2015年8月8日
三田宗明先生白寿のお祝い会
岩手不白会
江戸千家岩手不白会名誉会長の三田宗明先生の白寿お祝い会が八月八日に和やかに開催されました。
大正六年八月八日生まれの三田先生は、今年八月八日に数えで九十九歳の白寿を迎えられました。お祝い会には直弟子をはじめ、岩手不白会の会員ら百六十人余りが駆けつけました。
はじめに澤野宗桂会長が「三田先生は茶の湯江戸千家一筋に、きょう白寿を迎えました。長年のご功績を讃えみんなでお祝いしましょう」と挨拶。続いて江戸千家お家元川上宗雪様の祝辞がビデオで上映されました。お家元はヨーロッパご旅行中で、丁度ローマに滞在中とあって、〈ローマより愛をこめて〉とお祝いの言葉を贈られました。
三田先生は今もいつも通りお茶の稽古を続けています。全国連合不白会名誉理事の三田先生は、江戸千家にとっても大切な先生です。愛弟子で最も若い十歳の佐藤唯ちゃんが「これからもたくさんお茶のことを教えてください」と花束を贈りますと、三田先生は「ハイ」と笑顔で答えていました。そして「私は江戸千家茶道のお陰で今日を迎えました。主客が真の心を交わすことが茶の湯の心です。江戸千家茶道を通して一人一人が光り輝いてほしい」とお話されました。中には先生のお話を久しぶりに聞いた人もいて先生の茶の湯に対する教えに感心していました。
お祝い会では国の重要文化財指定、早池峰神楽岳神楽の翁舞などが演じられたほか、会員たちによる唱歌なども披露され、三田宗明先生の白寿をお祝いしました。
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2015年7月20日
一献とお菓子付の且座
家元招請研究会
菊池宗和(岩手不白会)
さて、一献はどの時点で? など、ハテナが頭の中を巡りながら研究会当日を迎えました。 花は当日の朝、里山で河原撫子と仙翁を摘み、前日に用意していたルイヨウ牡丹ほか三種類ほど揃え、お香は師匠からいただいた〈ふるさとのこころ〉を手に会場におもむきました。
お家元から、且座の意味や一献を入れて行うことにより主客との一会がどのようなものになるか等のお話をいただいたのち、お客を迎える準備の仕方、花〈花入と花材〉、お香〈香木、香炉の灰の作り方、重香合の使い方〉、風炉の下火の入れ方のご指導をいただきました。
まず、三人のお客様を半東がお迎えし席入り、主客挨拶の後一献で互いに会話があり、少し打ち解けてからお膳を下げました。
いよいよ、お客さまに花を所望、次客さまが活けられ、お炭はお正客が、お香は、三客さまでした。順序通りの正客からではなく楽しみました。
中立の間、濃茶の支度をし、お迎え(お菓子は寄付で)、濃茶を点て、亭主もお相伴しました。薄茶は半東の点前で、亭主は座につきお茶をいただきながら、所望のお礼を申し上げ、お開きになりました。
お家元から「濃茶の量が少なかったですね」とご注意いただき、お客様が十分に楽しんで味わっていただく大事なところが欠けてしまい大きなおおきな反省点でした。
ひとつひとつの準備がいかに大切であるかということを学ばせていただき、有意義な研究会でした。
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2015年7月5日
「美しい所作と花月を学ぶ
博子先生招請研究会
田中宗淑(熊谷不白会)
七月五日、熊谷市の星渓園にて、博子先生をお迎えしての初めての研究会が行われ、会員五十一名が皆楽しみに参加しました。課題は、「立居振る舞い」と「花月」でした。
立居振る舞いの基本では「お客様がいて自分がいる。立居は、自分の呼吸だけでなく、相手に合わせることが大切、相手がいての動きである」「立ち上がる時は煙が立ち上がるように、座る時は水の中に沈んでいくようにと蓮鶴先生から教えていただいたことをイメージしている」とお話がありました。博子先生の見本の後、皆一緒にやってみました。立ち上がる時は女性は踵をつけること、座った時の手の位置など美しい所作を学ぶことができました。
体重の増加や筋力の衰えなどを言い訳にしておりましたが、博子先生の美しい動きや常に相手を気づかう心持ちをお教えいただき、普段の生活の中でも少しでも気にかけて、美しい所作ができるようにしたいと思いました。
続いて花月では、床に家元のお軸「花月 互いの動きと自在な展がり」を掛けました。博子先生には花月の一連の動きを見ていただき、替え札を請求する際の折据の廻し方、折据の位置、茶碗を置く位置など、細かなご指導をいただきました。また、立ち上がって下がる際のきれいな足運びも教えていただきました。
