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2012年11月17日

家元による茶事の研究会

研究会会場
 宗匠よりいただきました「しのばずの 桜並木は紅葉いろ」で始まる研修当日の「新潟出張スナップ(句集)」は、新幹線の車窓から刻々と変わりゆく冬景色の様子、そして「…やがて雲低き都会(まち)新潟」とあります。
 私の自宅近くに日本最大の亜種オオヒシクイの越冬地「福島潟」が有り、既にオオヒシクイ二千四百羽、コハクチョウ三千四百羽が記録されていました。研修会場「燕喜館」はそうした〈雲低き新潟〉の中心街に隣接する白山公園内に、明治から昭和にかけ活躍された斎藤家邸宅を平成九年移築再建したもので、会場の「奥座敷」は、三つの広間からなる四十畳。メーンは紫壇、黒壇などを使った床を擁する「三の間」。研修は、今年のテーマである相伝物から「茶通箱」。宗匠が会場のお床、棚等の設えを点検され、水屋でお持たせのお茶入に自ら茶を掃き準備されるなど、普段お目にかかれない所作の一端を垣間見ることができました。
 研修前の緊張感を和らげる優しい気功を交えた体操を終え、いよいよ本番です。
 宗匠自らご亭主を務められ、初座のお床には、流祖不白が喜寿に書かれた力強い「鐡團圝」のお軸が掛けられ凛とした緊張感が走る。
一献
 宗匠の流れるようなお炭点前と見事な景色、ほんのりとした香の漂う雰囲気に何時しか心なごみ、続いて運ばれた八寸に盛られた山海の珍味と地酒。宗匠の気さくなお話とお酒で暫し舞台に居ることをも忘れ、こんなに飲んでいいのかしらとふと我に返ったこと。
 銅鑼のお鳴り物で後座が始まり、お床にはジャノメ木の花入れに椿と照り葉。
宗匠のゆったりとした服紗裁き、お茶碗を温める所作のやさしさ、たっぷりと点てられた芳潤なお濃茶のおいしさ……。この度の研修で一番の収穫は「おもてなしの心」を身を以って体験できたことです。
宗匠の流れるような所作と、美味しく頂いた二碗それぞれの個性あるお濃茶。ご一緒した方が「もう二度と頂けない」とおっしゃった感動の言葉は決して演技ではありませんでした。客に少しも違和感を感じさせない宗匠の心配りに、ふと研修中であることを忘れ至福のひと時を過ごさせて頂きました。
 亭主が如何に客を和ませ豊かな気持ちにさせることができるか。それは温かい包容力のある自然な〈気くばり〉がどこまでできるか、客も又その心をしっかりと受け止め感動する感性をもった人間性が問われているように思いました。将に「啐啄」の精神そのものと肝に銘じた貴重な経験をさせて頂きました。
掛軸

    ◇   ◇   ◇
 《研修後雑感》
 この度の燕喜館での研修で、少し気なっていたことですが「流祖不白」が書かれた「鐡團圝」についてです。なぜこの言葉を喜寿(寛政七年・一七九五)に書かれたのでしょう。
禅僧は、十年毎に遺偈をそれとなく残すといいます。寛政二年良寛(三十三歳)は、備中玉島の円通寺での十一年に及ぶ厳しい禅の修行を終え諸国を行脚し、寛政九年頃国上の五合庵に住むわけですが、その頃「流祖不白」は七十二歳位ですから同時代を生きた人として因縁めいたものを感じてします。その良寛が偈に相当する次のような漢詩があります。「回首す 五十有余年 是非得失 一夢の中……」「閃電光裏 六十年 世上の栄枯 雲の往還……燈火明滅す 古窓の前」「回首す 七十有余年 人間の是非 看破するに飽く……一炷の線香 古匆の下」と自らの命を「夢」から「燈火」に、そして更に細い「線香」に。限りなく「無」に帰すと。
 「鐡團圝」を「禅学大辞典」では、「分別の歯の立たぬもの。堅固にして円かなこと。また、没巴鼻。「見成公案、大難大難、百雑砕(ひゃくざつさい)、鐡團圝、和レ風塔二 在玉闌干一」(虚堂碌1)]とあり、臨済宗では特に重んぜられる語録の一つ虚堂(きどう)碌(虚堂和尚語録十巻)に出てきます。人智では、何ともし難い自然の法則、全ては無に帰す、悟りの境地。江戸時代の末期という歯止めの利かない胎動とも言うべき大きな時代のうねりの中で、真に大切なものが失われて行くことに危機感を感じての激文ともいうべき想いを、喜寿の今この「鐡團圝」という言葉に託されたのでは……。「燕喜館(研修会場)」の大きな床に喜寿とは思えない堂々たる気迫に満ちた「鐡團圝」の書は、私たちに何を捨て何を伝えて行くべきかを訴えて居られるように思えてなりません。
 時代が変わっても人間の本質的な心情は変わらない。先取り・スピードの時代と情報が氾濫し、目先の現象のみに振り回され右往左往してしまっては、身も心も疲弊し自らを失ってしまう。一瞬の内にすべてを失った3.11のあの大災害を、私を含め多くの人達はテレビのドラマを見ているような錯覚を覚え、一瞬思考が停止した状態になったことを今更ながら思い出します。真の苦しみはそれを経験した人にしか分からないけれども、相手の心情を少しでも思いやるやさしい「気くばり」「心くばり」を忘れないようにしたい。古来のお稽古ごとは、人間としての大切な感性を呼び戻し磨き、そして何よりも自然の恵みに感謝し共生して行く智恵を学ぶことができる。その基本を大切に伝承する重要な役割を担っているものと思います。

