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2014年9月28日

亭主の力量に感服

家元招請研究会−【自宅の茶事】

田中宗俊(久留米不白会)

 今回は、基山の有吉宗夏先生宅での「自宅の茶」に、お家元と一緒に参加させていただきました。
 秋晴れの一日でしたが、残暑で暑いくらいでした。有吉邸の家周りの庭は所狭しと茶花がいっぱい植えられていて、水打ちして、清々しい装いでお迎えいただきました。
 初座は、床の間に一元斎宗匠の「喝」のお軸が掛けられ、茶席を引き締めておりました。家元の軽妙なお話を伺いながら、盛りたくさんのお料理、美味しいお酒をたっぷりいただきました。特に豪華な椀物、秋の風情の栗ご飯をたっぷりいただき大満腹でした。時間がゆっくり流れていくようで、研究会での茶席とは思えない内容の濃いものでした。
 後座は、たくさんの秋草を入れての床飾り、お濃茶をたっぷりいただきました。家元もご満悦の様子でした。最後のお薄茶は点て出しを取り入れ段取りよく、時間をうまく使われて、すばらしいお席でした。物語のある道具の取り合わせ、段取りのよさ、力量のある亭主ならではの技、なかなか真似のできるものではないなーと感心しました。すばらしい時を楽しませていただきました。

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2014年9月14日

お茶事形式で「盆点」を学ぶ

博子先生招招請研究会

里舘宗泰(岩手不白会)

盆点
 空の青さに秋の訪れを感じる九月十四日、博子先生をお迎えして盛岡市中央公民館にて研究会が行われました。お忙しい先生に直接ご指導していただける貴重な機会とあって、峰雪会員四十一名が参加致しました。課題は「盆点」でしたが、博子先生がご亭主になられ、光栄にも私は次客に入れていただきました。
 はじめに「盆点」について、「唐物や瀬戸の名物など特別な茶入を披露するときのお点前であり、茶入を盆にのせて特別に重く扱います。その他についてはさらりと流してメリハリをつけることも大切です」というお話がありました。
 席入りで床の家元筆『心月輪』のお軸を拝見し、ご挨拶の後、当番の先生が用意してくださったお膳と一献を頂き、正客のお誘いに応じてご亭主もお持ち出しになりました。博子先生のお優しいお話に座がなごみ、次々と出てくるお料理に話が弾み、研究会であることや諸先生方の視線が背後にあることを忘れ、それまでの緊張もほぐれていきました。お炭点前を拝見した後、中立となりました。
盆点の手前
 後座では、「盆点」でお濃茶をいただきました。本日の主役のお茶入は、南部家伝来の流祖不白作『立布袋』、盆は真塗のものでした。お茶碗は高麗茶碗で、お家元が南部会長と八幡平でお会いになった際に『一声彷彿又千声』と箱書きされたという思い出のこもったものでした。ご亭主のお茶入に対する思いが、丁重なお点前から伝わってきて、自ずと「盆点」の世界に引き込まれていきました。また丁寧に練られたお濃茶はとても美味しく御心が込められておりました。博子先生の洗練されたお点前を間近で拝見させていただき、お客役をいただいたことに感謝致しました。
 「盆点」について学ぶとともに、お茶事のあり方、美しい所作など多くの事をお教えいただき、充実した研究会でした。

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2014年9月11日

居待の月見茶会

平野宗靖(岡山不白会)