お昼をはさんで、午後からは濃茶付花月を、お点前の方も共にお濃茶をいただく形でご指導下さいました。お詰から、濃茶を点てた方に運ぶ際の服紗の扱いや、亭主は濃茶点前を「正客に」とお願いすることもある等教えていただきました。
次々と出る質問にも優しく丁寧にお答えいただき、美しい所作、そして相手に合わせることの大切さ、花月の奥深さと楽しさを学んだ充実した研究会となりました。
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準備から学ぶ且座
家元招請研究会
桜井秀雪(群馬不白会)
七月五日、高崎暢神荘にお家元、博之様をお迎えし研究会が行われました。私はご亭主の役を仰せつかりました。一献付とあって心配もありましたが、簡単な八寸程度でよいとのことで心が軽くなり準備に入りました。テーマは七夕でしたので膳の設えや食材を探し、点心作りに四苦八苦しながらもなかなか楽しい時間でした。
当日はまずお家元より「お客様を自分の家に招く気持ちで行って下さい」とお話がありました。「花台に乗せる花の量は亭主が一度活けそれに少し足す位がよい」「下火は濃茶までの時間を計算し足す」とポイントをご教授いただき、お香は博之様が灰の作り方や深さなどお手本を見せて下さいました。
初座が始まり一献で渇いた喉が潤うと周りの視線も気にならず、お正客様の心遣いで皆様と和やかに会話が進み、花所望では白の松本仙翁、下野草が活けられ、お香「笛竹」は優しく上品に香り幸せな気持ちになりました。また後座では床の花がお家元により半夏生、壷サンゴに替わり、鋏を入れ整える様子を間近で拝見でき、花はしっかりと、きっちりと活けなければならないのだと納得しました。
事前の準備、そしてゆとりをもって臨機応変に対応できる力が如何に必要かを痛感し、今後の茶の湯の道に対する意識の改革に繋がったように思います。
研究会の最後にお家元、博子先生ご夫妻を尾瀬に案内して下さった白波瀬社中の松田さんから尾瀬紀行のご報告がありました。静寂な湿原から篠笛の音色が聞こえてくる気がしまして、会場から大きな拍手が沸き起こり爽やかな余韻が残りました。(群馬不白会7/5)
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2015年6月24日
家元ご夫妻の尾瀬行きにお供して
金井宗美 松田清雪(群馬不白会)
六月二十四日、すばらしい夏空にほっと胸を涼しい風が抜けてゆきます。尾瀬沼から下田代の道中、水芭蕉、延齢草、立山竜胆、小さな花々が迎えてくれます。レンゲツツジの咲く休憩所で、清水で入れたコーヒーを、木道の原をゆっくり三十分程で山小屋に到着。夕食はそれぞれ好きな飲み物で、おつかれ様でした。
食堂は「尾瀬の四季」のビデオシアターですが、お家元が篠笛を吹いて下さるとのサプライズにミニコンサート場に早変わり。同宿の方々、従業員の方も一緒に静かな一時を過ごしました。
七十代のご夫妻は、ご主人が五十年前にお泊まりになられたとのこと、やっと二人で来られてこんなすてきなサプライズに、今日のことは忘れることがないでしょうと感激されていました。朝もやの中で吹いてくださいと、お客様の所望に、二十五日早朝、霧立つ木道の演奏。散歩中の方々が集まって、朝のお茶一服に皆様それはそれは幸せな満ち足りた朝の始まりでした。
しの笛に さそわれ茶の香 なほ豊に
白い虹は見られませんでしたが、初夏らしい朝の湿原です。山小屋を後に中田代を花々に送られて一路鳩待峠に。
陽を仰ぎ 立山りんどう清々し
ガイドさんには、こんなゆっくりとご案内できたことははじめてと感謝をされました。お供できましたことに、感謝致します。(群馬不白会)
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2015年6月21日
新しい試みの且座を学んで
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家元招請研究会
小川享雪(大分不白会)
「且座 主客役目を果たして茶の湯一会を試みん」
お家元筆、持参された掛物が床に掛けられました。「主客役目を果たして」その言葉にはっとしました。準備、手順の多い且座。初めて亭主を務める私は、自分の行う手順、タイミングなどの事ばかりを考えていました。亭主の役目とは……。本来の目的の為に準備がどれだけ大切なのか……。お家元、博之様より花、炭、香の支度について、どのような事を考えて準備をしなければいけないか、お話と実践でとても細かく教えていただきました。準備を大切に行うことが、お客様への『サプライズ』につながり、『サプライズ』をお客様と共感、共有できること。今更ながら、気づくことができました。
