2014年1月19日
新潟不白会 八十周年を祝う
祝賀会と茶会……於鍋茶屋
新潟不白会
濃茶席 中野宗順支部長によるお点前
◆祝賀会を終えて
新潟不白会事務局 永野宗与
昭和十年五月、八代宗匠一元斎、閑雪先生ご来臨、江戸千家不白流新潟支部が発足されてから八十年を迎えます。
去る一月十九日「新潟不白会八十周年記念祝賀会」を開催する運びとなりました。当日は雪交じりの冷たい風が吹く大寒、お家元ご夫妻、宗康先生ご夫妻、東京、群馬、高田の役員の方々にお出ましをいただき、会員と合わせて百十五名の参加者でした。
濃茶席は中野宗順会長が亭主を務め、初釜を兼ねたお祝いの設えでおもてなしをご披露され、振り袖の若いお嬢様方のお運びで席中が一層華やぎ、ご亭主の思いが伝わるお席でした。
テーブル茶席は、常々お家元からご指導いただいていることを実践し、五卓を青年部や若い弟子たちが担いました。それぞれが趣向を凝らし、自宅でお客様をお招きしているかのように、和やかに和気藹々とお話しを弾ませておりました。
式典においては、八十周年にちなみ、八十歳以上の会員十三名に、功を労いお家元から色紙を贈呈していただき、一同より暖かい大きな拍手が贈られました。祝宴は新潟芸妓の踊りとお家元の篠笛のアトラクションも交えて座を盛り上げていただき、老舗料亭での優雅でゆったりと余韻の残る一日となりました。
会員一同が同じ方を向き、そのことで協調性や達成感、喜びを味わうことができたと思っています。更に十年後九十周年のお祝いができますことを大いに期待したいと思います。
濃茶席
◆もてなし、もてなされ
桑原 誠
私も五年に一度の鍋茶屋での初釜を楽しみにしておりますが、十年前は支部七十周年で全国大会が行われた年でもあり、大会直後の七月には大水害、十月には中越地震があったのを思い出しました。
午前は、先生方による濃茶席と青年部によるテーブル茶席で、各々が好みの茶碗を用意する趣向でおもてなししました。私の席にはお家元が来て下さり、お客様に花所望ならぬお茶所望で茶筌を振っていただいたり、豊富な話題に話が尽きず、東の役割と時間を忘れ一緒に席を楽しませていただきました。
祝賀会では、中野会長の挨拶に続き、お家元、群馬の宮下先生の祝辞があり、宗康先生の乾杯で祝宴が始まりました。古町芸妓さんの舞があり、お家元の篠笛はアンコールにまで応えていただき、十七のテーブルではそれぞれ和気藹々歓談しておりました。
帰りの車の中では、入会間もない会員が「なかなかできない体験をさせてもらった」と繰り返し、私ももてなす楽しみともてなされる楽しみを同時に体験できた貴重な初釜となりました。
テーブル茶席
テーブル茶席2
祝賀会風景
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岩手不白会初釜
岩手不白会
本席 澤野会長のお点前
岩手不白会初釜が穏やかな晴天の一月十九日、盛岡グランドホテルで開催されました。
三田名誉会長はじめ、各社中百七十名の会員の皆様が出席されました。
本席の床には初代不白「鶴宿萬年松」が掛けられ、青竹に結柳と紅白の椿、御初代の香合が飾られ厳かなお席となりました。竹台子に透木釜に朱手桶、柄杓や茶筌青竹を、お菓子は花びら餅にしました。代々受け継がれてきた布袋の濃茶器、磯松の茶杓、嶋台の茶碗にて澤野会長、乳井副会長の厳粛なお点前で濃茶をいただき、心身ともに新たな一年の始まりとなりました。(田村宗和)
本席床
◇ ◇ ◇
薄茶席は清々しさの中にも新春の華やかさを感じるお席になるように心がけました。
床にはお家元の「雪中梅」を掛け、焼締め筒花入に木瓜と水仙を入れ、ぶりぶり香合を飾りました。立礼卓に筒釜と白磁平水指、不白好の亀蒔絵の薄茶器、誡堂銘「千年の翠」の茶杓、富士山と金菱銀菱の茶碗、菱馬の蓋置。松と鶴の干菓子を用意しました。
当日は亭主と誘導を峰雪会が担当し、茶席のお点前、お半東、お運び、水屋は雪輪会が担当しました。チームワークのとれたグループでもあり、お客様も水屋も会員の皆様ですので、余裕のある和やかな、楽しいお席となりました。
その後一同に集まり賑やかに会食をし、福引きに一喜一憂しながら一年間元気で楽しくお勉強することを心にして新年会を終了しました。(永井宗悦)