床の間
 陰暦八月十八日に当たる九月十一日、金浦湾沿いにお住まいになる桑田宗千先生のご自宅で三十名のお客様をご招待し、月見の茶会を催しました。当夕刻の湾は干潮、干潟には羽を休めた青鷺が上る月を待っているようでした。
 この金浦湾を望むお茶宅の廊下に祭壇を作り月見団子と芒を供え、お床には江戸時代中期の僧侶で歌人の西山澄月が、月を詠んだ和歌のお軸と、福井宗九様のお庭で咲いた芒、朮(おけら)、吾亦紅、秋海棠等七種の花を籠に活けて飾り、茶会に相応しいしつらえとなりました。
 夕日が沈みはじめ薄明るい午後六時、一席十名のお客様を迎えて、静寂な空気に包まれたなかお点前が始まりました。「生江浜の月」、このお菓子は当地生江浜に因んで銘をつけ和菓子店に依頼したと席主宗千先生がご説明し、味わっていただきました。お席は和やかな雰囲気になり、殊に小学生のお嬢さん二人がお運びをし華を添えました。
 辺りが暗くなり、二席から三席へと続くにつれ遠く離れた樹々の間から月が上り、月に照らされた干潟は明るく映え、幻想的なお茶席を醸し出しました。心をこめて点てた一服のお茶。「美味しく戴きました」、退席されるお客様の一言が、社中一同安堵と嬉しさをかみしめ会を閉じました。
桑田先生を囲んで

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2014年9月7日

ひと足早い月見の茶会

家元招請研究会−【自宅の茶事】

山本文雪(静岡不白会)

 今回は正客を大磯の新保様にお願いし、詰として佐藤様のお席に参加させていただきました。
 十五夜を目前に、床には月の画賛のお軸が掛けられ、お膳には季節感溢れる品々が並び、しかもご亭主様が勧め上手とあってついつい杯も重なり、とても和やかな初座となりました。
 後座は家元のアドバイスで座る位置を替えました。すると主客が近くなったことで、一体感が生まれ適度な緊張感も相まって至福の一服となりました。
「少しでもお茶が冷めないうちに」のお言葉は、まさにもてなしの真髄で亭主は勿論、客も心掛けねばと痛感致しました。
 十五夜は静岡では生憎の雨となり、この御席が今年の月見となりました。

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2014年8月31日

客振りを学んだ茶事

家元招請研究会−【自宅の茶】

五十嵐宗合(福島不白会)

自宅の茶事
 福島不白会のお家元招請研究会、私は那須塩原の幸田様よりご招待いただきました。
 露地に打ち水がされ、寄付にも様々な工夫が施され、随所にご亭主のお心遣いが感じられました。今回の茶事にあたりご亭主は、何度も「茶の湯のすすめ」を読み返されたとのこと、後日お伺い致しました。
 お席はお正客にお家元、お次客に博之様、河原さんと私で三客とお詰を務めました。初座ではいろいろなお話を伺いながら、心尽くしのお料理をいただき、ほんの少し緊張がほぐれました。後座では、ご亭主がお花を所望され、博之様が応じられました。ご亭主と共においしいお茶をいただき、床に掛けられた宗旦槿が美しくとても印象に残りました。
 お家元から、茶事はお客様と会話を楽しみ、より親密になることが目的なので、食べることやお料理を運んだりに忙しすぎてもいけないこと、ご亭主がゆったりとお客様と向き合えることが大事であるとお話がありました。
 今回は、ご案内状をいただいたり、お返事をお返ししたりと初めての経験を致しました。勉強不足を痛感致しましたが、私もまずは背伸びをしないで身の丈にあった茶事から始めたいと思いました。

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2014年8月3日

社々の森の名水茶会

岡田宗春(新潟不白会)

