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2019年5月26日

家元の茶人としての心を実感

家元招請研究会 

高柳宗恵(群馬不白会)

 テーブル茶の濃茶席で家元が亭主の正客をしました。席入りの段で緊張のあまり頭の中はごちゃごちゃです。「正客として言葉掛けのタイミングは? テーブル茶のお濃茶は話しをしていいのか……」等々。家元が座に着かれてご挨拶をしましたが、床の拝見も、家元が行け直されたお花も型だけの拝見で、心ここにあらず。お点前を見ているようでも上の空。そんな様子をお見通しで、家元は先へ先へと言葉を添えられて歩かせていただいているようでした。お濃茶は本当にまろやかで優しく味わい深く、今まで宙に浮いていた心がすっとお茶碗の内に降りて来られました。「型に捕われず、全ては美味しい一服のお茶のために」。家元の茶人としての心を身をもって実感させていただきました。

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2019年5月19日

且座、香付花月

雲鶴先生招請研究会

白水宗穂(久留米不白会)

 少林寺にて雲鶴先生招請研究会が行われました。
 午前中の課題「且座」では、亭主の心構えとして花、炭、香の準備について教えていただきました。
 花はお客様が生けやすいように、炭は下火の確認を、釜のお湯はたっぷりと入っているか、香炉は下火を入れ充分に温める事が大事であること。また、香炉の灰の型押しを実践していただきました。
 初座が終わり、手付籠の花入に芍薬、クサフジ、カワラナデシコが入り、中立をして後座の濃茶、薄茶と続きました。東、半東の動きやお客様との会話についてご教示いただきました。
 午後は「香付花月」を学びました。最後にお薄をいただき大変有意義な研究会となりました。

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2019年5月7日

植樹経過報告

2019年植樹・発芽

片岡信夫(片岡林業)

 日頃たいへんお世話になっております。
 三年前弊社にお越しいただき、家元ご家族と幹部の皆様にお手播きをいただいたクヌギの苗を令和元年の朔日に山に植樹しました。
 本日定着具合を確認したところ、順調に新芽の発芽を確認致しましたことを御報告させていただきます。
 苗木と植樹後の写真を添付いたします。
   五月七日       片岡林業 片岡信夫

2017年クヌギ手播き

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2019年4月28日

初めて炭点前を学んで

雲鶴先生招請研究会

小桧山宗恵(福島不白会)

 課題は「炭点前の基本」です。普段の稽古では電熱器を使用する事が多く、なかなか炭や灰に触れる機会がありません。今回始めて風炉の灰型を勉強しました。
 雲鶴先生より、炭点前の基本の説明があり、その後風炉に灰を入れ灰形を作る作業に入りました。和紙を釜底の大きさに合わせて四つ折りにして入れ、釜の足に入らないよう灰を入れました。灰は湿気を吸ってしっとりとしていました。一般的な丸灰形でしたが、火袋の峰を作るのが難しく何度も作っては炭を入れ大きさや傾きを調整しました。根気のいる作業の繰り返しでした。いつまでもならしていると崩れたり歪んだりと上手くできません。
 そんな時、「灰ならしは諦めも肝心」「釜によって灰の量が違うので決めておくとよい」「灰を温めると火が入りやすい」「何度も繰り返し自分の灰を作る」などたくさんのアドバイスをいただきました。完成した火袋の中へ炭を入れ温まった灰に触れると、初めとは違いふわふわとした感触でした。ゆっくりと湯が沸いていくのが愉しみでした。時間を掛けた一服は一段と美味しく感じます。お客様を招く時間を遡り、一から炭の準備をすることがどれだけ大変で思いやりのある茶席なんだと改めて実感しました。
 永年ご指導いただいた白井宗節先生がお亡くなりになり、未だ哀しみは消えませんが、白井先生の熱心なご指導を忘れることなくお茶のお稽古に励みたいという思いで研究会に臨みました。いつか、私もお客様をお招きし心からのおもてなしが出来るよう精進していきます。白井先生も見守ってくれていると思います。

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2019年4月21日

新潟不白会家元招請研究会

家元招請研究会 - 基本(体操十種・小習・テーブル茶)

○随行

古屋宗空(東京)

 当日は随行としてさしてお役に立てずでしたが、勉強になりありがとうございました。
  越の国の雪ありてこそ八海山
  鍋茶屋のあかりほのほの春寒し
  川の辺を行く人々ランナーも春の色
○テーブル茶の楽しみ

高野宗栄(新潟不白会)

 あまり身体を動かすことのない私にとって、ゆっくりとした呼吸と動作は普段でもできる部分を取り入れて、心身の安定に繋がる体操として今後も行っていきたいと思っています。
 掛け軸の掛け方、外し方は普段のお稽古でもさせていただいていますが、なかなか良い高さ、お花とのバランスなど難しく思うところでもありますので、今後のお稽古で、バランスの良い感覚を身に付けることが目標と考えています。
 テーブル茶でのお濃茶、今回の研究会で一番興味深い部分でした。テーブルの中心には季節のお花、丁寧な家元のお点前にみとれ、しずかな、また、緊張感のある空間であったと同時に、心を込めてお茶を点てるということの愉しみを、家元のお点前とお客様役の皆さんの笑顔で味わったように思います。
 丁寧な立ち居振る舞い、お作法と、気持ちを込めることの大切さを研究会を通して改めて実感しました。

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2019年4月19日

2019年度 家元教場研究会レポート(4)