そして、今回の研究会では、且座に一献、八寸をもうけること、中立をすることを経験しました。美味しい料理とお酒に緊張もほぐれ、楽しいひと時が生れ、そして中立は、後座濃茶への覚悟、よい緊張感の時となりました。
終わった後、見学の方から「お当番のみなさんのチームワークがとても良かったですよ」との労いの言葉をいただきました。当番がそれぞれの〈役目を果たす〉事ができたのかなと、嬉しく思いました。 〈役目を果たす〉、これからもいろいろな場面で私の課題になりそうです。
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2015年6月11日
〈おもてなし〉茶会
原 宗友(長野不白会)
私共長野不白会では、李支部長提唱のもと、〈自宅の茶〉を今年の活動に取り入れ実践しております。
そのような中、地元の公民館で三十年近く茶道教室を指導してこられた森泉先生が、長年の文化活動への貢献が認められ、市より表彰されるという朗報が入りました。それを記念して社中の皆様が、日頃稽古されている公民館を会場にして〈おもてなし〉茶会を催し、招待してくださいました。
総勢十一名のお社中が、森泉先生指導のもとに花(会場設営)、料理、点前の三担当に分かれて準備されたそうです。待合の一室に入ると、早朝に近くの山で採取してきたという山野草やお庭の花々が思い思いの花器に生けられ、生き生きと出迎えてくれました。点心のお膳には、自家製の梅ジュースから始まり三種類のおはぎまで手づくりの品々が並び、おなかも心も幸せいっぱいになりました。
別室には立礼席が工夫を凝らして用意され、濃茶と薄茶が振る舞われました。主菓子のおまんじゅうも干菓子のかき揚げも手づくりで、昔懐かしいやさしい味わいが感じられました。
社中の皆様がそれぞれの持ち場で自主的に生き生きと活躍されている姿が見られ、日頃の活動の様子が伝わる心温まるお席でした。
帰りにはたくさんのお花をおみやげに頂戴し、〈おもてなしの心〉と一緒にうれしく持ち帰りました。(長野不白会)
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2015年5月24日
青峰会にて
小笠原孝雪(高田不白会)
真夏を思わせる五月二十四日、気軽に楽しめるお茶会の勉強会が行われました。少人数でしたが、日頃より当会をご支援いただいている先生方からもお客さまとしてご参加いただきました。
会場は、勤労者福祉のための機能的な施設で、教養文化室として二十一畳の和室が備えられています。床の間は二間程の開放的な印象なのですが、その広さとは対照的に華奢な古筆切のお軸が掛けられると、雰囲気が一気に引き締まりました。後京極良経卿による和漢朗詠集「世にふればことのしげき呉竹の……」の一首。足元に白芍薬が生けられ、広々とした空間が落ち着いたお茶席に変身しました。
◇ ◇ ◇ ◇
お道具はすべて、亭主役竹田会長の愛用品で、茶入は古瀬戸で銘は「玉蟲」、茶碗は水戸徳川治保公、御手焼の黒楽茶碗などなど。主客ともにお話がはずみ、私共も高揚感をお相伴させていただきました。
食事は思い切って簡素化を図り、お弁当とインスタントのお吸物を、お客さまと一緒にいただきました。皆で一度に食べ始めることができ、話題も豊かになって楽しい時間を過ごしました。ロビーで一休みしてい)ただいた後は、会員持ち寄りの茶碗で薄茶を点てました。
経験豊かな先生方の博識に圧倒されながらも、親しくお話を伺うことができたひととき。茶室がなくても、時間が足りなくても、こんな風に工夫してお茶会はできると実感した勉強会でした。
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2015年5月17日
お盆点てと茶入の扱い
博子先生招請研究会
(青森不白会)
永田 範子
藤の花が見事な五月十七日、はじめて博子先生を迎えて善知鳥神社参集殿の大広間において研究会が行われました。
まず実践方式でお盆点ての点前が行われました。最初の濃茶の亭主は博子先生で、私は半東を務めました。先生は、亭主として水屋での道具の準備と点検、打ち合わせ、半東の仕事と気を配る点を的確に指示してくださり、気持ちが引き締まりました。お盆点ては、茶室として設えた場所より各家の客間、居間等でお客さまをお迎えすることが多ので、お正客の位置が常の通りでないときがる。そのような時は、ポット、建水の位置は臨機応変にとご指導いただきました。
薄茶の亭主は、当番である社中の者が務め、四角盆を使った際のお薄点前でしたので、茶入と茶筌そして茶杓の位置を確認しながら実践していきました。
午後は茶入の扱いです。仕服、大津袋の扱い方、耳付茶入の清め方、珍しい四滴茶入の扱い方と位置を指導してくださいました。長紐の結び方は、蝶の形をしてとてもきれいでした。