 今年も栃尾(現・長岡市)の社々(とど)の森で「名水茶会」が開かれました。社々の森は、全国名水百選に選ばれた地です。一席は宗徧流の那須社中、二席は裏千家淡翠会、そしてサービス席として、地元の中野俣小学校が席をもちます。
 中越地震の少し前に教頭として単身赴任したとき、名水の地でぜひ子どもたちにお茶を教えたいと始めたことが、嬉しいことに今も続いているのです。
 僻地一級のその学校は、公民館の分館の役目ももっていました。そこで、親子茶道教室を始め、夜に親子や地域の方々に盆点前を教えました。その後、名水の地の特色を生かした教育を進めようと提案し、総合的な学習の時間に茶道を取り入れるようになりました。
 学校の大きな行事、文化祭や創立百三十周年記念式典では、盆点前で子どもたちがお客様を迎えました。中越地震後、校舎が壊れ隣の学校に間借りしたとき、前平山県知事さんがご家族で慰問コンサートを開いて下さったことがあります。その時も子供たちはお茶でお迎えしました。
 今年、新たに赴任した校長から、「名水茶会」に今年も是非来て欲しいと嬉しい電話をもらいました。毎年参加していきます。
 これからも、自分の社中だけでなく、機会をとらえて、子ども達にも茶の湯の楽しさとすばらしさを教えていきたいと思います。

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新潟不白会講演会——「芦屋釜と天命釜」を聴講して

石川昇二郎(新潟不白会)

 さる八月三日、新潟不白会講演会「芦屋釜と天命釜」が長野烈先生を講師にお招きし、開催されました。  長野先生により、芦屋・天命などの古典釜の調査・研究に基づいた特徴、デザイン、工法についてご説明いただきました。桃山から江戸期にかけての豊かな感性と技術の高さについてのお話は大変興味深いものでした。
 特に筑前をはじめ全国に波及した工人たちのこと、見所としての耳の位置や、繰口のディテール、羽根の特徴、意匠や肌などポイントごとにわかりやすくお話いただきました。
 当日は当時の釜の他、長野先生の作品など多数の特別展示もあり、美術館のガラス越しではなく、まさに目の前でその質感や造詣のすばらしさを感じる貴重な体験ができました。
 講演の最後に、長野烈先生と来賓の永井此君亭様で、茶の湯の釜をはじめこれまで長く伝えられ大切に使われてきた茶道具の散逸についてのお話がありました。なぜ数百年もの間、茶人たちの心をとらえてきたのかを学び、その価値を知ることも大切とのことでした。
 茶事をすることを、「釜を掛ける」といいます、今までは茶席に最初から最後までずっと鎮座する釜をただ拝見するだけの私でしたが、この講演で伝世の重みや、洗練されたデザインについて学ぶことができました。さらに茶の湯に対するひとつの楽しみが増えました。
 開催にあたり、各社中の皆様の素晴らしいテーブル茶のお席もあり、心満たされる大変充実した一日となりました。
 

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2014年7月1日

留学生を招いてミニ茶会

畝迫佳雪(岡山不白会)

留学生ベッキーと
 桑田先生の所で一緒にお稽古をしている赤田さんのお宅に、ニュージーランドから留学生の女の子がホームステイで来られました。彼女ベッキーは平日、市内の高校に通い、日本の高校生と交流を深め、日本語の勉強などスケジュールに追われますが、「日本の文化に触れたい」との事で赤田さんが急きょ思い立ち、桑田先生の所にお話がありました。
 当日は先生と他二名のお仲間と、私も娘と一緒に着物を着てベッキーと赤田さんご一家でミニ茶会をしました。
 まずは一献といきたい所ですが、外国の十七歳の高校生。桜茶を入れて和やかになったところで、お茶席にご案内し一服。彼女はお菓子の取り方や、茶碗の扱い方など、とても上手に出来ていました。ベッキーにも、お点前をしてもらってホストファミリーの赤田さんに一服。一口飲まれた赤田さんの口から「大変美味しいです」と言葉が出ると、満面の笑顔で胸に手を当てて、ホッと一息つかれていました。すごく愛らしい仕草で茶室全体がやさしい雰囲気に包まれました。片づけも手伝っていただき、炭を初めて見たと興味津々でした。
 我が娘は「ベッキーは『お先に』と『かたづけ』って日本語は覚えたよね」と変な所に感心していました。
 大事な方に、美味しいお茶を飲んでもらいたい、という純粋な気持ちが表れていたベッキーの姿に、何か気づかされる思いでした。短い時間でしたが、楽しい時間が過ごせ、日本の文化に少しでも触れていただけたかなって思いました。