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2012年10月27日

竹台子でのおもてなし

家元招請研究会−【相伝物-台子】

三ケ島宗汲(佐賀不白会)

竹台子手前
 お家元がご亭主、私は詰として参加させていただきました。風炉で竹台子が用いられ、どのようにお点前が進められて茶事が展開していくのかを、会員の皆様も注目していました。お家元ご持参の掛物は、流祖のお筆で『萬嶽松風一啜』でした。脇には故蓮鶴先生のご自作の茶杓が添えられていました。
 炭点前の後に八寸での一献が勧められました。塗りの折敷膳に秋の実り満載の品々が彩り能く盛られ、従来の八寸盛りに囚われない柔軟な一献の進め方を学ぶことができました。お家元の巧みな話術に、研究会茶事であることを忘れてしまいそうな程に和ませていただきました。
 後座は銅鑼の音に導かれ入室すると佐賀の山野の花が籠に活けられていました。竹台子のお点前で粛々と濃茶が練られていく様をみつめていると、心地良い緊張感に包まれていきました。丁寧に練られたお茶は格別の幸福感をもたらしてくれました。ご持参のお道具は、古瀬戸の大振りの茶入と最近お求めに成られたという唐津焼の井戸茶碗。新旧のお道具が迷いなく並び、主客一致へ導いてくれているようでした。『木守り』のお銘と共に心に残っています。
 亭主としての在り方、客の在り方を実践の中でご指導いただき、お点前の稽古に付随して学ぶべき人間磨きの課題を確認することができました。「東京になかなか出向けない地方の皆さんに月釜の雰囲気を……」とのお心遣いをありがたく受け止め、茶事の実践に前進するという思いを新たにする一日でした。
 

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2012年10月22日

茶事の研究会から学ぶ

家元招請研究会−【相伝物:盆点】

久留米不白会

◎貴重な水屋の経験………大崎宗佐
 研究会で始めてお家元の水屋を担当させていただきました。九月から道具の準備を始め、八寸の献立を考え、試作もしてみました。気を使って準備をしたつもりでしたが、当日は足りないものが多々ありました。亭主であるお家元が水屋に戻られ、「料理が美味しかった」と言ってくださった時はほっとした一瞬でした。
 濃茶では、お家元の所作、立居を緊張して拝見しました。二十代でお茶を始めて、もう四十年以上になりますが、お茶を極めるのは難しいこと、でも最近ようやくお茶の面白さを感じられるようになりました。四季折々を肌で感じ、お花に、お料理に、お道具に心を配り、お客をおもてなしする、これからの人生を一期一会の精神で、工夫のお茶を楽しみたいと思います。
  ◇   ◇   ◇   ◇
◎研究会を活かし自宅の茶………大石宗清
 私はお詰の役をさせていただきました。お家元からは、亭主が心を込めて準備したお道具に対して、客は関心を持ってお尋ねする心配りが必要と、ご指導いただきました。点心の時は、お家元から会話をリードしてもらい、また勉強しなければという気持ちになりました。
 「人を招いて、点心とお茶を差し上げなさい」という家元の言葉に従い、数日後に、私も若い頃から一緒だった先輩三人を自宅にお招きしました。点心はお重と椀物にし、お重にはお刺し身や我が家で採れた季節の野菜なども入れました。お道具は先生や先輩にいただいた物も使いましたので、会話が弾みました。
 薄茶の後は、居間のソファで寛ぎながら亡き恩師、森田宗香先生や若かった頃の話になり、時間が過ぎるのを忘れる程でした。お茶事に不慣れな私のため、反省する事多々有りましたが、まずは、お客様に喜んでもらえた事で、私なりに充実感もありました。
 仕事していた頃は、職場の人に薄茶を飲んでもらったり、若い人を家に招いてお濃茶を出して、初めて飲みましたと、感動してもらったりで、お茶を飲むだけを楽しんでいましたが、これからは、お茶事の時に掛けた掛軸、「一志一道」のごとく、茶道一筋、お茶事も楽しでいきたいと思います。
茶事の一コマ

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2012年9月24日

貴人清次  -自然体の亭主?-

家元招請研究会−【貴人清次】

大黒裕明(青森不白会)