薄茶席床
立礼卓
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2014年1月11日
長野不白会初釜
大場雪絵(長野不白会)
一月十一日、長野不白会の初釜が行われました。
日頃の社中お稽古ではお目にかかれない諸先輩方とご一緒させていただける、ありがたい機会です。私は茶席の当番の一人として、当日を迎えることとなりました。出席者総勢二十一名。その中には小学生のお孫さんが二人。小さな体に華やかな着物、髪もかわいらしく結い上げて、茶席をさらに晴れやかな場としてくれました。驚きましたのは、そのお嬢さん方が姿勢も正しくその場に座し、飽きる事なく茶席の設えや点前を、静かに興味深く見守っていたことです。
私は当日のお当番として緊張感の緩むことのない一日でした。学んできたことをそのまま実践すればよいと思うものの、大勢のお客様を前にするといつものお稽古とは違い、いつの間にか肩に力が入ってしまいました。
しかし、いざ自分の薄茶点前の出番となり、ふと心に甦ってまいりましたのは、過去にお家元招請研究会で薄茶点前の割稽古の一人として、お家元のご指導を受けたときのことでした。一つ一つの動作の意味を説いていただき、お客様を想い、もてなす気持ちを点前に込めることを教えていただきました。その時の記憶が甦り、緊張感の中にもお客様に美味しい薄茶を召し上がっていただこうと、点前に集中することができました。また、李支部長をはじめとする皆様の支え、優しいお声掛け、数々のお心遣いが私を救ってくださいました。終わってみれば、まさに一座建立といえる、素晴らしいお初釜となったと想います。
そして、小学生の二人のお姫さまが陰点ての薄茶運びを「やってみたい」と、自ら進んで運び出してくれました。あどけない中にも、緊張を恐れることなく挑戦していく勇気と凛々しさに、またひとつ若い力とその可能性に驚かされ、感銘を受けました。
茶席は、主客問わず皆で作り上げるもの。諸先輩方から小さなお子さんたちまで、一人余さずそれぞれが主役であったと思います。その中で、微力ながら茶席当番の一翼を担うことができ、わずかでも皆様のお役に立てたのではないかと慶びを感じております。自らの反省点は今後に生かしつつ、今は初釜の席でご一緒いただきました皆様お一人お一人にこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
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2013年12月1日
お茶会、初体験
森 宗絹(八女不白会)
平成二十五年十二月一日、八女不白会の孤峰忌茶会が、開運寺で催されました。会員の親戚の方が外国の人と結婚し、列席したロシアとイタリアの友人たちから「日本の文化に触れたい」との申し出があり、おいでいただきました。茶席の中では三カ国語が飛び交い、賑やかなお席となりました。帰りには座禅も組まれ、何もかもが初めての経験でしたと喜んでいただきました。
その時の感想が寄せられましたので、紹介します。
◇ ◇ ◇
私事でありますが、十一月三十日にロシア人のエレナと結婚しました。ロシアから五名、イタリアから二名が来日し、開運寺さまでのお茶会へ招待していただきました。
素晴らしい紅葉の庭を前にはじめてのお茶をいただき感動。日本人でも考えつかない質問が出るなどびっくり。また座禅も経験し警策を受けた人もいました。
お茶会の関係者及びお寺の方々には大変親切にしていただき、素晴らしい一日を過ごすことができました。全員が日本文化のすばらしさに感動、感激し、帰国する事ができました。ありがとうございました。(蒲池 正規)
◇ ◇ ◇
開運寺で過ごした時間は私達にとって驚き以外の何者でもありませんでした。本当は今回体験するお茶会は簡単な略式だろうと思っていたからです。
しかし私達を導いてくれた道は、予想、想像を超えるものでした。
お寺(茶室)に通された瞬間目に入ってきた世界は、言葉には言い表せないものでした。着物姿の方々の凛々しさ、作法の美しさ、流れるような時間の静けさ、そして漂う空気が厳かであることに圧倒されました。