基本(体操十種・小習・テーブル茶) 第一回 

自分のやっていることを再確認

藤田宗松(金A:久留米不白会)

 体操は家ではあまりしていなかったのですが、皆様と一緒にした後は気持ちよかったです。そして帰宅しまして足指でのグーチョキパーを毎日しておりますと、グーをしたとたんにつっていた指がつらなくなってきました。このまま続けていけば、正座の時の足のつりが軽くなっていくかなと、ひそかに期待しています。
 今回の小習は、自分のやっていることの再確認の教室に思えました。
 お濃茶のお盆点てではお道具配置などすっきりしていて良いなと思いました。帰りまして自分でお濃茶のお本立てをしてみました。盆上部j中央に茶入と茶筌が横に並べて置いてありましたので、茶入が取りやすく感じました。
 これからは、来客の折お盆点でお濃茶をお客様と楽しめたらいいなと思っております。
体操と小習

横溝圭仙(金A:八女不白会)

 自宅近くで日曜、祭日を除き、十人程度が集ってラジオ体操をしていて、身体を動かすのは嫌いではないのですが、数年前に両膝半月板損傷で長時間に及ぶ運動はちょっと苦痛です。家元が、足が悪くてもお点前をあきらめる必要はないとおっしゃってくださるのが、大変励みになります。
 小習は指導する側になるととても勉強になります。テーブル茶は濃茶、花月等、いろんなことができるということを教えていただき自宅でも稽古に取り入れております。高齢になり、いつまで東京に出かけられるのか心細さもありますが、挑戦してゆきたいと思っております。
体操の効用

森宗絹(金A:八女不白会)

 私にとって体操はとても身体が軽くなる運動です。特に、腕を耳の横に上げる動作と、肩を上げて後ろに引く動作は、肩凝りがとれ、背中が丸くならないように予防してくれるように思います。臥位の運動は腰痛によくきくようです。たくさんの運動はしませんが、疲れたときなど思い出しながらやっています。
 小習の掛物の扱いでは、自宅での稽古でもっとゆっくり丁寧に取り上げなければと反省しました。
 花生けでは、人の感性の違いによって全然違う使い方、入れ方があることを考えさせられました。
テーブル茶見学

堀地宗章(金A:群馬不白会)

 テーブル茶のお席を拝見して、距離が近いだけでなく、視線が高いせいでしょうか、一つの輪の中で楽しめるように感じました。お点前の手元が見えすぎて難しそうで、ポットからのお湯の加減や柄杓と違いお湯が茶碗の中で散ってしまわないか気になりました。
 テーブル上のお花が印象的で、さっそく帰宅後に庭のオダマキを切り飾ってみました。茶花と気負わずに入れても、お花は可愛くて和みます。大袈裟に考え前に進めない事が多いのですが「出来る範囲で」「気軽に」と前向きな気持ちになりました。当番をご一緒した皆さんの、積極的にてきぱきとした動きがとても勉強になりました。
床の花を活ける

森宗鈴(金A:高知不白会)

 当番で、床の花を活けさせていただきました。鉄鉢という器は大きく、掛物「為君葉々起清風」を鑑みて流れの枝を伸びやかに乱れる如くなびかせました。清風に清められ心が解放された気分で花材と格闘しました。
 さて午後、先生方に取り囲まれた床前を見て、我に返った如く、恥じ入りました。「乱れて盛んなるも守って滅びよ」という格言もあるようです。
 家元のお手直しをいただき、格言の深さにふれた気がしました。花材一本外しただけで、それは清楚で品良い姿となりました。勇気をふりしぼり床の花生けに臨んだ気分の高揚が生んだ作品であったことでしょう。この気分を静める修練に茶の湯のお点前が有るように思えます。いかなる場面でも冷静に対応できる自分作りに今後いっそう励みたく思いました。
テーブル茶 半東

丸山宗恵 (金A:東京不白会)

 テーブルでの濃茶で半東は何をすればいいか、イメージがわきませんでした。茶道口に控え、亭主の様子、正客をはじめ次客、詰めの挨拶、菓子をいただき道具を持ち出し、お盆の上に清めた道具が並んで濃茶をゆっくりと練る……。その様子をつぶさに拝見しました。
 反省会の際、半東として無力であったことに触れると、家元は「何か起こったときに、さっと動いてくれる半東が控えていることで亭主は安心して点前に専心できる」という主旨のお話をしてくださいました。控えているだけで安心だ、と亭主に感じてもらえるようなスキルを身に付けたいと思いました。
テーブルの花入を担当

宮園宗里(金A:不白会)

 初めて参加する研究会の当番で、テーブルの花入を担当しました。床の間の仏器の花入は難しそうだったので、テーブルの花ならできるのでは、と思い手を上げましたが、まず花選びに迷いました。日頃の稽古で花を活ける練習をしていますし、床の間や家の中に花を活けているという自信のようなものはあったのですが、テーブルの花が一番難しかったんだと思い知らされました。花入をどこに行けばいいのか、これまで見ているようで見ていないことに気づきました。掛花の鉄線は、朝はよかったのに昼からしおれてしまい、水の入れ方を反省しました。
 今回の研究会では亭主としての気構えを花入から学びました。

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2019年4月17日

2019年度 家元教場研究会レポート(3)

基本(体操十種・小習・テーブル茶) 第一回 

広間の床の花を担当

本間宗尚(水A:東京不白会)