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2014年5月25日

風炉の炭点前とお濃茶の基本

博子先生招請研究会

八女不白会

炭点前指導
○お詰として学ぶ………田島宗美
 夏日を思わせるような五月二十五日に、博子先生の研究会がありました。
 客の詰の役をいただきました。直接に先生の指導を受けましたが、緊張の余り身体が思うように動きませんでした。人前ですることの難しさ、普段のお稽古が如何に大事かを感じました。また、基本を重視しながら、その部屋のつくりや正客、亭主、半東の方との関わりの中で、臨機応変な対応ができるようにということも学びました。
 今回の研究会では、入室の手がかりから始まり、お客の拝見の仕方を詳しく教えていただきました。扇子の使い方など、日頃からやっていることでも改めて実践することで、色々な疑問が湧いてきました。点前の要所要所で指導をいただきましたので、随時、疑問を解決することができ、とても勉強になりました。
 色々と指導をいただきましたが、先生のお人柄でしょうか、皆さんの質問もたくさん飛び交い和やかなうちに、研究会があっという間に過ぎてしまいました。
一服
   ◇   ◇   ◇   ◇
○亭主として学ぶ………川島宗濱
 先ず席入り、お床拝見の仕方を教えていただき、お炭点前と進み、羽帚での清め方、実際に塵を払うようにとご指摘を受け、手順の型にばかりとらわれる自分に気づきました。
 炭点前の一番は、次にお濃茶を点てるための釜の湯が沸くことである。そのためには種火の付け方から始まり、もし火の回りが良くない時は、中立の時に火を足す。今回はじめて亭主を務めさせていただき、お家元がおっしゃる「自分の家でお茶を」の意味がほんの少し分かったような気がします。
 お濃茶における服紗捌き、お茶入の扱い、出し服紗、客としての使い服紗の使い方、半東としての使い服紗の返し方等、質問にお答えいただき、また一番基本の立ち居についても踵をつけて立つ様、日頃のお稽古時に意識すると身に付く事等とても有意義な研究会でした。
 博子先生とのご縁を得たことで、基本に立ち返り久し振りに本気で勉強させて頂きました。目標は自宅での実践です。

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自宅の茶で極上の時間を

家元招請研究会−【自宅の茶事】

市川宗恵(長野不白会)

 お家元が推奨されている「自宅での茶事」が、去る五月二十五日、晴天に恵まれた中、三軒のお宅で行われました。
 日頃、勉強不足の私ですが、お家元とご一緒のお席にお客として参加させていただきました。寄付で迎え付けを待つ間、お家元との和やかなお話などで、それまでの緊張が何処かに消えていました。
 お席入り後、早速の一献から始まり、正客のお家元の是非とのお勧めで、ご主人もご自分のお盆を手に席に入られました。ご主人の歌あり、ご主人を交えての楽しい会話ありで時は過ぎて行きました。中立の頃にはご主人は退席されましたが、お暇するまでのこの極上の時間と空気を味わえた喜びは言葉では言い表せない私の宝物となりました。ここにあらためてお家元の人柄に敬意を表したいと思います。
 また、ご亭主になられた先生方にも、心のこもったおもてなしに感謝申し上げます。

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2014年5月20日

第53回 高田不白会茶会

田辺松雪(高田不白会)