初座の一献
初座で一献 
 茶の湯の研究会に参加した。今回はお家元が直接青森まで出張してご指導いただける会で、テーマは貴人清次。貴人とは身分の高い人、つまりお殿様にお茶を差し上げる時の作法の研究で、私たちの社中が当番を承ることになり裏方から演者まで役割を分担したら、なんと私にお殿様役が回ってきた。
「お家元が亭主をしてくださるんです。こんなチャンスはめったにないんだからお受けなさい」
 師匠のお言葉があったので覚悟を決めたがどう見ても柄ではなく、落ち着かない。当日、他の人が準備するのを見ながらうろうろしていると、
「あまり難しく考えないで。お家元の点てて下さるお濃茶を直にいただける最高の時と思ったらどうですか」
 それは面白い。少し安堵して、いろんな場面を想像しながら一人ほくそ笑んだ。
 研究会は初座から始まった。初座とはお酒をふるまい、亭主と主客が談笑する席である。お殿様に祭り上げられ床の間の前に座ると、参加している皆さんの視線が集まってきた。ご亭主と丁寧に挨拶を交わし、さて何から話題にすればいいのかと迷っていると、
「お軸は流祖の筆で、米寿の時のものです」お家元がうまく話を誘導してくださった。さすがである。
「俳句のようですが、何と書いてあるのでしょうか」
 あとは上手く話が繋がった。私よりも茶歴のうんと長いお供役の方がニコニコしておられたのは、まずまずの流れだからだろうか。まあ、そういうことにしておこう。
天目茶碗でお濃茶を一服
天目茶碗で、お濃茶をおいしくいただく
 やがてお酒が出された。飲み過ぎないようにと、師匠から釘を刺されていたが、お家元はなかなか飲ませ上手である。一口頂くと緊張が少しばかりほぐれたので、調子に乗ってもう一杯、さらに意地汚いのも手伝って続けて何杯かいただくと目の周りが火照ってきた。でもこのくらい、今日は緊張しているから大丈夫だろうと軽く考えたのが間違いで、途中に挟まった休憩が終わるころになるとやたらに瞼が重く、頬を両手で張っても眠気が繰り返し襲ってくる。後座に入った時にはくらくらと頭が揺れていた。
 後座は濃茶の席である。誰よりも近くでお家元のお点前を拝見できるのは師匠のおっしゃったようにめったにないチャンスだが、何しろ眠い。足の裏に爪を立て必死でこらえた。急ぐでもなく弛むでもない時間が流れ、その隙間に吸い込まれそうになったころ目の前に点てたばかりのお茶が運ばれた。つやのある香りの深い液体である。それを啜ると、口の中に残っていたお酒が洗い流されるような気がふとした。今までに何度もいただいたが、お酒の後は初めてである。何とも言えず相性が好いではないか。これは素晴らしい発見をしたと悦に入っていると次第に意識がはっきりし、酔いが醒めてきた。良かった、おかげで不調法をせずに役目を終えることができそうである。
 お稽古後の総評で、お家元からお言葉をいただいた。
「今日の貴人は自然体でしたね」
 どういう意味かと色々考えた。さては酔っぱらっていたのを見抜かれたか。しかしお褒めいただいたんだと解釈して素直に喜ぶことにした。だってその方が、気が楽だから。
 お茶の世界は奥が深いらしい。この世界に踏み込んでもう八年目になるが、それなのに未だに入口でうろうろしているばかりで奥なんてとても見えそうにない。今日のお稽古でそのことを改めて自覚した。それで良いとしよう。深遠に辿り着くのは一生無理かも知れないけれど、今の私には、朋輩の皆さんと稽古でお抹茶を飲んでいる時間がただ、ただ、楽しいのである。
道具拝見
家元持参の道具を拝見する
後座の花
尺八花入に季節の花 
花入の銘は「洗心」

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2012年9月9日

茶事に参加して

家元招請研究会−【貴人点て】

持田宗政(熊谷不白会)

貴人点
 九月九日、星渓園で家元招請研究会が行われました。まず、太極拳を思わせる体操で身体をほぐした後、本日のテーマ「貴人を招いての茶事」に入りました。初座は先ず一献ということで、心尽くしの懐石が出され、亭主役のお家元の、緊張を解きほぐす会話に貴人もお話が弾み、穏やかな雰囲気に包まれました。
 午後からの、お家元の台天目の濃茶点前では、ゆっくりと丁寧に練り上げる姿が、とても印象的で、貴人に対する心の入れようを学ぶことができました。最後に、「お客様を実際に招いて、お茶を点てて差し上げることを、もっと日常的に行って欲しい」とのお言葉が心に残りました。

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2012年8月26日

古典の茶事に触れて

家元招請研究会−【貴人清次】

遠藤宗光(福島不白会)

天目茶碗でお点前
天目茶碗で貴人にお茶を差し上げる
 去る八月二十六日、古民家を改造した「這裏苑」という書院造りの茶室で、林の中の虫の音や、川のせせらぎを聞きながら、家元招請研究会が開催されました。
 残暑厳しい中、宗匠はお着きになられるとすぐに茶室の設えをご指導くださいました。
 そして、今回の研究会課題である「貴人清次」について、古典の茶事であるため、ご亭主の自宅に、城主の奥方をお迎えした、という趣旨の茶事であるとし、ご亭主は宗匠がされ、供は二名とし、半東は随行の田丸様、水屋は二名でお迎えすることとなりました。
 宗匠がご持参された「萬嶽松風供一綴」のお軸が床に飾られ、お客様をお迎えする心がそのお軸からも伝わるものでした。
 丁寧なお迎えとご挨拶があり、八寸も盛り付けに工夫され、まず一献と酒が振る舞われました。炭点前より初座の流れを勉強し、後座を知らせる鐘の音で入席すると、床には清らかに三種の花が活けられていました。宗匠ご持参の七管青磁の茶入、天目茶碗に心を込めて練り上げておられる姿勢を特に感じ入りました。程よく香り深い濃茶を供の一人としていただけて充分満足いたしました。
 現代は、貴人をお迎えすることが少ないですが、今回は特に宗匠自らご亭主をされ、「おもてなし」の本当の心を、ご亭主、半東の姿勢全体で表して下さり、具体的に理解することができました。
 また、日常生活に生かしていきたい体操や、終了後、宗匠の篠笛の演奏に合わせて「ふる里」等を皆で合唱するなど、すべてが思い出に残る研究会となりました。