 「為君葉々起清風」という慈愛に満ちた掛物と鉄鉢の花器。御軸の長さがあり、黒くずんぐりと円い花器の重量感とのバランスを考えて少し悩みましたが、持ち寄った花材の中に濃い紫紅色の牡丹が一輪ありましたので、葉を整理して少し低めに入れました。思いのほかすっと納まりましたのでひと安心し、仕上げに充分に霧を吹きました。ところが、その後、鉄鉢にかかった多量の水滴 を宗匠にふき取っていただくことに なってしまいました。
 研究会では応用や間を学び取る事ばかりに多くの気が向いていましたが、お道具のことを充分に知らなければ大事に扱うことはできないのだと、基本中の基本を身にしみて思い知りました。
テーブル濃茶の次客

今井光雪(水A:熊谷不白会)

最初は主客の距離の近さに戸惑ってしまいましたが、家元のゆったりとしたお点前が進むにつれて、主客の近さの程よい緊張感はテーブルにもかかわらず、まるで小間でおもてなしを受けているように感じてきました。
 四時間近くかけて行う茶事をテーブルの上に凝縮させる事は大変かもしれませんが、今、自分が置かれている状況の中で、何が出来るのかを見付けて、工夫をすることが大切だと思いました。
テーブル茶の客として

榎本宗浩(水A:東京不白会)

 テーブル茶の客として入席。寄付にはブルーノタウトの「太白山」画の小幅。花月の間の床飾りは「為君葉々起清風」の穏やかな墨跡。花は今にもはじけんばかりの、いかにも牡丹色の牡丹が鉄鉢に。御床から清々しさと若さをもらい、明るい色の更紗布が掛けられたテーブルを囲んだ。菓子は「広沢」。水面に翠が染む。喚鉦があって家元の濃茶が始まった。 木瓜型面取り盆に、大ぶりの濃茶器、落ち着いた色合いの仕服から瀬戸の濃茶器が表れた。自作のお茶杓から掬い出されるタップリのお抹茶、丁寧に練り上げた一碗。古服紗を添えてだされた。一口いただく、二口目、なるほどと実感と納得。皆さんの目が背中にあるのを忘れた一瞬である。
 客と亭主が間近に接するテーブル茶、会話も弾み、お道具もより近くで拝見でき好ましく感じました。伝統は時代の流れとともに替わりゆくもの。私達はその心を受け継いでいかなければならないと、自覚した一日でした。
臨機応変に工夫することの大切さ

松田宗啓(水A:東京不白会)

 今年の研究会では広間の床、テーブルの上、寄付の床の掛け花を午後の部までに、当番の私共で活けるようにとご指示がございまして、私は黒百合を持参しましたので、テーブルに生けさせていただきました。
 午後、宗匠より一点一点丁寧にご指導賜りまして大変感激しました。生けてある花を拝見することも勉強になりますが、宗匠がお直しになる過程を拝見できることは何よりの勉強です。また、テーブルの花の位置につきましては、私はポット、建水は左に置 くものと、固定観念に囚われておりましたが、宗匠はポットも建水も右側になさり、花を左側の隅へ置かれ、なるほどと感心致しました。
 常に臨機応変にお客様のことを考えて工夫することの大切さを今回の研究会を通して学ばせていただきました。
掛け花を活けて

西貝宗正(水A:東京不白会)

 掛物は幸田露伴、やさしい筆跡の消息文。花入は竹の細筒。消息文には、洛北、保津川の文字が見てとれました。
 竹の花入は掛釘の穴の下一センチまで水を入れ、柱に掛け、この時期の爽やかさを表現しようと皆で持ち寄った沢山の花の中からトキワ宝鐸草の垂れ下がって咲く花とぱっちり開いた白山吹を若緑の葉のいいハーモニーが生まれました。
 活けてみると、上部の白山吹が浮いている感じです。家元は、「水はぎりぎりまで入れます」「花は立って見たのでは決まりません。座って見て下さい」とおっしゃって上方の花一輪をチョンと切ってくださいました。もう一度座って床を見ますと、風薫る初夏の京都を思い描いていました。

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2019年4月16日

2019年度 家元教場研究会レポート(2)

基本(体操十種・小習・テーブル茶) 第一回 

体操継続とテーブル茶

西谷宗晴(火A:東京不白会)

 年々体力の衰えを感じておりますので、課題の体操十種は体力維持には大切な事と実感しております。なかなか難しくて覚えられず困っています。継続は力なりと言われておりますので、続けることが今の私に課せられた事と受け止めております。
 私の一番の難題は正座が長くできないことです。今回のテーブル茶では家元のお点前でお客様がお濃茶をいただき、座がとても和んでおりましたので、私も自宅の応接間の椅子でお濃茶でお客様におもてなしできればと思いました。令和の時代を人格と品格とを目標に日々を過ごしてゆくことができれば幸せと思っております。研究会を楽しみにしてがんばります。
テーブル濃茶の半東

山崎裕雪(火A:東京不白会)