質疑応答の後研究会が終了したとき、自然に大きな拍手が起こりました。充実した和やかな研究会に、参加した全員の「ありがとう」の気持ちが入ったのだと思います。
◇ ◇ ◇ ◇
奈良智恵子
テーブルの上には白い小さな花瓶にチャルメルソウ、楚々とした白根葵が生けられ、博子先生ご亭主によりテーブル茶会、酒肴の楽しい時間、和やかに会話している様子を見学しました。
私は角盆で薄茶を点てる亭主でした。五十数名お集まりで、私は緊張してつい先ほど教わったお道具配置にとまどっていたところ。博子先生は私の傍らで、茶入と茶筌の置き合わせ、茶杓の置き方、茶碗の位置、お点前する自分の位置を、お教え下さいました。ポットのお湯が熱いままお茶を点て出してしまったとき「熱うございますので、ごゆっくりお召し上がり下さい」とひと言いって出すのが良いとご教示くださいました。水屋でのこと、基本の稽古がいかに大切かを痛感致しました。
午後は、茶入の扱い、大渡し、手桶、耳付茶入、大津袋、包み帛紗、お仕服長緒の結び方をご指導いただき、細かな質問にも丁寧にお答えいただき、有意義な研究会となりました。
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招請研究会の半東を担当して
家元招請研究会
今井光雪(熊谷不白会)
初夏とは思えない暑さの五月十七日、お家元、博之様をお迎えして熊谷支部の研究会が行われました。
課題は「且座」で、私は半東を担当しました。基本の「且座」でも半東は動きの役割ですが、お茶事の形式で行うにはどのような動き方をしたらいいのか少し不安もありました。
いつものように体操で身体をほぐすことから始まり、続いて「且座」の準備をする時の心構えと注意点についてのお話がありました。内容は『ひとゝき草』四月号に詳しく載せていただいてありますので省きますが、どのようにしたらお客さまに楽しんでいただけるかを常に考えながら準備をすることの大切さがよくわかりました。
一献のあと、濃茶、薄茶と進み、無事に課題が終わりホッといたしました。
昼食後、参加者全員でお薄をいただいた後、思いがけず、お家元が篠笛を吹いてくださいました。澄んだ音色を間近で聞かせていただ緊張が解けていくようでした。
研究会に取り組む姿勢や当日の会の進め方など、反省点も多く残りましたが、今後の課題として行きたいと思います。
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2015年4月30日
且座—亭主で学んだこと
家元招請研究会
工藤純雪(七戸不白会)
奥入瀬渓流の木々がいろいろな緑色に輝き始めた季節、十和田市で家元招請研究会、課題「且座」が三十二名の参加で行われました。
私は当番として亭主を務めることになりました。高価な道具や由来の道具などは持っていませんので、主に家族で旅行した時に出会った道具を取り合わせました。その時の気持ちや感動を伝えることができれば道具はきっと助けてくれると思いました。
季節的には炉なのですが、雲龍風炉にする由を連絡して炭を組みました。前日の仕度がすべて整っても残る心配は明朝庭に咲く花と、香炭団の火加減や火持ち時間などでした。そして当日、白根葵、延齢草、あけび、いかり草……が咲きホッとしました。また香炉はお家元が直接ご教示くださいました。
本番では半東と通いが黙って私とお客を結びつなげてくれました。
お家元からは、花入のこと、灰形のことなどたくさんのご指導をいただきました。繰り返し役を替えてやってみたいと思うほど楽しい経験になりました。五人が自立して支え合いひとつになる。「一座建立」とはこういうことかなと感じた研究会でした。
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2015年4月29日
テーブル茶での「濃茶つづき薄茶」
博子先生招請研究会
佐藤令子(福島不白会)
四月二十九日、福島不白会家元招請研究会が、博子先生をお迎えして、福島県白河市南湖公園内の翠楽苑で行われました。
課題は「テーブル茶での濃茶つづき薄茶」です。どういう作法で進むのか興味津々。花入、盆、ポットの位置、テーブルの席順例や亭主の声かけまで丁寧に教えていただいてからの席入り。
まず、たけのこ、アスパラ、鰊の山椒漬けと、季節物の一献に、二本松のお酒をいただきながら談笑。亭主、半東の動きや懐紙の使い方などのアドバイスをいただきました。