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2012年7月28日

「台天目」での貴人清次

家元招請研究会−【台天目】

石田宗洵(岩手不白会)

 今年度の家元招請研究会は「台天目」による「貴人清次」の茶事を学ぶというテーマで、七月二十八、二十九両日、盛岡市中央公民館で行われ、お家元が自ら亭主役を担当されました。床は流祖の「無心雲自閑」でした。多くの目や耳に囲まれた研究会の席でも、「無心の雲」のような「閑」の雰囲気が大切と配慮してくださったのでしょうが、貴人役の私にとっては「閑」どころではありませんでした。
 点心は担当の増沢光雪さんが、会記に残る流祖不白の点心を復元したもので、鰹を使った向付け、蓮根を使った白和え、香の物などを揃えてくださいました。勧め上手の亭主役のお家元に「お濃茶をおいしく味わっていただくために」などと勧められて、お酒で顔が真っ赤になっていたことにも気付かないほど会話が弾みました。
 昼食時を中立ちと見立てて後座になりましたが、初座とはうって変わった静寂の中で、「台天目」の作法で貴人への濃茶が点てられました。濃茶はたっぷりの分量でした。供の者へは「貴人清次」での対応がありました。正客に対する亭主の丁寧な深々とした礼の姿には、臨時の貴人は恐縮するばかりで、強く印象に残りました。
 平等が普通になっている現代社会に、貴人と供の者とに差を付ける「貴人清次」をどう位置づけるかという問題に対して、誰がお客かということを明確に意識して接待することの大切さを指摘されました。ともすれば稽古のためのお茶になりがちですが、本来客を招いてお茶を差し上げるために稽古をしているので、茶事の実践を望まれました。客が明確でない大寄茶会とは別に、「貴人清次」などから、特定の客を意識した茶事を考えてほしいとのご指導であった。また、稽古の濃茶では、茶が少ない場合も見られるが、茶事で客に出すお茶は「十分にお召し上がり下さい」という気持ちが表れてしかるべきだと。茶事のための稽古という意識を喚起されました。
 

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2012年7月1日

貴人を堪能して

家元招請研究会−【台天目】

小川紫雪(高田不白会)

亭主と語らう
 去る七月一日、宗匠をお招きして研究会が行われました。今年の課題は「貴人清次」早速に貴人の役を銘じられて、貴人とは? 辞書を引いてみますと、身分の高い人、貴族、華族、女性では貴婦人、鬼女……これに当てはめられるかも……呵々、頼むはお供の二人……。
 先ずはお家元が、ご亭主でお持たせの御初代染筆「福寿海無量」のお軸に感激、季節の山海の珍味で一献、相伴はされず低姿勢のご接待のみ終始落ち着いた穏やかなお話。炭点前は家元がされ、小ぶりの風炉に充分につがれ、お香がほのぼのとして香合は時節の時鳥の蒔絵。
道具拝見
家元持参の初道具を拝見
 後座の床には水瓶型の花器に半夏生と波路草の一本づつが楚々と活けられ、台天目の濃茶が粛々と点てられました。いただいた時の有り難いこと、お練り加減と、ほどよい温度と香り、これを忘れないように……。
 濃茶入もご持参の七官青磁の色のお見事なこと、仕服も濃やかな七宝模様の裂地、別世界に遊ばせていただき、お軸に書かれた計りしれない福寿を頂戴しましたことは、この上ない幸せな一日となりました。

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2012年6月26日

貴人清次に茶事でのもてなしを学ぶ

家元招請研究会−【貴人清次】

吉岡宗美(高知不白会)

まず一献から
 梅雨の晴れ間の六月二十六日、家元招請研究会が、高知市公民館で行われました。今回は、お家元がご亭主になられてご指導くださるとのことでしたので、支部一同大いに期待しておりました。
 研究会前日の仕度時、お家元が公民館の広間のどこに点前座を設けたらよいか、貴人の座からよくお軸が拝見できるようにと、ご工夫なさる御姿が、大変参考になりました。ご持参いただいたお掛物は流祖の「福壽海無量」でした。お家元は高知の海を思い持参して下さったとのこと。その御字の素晴らしさに一同感嘆して拝見致しました。
濃茶点前
 亭主の挨拶があり、お膳が運ばれます。亭主(お家元)は、笑顔で「まず、一献」とお勧めになり、座は自然と和んできます。半東も東の動きをよく見て、絶妙な間のとり方でお手伝いされます。お炭点前になり、その自然な運びに心を奪われ、ここが研究会のお席である、ということを忘れ、まるで本当の茶事を拝見しているような感覚に捕らわれました。
 中立の後、銅鑼の音で後座が始まり、お床には、手桶に祇園守りとたいまつ草、縞葦がすっきりと入っています。瑞々しく露が打たれて見るからに涼しそうです。お家元ご持参の七官青磁のお茶入から流祖のお茶杓「常磐木」でたっぷりのお濃茶が点てられました。初めて七官青磁を拝見させていただき、その淡い青緑色が目に焼き付き、お茶杓の美しさと相まって、ため息の出る感動でした。
記念撮影
 お家元のご亭主振りを拝見して、亭主がその茶事の空気を作っていくということを改めて感じ、お家元の提唱される「もてなすお茶の実践」を、支部一同深く心に刻んだ一日でした。
 