 当番としてテーブル茶でのお濃茶の半東をさせていただきました。午前中の体操で身体も身軽になり、動きもいつもより軽やかになったような気がしました。テーブル茶の半東ですので、それほど動きはないのですが、事前の準備とお客様のご案内、お菓子をお出しする等を行いました。
 テーブル茶というと、本来は会話もはずみ、和気靄々とした雰囲気の中でお菓子とお茶をいただくイメージでしたが、 お濃茶となると全く違い、厳粛な空気感で静かに行われました。いつもより凝縮された空間で亭主とお客様が向かい合い、無言で全員の視線が一点に注がれている様子はテーブル茶とは思えない緊張感でした。
 テーブルを挟んで、正に目の前で家元のお点前を拝見できて、お客様にとっては夢のような時間なのではないかと思いました。ただし、お点前をする方にとっては、とても緊張しそうです。家元も濃茶をするにはこの距離は近すぎるとおっしゃっていました。
 今回テーブル茶でのお濃茶、とても勉強になりました。炉や風炉がない場所でもお濃茶が点てられます。型を大切にしつつ、その場に応じた型にはまらない試みも大切だと実感しました。今後、実践してみようと思います。
 毎回、新しい気づきがあり、次回の研究会もとても楽しみです。
テーブル濃茶を実践

茂木宗秀(火A:東京不白会)

 心に残ったことはテーブルで行われた濃茶でした。和気靄々と皆さん楽しそうでした。それでいてきちんとした濃茶でした。家でも行ってみたいと思いながら帰りました。
 ある日旧友人から電話があり、連休に三人で遊びに来たいと連絡がありました。これは良い機会だと思い、実践してみることにしました。古いテーブルを出して布をかけ、軽い食事も用意することにしました。薄茶を飲むくらいで何も判らないということなので、お弁当にし、テーブルに用意してからお客様に席に着いていただき、一献と椀物を出しました。食事を終え、お菓子を出して中立ちし濃茶と薄茶を出しました。友人の感想は、テーブルなので気負わず楽しかった。濃茶は初めての味でよくわからないけど、甘かったと言ってました。季節が変わったらまた来るそうです。
 皆の顔を見ながらおしゃべりし自分も楽しく過ごせました。茶事もお客様に合わせた形で行えばいいのだと思いました。

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2019年4月14日

長野不白会家元招請研究会

家元招請研究会 - 基本(体操十種・小習・テーブル茶)

◦テーブル茶を見学

    茂木宗竹

 四月十四日、李支部長宅において、研究会に参加させていただきました。
 今年のテーマは体操とテーブル茶「濃茶」ですので、皆さん洋服で参加しました。十時より家元の指導により体操が始まりました。私は一番前列で家元の体の動きを拝見させていただきました。まずは足の爪先の関節をぐりぐり回し、足、膝、腰と関節をゆっくりとほぐし、特に腰部は子どもが駄々をこねる時のように手と腰をブラブラさせることで、歪んでいる部分を正常化させることが目的でしょうか。家元の推奨されている体操は器具は何も使用せず、体幹を鍛えることができて、転倒予防につながると思います。普段の生活の中では歩きながらまた、食事の準備をしながら、テレビを見ているとき、意志さえあればできることだと思います。早速稽古の前に研究会の報告をし、体操を実践してみたところ、「身体が伸びて気持ちが良い」などの声もあり、稽古前のコミュニケーションもとれてよい事と思われます。
 昼食の後に小習として「掛軸の掛け方、外し方」、箱へ仕舞うまでご教示いただき、正しい扱いが習得できました。「うぐいす竿」「長短自在」も初めて知りました。
 床飾りの準備の後、テーブル茶を見学。テーブルの上には濃茶入れが据え置かれ、主客、次客、三客の座る位置、花入の位置が確認できました。テーブル茶はお客との距離が近いので、自宅でのおもてなしには最高だと思います。「百聞は一見にしかず」何事も体験することは大切。茶の湯と体操、最初は疑問に思ったこともありましたが、今回の研究会に参して心身ともに健康の大切さを改めて認識致しました。只今、我が家の庭では利休梅が満開です。こんな素敵な花にあえたのも茶道のお陰です。
◦半東を務めて

市川宗恵

 体操中心の研究会、思いっきり身体を動かす事ができ心も身体も今までと違った爽やかさを感じました。特に腹式呼吸が気に入り、時々意識して実践しています。
 家元亭主による、テーブル茶の濃茶点前では半東を務めました。
 テーブルの用意を家元の指示をいただきながらしました。座布団も三人のお客と家元の席に用意。いつの間にか半東の座り場所にも座布団が用意されており、感謝しながらそこに座りました。家元の優しいご指導と心遣いに感動した研究会になりました。
◦床全体のバランスを考える

神農宗史

 体操に関しては、ゆったりとした動きながらも、思った以上に筋力を使いましたが、心地よい疲労感と爽快感が残り、元気に長くお茶を続けていくためには必要な事だと深く実感いたしました。また今回私は掛物について、家元から直接教えていただくという大変貴重な経験をさせていただきました。お招きする方のことを考えながら掛物に向き合うことや、床全体のバランスを考える事が何よりも大切であることを学びました。
 テーブル茶では、三客に入らせていただき、早くも念願かなって家元が点てた大変まろやかで美味しい濃茶をいただくことができました。飲み終えた後の薩摩焼の白い茶碗に映える信濃連山の景色が今も心に残っております。まるでご褒美のような体験での締めくくりに、大変有意義な一日となりました。

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2019年4月10日

共食論の理想と現実

足立淳雪(東京不白会)