座禅修行体験では御住職の警策を持ち歩かれる姿は格好よく、また警策をいただいた体験はとても神秘的でした。(母は数日の間、時差ボケに悩まされ、夜眠れない日が続いていましたが、警策をいただいた日以降は不思議と眠れるようになったそうです。)
何世紀と受け継がれる異国の伝統、文化に対し、私たちは多大な好奇心と素直な気持ちで少しでも多くのことを理解しようとしたため、質問、二カ国語(イタリア語、ロシア語)による通訳等でその場の雰囲気を壊してしまったようになってしまい、申し訳なく思います。ご理解いただければ幸いです。
この短いコメントで異国からの人達(私も含め)の感想をまとめようと勤めましたが、やはり人それぞれの気持ち、思いまでは正確に伝えることは難しいです。ただ、一言言える事は、今回日本で体験した人生初のお茶会、禅、それは生涯皆の記憶、心の中に残り続けます。それは私が数年前に初めて経験した川崎のおばさんの家でのお茶会と同じです。最後に、お茶会、御住職並びに関係者の方々へ感謝申し上げます。ありがとうございました。(エレナ〈蓮池正規訳〉)
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乱飾相伝式に出席して
末永惠雪(静岡不白会)
昨年十二月一日、家元邸花月の間における相伝式にて、乱飾の許状とともに看板をいただくことができました。
お茶との出会いは、稽古に出かける妻を送り迎えする際、先生の茶室に上がったことからでした。残念ながら妻は仕事の都合もあって挫折してしまいましたが……。また、建築設計に関わる仕事柄、茶室の間取りと収まりを知りたいという気持ちや、茶碗などの道具類に少なからず興味があったこともきっかけになりました。
以来九年近く立ちますが、当時は看板をいただくなどとは思ってもいませんでした。ここまで続けることができたのは、静岡支部の先生方や先輩の皆様方のおかげだと感謝しています。
家元邸にお伺いしたのは、一年前に社中の皆様と初釜に参加してして以来になります。二度目ということで少し緊張感が和らいだせいか、家元にお酌をしていただき、この日はすっかり飲み過ぎてしまいました。今回も美味しいお料理とお酒を堪能し、また家元直々のお点前による濃茶をいただくという、言葉では表せない豊かなひとときを過ごすことができました。
立派な道号をいただいたとは言え、納得のいく点前もできず、つたない所作にて稽古をしていますが、美味しいお茶を点ててお客様をもてなしたい、という気持ちだけは強く持ち続けてこれからも精進していきたいと思っています。
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2013年11月10日
青峰会の炉開き勉強会
高田不白会青峰会
●大島恵雪
十一月十日青峰会は、「炉開き勉強会」を計画いたしました。当日は、点心、お炭、お濃茶、薄茶と進み、ご亭主がお薄のために用意された茶碗の説明をされながらお客様との会話が弾んでいるところで、気がついたことがありました。それは、自分の気持ちがお客様の方に向いていなかったことです。
お炭点前が担当でした私は、手順のことが気になり、お客様の方に気持ちが向く余裕はありませんでした。しかし、ご亭主は、お客様のことを考え、思い描きながらお道具を準備されたことを思うと、自分がお客様の方に向いていなかったことを深く反省いたしました。
場所の提供や細かなところまでご準備いただいた木村先生や、お道具を用意された方、お料理を用意された方、お出かけいただいたお客様、参加された全員のご協力により、勉強会が開催できたことを感謝いたしました。
◇ ◇ ◇
●木村隆
炉開きに、会員でない私も招かれ桃源庵*で行われ、小間の床に掛物のみで炭点前、懐石は広間で、竹田会長を中心に役員三者持ち寄り水屋で盛付け。お膳が持ち出され、簡素で明解におしのぎの意味を感じ初座を軽やかに済ませて、中立。銅鑼の迎え付、席入り、躙り口より床の椿一輪目に飛び込み近寄り拝見。掛物(飛鳥井雅有公の歌切)と花が一体に炉は赤々と松風爽やか「……とは墨絵に描きし……」このような風情なのかな?