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2012年5月20日

役割の中で茶事の流れを学ぶ

家元招請研究会−【台天目】

大谷宗節(群馬不白会)

中立風景
 薄暑の五月二十日、高崎市暢神荘にお家元をお迎えして「台天目」を課題に研究会を行いました。床にご持参下さいました流祖筆による「無心雲自閑」一行物が掛けられて、研究会に入る前に体をほぐす体操や気功を教えていただき呼吸を整えました。
 お家元(亭主)、随行で参加下さった瀬津様(半東)、宮下支部長(貴人)、家元教場研究会参加者(清次三名)、河田副支部長(水屋全般)の役割で始まりました。皆さまの注目される中、私も清次の一人として勧められるまま一献いただきましたが、緊張のためたちまち顔がほてってまいりました。
 中立ちで暫し家元の横笛「青葉の笛」を聴かせていただき、心身ともに癒されました。
 後座では、床に白芍薬と都忘れが清楚に活けられて、静寂の中、家元の凛としたお姿と悠然としたお点前に感動致しました。会員の皆さまも同じ思いでご覧になったと思います。
 今回の研究会で亭主と半東の運びが自然に進められる様子を拝見しながら、茶事の流れがよくわかり役割をいただいた事を心より感謝申し上げます。
 茶道を通じて成長させていただいていることを実感致しております。

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2012年5月6日

相伝物 「盆点」—客として参加

家元招請研究会−【盆点】

土田宗春(新潟不白会)

一献
まずは、和やかに一献。珍しい食材も。
 「今度の家元招請研究会の役目は次客ですよ」と言われ、緊張と胸の高鳴るのを覚え、その日を迎えました。今回の研究課題は盆点での茶事。ご亭主はお家元。半東は、随行の水口さん。正客は中野支部長。次客が私で詰は森田宗久さん。
床  花
 茶事が始まりました。お軸は大龍宗丈の一行「青祚見主恩」が掛けられました。
 まず一献ということで八寸懐石が出されました。品数は三種盛り付けられており、そのうちの一品は、真っ白でふわっとしていて、底が丸くなっている上にクリームのような物が乗っていました。これは百合根にクリームチーズを乗せたもので、とても相性の良い味でした。さらに山菜のコシアブラ。少し塩味で、バージンオイルがかけてあり、香りがとても良く美味でした。海のものは新潟の特産品でもある鮭の酒びたし、お酒をさらに美味しくしてくれました。お家元も、ご相伴なされ話も弾みました。
家元点前
家元の濃茶点前が厳粛に行われた
 さて銅鑼を合図に後座の開始です。床の間には見事な熊谷草が、節の下が白になっている尺八形の黒竹の竹花入にすっきりと立っておりました。いよいよ濃茶点前、ご持参の銘「玉水」の茶入から汲み出された茶をゆっくりと、丁重に練り上げたお濃茶をいただき、誠に至福のひとときでした。
 毎年家元招請研究会に出席していますが、今回のようにお家元御自身が亭主をなされた会は、はじめてです。客をもてなす意味、また、心から茶を点てる事等。お点前も大事ですが、穏やかな会話、相手を思いやる心も大切だと改めて肝に銘じました。

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2012年5月2日

感動した研究会

家元招請研究会−【相伝物:盆点】

神農宗洋(長野不白会)

記念写真
家元を囲んで記念写真
 春遅き信濃にも待ちわびた桜が咲きほこる五月二日、小諸花岡亭に宗匠をお招きしての研究会が開かれました。
 今回は、相伝物-盆点ということで、わざわざ東京より、お道具をご持参され自ら亭主を務めていただき、大変貴重な時間を過ごすことができました。
 初座は、お炭点前、続いて八寸とお酒が持ち出され、終始和やかな時間が流れていきました。ここで私が特に感動したのは宗匠の座掃きの見事さです。自然体で流れるような所作。宗匠からは「いつもしていることですから」というお答えが返ってきました。常日頃の行いが大事であり、身が引き締まる思いでした。
 後座は、螺鈿細工の盆に玉水という銘の茶入が置き付けられ、お盆点ての点前で一服のお茶が心をこめて点てられます。ゆっくりとした時が流れる中、悠久の時を越え幾多の人たちに愛でられたお道具たちが今、私の目の前にある。なんとも不思議な空間でした。たっぷりと点てられたお濃茶は、とても良い香りが漂い、私も一服いただきたいという思いがわき出てしまいました。
 今でも宗匠がゆったりとお茶を点てられる姿が目に浮かびます。お茶は、亭主が主客に感動、驚きを与えるために心をこめ、席のしつらえをすることが一つの醍醐味だと改めて学び、この気持ちを忘れず、これからも精進してまいりたいと思います。
 