 諸外国から国王や大統領など元首暮らすの国賓が来日されたとき、天皇・皇后両陛下は宮中で盛大な晩餐会を開き歓迎の意を表される。その国賓は滞在中に同国の大使館なりホテルなりに両陛下をご招待してリターンバンケットを行い謝意を表す。このように人類は古代から、そして未開の民であっても、ひとつの場で同じものを飲食する、つまり共食をすることによって、親睦を深め合ってきた。
 茶の湯は、それが最も洗練された形の文化である。しかし正式の茶事の場合、これまでは、亭主はサービスに徹し、席中の懐石では、客から「お持ち出しで、ご一緒に」と勧められても、「勝手でご相伴いたします」と固辞するのが常であった。
 これに対して、家元は、それでは共食の理念に反すると、亭主の持ち出しをご希望になる。たしかに主客の間に和やかな会話が弾み、共食の効果が実現するのだ。
 ところが、ところがである。実は昨夏、家元が軽井沢のご別荘に来られたときに、近在の我が家に、粗末な茶事でお招きした。家元は、例のご持論により、亭主の持ち出しを望まれたが、台所に料理人か細君でも詰め、お運びは弟子がなどという訳ではなく手を借りたい猫一匹も居らず、何事も一人亭主が席中でおしゃべりしていたら、次のコースは何も出てこないで、お茶事がストップしてしまう。
 このような貧寒たる茶事は別にしても、これから若いお茶人が、自宅での茶事を志すような時には、本懐石どころか半懐石すらままならないかもしれない。そんな折は、日本が世界に誇るお弁当か。大皿盛りのビュッフェスタイルか。家元がお勧めのテーブル茶ではそれがふさわしいかも知れない。
 一人亭主の茶事でも、共食の理想を実現し、お茶の風情の溢れる良い案が、きっと創造されることだろう。

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2019年3月31日

寺田虎彦の旧居で研究会

家元招請研究会 - 基本(体操十種・小習・テーブル茶)

江島宗和(高知不白会)

 寺田虎彦の旧居で研究会は行われました。手入れの行き届いた庭には、椿、さざんか、れんぎょう、すみれなどが咲き、虎彦の面影を残しています。
 はじめの体操は、狭くて充分な動きはできませんでしたが、ゆっくりと呼吸を整えながら歩いたり腕を回したりしているうちに心身一如の通り雑念が払われ、心が落ち着いて清らかになる心地が致しました。
 小習では掛け軸の出し入れ飾り方。軸を巻く時には端をきちんとそろえること、ゆっくりと丁寧にまくこと、家元の指先の動きが涼やかで心をこめるということはこういうことだと一つ一つの基本を重ねることの大切さを感じました。
 午後からはテーブル茶の花月。面白く楽しく、座替わりのすれ違いで「ハイタッチ」なんて、思わず笑ってしまって会場が和やかな雰囲気に包まれました。これなら堅苦しくなく畳に座ることが苦手な方も外国の方々にもお茶を楽しんでいただけるのではないかと新しい風を感じました。
 基本と応用と、心と体と、和と洋と、古きものと新しいものを自在に取り入れ、新しい今の茶の湯の道を教えて下さったように思いました。会が終わった後、家元が床にあった花蘇芳の枝をちょっと手直しされました。小さな花器に挿してある中心の枝でしたが、一瞬にしてきりりと引き締まり、皆、息を呑む瞬間でした。花の一枝で立腰の心を感じました。
 寺田邸温故知新の花すおう

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2019年3月25日

八女不白会家元招請研究会

家元招請研究会 

沈黙の花月が気楽な光景に

徳永宗洋

 体操十種、三年ぶりでしたが、素足で畳をつかむ気持ちよさ。日頃使わない筋肉を思いっきりゆっくりと動かす。それから忘れていた腹式呼吸。掛軸の扱いは、家元の説明が判りやすく、自分の家で自分のお軸で実践を心掛けたい。
 「テーブル花月」、どんな花月だろうかと思っていたところ、沈黙の花月が気楽な光景。知らない方とでもかしこまる事なく会話ができる。ほほ笑ましい。ただし、折据の廻し方をきちんとマスター。花月の基本を理解していなくてはと思いました。
花月百遍おぼろ月

金沢洋雪

 花月百遍おぼろ月といわれるように、これまで何度かお稽古はしておりますが難しさを感じていました。今回の課題が「テーブル花月」と聴き、どのようなものかまったく想像ができず、心配でした。
 長テーブルに亭主と客三名が席につき、自己紹介の挨拶から始まりました。初対面のお客同士でも、会話の中から自然と笑顔も見られるようになり、雰囲気も和んでいきました。今まで無言で行ってきた花月でしたので、意外な光景でした。
 お点前が始まるにつれ、折据の進みやお茶碗が出た後の香道などを考えていると頭がいっぱいで、どうすればよいか迷っていると絶妙なタイミングで家元よりご指導がありました。
 家元がおっしゃった「おいしいお茶を点てることを心掛ける」ことを考えると、全体を見渡しタイミングよく自分の役割を果たす事がそれにつながるのだと感じます。
 今回のテーブル花月は、難しい足の運びもなく、気楽に楽しんで行えることが判り、いつもと違ったテーブル花月はよい経験にいなりました。今後は人数が揃えば気楽に「テーブル花月をしましょう」とお誘いできるよう、日々の生活の中にも取り入れていきたいと思いました。
体操十種を入浴時に

織戸宗栄

 体操十種は家元研究会の時、少しずつでも何度も体験していますので、少しアレンジして毎晩入浴時に実践しています。仕事の時は一日中靴を履いているので、足指のほぐし、両手のばし等、とてもすっきりした気分になります。
健康でお茶を続けていくために