そしていよいよお濃茶です。仕服はポットの手前、清めた茶器は中心奥に置いて、服紗は腰につける。薄茶に入ると、お盆の上に道具が沢山になりますが、扱いやすく配置されていくのに納得しました。拝見の声かけも、頃合いを見ながら、どのタイミングでもよいが、客皆が飲み終わるまで主客がとめおくなどお話がありました。臨機応変で構わないが、基本は守こと。そして、お点前だけでなく、場の雰囲気作りや会話なども、おもてなしの心をもって行うことが大事なのだと改めて感じました。
午後は「花月」を行いました。札の出方にきちんと対応すると共に、皆の動きをよく見て、札の要求や、「まつ」の声かけなど、その場に応じた対応が必要です。しかし自分の事だけで精いっぱいの私には、難しいこと。気配りしながら「花月」が楽しめるよう勉強したいと思いました。とても有意義な一日でした。
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2015年4月26日
家元招請研究会に参加して
家元招請研究会
四方田洋子(福岡不白会)
今年春のお家元招請研究会のテーマは「且座」。私がお稽古に伺っている田中宗正社中がお当番で、先輩方と一緒に参加させていただきました。普段からお茶事の形式でお稽古させていただいており、初座と後座を昼食をはさんで学んでおります。でも今回初めての場所、乳峰寺様でもあり、また当日朝のお家元のご意見で突然、先生の指導なしでするようにとのことで、水屋でどのように動いてよいのかわからず、とまどうばかりで、いつも先生に頼り切っていることをつくづく感じ、大きな反省となりました。大切なのはタイミング。お香や炉の種火を時間を考えながら入れることや、季節のめずらしい花の準備、水あげ、お料理の盛りつけなど、心がけることばかりです。
最も実感したのは準備がいかに大切で、大変であるかということです。お道具の取り合わせ、特にお料理は先生が何日も前から季節に先駆けて思案され、当日にあわせてご準備くださいます。また外部へのお道具やお料理を持ち出す為の工夫やご苦労も知ることができました。すべてはお客様に対する心配りで、それがいかに大事かということを改めてお勉強させていただいた研究会でした。
最後に二千年以上前の弥生時代の壺に、お家元が花を入れられる様子を間近で見せていただき、そのお見事なお花に感動いたしました。参加者の皆様方からも感嘆の声が上がりました。
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2015年3月8日
貴重な「口切りの茶事」を体験
博子先生招請研究会
三月八日 於少林寺 森田宗尚(久留米不白会)
小習拾参ヶ條の中から壺飾を特に口切りを含めて教わりたいとの先生方からの強い要望で課題が決まりました。口切りの茶事ということにすれば一連の流れが良くわかるのではということでお願いいたしました。
亭主が壺の封を切って葉茶(碾茶)を出し炭懐石の間に水屋の石臼でお茶を挽き、挽きたてを後座の濃茶でいただくという設定です。口切りの時期ではありませんでしたが、葉茶を詰めた壺も石臼も都合よく準備できました。以下のような流れでした。
主客の挨拶の後、亭主は入日記を客の前に出し、次に口切りの道具一式を持ち出します。壷の封を切り、濃茶の周りに詰められた葉茶を奉書紙の上に出します。中の包袋一つを箸で出し、三方(当日は花台を使いました)の上の別の奉書紙に当日必要なだけの葉茶を出して残りはまた封印します。客は葉茶の拝見、壺と口おおいの拝見を所望いたします。炭点前懐石と続きます。
八寸程度の点心ですので濃茶迄の時間が不足いたします。博子先生のご指導で中立ちの間に炉中の炭を直し釜の湯の入れ替えもしましたので濃茶の時には十分に湯が沸きました。
一人二グラム程度でしたが、挽きたてをおいしく頂戴いたしました。先生にも飛び入りで召し上がっていただき勿論亭主も相伴いたしました。
口切りの茶事は人が一生のうちで一度体験できるかどうかというほどの貴重な茶事とうかがいました。私たち久留米不白会の者は本当に貴重な体験をさせていただきました。先生には細かい所までご教授いただきました。感謝申し上げます。
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2015年2月28日
茶事の大切さを学んだ研究会
家元招請研究会
岡田 均(新潟不白会)
二日間の家元招請研究会、一日目は「自宅の茶事」とその反省会、二日目は、護国神社において、七事式を行いました。
私ども夫婦も一席設けさせていただきました。私の先生である妻と妻の師匠からもご指導いただきながら、待望の家元をお迎えし、炭点前から略式の懐石、濃い茶、お薄まで、私どもでできる精いっぱいのおもてなしができたのではないかと思っています。
二日目は、午前は七事式のうち且座を、午後は花月が課題でした。