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2012年4月28日

古典・相伝物に学ぶ−詰として参加して

家元招請研究会−【盆点】

瀬戸島宗芳(久留米不白会)

研究会床の間
 あざやかな新緑に囲まれた少林寺内で、家元招請研究会が行われました。
 今回の課題は、古典相伝物の中の盆点でした。初座は、季節の旬の物が五種盛り付けられた八寸で一献。懐紙に取り分け楊枝でいただくという簡単な形式でしたが、その中で亭主としてのお家元のお話の進め方、客への心配りを学びました。我が家の畑の作物の話題にもなり、緊張した気持ちもほぐれ、中立ちとなりました。
 盆点とは茶入を大切に扱うという気持ちの表れとして、盆にのせて点前を行うということだそうです。茶碗、濃茶器、茶杓や盆など、お家元が持参されたお道具で厳粛な雰囲気の中、点前が進みます。お道具一つ一つを丁寧に拭き清められる所作に点前の心構えを学ばせていただきました。道具には所持者、伝来の経緯など歴史的背景があり、それを知るのも一つの楽しみです。茶の湯の奥深さを感じながら拝見しました。
 初座、後座を通して、茶事とはお客様をいかに心からもてなし、そして自分自身も楽しむこと。常日頃お家元が言われますように、場所、道具にとらわれない自分なりの茶事をすることが大切であると改めて感じました。
 

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2012年3月19日

相伝物-盆点

家元招請研究会-【盆点】

田中宗恭(七戸不白会)

濃茶の前の一献
濃茶の前に炭点前と一献
 三月十九日、研究会の当番をいたしました。ご亭主は宗匠、半東は随行の瀬津様、客の三人は会員から決まり、「八寸」を組み入れたお茶事形式における「盆点」をご指導いただきました。ご亭主、半東は茶席の設定にはじまり、すべてのご準備を整えられました。直々のお手本を拝見でき、大変勉強になりました。「盆点」の意義、唐物名物茶入について講義していただき、体操に心身の緊張を解きほぐしての実践となりました。
唐物の拝見
貴重なものを大事に扱う所作
 初座は主客の会話に耳を傾けました。飾られた唐物茶入の、挽やに記された「玉水」のご銘のことやお茶入の形、三枚のお仕服の由来を学びました。そして、お炭点前、続いて八寸とお酒が持ち出され、お亭主のお相伴によって、より時間をかけられた和やかな光景を楽しませていただくことができました。
一献
亭主も相伴
 後座には、螺鈿盆に「玉水」が置き付けられ、銅鑼による迎え付け、花入には山茱萸の黄と藪椿が入れられました。
 ほどよいお釜の煮えの中、心を込めてゆっくりと練られるお濃茶にしばし見とれ、静寂のうちに時代を経過したお道具が命あるごとくお点前を従えているかのように感じられました。そしてたっぷりと点てられたお濃茶に感動いたしました。
 また、服紗の真・行のさばき方、膝行膝退、亭主と半東の「間」の取り方なども勉強できましたので、これから自分に活かして参らねばと思いました。
 宗匠のお点前による「盆点」。この拝見が叶い、終了後も貴重なお道具や主客の交流の場と共に美しく眼の奥にかがよう幸せな一日でした。

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2011年11月22日

岩手不白会研究会随行報告

家元招請研究会−【茶事の実践】

沢田宗彦(東京不白会)

席主記念写真
茶事を担当した席主に家元から色紙の贈呈
 昨秋十一月二十二日、二十三日、岩手不白会家元招請研究会へ家元に随行しました。研究会は春と秋の二回行われていて、今回のテーマも「実践」で二日間にわたるお茶事です。午前十時半に各家でお茶事が始まり、午後二時に会場に集合、全員で主客の感想、反省会が始まります。三時間ちょっとの正午のお茶事で、お酒は勿論、ご飯も出る本懐石に近いお茶事です。初日は九軒でお茶事が行われ、私は工藤宗直様の家に招かれました。家元筆「風吹老松吟」に始まる初座、雪見障子を下げて、静かな後座、細やかな配慮の行き届いたお茶事で、お酒に酔い雰囲気にも酔いました。
 翌日は十軒の実践です。私は三田宗明様のお席で、お家元とご一緒でした。お懐石の後、九十五歳の三田先生のお点前で濃茶、主客敬い合い、久し振りの再会を喜ぶ家元との会話に次客の私は胸キュンでした。主客直心の交わりを目の前にして、この経験は私の宝ものになりました。
 二日間で十九軒本格的なお茶事の実践です。随行の前から早々と工藤様、三田様からご招待状が届き、万事行き届いていました。研究会の後、席持ちの各ご亭主から、客組み、会記、懐石献立、主客の感想、写真などA4一、二枚にまとめ、寄せられています。お家元にもこの記録が送られて来ており、拝見させてもらいました。この記録によって、実践内容が忘れられること無く積み上げられて岩手不白会みなさんの貴重な共有財産になっている様子です。
 

