長を願う気持ちを込め、香合を御神輿にしてお祭りの雰囲気を出し、大山蓮華の花を入れました。毛氈を敷き、御棚などの道具を並べ、お庭の木陰に長椅子を出して、お客様をお待ちしました。
おまつりの当日は、天気に恵まれ、中・高校生を中心にお運びと点前をし、先生方が水屋と全体の指導をしてくださいました。お客様は「このお菓子とお茶が飲みたくて来ました」とおっしゃるご常連さんや、「お茶は全く知りませんが、入りやすかったので」とおっしゃる方など、幼稚園のお子さんからお年寄りの方までお入りいただき、「静かなお座敷でいただくお茶は、とてもおいしい」と、喜んでくださいました。お客様との一期一会は、楽しく過ごすことができました。
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2013年5月1日
初めての亭主役
田島和雪(群馬不白会)
新緑の坂を上るとそこは、今回の研究会会場である山徳記念館です。美しい庭園は若葉の息吹でいっぱいでございました。暫し散策を楽しみたいところですが、この日、私は且座で亭主役を仰せつかりまして、初めての経験にこの美しい新緑を満喫するゆとりはございませんでした。そんな折、支部長の河田先生より「いつものお稽古のように」と声をかけていただき、少し緊張がほぐれまして精一杯努めさせていただこうと気持ちを切りかえることができました。
常日頃、恩師の都丸先生より丁寧にご指導をいただきましたことを一つ一つ確認しながらお客様をお迎えいたしました。覚束ない亭主ですが、お客様の心づかいで場が和みお花は涼やかに、お炭はほどよくほこりお香は新緑のようにやさしく、そして小鳥たちの囀り、お席は初夏のおもてなしでいっぱいでございました。
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2013年4月28日
組合点と数茶を学ぶ
博子先生招請研究会
福島不白会
○渡邉宗翠
四月二十八日、郡山市二十一世紀公園麓山荘で、川上博子先生をお迎えして行いました。
はじめに組合点のご指導をいただき、私は点前の手順を違わぬようにすることで精一杯でした。博子先生からは、組み合わせはお茶碗が大事なので茶碗を傷めず取り出しやすい建水に重ねることや、茶筌や茶杓を飾るためには水指の蓋は塗りで平らな物のほうが良いことなど、道具の組み合わせ方を学びました。
お点前では、大事な茶碗に「湯を注ぐときの所作等は、点前の決まり事でやるのではなく丁寧に扱おうとする心が自然に手を添える所作になって表れるのです」と実技を通して教えていただきました。招かれたお客を席のしつらいなどから亭主のもてなしの心配りを感じることや茶碗を常に服紗の上で扱うなど、心遣いの大切さなど、ひとつひとつお話しされ私など主客の心構えの大切さを痛感し時の経つのも忘れる程の充実感を味わいました。
□ □ □
○大橋宗恵
午後からは数茶の研究で、私は末座で札役をさせていただきました。数茶のお席ではお茶をいただく経験はありましたが札役は初めてでしたので緊張の連続です。博子先生からご助言があり、折据に札を並べることから教えていただきました。
最初は客一人、一枚の札を取る方法で折据から札を取り読み上げる頃合いや札の置き場所など細かい点をご指導いただきながら基本の式法を学び心にゆとりができました
。
二度目は全員が客のとなり一枚の札を二、三人で申し合わせで茶を飲み回す方法で行い名乗りあった客同士の所作も楽しそうに見えました。札が一廻りした頃、博子先生から陰点のご指導があり、これは、私も含め初めてのことでしたので、皆、戸惑って席がざわついてしまいましたが、無事最後まで務めることができました。
私は、今回の札役の勉強を通して数茶は「振る舞いの心を学ぶもの」という主旨の意味が少し分かってきたように思いました。
終了後は、優しく熱心に教えて下さった博子先生をお囲みして今日の反省点や自由な疑問、質問などたくさんおお話し合いができ全員一同楽しく充実した一日であったことを喜び合いました。
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2013年4月14日
体操とテーブル茶の研究会
家元招請研究会−【基本】
藤田宗松(福岡不白会)
青楓の若葉が眼に心地いい日本庭園で、家元招請の研究会が行われました。
午前中は、体操です。
体操十種のうち五種を参加者は、パンツ姿あり、スカート姿あり、作務衣ありでの参加です。お家元のユーモアを交えた指導を皆で受けながら、私はまず「頭の位置と腹式呼吸」を習慣つけることに努力してみようと思います。
午後は、お家元ご亭主のテーブル茶です。
床は、お家元筆の「喫茶往来」のお軸、グレーの服紗のうえに染付の隅田川の香合が置かれています。
お客は、初々しい若い女性三人です。塗り盆に、点心と盃が運ばれ、ご亭主が、九谷焼金襴手の徳利を持ち出されての、おもてなしの始まりです。
点心から茶へと進み、会話もお家元の誘導で、住まいのことやどんたく、博多祇園山笠などの博多のお祭りの話が交わされていました。緊張のためかお客様の硬さを、テーブルの上の、縄文土器に生けられた薄紫の山藤と淡いピンクの桜空木がやわらかくしているように感じました。
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2013年4月12日
テーブル茶での一献とお濃茶
家元招請研究会−【基本】
久保山宗久(久留米不白会)
テーブル茶、まずは一献
家元招請研究会が久留米の少林寺にて行われました。
午前中は、体操十種から始まりました。お家元から体操の動きの解説を伺い、日頃運動不足の体を隅々までほぐすことができました。
午後からのテーブル茶は、お家元のご亭主で私はお詰めを勤めさせていただきました。床にはお家元直筆で「只ひたすらに 茶の湯の心」、花入れは東京からご持参の弥生時代の水注形土器に都わすれ・鯛つり草を添えてテーブルに置かれました。
本日のテーマのテーブル茶でのお濃茶は、先ずは一献ということで九州では珍しい東北のお酒をいただきました。心尽くしの点心は弥生土器に合わせられたのか、熊笹の大葉に季節の食材が盛られお酒共々美味しくいただきました。
家元持参の器に季節の花
お席では家元が連載されている「東京人」四月号の写真の話題が出ました。私はテーブルのお花の話から、「お家元が花や葉を見立てていらっしゃるとき、手を添えられると花が花器に寄り添うようにすっきりと収まるように見えます」と、申し上げますと、「そうゆう風に見えますか。なかなか決まらない時は、花が気になってお点前に集中できない。思い通りになった日は、誰かお客に来てくれないかと心待ちなる。お客を思い描きながら、花や花器をよせる、それを繰り返して、今に至っています。皆さんも家庭で茶事をすれば、一つ一つ設え数を熟して身についていくものではないですか」と、お家元は優しくお話してくださいました。お濃茶席は静寂の空間が保たれ、亭主とお客の席は離れているように思いますが、このテーブル茶は亭主とお客の距離が近く和やかに会話と食事を楽しみながらお茶をいただく場と感じました。
お家元は本来茶の湯は、家にお客を招いて御馳走しお茶を一服差し上げ交流を楽しむ事と仰られています。今回のテーブル茶では、何か私にも真似できる事があるのではないか、お客を招いて楽しみたい気持ちになる大変有意義なものでした。
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