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2008年7月13日

客となって学ぶ

家元招請研究会−【茶事の見本】

山本文雪(静岡不白会)

見本の茶事、一献
一献で気持ちも和む
 当支部の研究会は七月十三日、サールナートホール不二庵にお家元をお招きし行われました。静岡市内はお盆の時期でもあり、家を空けることもできない方もおられ、少人数となりましたが、有意義な一日となりました。
 今回は東をお家元にお引き受けいただき、半東、水屋、そして客三名とのことで、私は末客として御席に連ならせていただきました。
 緊張して入ったお席でしたが、支部長先生のお心尽くしの御膳が運ばれ、一献いただく頃には、床に掛けられた流祖由縁の瀧自画賛の御軸から那智の瀧へと話は進み、和やかな空気に満ちていました。
床の掛け物
床の掛け物は、不白筆「瀧画讃」
 中立後いただいた和韻点てのお茶の美味しかったこと、まさに至福の一刻の風情です。このひとときを生みだすため、東は勿論、半東、水屋の方まで皆様のこまやかな心遣いが伝わってまいります。前回何もわからず席を持たせていただいた私とは雲泥の差を感じ、これからの課題を突きつけられた思いです。
 これからも研鑽し、いつの日か皆様をお招きできたらと夢見ています。

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2008年7月6日

演出と楽しみの世界

宗康先生招請研究会−【小習十三ヶ條--軸飾り、花入飾り】

七戸不白会

軸飾りの講演
稽古ではなく工夫する大切さを解説
掛け軸の扱い
掛け軸の扱いを学ぶ
 七月六日、七戸不白会では、宗康先生を招請し、研究会が行われました。課題は、「軸飾り」と「花入飾り」で、ともに小習十三ヶ條に組み入れられています。
 軸飾りでは、まず、掛け軸の扱い方についての基本実践が行われ、また、掛け軸の部分名称、材質、役割等の解説をいただきました。
 軸飾りも花入飾りも、茶事の趣向として古くから自由に行われていたものが、江戸時代後半期より稽古事として行うため型にはめられ、そのおかげで、今日まで型の稽古として継続されているとの事です。これらの趣向を理解するためには、基本を修得した上で実際の茶事において、自分のやり方で自在にしてみると楽しいし、現在でも生きた趣向となるのでは、というお話がありました。
 小習十三ヶ條は実は、型の稽古ではなく、工夫と演出と楽しみの世界であったことが分かることになるのかも知れません。

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2008年6月26日

茶の湯体験セミナー

西村宗櫛(ロサンゼルス不白会)

初めてのお抹茶
お抹茶、good!
 六月二十六日、サンタモニカ市立図書館にて、japanese culture festivalで日本文化の紹介をするプログラムがあり、茶の湯体験セミナーと称して参加しました。
 ちょうど、京都宮川町の芸舞妓、小桃様とお母様の小糸様がお見えになっていましたので、一緒に茶会もいたしました。
 アメリカは六月末から夏休みに入っていますので、大勢の人の参加があり、皆様楽しんで茶の湯を体験してくれていたようです。
 
指導風景
熱心で楽しそうな指導風景
芸舞妓さんのお点前
日本の風情に興味津々

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2008年6月15日

宗匠をお迎えして

家元招請研究会−【茶の湯の実践】

中野梅雪(大分不白会)