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岩手不白会研究会レポート 2

家元招請研究会−【茶事の実践】

岩手不白会

 「茶事の実践」の家元招請研究会各席の茶事のレポートから2席を紹介します。
 この2席を含む全19席のレポートは、Facebookの江戸千家ページでご覧いただけます。
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  ●岩手不白会研究会レポート2(全19席)

 …… ……
茶会風景
 ◎茶事の実践研究会
     平成二十三年十一月二十二日
    亭主 田中宗玲  場所 拙宅
    客  菊池宗和様 小田島宗寂様 福士宗久様
(会記省略)
(客の感想)
 その素晴らしく清々しい雰囲気の茶室に鬼霰の広口釜が圧倒的な存在感を放っていました。寒さも深まっていたこの時期には暖かい湯気と立派な胴炭が何よりのごちそうに思えました。また、食べ切れないほどの美味しいお料理に亭主の心遣いを身にしみて感じ、相客さまと共にその後の席の和気あいあい振りを十分に楽しんだ研究会でした。
 田中先生の優しいお人柄が表れたお茶席だったと振り返り思います。
(亭主の感想)
 お客様三名、亭主、半東、水屋、社中のお手伝いをいただき亭主を務めることになりました。日々ばたばたと生活している私には、時間内での茶事の実践で、お客様のおもてなし、気配り又、心の大切さ等々実感しました。
 今後益々心新たに精進したいと思っております。
  ◇  ◇  ◇
◎茶事の実践研究会
   平成二十三年十一月二十三日
   三田宗明宅 聴雪庵
   正客 お家元様 次客 沢田宗彦様 詰 小苅米宗翠様
   亭主 三田宗明 半東 三田宗廣 水屋 澤野宗桂
(会記省略)
(お家元からいただいたお葉書)
 「医家三代の館つましやか
   紅葉して金色浄土ここにあり 雪」
 この度は懇親の茶事にお招きいただきありがとうございました。
(沢田宗彦先生からのお手紙の中から一文)
 亭主と正客の家元音のお話のやりとり、お互いに心から敬い自然体で喜びを分かち合いながらお茶事が進み、同席の私は胸が熱くなりました。お茶事の素晴らしさを切実に感じました。
  ……………
 小苅米宗翠先生には、お詰にて大変お世話になりましたのに、早々と御丁寧な御礼状を賜り、お濃茶が熱くて美味しかったとお書き下さいまして嬉しく存じました。
(亭主の感想)
 老齢の私は今回の茶事は最後の御指導いただけるお茶事と思い、張り切って参加致しましたところ間際になってお正客様にお家元様と伺い驚きやら、うれしさやら、おそれ多い感情に心は乱れました。その上、沢田大先生までお迎えすることが、決まり、心の動揺は隠し切れませんでしたが、幸いお詰が小苅米先生でしたので、意を決して、身体は不自由でも誠心誠意おもてなしを致すべく務めました。思うような充分なことは出来ませんで申し訳なく思っております。でもお茶事の高尚な交わりをご熱心に永年にわたり御教導下さったお家元の有り難いご恩を今回の茶事であらためて深め感謝申し上げております。
レポート紙面

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2011年11月13日

実践で予行練習を

家元招請研究会−【茶事の実践】

栗山宗薫(静岡不白会)

炭点前
 今年度の課題は「実践」です。十一月の家元招請研究会では亭主を務めるよう勧められ、勉強のためと思い、重要なお役をお引き受け致しました。
 お家元から常々「無理せず、自分のできることから実践しなさい」と伺っておりましたので、気持ちを楽に持ち身の丈にあったことをすると決めました。
 先ず事前に、友人三人を家に招きお茶事をすることにしました。教本「茶席の支度」を参考にし、茶道具、茶花、点心等流れを具体的にイメージしながら計画を立てました。家には炉がありませんので風炉で、水屋も廊下を工夫しました。床の間に掛物を掛け、花生を置き、お灰を整えた風炉を据えると茶席らしくなりました。点心は季節の素材を使い、お花も庭や道端の草花を用意しました。試行錯誤の繰り返しでしたが、自分のアイディアで一席を作っていくのは、今まで見過ごしていた事の発見でもありました。
点心で一献
 当日は客のお一人に半東をお願いし、入席、炭点前、おしのぎと進み、美味しい一服のお濃茶が点つよう湯加減に配慮しました。お客様は初めての体験とのことでしたが、別世界で和やかな時間を過ごすことができたと大変喜んでいただけました。
 十一月十三日に家元招請研究会に向けては、同じ社中の半東、水屋のお当番と三人で準備をしました。お道具はなるべく自分の物を使用する。炉辺の道具は先生にお借りする。点心は持ち寄りでということにしました。
濃茶点前
 当日は緊張の連続でしたが、お客様にも助けていただき滞りなく終わりました。
 事前に実践することにより、それぞれの手順の意味が理解できました。お家元のお話の中に、「稽古で半分、実践で半分が二倍、三倍の力になる」とお聞きしたことがありますが、納得致しました。
 一席を設けるには、大変な労力を伴いますが、楽しい過程でもありました。お客様と心を通わせることは、自分自身の心も豊になる一時でした。これからも茶の湯に精進していきたいと思います。
 当日は、見事な秋晴れで、富士山も雪化粧をしてお家元を迎えてくれたことはなによりでした。