濃茶席
新潟支部より中野様ご夫妻、桑原様ご一家が、ご来高
 高田は今年、開府四百年に当たり、記念すべき年で、市を上げてお祝い事業を行っております。十月には、かつて高田にあった重要文化財大名物「初花肩衝茶入」も展示されます。
 茶会は、五月二十日、近年にない五月晴れに恵まれた一日。高田別院会館で釜が掛けられました。
 濃茶席は、奥座敷で木村蓑心さんが席主を担当されました。床に玉舟の横一行「山青水」を掛けられ、花入は時代あじのあるランタイの籠に在来種である笹ユリ、紫の鉄線。笹ユリの姿は白鳥の湖を踊るバレリーナのようでした。
 脇床には、アラビア風の丸い板を敷き板に、仏様を載せ飾る。脇床は荘厳に見えました。お菓子は「ぽえむ」という銘のケーキ。取り合わせや設えの趣向は古今を上手くマッチさせた席でした。
 薄茶席は二十七畳の大広間。席主は岡村信雪先生が担当。床に流祖不白筆「日々是好日」の一行、遺墨集に載っておりませんが、明日への活力を与えてくれるような筆致です。
薄茶席
薄茶席 床
 花入は、高さ三十センチ以上もある紫銅龍耳で鶴首。花は、姫大山蓮華。花は鳥が、今にも飛び立とうとするような姿。花は花入を、花入は花を支えあう、そのコラボレーションが、目に焼き付いて離れません。茶会には表、裏千家流の方、大日本茶道学会の方々。新潟からは、中野支部長様にもお出ましいただき、各社中百五十名の会員の方が出席されました。
 近年、イベント茶会が主流ですが、今回、茶席内の人数を考慮されたのでしょう、両席とも緩る緩ると美味しい茶をいただけたことを感謝しております。

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2014年5月12日

岡倉天心公への献茶に想う

加藤謙治(高田不白会)

六角堂へ献奏
家元による六角堂への献奏
 八軒での「自宅の茶」が行われた高田不白会家元招請研究会に参加した翌日の五月十二日、赤倉の天心六角堂での家元の「献茶」にお供させていただくという栄誉に浴しました。跳ね馬の雪型が残る霊峰妙高山を背景に岡倉天心終焉の地として祀られている六角堂内の天心像を前にして、お家元が静かに笛の音を献奏されているお姿を拝見し、天心公への思いの丈を窺うことができました。
 天心公は「近代日本美術界の大功労者」ではありますが、同時に渡米の折、出版された『茶の本』の出版を通じて、東洋思想・日本文化の素晴らしさを多岐にわたって米国に紹介し、多大な影響を与えたことでも、また有名であります。『茶の本』に述べてある、天心公の「茶の湯」に対する造詣の深さと共に、お家元の天心公に対しての想いの深さをご拝察させていただいた気がしました。私には誠に意義深い一日でした。
  天心の遺徳忍びて茶を献ず
        篠笛響き不如帰哉

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2014年5月11日

ご亭主の人柄に触れる「自宅の茶」

家元招請研究会−【自宅の茶】

早津淡雪(高田不白会)

小島先生宅自宅の茶
 風薫る五月、高田支部では、お家元をお迎えして「自宅の茶」の研究会が行われました。
 私たちは、小島先生のお宅へお伺い致しました。寄付で先生お手製の甘酒をいただき席入り。お茶室は裏から川の音が聞こえています。木地の丸卓に菱馬染付水指、土風炉。とても清々しく感じました。お床は二十一年前にお家元が先生宅のお懐石にいらした際いただいたという「土中日月長」。先生から壷中のお話を聞かせていただきました。中立のご御主人が発掘された縄文土器に、しゃくなげ、了入の塩笥黒茶椀でお濃茶、お薄をいただきました。お薄は四人皆に先生から点てていただき、美味しかったです。
 報告会の際、お家元から、ご亭主も一緒にお濃茶をいただくようにと言われ、お勧めすればよかったと反省致しました。
 お客の私たちは楽しいことばかりで本当に、ありがとうございました。お家元のおっしゃるように、一人で自分のためにお茶を点てることから始めてみようと思っております。

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心尽くしのおもてなし

家元招請研究会−【自宅の茶】

保阪梅雪(高田不白会)