茶事のあとの記念写真
茶事の後の記念写真
 梅雨もはしりの六月十五日、家元招請研究会は、かねてより計画のありました各地区に分かれて行われる茶事の実践でした。
 大分支部は都合により、今回が初めての実践でしたので、宗匠には何かとご心配をいただきましたが、皆それぞれに覚悟を決めて、お役をいただきました。
 私方には、宗匠他二名のお客様をお迎えすることになり、当番はもとより社中を上げて準備の段階から取り組みました。何とも急のことでしたので、いざお受けしてみると、家の外も内も気になる所ばかり。たまたま近所の方が、庭木の剪定はどうかと立ち寄り、事情を話しますと、早速自分の裏山から竹を切ってきて、くぐり戸の屋根や垣根を取り換えて下さり、本職でないのでできあがりは程々でしたが、本当に有り難いことでした。
 さて、畳も新しい方がよいと、この際替えることになり、お稽古日は専ら大掃除、雨のことも考えて蹲は内と外に準備、火入れの灰形等日頃やらないことが急に現実となって、皆さん大変でしたがよい勉強をさせていただきました。
 研究会とはいえ、何の趣向もないわが家、到着までの道中を、大分の市街が木の間隠れに眺められる美術館へと通じる森の中を、露地として通っていただきましたが、当日は生憎の梅雨空、展望はきかず、せめて和の香りでと玄関にお香を焚いてお待ちしました。
 まず待合に、そこで先輩から譲り受けた恩師佐野宗秀先生のお写真に目を止めていただき、本当に嬉しく思いました。
 お席入り、心ばかりの点心は、地産地消をモットーに、国東半島の蛸の向付、別府湾の太刀魚の八寸、野菜は当番の方の菜園から。又夜の会食を美味しく召し上がっていただけるよう、軽めの碗盛は七夕「天の川」仕立に、星形や短冊など作る楽しさも存分に取り入れました。
 後座のお濃茶は私が務めさせていただきましたが不加減なできで、申し訳なく反省しきりです。続き薄茶は代点で、半東、水屋共よく頑張り、緊張の中、時間はあっという間に過ぎてしまいました。
 五組に分かれたお茶事が無事終わり、全員別府に集合して、それぞれ亭主のおもてなしの様子、客となって感じたことなど、思い入れの報告があり、なごやかな茶事の様子が手に取るように想い描かれる報告会となりました。
 当日掛けました「不立文字」の軸、文字や言葉によるのではなく、ひたすら自己のうちに向かって究明し、以心伝心、宗匠の心を心として、道は遠いですが、これからも茶の道に精進したいと想います。
 後日宮崎よりの遠来の客を交えて、跡見の茶事を行いました。

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2008年6月1日

力の入ったはじめての茶杓削り

宗康先生招請研究会−【茶杓削り】

小川宗美(新潟不白会)

茶杓削り
かい先の削り方を熱心に見る
 宗康先生をお迎えしての茶杓作りは、とても楽しい講習会でした。
 茶の湯という日本文化の中で竹が素材となり形作られたものは沢山あると思います。その一つが茶杓です。茶杓や茶筅なくしてお茶を点てることはできません。
 宗康先生より手順のご説明の後、いよいよ作業開始です。まず、かい先を作るための竹をローソクの炎で加熱し冷水中で一気にカーブ。折れる寸前までの力加減は難しく慎重になります。次に節を境に削るのですが、宗康先生の「そんな削り方じゃ駄目だよ!!」の声が私の手元に向けられているとは露知らず、ひたすら寡黙に削っておりました。一本の竹は、宗康先生の手によって茶杓らしく変化いたしました。しかし、私の手に戻ってから、節上は削りすぎで細くなり、時間とともに平らになったかい先は、竹とんぼのようになってしまいました。
茶杓の品評会
力作の茶杓がずらりと並ぶ
 終了後、会場は宗康先生のご批評と茶杓プレゼントでとても盛り上がりました。残念ながら抽選にはもれてしまいましたが、楽しい一日でした。また、機会がありましたら参加したいものと思っております。
 そして最近は、茶杓を拝見する時の気持ちが、以前と変わってきたことを実感しております。

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2008年5月31日

演出で楽しい茶事

宗康先生招請研究会−【軸飾り】

窪田宗恵(新潟不白会)

軸の巻き方指導
軸の巻き方の基本を指導
巻緒のことなど
 新潟不白会では、五月三十一日、宗康先生をお招きし、「軸飾り」の研究会を行いました。
 普段は、お客様をお迎えする前に、影の仕事として行っている事を、初座の最初にお客様の前でするということで、その意義、軸の各部の名称、取り扱い方を基本から丁寧に御指導いただきました。
 お茶事をするときに、様々な演出をし、主客共に楽しんでいたことがよくわかりました。
 まだ何をするにも「楽しく」というわけにはいきませんが、楽しいお茶事が出来るように、精進したいと思います。

