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2018年11月25日

招かれて味わった至福のとき

家元招請研究会 - 課題「唐物(茶通箱)」 

高橋宗津(岩手不白会)

 十一月二十五日、平成最後となる家元招請研究会は課題「茶通箱」でした。私は正客として学ぶ貴重な場を与えていただきました。
 家元が亭主、半東は博之様です。まず、「茶通箱」とはどのようなものか、本来の意味や用途などをご説明下さいました。また、今回は箱を表道具として棚に飾られました。
 箱の扱いは、指の運びや動きだけに気を遣う事ではないこと、心して取り扱うしぐさなのだと学びました。
 初座では、床の「茶是長寿友 宙心庵閑雪」のお軸で、若い頃の筆であろうと家元は由緒をお話しくださいました。翌日、十一月二十六日が、先々代さまのご命日、なにか特別な思いがいたしました。
 炭点前に入り、炉に寄ると、その種火の美しかったこと、感激いたしました。
 点心席では、お料理やお酒をいただきましたが、お茶事でのこの席は主席とは別のものだとわかりました。初座でも半東の役割は大事だと気づきました。
 後座では、喚鉦に迎えられて、お床の見事な花に見入り、座に着きました。
 厳粛で、美しい流れるようなお点前を間近で拝見し、丁寧に練られたお濃茶は、本当に美味しい最高のお茶でした。今、一つのお濃茶もいただいて二種の味の違いをはっきり感じました。茶碗拝見で、二服目の濃茶を飲み切ったときにも拝見に出されましたことに気づきました。一服目と同じ茶碗なのにと不思議に思いましたが、茶碗拝見は、お茶の色や香りを見、感じることだとお教え頂き、一服目とは別のお茶だからと、茶碗を見せてくださったとわかりました。
 半東の博之さまは、気づくとお茶やお道具をお運び下さっていて、その動きは、まったく自然で美しいお姿でした。
 いつの日か、茶通箱のようなお道具で、お茶好きな友を招き、二種の濃茶を点てちがいを味わい、楽しみたいと思っております。

田山宗由(岩手不白会)

 家元と博之様を岩手山の一際美しい小春日にお迎えしての研究会、茶通箱のお茶の掃き方から丁寧にご指導いただき、自ら亭主をなさり楽しみにしておりました炭点前をはじめ、全ての所作の変わらぬ美しさは体操十種の賜物でしょうか。またほっこりとした優しい銘の「木守」のお茶碗でとろりとしてふくいくたるお濃茶をたっぷりいただきました。お茶の味わいに集中できるように配慮されたお点前の進め方、お茶入、お箱の花押を拝見では一瞬身も心も引き締まりました。木守のエピソードや富士登山のお話を楽しくお聞きしてすっかり和みまして、席の設定を始めお心遣いをひしひしと感じ客として本当に何と幸せな研究会でした。社中もお稽古で茶通箱のお点前が思ったより簡単だったとそれぞれ言っておりました。まお亭主が二種のお茶を用いた事の方が会話もごく自然で現代にはあっているように思いました。お稽古に活かして楽しんで参りたいと思っております。ありがとうございました。
 博之様の半東としてのお働き大変勉強になりました。

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