家元をお招きして
 五月十一日の研究会はお茶事の実践で、当日は遠くの山に残雪、五月晴れと恵まれた中、お家元にお越しいただきました。お客様のおもてなしに不慣れではありますが、お花、お料理、お道具や心遣い、皆様に喜んでいただけたら、その一心でした。
 寄付には不白ゆかりの関不羨壁書。手作りの青竹の立ちつくばいの音を聞き、一献、お床には春の風情を詠んだ「寒雪梅中尽春風柳上歸」という中山愛親の書を掛けました。お料理は季節の山菜を交え、少しずつ。特に心入れしたのは銘「山ふじ花」というお菓子です。
 後座はお家元のご助言に従い、小間の室礼となり、自庭の山野草を生け、お濃茶を差し上げました。お水は谷川岳の名水です。薄茶はお家元より福引きでいただいたお茶碗にて一服。後日お客様より「手入れの行き届いた広いお庭、心尽くしの料理、楽しい会話で、豊かにゆったり時を過ごせた」等々お手紙をいただき一歩前進できた思いです。楽しいひとときを共有できた茶事でした。
 

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2014年5月4日

自宅の茶に招かれて

家元招請研究会−【自宅の茶】

坂田宗秀(熊谷不白会)

 私は、同じ社中でいつもご一緒にお稽古している田中先生のお宅にお招きいただきました。客は私の他三名で、長年お茶に携わってきた大先輩の先生方とご一緒でした。お席に入るまでは大変緊張も致しましたが、先生方にご指導いただきながら、正客の大役を務めることができました。
 初座では、ご主人がこの日のために、丹精込めて作り上げた新鮮な野菜と、ご亭主のお兄様が、早朝より山に入って摘んできた、珍しい山菜を取り入れたお料理をいただきながら、楽しいひとときを過ごさせて頂きました。
 また後座では、庭を隔てた茶室に移り、お床には流祖の筆による「平常心是道」のお軸が掛けられ、庭で大切に育てられた花菖蒲の花が、端午の節句にちなんだ青磁の鯉の花入に、見事に活けられておりました。
 亭主のお点前で、ゆっくりと丁寧に練られたお濃茶と,お弟子さんによるお薄を美味しくいただき、新緑の初夏の一日を満喫させていただきました。今回、客として研究会に参加し、お茶の楽しさと同時に、おもてなしの心の大切さを学ばせていただきました。これを機会に、長年お世話になっている中田先生はじめ親しいお仲間を、自宅にお招きできるようこれからもお稽古に励みたいと思います。

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2014年4月29日

「濃茶付花月」と「花月」の違いを学ぶ

博子先生招請研究会

渡辺真雪(福島不白会)

花月の指導
 四月二十九日、福島不白会家元招請研究会が博子先生をお迎えして、福島県白河市南湖公園内の翠楽苑で行われました。
 課題は「濃茶付花月」です。はじめに「花月」との違いを説明していただき、その後実践に移りました。
 亭主、客四人で、私は次客としてお席に入りました。濃茶付花月では、最初に「花」の札を引いた方が濃茶を点て、それを皆でいただきます。今回は点てた方もいただきました。
 そして二番目に「花」を引いた方がお棚から薄茶器を膝前に置き薄茶を点て、「月」の方がいただき、三番目に「花」を引いた方が濃茶器と薄茶器を入れ替えします。
 自分がいつ「花」を引くか、自分の札の扱いに気を取られて他の方の札の動きまで気に掛ける余裕がありませんでした。
折据の扱い
 花月は札の動きに気を遣い、札の展開に合わせて各人が臨機応変に動かなければならないのですが、実際はそのようにはいかず戸惑う場面が多くその都度ご指導いただきました。
 その後、折据と札の扱い方について丁寧に説明してくださいました。午後は数茶で数種のお菓子をいただきながら和気藹々お薄を喫し、その後「花月」を行いました。
 これで「濃茶付花月」と「花月」の違いを理解することができました。
 「花月百遍おぼろ月」と言われるように札の出方にきちんと対応することが難しく、まだまだ修練が必要なことを実感いたしました。そして、だからこそ面白いのではないかと思いました。そのような心の余裕をもって「花月」ができるようになりたいと思いました。今回研究会に参加でき、とても有意義な一日でした。