濃茶一啜二啜と服合いの挨拶もそこそこに思いっきりたっぷりいただき、宗八の黒がお詰めまで回り、お茶の多さに迷い気味。亭主に茶が回り主御満悦、一座建立に主も安堵の笑みと。私事ですが、昨秋妻が急逝し二年ぶりに炉が開かれ釜が掛けられこの家の主故に万感の想い憶い思い……
友集いおもい一つに開炉かな
*「桃源」陶源にちなみ と、名心庵宗雪様の銘名(昭和五十三年)
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2013年11月3日
郡山文化祭市民茶会
大竹征子(福島不白会)
街路樹も色づき、菊薫る十一月三日文化の日、郡山諸流連盟による市民代茶会が開催され、江戸千家も郡山男女共同参画センター一階和室に、釜を掛けることとなりました。
前日は二十畳もの大きな和室を、床、畳と拭き清めて待つうち、社中の的確な指示の下、茶道口やお客様の入り口など考慮しながら、お釜を掛けました。待合、受付、水屋と手際よく場所が定められ、心を込めて準備した茶道具を並べ明日を待ちました。
当日は好天に恵まれお席もさらに清々しく、床に大亀老師の「一期一会」のお軸を掛け、社中の持ち寄りの数種の花を野に咲いているかのように、大振りの広州の花入に生けました。残花の一輪の竜胆や、つる梅もどきの赤い実が美しく装い、お客様を迎えるにふさわしい床に整いました。社中一同気を引き締め、心からおもてなししなければと席入りを待ちました。
お客様が座に着かれ、初席主を勤める先輩とお客様との会話を、茶道口でそっと見守っていた先生の安堵とやさしい笑顔がとても印象に残っています。
お点前は中置で「大変珍しいですね」のお言葉。主茶碗は高麗柿の蔕、替茶碗は紫交跡の菊を揃えました。この時節にぴったりな取り合わせですねのおほめをいただき、しっかり手に取りご覧になっていました。またこの茶室の障子からの光も、この場を和ませ美味しいお菓子と、お茶を差し上げることができ、大変有意義な一日でした。
最後のお客様をお見送りし今日の反省をしたなかで、岩谷先生より「大寄席の茶会は皆の協力なしでは行えないことや、時には諸流の自由参加のお茶会などにも出かけて、参考にすることも勉強になりますよ」とお話がありました。私達郡山市民も、大震災後二年八カ月が経ちましたが、皆苦しみに耐ええながらも、このような茶会で皆様の心を癒すことができたのではないかと思いました。
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2013年10月23日
平成25年 茶壺口切り
八女郡星野村 星野製茶園
今年も家元が茶壺を預けている九州の茶園で、茶壺口切りの儀が行われました。
五月に製造された碾茶を五カ月間保管した二種の口切りの茶は、孤峰忌の参会者に振る舞われました。
◇ ◇ ◇
謹んで 今年も碾けり茶臼(うす)の音
*呂宋
口切りに 集う茶園の家族達
〈家元スナップ句より〉
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2013年10月2日
お茶会で拡がる交流の輪—江戸千家不白会が点前
ロサンゼルス不白会(西村宗櫛社中)
夏は氷点てで
今年の家元の研究会テーマでもあるテーブル茶を、ロサンゼルス不白会西村宗櫛社中は実践的に取り入れて活動しています。
その様子がロサンゼルスに本拠を置く日本語新聞『羅府新報』に掲載されました。抜粋して紹介します。
◇ ◇ ◇ ◇
小東京のホンダプラザ内にあるお茶とハチミツの専門店「Honey & Green」で定期的に開かれているお茶会に地域コミュニティーの人々が気軽に集い、交流の輪を広げている。