松延幸子

 体操では、第一に姿勢を正す事、頭の位置が大事な事、その後実行している事は腹式呼吸、足の指のグーチョキパー。これは右足はできるけれど左のチョキができません。胡坐もかくことができず、股関節が全く開かずに以下に身体が硬いかを痛感しました。毎日胡坐をかき身体をほぐしています。足取りがよくなり、体が軽くなったように感じます。最初は折角家元を招請するならお茶のことを教わりたい、なぜ体操なのかと思っていましたが、体の健康が源であることが判りました。これからも続けていきたいと思います。健康でお茶を続けていけますように。
 初めてのテーブル花月は見学していても楽しく、面白く拝見しました。二人位解った方がいたら、全く初心者でもゲーム感覚でできるかなと思いました。茶の湯のイメージががらりと変わり、気楽に楽しむことが必要なのだと思いました。感想文を書くように、インプットしたらアウトプットしなさいと言われました。教えてもらったら書いたり、人に話したりすると記憶に残るそうです。
和やかで楽しいテーブル花月

大坪宗和

 体操十種には依然から興味がありDVDを購入して自分でやっていましたが、細かい個所が解らず、多忙もあって自分の中に体操を染み込ませることができませんでした。今回、家元の指導でやってみて、まず、足から手指、肩から腰、背中、歩き方と体の軸を意識して踵を地につけての平行移動、アキレス腱が伸びて体に痛みを感じました。左右に両手をふる、ブラブラ体操では、自然に体の軸が整いました。酸素が体中に行きわたり、頭から足の先、手の先にもめぐって爽やかな気分でした。
 家に帰り、早速廊下を歩いたり、足だけ、手指だけ、屈伸運動だけなど、区切りをつけて五分、十分、短時間で実行しています。肩から背中を意識して足を運び、肩、背中、中心軸を意識した美味しい一服のお茶を点てる動作と心に思いを込めて練習しています。  掛軸の取り扱い方は学びの多い体験でした。箱からの入れ方出し方、表題、箱書きの確認の仕方、掛軸作法とでもいいましょうか、流れるような扱いが印象的でした。一連の流れによる美しい所作、床の間と掛軸の対比の美しさ、近くから遠くから、一度離れてまた見直す新しい目、空間の美、全体の美。
 桐箱の収納の仕方では、軸先がはまる「枕 軸受け」の溝があるので、それに合わせて収納すること、桐箱、紙箱、共に右側に箱書きを収める事など学びました。  テーブル花月はどんな花月か興味津々でした。挨拶から会話も和み、テーブルを囲んでお盆点てが始まり、札を回し、交代仕方、ハイタッチ、和やかな楽しい時間でした。 残念なのは半東さんに「月」が回ってこない事で、最後の止めの時に、半東相伴があったらいいなと思いました。後日稽古の織りに先生にテーブル花月をご指導いただきました。遠くで拝見していましたので、お盆の中の茶器の配置がよくわからなかったのです。お盆中央から手前に茶碗、棗を引き、清めた後中央左上、その右に茶筌、さらに右手前に茶杓、その右手前に茶巾、左上に服紗、 茶碗を少し右寄りに、そのあとは常の如く札をまわして抹茶を立てる。
 日本のお茶文化が沢山の家庭に浸透するようになればと思いながら娘と自宅で毎日お盆点てや立礼をテーブルで楽しんでいます。

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2019年3月19日

2019年度 家元教場研究会レポート(1)

基本(体操十種・小習・テーブル茶) 第一回[ 

はじめての参加

上村宗貴(土B:東京不白会)

 家元研究会へ初めて参加させていただきました。大変実り多き一日となりました。
 研究会で印象に残った言葉は「軸(幹)」と「自由」です。身体も思考も自分自身の軸が定まることで、茶の湯の世界が自在に広げられることを考える機となりました。体操の意味と刺激もじわじわと感じております。これからお庭の苔もいっそう青々と瑞々しさを増すことと思います。五月の研究会も今から心待ちにしております。

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2019年3月1日

河梁

濱田宗穂(東京不白会)

 息子の保育園卒園式の後、隣のお母さんに我が家にお茶をしに来ませんか? と声をかけてみた。急な誘いにも関わらず、総勢二十名が集まった。
 保育園には三年間お世話になったが普段なかなか親同士の交流はなかった。これを機に定期的に集まりましょう、という話しになった。思い切って声を掛けてみるものだ。
 振り返ってみると、何の準備もないけれど、お抹茶だけはある、その安心感が一声掛ける後押しをしてくれた。お茶のお陰で新たな交流が始まった。

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2019年1月20日

新潟不白会 八十五周年記念 初釜

佐藤宗孝(新潟不白会)

 去る一月二十日、老舗料亭鍋茶屋に家元ご夫妻、博之様、宗康先生ご夫妻をお招きして盛大に執り行われました。
 濃茶席とテーブル席があり、一グループ約三十人、三つのグループに分かれて席入りしました。濃茶席で、中野支部長と宗康先生の挨拶を伺っていると、菜花と鮭びたしの八寸が出され、嶋台のお茶腕になみなみと越乃寒梅が注がれ、お正客より順に回ってきました。雰囲気も一気に変わり皆さんのお顔に笑みがこぼれます。サプライズのもてなしに私の緊張も飛んで行きました。その後のお濃茶が一層美味しく感じられました。
 次は私達のテーブル席です。私のテーブルには雲鶴先生がお座りになり、家元ご家族のスキーの楽しい思い出もお聞きしました。テーブルを囲んみ、お茶を点てながら雲鶴先生の温かいお人柄に触れたことも有意義なひと時でした。各テーブル、お花の生け方、道具の組み合わせ、それぞれ個性がにじみ出ていて、楽しいお席になりました。
 午後の懇親会では、家元の篠笛をじっくりと拝聴。お楽しみ抽選会では家元からの色紙のプレゼントもあり、当選した方の嬉しそうな表情が忘れられません。次回は五年後の九十周年、皆さんお元気でまた集えることができますことを祈念し散会となりました。