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2014年4月28日

宗匠をお招きして

家元招請研究会

竹内宗玲(青森不白会)

西王母と虫狩
去る四月二十八日、今年の研究会のテーマである「自宅の茶のすすめ」で拙宅へ宗匠をお招きいたしました。主人も私も宗匠に一度おいでいただきたいと願っておりましたので、とてもうれしく思いました。
 準備の方も整ったころに皆様が到着いたしました。主人が皆様を出迎え、そのまま庭へ案内しました。日頃手入れしている盆栽や庭木を見ていただきお話していました。
 一方、道具のしつらえを再確認し、頃合いを見て部屋にあがっていただきました。白湯を差し上げ、茶席へと案内致しました。
 お客様は宗匠の他四名の方々です。半東は妹の山田宗璃です。床には、宗匠の筆による「松籟」を掛けました。お軸から松風がフーッと茶室に爽やかに吹いているようでした。一献差し上げる時に主人にも同席してもらいました。
 研究会の前日、宗匠様方が訪ねた太宰治の生誕の地である金木町の町並みや生家(斜陽館)のことなどでお話が弾みました。その後、食事をとり中立となりました。
 床の花入は志野焼の筒型です。お花は、根締めに西王母の椿、あしらいに虫狩の枝を生けました。
 皆様が入室なさった後に宗匠が、虫狩の枝を少し短くし中央に寄せて直して下さり、よりすっきりした花の姿になりました。最初にお濃茶を差し上げました。茶碗は大樋焼を茶入は萩焼を使いました。
 棚は雲鶴棚で、水指は仁清の桜川です。蓋を開けると内側に桜の花が赤で描かれていて水に浮かんで見えます。薄茶器は雪輪紋の中次です。
 その後は、半東が薄茶を点て皆様とお道具の話しなどで楽しいひとときを過ごすことができました。
 この度、青森においでいただいた宗匠の句の中に「西王母 枝振りもよく 添えは虫狩」と書いて下さったのも嬉しく思いました。
記念撮影

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一から手がけた自宅の茶

盛田宗恵(七戸不白会)

茶事を終えて
 のんびり構えておりましたが、近づくにつれあれもこれも気になりあわてました。今まで母のお手伝いとしてお稽古してきただけです。亭主となるとお道具の取り合わせやら何やらあらゆることが気になり、お客様を迎えるおもてなしの心遣いは限りなくあるものだと感じました。
 一献の用意も季節の物、花はあけびの花を活け、お軸や文箱などこの家に繋がる方々へ想いを馳せ、祖父や曽祖父の物を使い温故知新としてみました。お客様四名様をお迎えして寄付のテーブルにて一献差し上げ、お客様との会話で緊張も解け和やかになりました。その後席入しお濃茶、お薄をおあげしました。
 この度はじめて亭主となり、一から自分で手掛けた事は大きな勉強になりました。お茶の道具ばかりに目が行きますが、お客様を招く事はその時間を共に過ごすためですので、しつらいや周りの全てに心を配り、過ぎず足りずを心掛けることを気づかされました。お手伝いの半東加賀さん、水屋の佐々木さんともどもはじめての仕事でしたが、終わった後の充実感は爽やかでお茶の楽しさと奥深さを感じました。

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2014年4月20日

初めて自宅の茶会を実践して

森山宗明(福岡不白会)