毎月二回程度の割合で開催されているこのお茶会について、同店の五十嵐達社長は「茶道の基本を通して茶の湯の楽しさを学ぶと同時に、日本の最高品質のお茶と北米を中心とする滋養価の高い天然ハチミツのよさを皆さんに直接味わってほしいとの思いで実施している」と話す。江戸千家ロサンゼルス不白会の西村宗櫛教授が指導にあたる。
江戸千家不白会は、家庭でも点てられる「テーブル茶」を今年のテーマとして上げており、西村教授は「一般の人が茶の湯に親しみ、自分も習ってみたいと思える楽しい茶会である。亭主と客が時間をかけてゆっくり季節感や花などを愛でながら、交流の輪が広がる場にしたい」と話している。
仲秋の名月の日 秋の風情を楽しむ
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2013年9月19日
お客様に楽しんでいただけるように
杉田佳織(高田不白会)
去る九月十九日〜二十四日、アートサロン遊心堂ギャラリーで、五智窯・木村隆先生の茶陶展が開かれました。二十一日の呈茶のお手伝いをさせていただいたのでご報告致します。
床には「土 この豊かなるもの」という木村先生五十歳のお祝いの際にいただいたというお家元直筆の書が飾られていました。陶芸をするものとして世界観、土の大切さを今一度考える意味で飾られたとのことで、木村先生の陶芸にかける熱い思いが伝わってきました。
陶芸をされている方、お茶を習い始めたばかりの方など色々なお客様が作品を見に来られていました。お席でお茶をいただくのははじめてだということで緊張されている方もいらっしゃいましたが、木村先生がお客様に合わせて分かりやすく茶の湯や陶芸、お道具について話をされていたので、リラックスして一服のお茶を楽しんでいただけたようでした。自ら選んだお茶碗でお茶を召し上がられたお客様は、「手に収まる感じがちょうどいい」と満足され、お茶を楽しみながらお茶碗の魅力も感じておられました。
先生やお客様と一緒にお話しながら、お点前をさせていただき、いろいろな方に自分の点てたお茶を飲んでいただくことの喜びと、出会いの楽しさを感じることができました。
今回は、一期一会の気持ちをもってお席に入ることの大切さを再確認する良い機会となりました。
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2013年8月18日
福島県民の日、茶会で市民と交流
岩谷宗洋(福島不白会)
福島不白会前支部長 岩谷宗清氏
八月二十一日は、福島県県民の日です。郷土への理解と関心を深めるという県民の日を記念し、郡山市では市の指定重要文化財である「安積開拓官の舎」「旧立岩一郎邸」にて、八月十八日、江戸千家福島不白会の担当により記念茶会が行われました。
林で囲まれたかやぶき屋根の明治開拓時代の郡役所として使われていた建物は、当時そのままの姿を留め、一歩足を踏み入れると、開拓期の人々の息遣いさえも感じられるようです。クーラーも無く水道の設備も建物の外でしかない水屋でしたが、それさえも趣があり、明治時代にタイムスリップしたようでした。
まだ猛暑の中ではありましたが、襖を全て取り払い吹き抜ける涼しい風や、時折木々の間から聴こえる蝉の声が、ゆったりとした茶会を盛り上げてくれました。
公園から引き続きの施設であるため、散歩の途中の普段着のままのお客様や、全く初めてで座り方も知らないのでと、笑いながらお席入りして下さった方など、さまざまな方々にお茶に触れていただいたことは、とても嬉しく、このような歴史を持つ場所で、茶会を開けることに幸せを感じながら「おもてなしの心」を改めて思う一日となりました。