茶事の稽古である且座では、「茶事では、お客様に楽しんでいただくことが大切、それには、おいしいお茶を点てることが一番である」と話されました。
作法(技術)は、お客さまに安心感を与える。作法を知らないとお客さまに不安定感を与えてしまうのでしっかり学ばなければならないが、それだけではいけない。お客様が楽しい時間をすごしたと満足いただくことが大事である。家元は、それを車の運転に喩えて、「ハンドルの動かし方(作法)が下手では不安感をあたえるので熟練することは必要ではあるが、目的はドライブを愉しむこと」と。おいしいお茶を飲んでいただくことと、上手にお茶を点てることとは、車の両輪であると感じました。
また、お家元は、茶事の研究会の合間に体操をご指導し、体も大切であることを教えて下さいました。心、技、体そろってはじめてよい茶事ができると実感いたしました。
今回の家元招請研究会では茶事、特に自宅の茶事が勉強になることを実感しました。家元の厳しさの中にあるやさしさ、相手への気遣いのきめ細やかさにもふれることができました。心、技、体に磨きをかけて、また、お家元が新潟にご指導に来られることをお待ちしております。
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2015年1月1日
初釜 師の言葉を胸に刻んで
吉岡宗美(高知不白会)
夜半には春雷を覚え、天候が心配でしたが夜明けと共に晴れ、雨で清められた庭が事の外、美しい暖かな一日でした。
「聖寿万々歳」のお軸を拝見し、お床の柳も美しく芽を張っています。続く四畳半には、お家元の「寿」。お若い頃の筆とお聞きしました。今年の花びら餅はふっくらとしており、例年にも増して美味しく感じました。嶋台のお茶碗で新春のお濃茶を社中揃っていただけることを幸せに思いました。
流祖のお茶杓「一力」を使わせていただき、その際先生から「一人、一人の力が集まって、万の力になります。私たちもその気持ちで力を合わせてまいりましょう」とお話があり、社中一同に胸に刻んだ一日でした。本年もお家元のご提唱される〈おもてなしのお茶〉、今の自分にできる身の丈にあった心のこもった茶の湯をめざして精進してまいります。
青竜の椿と奏でる言の葉は
めでたし めでたし 福笑い
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2014年12月11日
師の誕生日を祝う茶会
藤田宗明(羅府不白会)
十二月十一日、新井宗京先生の八十五歳のお誕生日を祝う茶会を自宅の徳風庵で行いました。この大変おめでたい日に皆様とご一緒にお祝いできたことを心より光栄に思います。
茶会を開くに至っての準備や構想は、亭主側としては既に「茶事の楽しみ」で、点心の献立を考えている段階から笑みが自然に出てしまう程です。これは茶会の序曲と言っていいのかもしれません。お道具は持ち合わせの中から、特に師との思い出の深い古瀬戸の芋子茶入を使いました。この茶入は約十三年前に師と家元の教場を訪れた後、共に池之端を散策しながら、ある骨董店で出品していたものを見つけたものです。師に相談しながら茶入れを入手したこともそうですが、池之端でご一緒にのどかな午後をゆったりと過ごした貴重な思い出がこの茶入れに詰まっているようで、私にとって掛け替えのない茶入れでございます。
一連の流れとしては、点心懐石で始まり、後座は亭主が濃茶を点て、薄茶を半東の榊原さんが勤めました。前回家元をお招きして行った茶事実践の際、後座の薄茶点前に於ける茶室の明るさの変化をご教授いただき、この度実行致しました。暗めの濃茶点前の厳粛で静寂な場から、薄茶では明るい茶室に変えました。ぱっと明るくなった場の薄茶では会話も弾み、明暗の変化はお客の気持ちに大きく影響すると実感いたしました。そして、濃茶の静けさは更に余韻を残すのではないかとも思いました。おもてなしに明るさを気遣うことも大きなお勉強になりました。
至らないことが多い手作りの茶会でありましたが、お蔭様で新井先生の御誕生日を無事にお祝いできました。これから先、幾重にもこのお祝いの茶事を持てることを願って止みません。
◇ ◇ ◇ ◇
Tea for a Celebration
On December 11, 2014, at my teahouse, Tokufuan, I held a tea gathering (Chakai) to celebrate our teacher, Madam Sokyo Arai’s 85th birthday. I was very honored to celebrate this happy event with tea peers at my tea house.