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2019年1月1日

各地初釜だより

2019年1月12日

◎仙台同好会

上野 爾今

 一月十二日、国分尼寺逢庵にて初釜。 家元、雲鶴先生、元仙台博物館館長・佐藤憲一先生、岩手支部長・澤野先生を迎え華やかな席となる。会席、お濃茶と続き、家元持参の掛物・伊達政宗消息を佐藤先生の解説で勉強、贅沢な席。消息から小田原における千利休との出会いのことが膨らむ  別茶室にて客人はお薄をいただく間、稽古仲間が代わる代わる自由にお薄を点て、賑やかに一服を楽しんだ。
 一月二十六日、場所を変え福聚院 逞々軒にて初釜スタッフと当日欠席者のために初釜趣向で労い茶事をする。炭手前から濃茶 お薄と。お薄は新しいメンバーも和気あいあいに一服を点てる  新人の活躍が目を見張る。 毎回稽古前に全員にて茶花を入れる。これが稽古場の楽しみの一つでもある。雲鶴先生のご指導の賜物でである。

2019年1月13日

◎岩手不白会

澤野宗桂

 家元ご夫妻には岩手不白会の初釜にお揃いでご来席いただき大変光栄に存じました。幸先よいスタートを切れたと思っております。お年始のお心遣いを頂戴いたしまして恐縮に存じました。
 前日小枝和尚様の初釜に初めて出席させていただき、次元の異なった雰囲気で緊張いたしましたが、大変よい経験をし、また楽しく過ごす事ができました。
 今年はご初代生誕三百年諸行事でご多忙を極められると存じますが、私どもは家元のご指示に従い邁進いたしたく思っておりますので、どうぞご指導よろしくお願い申し上げます。   

2019年1月23日

◎新潟不白会

中野宗順

 先日は大寒の新潟へ皆様おそろいで御出席いただきまして、誠に有り難うございました。
 お陰様で八十五周年の初釜も盛大に終えることができました。支部の皆様も大変楽しまれた様でございます。
 舞台の上での家元の篠笛も美しく、音色も新年を寿ぐにふさわしく今年も一同にとって良い年になる事とうれしく拝聴いたしました。
 濃茶の前の祝盃もサプライズで喜んで頂きました。家元、雲鶴先生、宗康御夫妻、博之様とそれぞれお正客をしていただき、皆が御一緒に共に出来たことに感謝申し上げます。

2019年1月27日

◎長野不白会

市川宗恵

 少し遅めの初釜が小諸文化センターで行われました。
 当日の朝は、新年のはじまりを祝うかのように辺り一面銀世界でした。
 足下が心配な中、総勢二十名の出席者でした。この初釜の時だけお会いする会員さんもいらっしゃるので、 とても楽しみな一日であり、大切な一日でもあります。
 支部長をお正客に、お客様は、今年はくじ引きで順次席が決まっていきました。支部長のご挨拶から始まり一献を傾けながらの楽しい会食が進みました。お席は一月も下旬ということで、及台子に朱手桶の趣向。お床の花も松に菊と、随所に初釜らしさの演出がされていました。
 私はお当番として今回、薄茶点前を担当致しました。
 以前、招請研究会で、お茶はいかに美味しくお客様に飲んでいただくかが大切、とのお話を家元からうかがった事を思いだしながら薄茶を点てました。冬なので少し熱めに点ててしまいましたが、お正客の「美味しいですよ」のお声に安堵いたしました。

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2018年12月15日

ご相伝式に列席して

高木宗永(東京不白会)

 先日は、ご相伝式に列席させていただき、ありがとうございました。小さい頃からいつか師範になれるように、いつか家元にお会いできるようにと稽古してまいりました。何度も写真で拝見してきた家元邸は、東京とは思えない程静かで、その静けさがとても心地よく、趣深く感じました。
 〝いつか〟は夢のように遠い日のお話と思っていましたので、目の前でお点前拝見させていただき、本当に嬉しかったです。何より嬉しかったことは、家元とお話しさせていただきながら、お食事できたことです。
 共に食し、一献交えることは、こんなにももてなしの心を伝えることなのだと改めて感じました。「ようこそ、おいでくださいました」と今まで口にしたり、言われる事はありましたが、それを肌で感じとることができたのは初めてのことでした。もてなしに心を入れること、所作やふるまいで示す事がまだまだ私に足りない「力」なのだと知ることもできました。
 「お茶を〝行く〟ものではなく、家で〝する〟ものにしなさい」  最後に家元が話をされた言葉を自宅に帰ってからも、よくよく考えています。茶道が稽古場の中で行うものでなく、毎日の生活、普段の所作からも学び精進できるものであるということかな、と考えました。
 看板に恥のないよう、精進に努め、次に東京へ行ける日までに、少しでも成長しようと決心がつきました。

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2018年11月30日

ライプツィヒで茶の湯を

大黒 耿雪(青森不白会)

