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2009年3月16日

お茶事はスローフード

家元招請研究会−【正午の茶事】

中村百合子(七戸不白会)

本懐石のやりとりする主客
本懐石のやりとりする主客
 三月というのに雪に覆われた山間の蔦温泉で、〈正午の茶事〉の研究会が行われました。
 初心者の私には、数々の演出(お花、お道具など)はもちろんですが、お客様、ご亭主のデモンストレーションの美しい所作にとても感激しました。静寂な時間と空間の中、一つ一つの動作が素晴らしいタイミングで、しかもゆったりと一期一会の精神をもって、究極のフルコースのおもてなしがなされました。
 さりげない日本の伝統的な美しさが至る所で表現され、五感に染み込むようでした。一碗のお茶を深く味わうためのすべての準備心配り、演出の総合芸術を見ているようでした。独特な風韻の非日常的な空間に酔いしれながら、古人(いにしえびと)のスローフードのライフスタイルを新鮮な思いで「今」学びました。
 茶道教室の先輩にあたるフランス人の女性が「お点前の美しさを見てお茶を始めました」と言っていたのを思い出しました。
 自国の文化に誇り高きフランス人も感激させた〈茶の湯〉、日本人の美意識に出会えた、美しく静かなこの一日に感謝いたします。
茶入を清める亭主
茶入を真剣に清める亭主
花の趣向
雪国ならではの花飾り-春の兆しを楽しむ

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