It is a joy of to celebrate Chakai, but the joy starts in the planning and preparations. Even when I was thinking about the menu of Tenshin (short version of kaiseki meal), I was having so much fun that a smile was on my face. I thought this could be called a prelude to Chakai. Among the utensils for this event, I wanted to use a specific Chaire (tea container for thick tea). The Chaire brings to my mind the memorable times with Madam Arai. About 13 years ago, Madam Arai and I took a nice walk at Ikenohata after the lesson at Oiemoto. We discovered an antique store, and I found this Chaire. Not only did I acquire the Chaire in her presence, but I fondly remember the time I spent with Madam Arai as being so peaceful and precious. This memory will always remain so vividly in my heart.
The Chakai started with Tenshin. Afterwards, Teishu (host) made Koicha and Ms. Sakakibara as Hanto made Usucha. Previously, when Oiemoto visited my tea house, he taught me to change the lighting between Koicha and Usucha. At this Chakai, I performed what I learned from him. The Koicha took place in dark lighting with solemnity and silence. For the transition to Usucha, the lighting became much brighter. In this changed environment, the conversations blooms and lift guests’ spirit much lighter. This significant change makes Koicha’s quietness and dignity which lingers in your mind more. I learned through this experience that the change of lighting is also an important hospitality.
I am so glad that I was able to hold the Chakai to celebrate Madam Arai’s birthday. I strongly wish that there will be many more years to hold this celebration tea gathering for Madam Arai.
Fujita Somei
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2014年12月5日
「ホッとタイム」
幸田宗陽
十二月五日、Y小学校において、五、六年生とALT(外国語指導助手)の先生、計三十名の「身近な人とホッとタイム」という授業に、抹茶体験で参加させてもらいました。
長いテーブルを二カ所設置し、各学年の生徒、間にALTの先生に席についてもらいました。はじめに、私たち二名が盆略点前で各学年のお正客にお茶を点て出し、そののち、各一名ずつ点前席に出て、交代でお友達にお茶を点てて振る舞うという流れで進めて行きました。
お茶をすくい入れ、お湯を注ぎ、一生懸命茶筌をふる。点てたお茶を出して飲んでもらい、ALTの先生に教えていただいた「How’taste? 」。すると親指を立てて「good!」の返事。その時の生徒の顔は安堵と共に大層うれしそうでした。最後の校長先生のゆっくり、ハッキリの「very good」には場が沸きました。
合間に、お菓子のこと、棗の形、縄文時代にすでにあった漆(Japan)について、お茶席にとってとても大事なお軸のこと、「自分の中にいるもう一人の素直な自分が教えてくれる」という言葉、禅語について、そしてyes、noだけでなくグレーゾーンを大切にする民族である日本人が、常に相手の身になって考え、行ってきた大切な文化、お茶について……。少し難しいかなと思いつつも、お話しました。視線をそらさず目を輝かせて静かに聞いている姿が印象的でした。別のテーブルに並べた棗と茶杓を生徒達が興味深そうに見いっていました。