 旧東ドイツの南にあるライプツィヒを訪れた。この街にマクス・プランク研究所というノーベル賞受賞者を何人も輩出している物理学や生理学の研究施設があり、息子が勤務している。変わり者で高校時代は作曲家を目指し、その後、理学療法士になって病院に勤務すると次は「脳の研究をしたい」」と大学院に進み、医学博士の称号を得、東京大学、オックスフォード大学の研究員を経て現在に至る。厳しい世界らしく、来春までに評価される論文を書かないと雇用が継続しないかもしれず、在籍している間に見ておきたい、と訪れる事にした。 すると息子から「研究所でお茶を点てて欲しい」と要請、慌てて道具一式をトランクに詰めたのだった。
 研究の合間にコーヒーなどを入れるための部屋で、テーブルでの立礼の略式。最初の客は「日本の茶道にとても興味をもっている」という台湾からの若い男性で、息子が私の事を「ティセレモニーのマイスターだ」と説明、お茶を点てて出すと「日本のマナーを教えて欲しい」と尋ねてくる。「両手で持ち、正面を避けるように少し右に回し、二口か三口で飲んでください」と教えると「台湾にもお茶を飲むときのマナーを大切にする文化があり、とても親しみを覚える」と話した。二人目の栗毛色の髪をしたヨーロッパ人女性は飲んだ後「デリシャス」と感想を漏らした。この建物の中で茶の湯の作法を見せたのはおそらく私が最初、研究者も初体験の珍しさに満足してたようだ。私も未来のノーベル賞学者の卵にお茶を振る舞ったのは、後の誇りになる事だろう。

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2018年11月25日

招かれて味わった至福のとき

家元招請研究会 - 課題「唐物(茶通箱)」 

高橋宗津(岩手不白会)

 十一月二十五日、平成最後となる家元招請研究会は課題「茶通箱」でした。私は正客として学ぶ貴重な場を与えていただきました。
 家元が亭主、半東は博之様です。まず、「茶通箱」とはどのようなものか、本来の意味や用途などをご説明下さいました。また、今回は箱を表道具として棚に飾られました。
 箱の扱いは、指の運びや動きだけに気を遣う事ではないこと、心して取り扱うしぐさなのだと学びました。
 初座では、床の「茶是長寿友 宙心庵閑雪」のお軸で、若い頃の筆であろうと家元は由緒をお話しくださいました。翌日、十一月二十六日が、先々代さまのご命日、なにか特別な思いがいたしました。
 炭点前に入り、炉に寄ると、その種火の美しかったこと、感激いたしました。
 点心席では、お料理やお酒をいただきましたが、お茶事でのこの席は主席とは別のものだとわかりました。初座でも半東の役割は大事だと気づきました。
 後座では、喚鉦に迎えられて、お床の見事な花に見入り、座に着きました。
 厳粛で、美しい流れるようなお点前を間近で拝見し、丁寧に練られたお濃茶は、本当に美味しい最高のお茶でした。今、一つのお濃茶もいただいて二種の味の違いをはっきり感じました。茶碗拝見で、二服目の濃茶を飲み切ったときにも拝見に出されましたことに気づきました。一服目と同じ茶碗なのにと不思議に思いましたが、茶碗拝見は、お茶の色や香りを見、感じることだとお教え頂き、一服目とは別のお茶だからと、茶碗を見せてくださったとわかりました。
 半東の博之さまは、気づくとお茶やお道具をお運び下さっていて、その動きは、まったく自然で美しいお姿でした。
 いつの日か、茶通箱のようなお道具で、お茶好きな友を招き、二種の濃茶を点てちがいを味わい、楽しみたいと思っております。

田山宗由(岩手不白会)

 家元と博之様を岩手山の一際美しい小春日にお迎えしての研究会、茶通箱のお茶の掃き方から丁寧にご指導いただき、自ら亭主をなさり楽しみにしておりました炭点前をはじめ、全ての所作の変わらぬ美しさは体操十種の賜物でしょうか。またほっこりとした優しい銘の「木守」のお茶碗でとろりとしてふくいくたるお濃茶をたっぷりいただきました。お茶の味わいに集中できるように配慮されたお点前の進め方、お茶入、お箱の花押を拝見では一瞬身も心も引き締まりました。木守のエピソードや富士登山のお話を楽しくお聞きしてすっかり和みまして、席の設定を始めお心遣いをひしひしと感じ客として本当に何と幸せな研究会でした。社中もお稽古で茶通箱のお点前が思ったより簡単だったとそれぞれ言っておりました。まお亭主が二種のお茶を用いた事の方が会話もごく自然で現代にはあっているように思いました。お稽古に活かして楽しんで参りたいと思っております。ありがとうございました。
 博之様の半東としてのお働き大変勉強になりました。

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2018年11月17日

家元教場研究会レポート(16)

課題ー古典(相伝物) 第四回 茶通箱 

炉開き
下火に菊の葉を乗せ、塩をまいて清める。切り火をする

半東として

河内 彩雪(土B:東京不白会)

 お当番では、十一月の炉開きで行う茶通箱の半東という貴重な機会に恵まれました。半東は通常のお稽古でも動きに気を配りますが、研究会での相伝物ではなおさらのことでした。家元の濃茶点前の最中、ふっと口切りの茶の香りが漂ってきました。ああ、なんていい香りだろうと顔を上げて、ゆっくりと茶室全体を見渡すことができました。
 芳しいお茶を、美味しいうちにお客様にお届けしようと、自然と思いがわき、少し落ち着いて動けたような気がします。
 一瞬ですが、茶席の皆様と心が通い合ったように感じました。お客様をもてなすには、まず自分の心の平穏を保つことが大切だと気付きました。  

花月の間 水屋の準備1

水屋の準備2

水屋の準備3

水屋の準備4

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