茶席風景
 昨年のテーマでありましたテーブル茶事。お家元自らご亭主となられての研究会は、ある意味、目からウロコの新鮮さを感じました。どこまでお家元のお教えに近づけたかはわかりませんが、私なりのおもてなしをさせていただきました。
 第一の難関は、お茶室どころか、狭い3LDKのマンションでどのようにできるのか。
 不安だらけでありましたが、師匠の黒岩宗富先生と稽古仲間の皆さんに何度も来ていただき、待合に和室、一献差し上げるところをダイニング、最後の濃茶をソファーでの盆点前とし、なんとか形あるものになりました。
 第二の難関は、お道具類です。あるものをどのように使えるか? から始まり、足りないものは先生からお借りして……という具合に。しかし取り合わせも考えるとなかなか決まりません。
 第三難関は、点心です。和食で試食していただいたものの、しつらえ(床は絵画、花器はガラス)や、ダイニングテーブルでの一献には少し違和感が残り、そこで先生からのアドバイスで、ワインとイタリアンの点心に様変わりです。
 マンションの七階という高さと、リビングダイニングに面した側が、緑が生い茂る福岡市動植物園という立地条件を生かし、景色がご馳走というテーマで、風を感じ、空を仰ぎ見て、ゆったりとしたひと時を過ごしていただこうと、お天気を気にしながら当日を迎えました。
 お正客には、福岡不白会会長の一木宗知先生にお越しいただき、不慣れな私の挨拶も一木会長が上手にリードしてくださり、最後には「楽しいひと時を過ごし、ここに泊まりたいな……と思えるほど心が和みました」とのお言葉をいただきました。
 実践してみて、大変なことはいっぱいありましたが、この一言をいただいて、怖がらず、自分のできる範囲で柔軟な心を持ち続け、精進していきたいと思いました。
つくばいの工夫
懐石

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2014年4月13日

江戸千家 岩手不白会雪輪会 発会三十周年記念式典・茶会

千田文雪(岩手不白会・雪輪会前代表)

 平成二十六年四月十三日、盛岡市中央公民館にて江戸千家岩手不白会雪輪会発会三十周年記念茶会を開催しました。峰雪会、清雪会、雪輪会の会員が百三十名の参加でした。
 この会は三十年前に三田宗明先生が立ち上げて下さった、中堅者の研究会組織です。
 式典に先立ち、物故者への黙祷、オープニングセレモニーとして顧問の三田宗明先生、岩手不白会会長の澤野宗桂先生はじめ、高橋、乳井両副会長様、歴代の雪輪会代表の方々による花寄が行われました。
 式典では代表の挨拶の後、会長の澤野先生から日本文化の集大成としての茶道とその精神について、続いて顧問の三田先生からは雪輪会発会に至った経緯や会への期待などお話しいただきました。
会長挨拶
岩手不白会 澤野宗桂会長の祝辞
三田先生挨拶
雪輪会創設者で顧問の三田宗明氏
 式典後は、八十名が三席に分かれてのお茶事となりました。
 芙蓉席では初代不白を、椿席は八代一元斎、竜胆席は当代名心庵を顕彰するお席と致しました。
 齢九十八歳を数えられた三田宗明先生が、三十年前にお家元の思いを実現なされたのがこの雪輪会と伺いました。会員一人一人の様々な環境も、また、社中という枠も越えて、江戸千家茶道が好きで集まった仲間が、日々精進できる会をお作り下さったお家元様、三田宗明先生、会長様、多くの先輩の先生方にただただ感謝するばかりでございました。
 この日は盛岡には桜の開花宣言が出されて、青空に岩手山がくっきり浮かび、南部前会長様の笑顔が見えるような佳き日でございました。
芙蓉席
●芙蓉席 …… 席主 南宗園
芙蓉席床
芙蓉席 床:大瓢箪画賛 流祖不白筆
椿席
●椿席 ……席主 沼宮内宗哉
椿席床
椿席 床:花開萬国春 一元斎筆
竜胆席
●竜胆席 ……席主 金宗美
竜胆席 床
竜胆席 床:一座建立 名心庵筆

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