もう一人の素直な自分そのものの子供に触れることができ、私たちにとってのホッとタイムとなりました。
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2014年11月24日
岩手不白会 茶事研究会報告集から
亭主 高橋宗初(11月24日)
家元招請研究会−【自宅の茶事】
岩手不白会
平成二十六年に岩手不白会で行われた家元招請研究会の報告集が届きました。六月二十二日、二十三日、十一月二十三日、二十四日の二回の研究会で合計三十一席の自宅の茶事が行われ、各々の会記、客の感想、亭主の感想など、写真も添えられたレポートです。その中から、ごく一部の報告を抜粋して紹介します。
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■席主 竹花宗昭 六月二十二日
お家元が常日頃お話し下さいます「車の運転免許をとったら、実際に運転しないとドライブの楽しさが分からない」。そろそろ運転しながら周囲の景色を愉しみ目的地に着けるようにと思ってはいたのですが……。今回自宅の茶の機会をいただきました。「さあ、ドライブ!」ハンドルをとる手がガタガタしそうです。
目標は二つ。一、風炉の茶事、その基本を学ぶこと。二、お客様、水屋、亭主、参加する人が楽しい思い出を残すこと。
目標一は、社中の先生にお炭のこと、夏の道具組みについて相談し、ちょうどいい道具がなかったので、旅行で求めた物をお出しして楽しむことができました。
二つ目は、暑い季節ですので、火を通したもの、冷たいもの、季節感のあるものを考えました。お花は庭にあるもの七種を籠に入れてみました。食事の量が少なかった、亭主に余裕がなく動作が早かった、と反省。冷や汗が出るようなことがあったのですが、「事故」は起こさず目的地に着いたことを嬉しく思っています。お家元より建仁寺で詠まれた色紙を頂戴しました。建仁寺の天井絵の龍の目がとてもやさしく描かれていました。今度は自分からドライブをしてみようかと思っています。近場にもきっとステキなところがあるような気がします。
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席主 石田宗洵
■席主 石田宗洵 十一月二十四日
今回の客組みの連絡を受けて「東京から若いお客様を迎えて、みちのくの初冬の雰囲気を味わっていただく」ということを基本に据えました。
床は岩手山の冬景色を詠じた山口青邨の俳句、後座の花入には地元の漆職人にによる一閑張の能管筒を、炭も木炭生産全国一の県産のものを使いました。点心は、『豆腐百珍』にある「鶏卵豆腐」を使った椀盛、銀杏ご飯、柿と帆立の白あえ等で整えました。菓子は、沿岸の菓子店の季節にあわせた「ころ柿」、地元菓子店新作の「不来方」と、不白案と伝えられる「常盤栗」を参考に「もどき」のようなものの手製を試みました。
茶席においては、会話が弾んで和気あいあいの初座になりました。気軽な会話の正客、インタビューのプロである次客、和やかに話に応じる三客、四客で、楽しい初座になりました。
後座の濃茶席は一転して静寂の中で推移しました。続いて薄茶では、再び会話の楽しい席。茶入の銘から、紅葉の移動の話、仕服の「永観堂金襴」から京都の紅葉名所の話題に移りました。地元窯の濃茶碗、京都で修業した正客に会わせて薄茶碗には和楽の「真」を加えました。薄器には、平泉中尊寺の金色堂の柱の模様「宝相華唐草」のデザインを使い、伝統工芸士に塗ってもらったものでした。この模様は敦煌にも見られたもので、奈良、平泉を通過して、シルクロードの果が「みちのく」のこの茶席に及んだような話になりました。大変楽しいひとときでした。
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2014年11月20日
地元の食材を使って
家元招請研究会−【自宅の茶事】
飯泉宗江(茨城不白会)
十一月二十日、家元研究会のテーマ「自宅の茶」をお家元、博之様をお迎えして、それぞれ四ケ所の自宅で行われました。私の家には、お正客の博之様他三名のお客様です。
博之様が「研究会ですので、気楽に」と待合でお声をかけてくださいましたが、いざ本番になると緊張してしまいました。
床は「好日」の掛物。胡銅の鶴首に錦木、椿を生け、三島芋頭一つ置という取り合わせ。自分の持っている数少ない道具の中から愉しみながら準備をしました。お酒は、地元の霧筑波、点心は、筑波ハム、霞ヶ浦のレンコン、わかさぎ、川エビ、我が家で採れた秋野菜。できるだけ地元の食材をと思い、心がけました。主人も参加してくれ、楽しい茶会になりました。身近な食材を使うことにより「自宅の茶」に一歩近づけたように思います。
終了後、私の自宅にお家元をはじめ参加者全員が集まり、部屋の設えや心尽くしの料理、客側の楽しく過ごした様子など報告会が行われ、お家元からご指導いただきました。
お家元がいつもおっしゃっている「茶の湯の目的は自分の家に人を招き一献、点心とお茶一服差し上げること」を実践するには日頃の経験を重ねることの大切さに改めて気付きました。
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