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2008年5月29日

喫茶往来

家元招請研究会−【茶事の実践】

大山宗貴(高知不白会)

 先の五月二十九日の家元招請研究会は、第二回目の「茶事の実践」でした。
 茶席は六席、茶席担当者(亭主・水屋二名)以外のすべての客は、お家元、随行の瀬津様を含めて、どの茶席へ行くかを百パーセントくじ引きで決めました。それぞれの茶事終了後、文学館ホールでの集会で、お家元のお話、主客それぞれの話などあり、成功裏に終わったことは実感できました。その辺の詳しい事は、誌面の都合も有り割愛させていただきます。
 くじ引きという前提の元に、思わぬ方と相席となり膝をまじえられたことによって、新たな展開もあったことと思われます。
 研究会終了後しばらくして、参加された会員の方から「この形式での茶事研究会を一年に一度くらい支部の研究会としても取り上げてほしい」という要望があり、そうすれば『喫茶往来』も行われやすくなるのではないかと、概略すればこういう話でした。
 確かに支部としてもこの研究会を、何回か行えば、他の社中とも、まだ知りえなかった会員の方とも親睦が増し、さらにはお家元の仰る『喫茶往来』が、より深まるのではないかと思ったことでした。まだ一つの課題としての段階ですが……。
 

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2008年4月29日

工夫を楽しんだ亭主役

家元請研究会−【茶の湯実践】

永田範子(青森不白会)

濃茶一服
広間での点心と濃茶のもてなし
 例年にない早い春の到来に散り始めた桜の下、四月二十九日に青森文化会館にて、家元招請研究会『茶の湯実践』が行われました。前もってくじ引きで決められた方々が、それぞれのお宅に伺う方式です。
 未熟ながら、私は初めての大役である亭主を務めることになりました。寄付は大きな六曲屏風を配し、お軸に見立て甲人の油絵をかけ、六名のお客様に白湯を差しあげ、ゆっくりしていただきました。蹲で清めた後、席入り、いよいよです。
 お客様一人一人とご挨拶の後、少し早めではございましたが、簡単なお食事をさせていただきました。大山桜の実で作りました薄ピンク色のお酒で、お席が一段と華やいで楽しい場になりました。
 床のお軸は「百花似開錦」。正に八甲田の山々は、そのようでございました。花入は耳付青磁に瑞々しいクマガイソウを一輪、脇床にはミャンマーの硯箱、水指はシックな海老の耳付、お菓子は縁高に入れてみました。桜色をした大振りな萩の茶碗にお濃茶を丁寧に心を込めて練りました。お客様の「とても美味しい」との声が大変嬉しく思いました。
ベランダのテーブル茶
お薄は、ベランダでの意表をつくお盆点て
 再び、中立ちの後、今まで閉めていましたベランダ側の障子を大きく開けますと、お客様より歓声があがりました。真っ赤な野点傘が目に入ってきたのです。席主山本の心ばかりの演出です。
 お薄席はベランダでのお盆点て。テーブルを囲んだ椅子にも赤い毛氈を敷き、ちょうど満開の菜の花をこんもり生けました。お干菓子と春の花々の数茶碗でお薄を一服、開放的な青空と心地よい涼風に、今までの緊張もすっかりほぐれ、会話がボンボンと飛び交いとても楽しい一時でした。
 文化会館での報告会においては、思っている事の十分の一も言えず、皆様が発表する度に、それぞれのお席の様子を想像しては楽しさが広がり、今回の講習会は私にとりましては如何に実のある会であったのか、最後にお家元様からのプレゼントは、直筆の色紙でございました。私は「和」をいただき、わが家のお宝として、茶の道を少しずつでも歩んで行きたいと思っております。

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