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2011年10月22日

半東として

家元招請研究会−【茶事の実践】

今川宗寿(久留米不白会)

一堂に会しての反省会
一堂に会しての反省会
 私は水田様のお席で半東の役目を仰せつかりました。
 前回の席持の際、宗匠からいただいた色紙『観楓』を亭主は床に掛け、茶事が始まりました。
 懐石は、亭主の心のこもった秋の味覚の盛り合わせのお膳とお酒。椀ものをお出しした後、亭主も相伴されました。
 お庭の紅葉には早いものの、ウメモドキの実が見ごろでしたので、お縁の障子を開け、秋の日差しの中会話もはずみ、楽しいお食事のご様子でした。皆様お車のせいかお酒はあまり召し上がらなかったのですが、最後に湯桶がわりにお出しした甘酒がたいそうお気に召したようです。
 中立ちの後、掛物をはずし、時代ものの煤竹の籠にアサギリ草、シモバシラ、秋明菊が生けられ、後座へと映りました。
 白木の丸卓に亭主手づくりの水指が置かれ、静かな濃茶点前が始まり、一期一会の一碗を亭主もお相伴されました。
 半東としては、茶道口に控え、タイミングをみながら臨機応変の心配りと立ち居振る舞いを目指しましたが、ご亭主に助けられて、無事務めることができた気がします。
 改めて亭主という役の大変さ、心配りに深く感心すると共に大変勉強となり、心に残る一日となりました。

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2011年10月13日

亭主をすることでえた収穫

家元招請研究会−【茶事の実践】

生亀寿雪(山形不白会)

実践の指導
 松尾芭蕉奥の細道「三百周年記念」に建てられた茶室を主会場に研究会が開催されました。
 点在する奇岩怪石。堂宇群そして紅く色づき始めた木々の織りなす景観が一望できる庭を、当不白会相談役の芳賀宗紀さんの案内で、お家元と東京不白会の小林宗淳様が到着、早速、お研究会が始まりました。
 私は亭主の大役で、挨拶も緊張気味でしたが、正客の小林様の経験豊かな問いかけや温かいお心遣いで、空気が一気に和らぎ、気持ちが落ち着いてきました。
 「懐石」では、山形の食材、料理、お酒等で話が膨らみ、盛り上がりのある楽しい席となりました。小林様から「茶席の会話」の仕方を学ばせていただきました。後日、客役の人達からも同様な感想が寄せられ、大きな収穫を得たようでございます。
 「炭点前」で、下火が小さくなり、「湯の沸き具合の一番良い時に濃茶を点てる」という茶会の最も大切なところで落第点をとってしまい、深く反省致しました。
 お家元のご講評の中で、次の事が心に残りました。
 ・濃茶点前までに心の通う会話を多くし、主客が一体感を持てる空間をつくっておくこと。
 ・茶の湯の稽古では「茶事」の形でお客様をおもてなしできるようになる事が大切。簡単でも良いから、是非自宅に客を呼んで茶事を行うことを勧めたい。
 これからも一層精進して茶の道を勉強してまいりたいと存じます。

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2011年10月10日

社中の絆

家元招請研究会−【茶事の実践】

餅越宗清(福岡不白会)

茶事でお点前
 茶道を修める私たちにとって何より大切なのは、おもてなしの心であろう。お茶事で心のこもった亭主のおもてなしによって、席が和み清談がはずんで、お客様と心が通い合う一刻が愉しめれば、これこそ茶道の醍醐味に違いない。
 今回はテーマ「茶の湯実践」の研究会である。不祥餅越が亭主を仰せつかった。どうしよう、と一瞬ひるんだが、何しろ研究会だから、田中宗正先生社中の仲間がみなでアイディアを出し合い「おもてなし」はいかに為すべきか工夫する勉強会をすればいい。やってみよう。
 まず役割を考えた。半東に四方田洋子、水屋を田中万里子に受け持ってもらう。それに田中宗央も加わって案を練っていく。これなら文殊菩薩に劣らない智恵が湧きそうだ。お客様は福岡不白会から四名様をお招きすることにした。場所は街の中央部にほど近い「たそがれ庵」こと賛助会員田中孝邸を六月のお稽古から使うことにした。
 十月十日の本番当日は、野菊や水引草が茂る門から玄関まで、しっとりと水を打つ。床の軸は「大聖武」(唐代の名筆、東大寺蔵は国宝)の断簡。花は薄と秋明菊を古銅水注に生けた。この軸は、心を清め和みのなかに緊張感を保つように、との庵主の志かと思う。
 茶碗は、旧恩師より拝領の萩、李朝瑠璃の小壺を茶入に見立て、茶杓は黒田辰秋作、銘笹舟を配した。
 さてお料理。お向こうは、古唐津に旬の魳を昆布〆。それに冬瓜の椀盛りを供した。この淡緑が漆黒の椀に映えて、清涼の気を誘う。実はこの冬瓜、九十歳の父が丹精をこめて育てた一抱えもある大果なのだ。
 省みると、至らぬ私が、田中宗正先生の適切なご教導と社中みなの助け合いのお陰で、亭主の大役を無事務め上げることができたのは、ともにお茶の絆で結ばれた間柄の故である。この絆が今回の研究会で一層強められたことは、何よりの収穫であった。
 

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