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2013年6月2日
諸流のお茶会にて 涼をテーマに
疋田佑子(青森不白会)
六月二日、六流派による諸流のお茶会が三カ所に別れて開催されました。今年は、私が所属している竹内社中がお席をもち、先生が席主を務められました。
会場は正覚寺の一階です。お茶室にしつらえた大広間に面した、立派なお庭の木々の葉擦れの音がかすかに聞こえ、優しい色合いのさつきのお花が咲き、池では小鳥たちが、気持ちよさそうに水浴びをしています。
今回のお席のテーマは「涼」です。竹内先生は、初夏を思わせるお天気に、いらっしゃるお客様に少しでも涼を感じていただけるようにと、お道具の取り合わせを考えて下さいました。
床の間のお軸は、家元、名心庵筆の「松頼」が掛けられていました。松の梢や木々の間を爽やかな風が吹いてくるのと、その涼しさの中に、少し温かさを感じる書です。その下には大山蓮華の代のつぼみがよく映えていました。「曲水」と銘が付けられた一兆作のお茶器も金地に黒で曲見ずが描かれ不白好の米棚にスッキリと収まっています。
もう一つ、特筆すべきお道具の一つにお茶杓があります。家元、名心庵と箱書きのある銘「初瀬川」で、櫂先が通常より角張っています。先生はそれこそ宝物のように扱って私達弟子たちにも「優しく丁寧に扱ってくださいね」と気を配られていました。
私は同門の山田さんの半東を務めた後、五席目にお点前をしました。半東が気心の知れた山田さんだったこともあって次第に落ち着いてきました。お点前の最中、緊張して汗ばんだ顔に、お庭から涼しい風が吹いて心地よく、正に今回のテーマである「涼」そのものを感じました。
もう一つ、微笑ましく思ったことがあります。それは、お運びの中に中学生のお嬢さんと高校の男子生徒がいたことです。二人とも若いにもかかわらず、この道の先輩であるお母様はおばあちゃまのいうことをよく聞き、お運びの時も足運びや物腰が由がで落ち着いていて関心させられました。
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マイ茶碗作り
小野寺宗錦(福島不白会)
私達岩谷社中には、長年お稽古に通われている陶芸家の桑原さんという方がおられます。その方の作品は、地元の郡山の土を十年以上もねかせて焼き上げるもので、お稽古に来られる毎にお茶碗やら水指などをご披露してくださいます。私達はそれを拝見するたびに、自分で自分の茶碗を焼いて「マイ茶碗」をこしらえてみたいと話題にしていました。
それはなかなか実現しませんでしたが、六月の日曜日に第一回の、社中のみの陶芸の時間をとっていただき、「マイ茶碗」作りが始まりました。
桑原さんの指導の元、粘土を捏ね、手で筒状に形を整え、難しいところは桑原さんの手をお借りしながら、形成まで二回ほど通い素焼きをしました。釉薬をかけ本焼きするのは、桑原さんと自然の炎まかせの仕上がりではありましたが、世界に一つだけの「マイ茶碗」ができあがりました。
大満足とまではいかなくとも、皆の作品には一人ひとりの個性が出ていて、普段のお稽古とまた違った楽しさもありました。宗匠のいつものお言葉の通りにこの「マイ茶碗」で、それぞれにお茶を点て友達を呼んで、小さなお茶事をしてみたいと、お話に花が咲きました。
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2013年5月26日
アート&ミュージュック フェスティバルに参加
シェルドン宗園(羅府不白会)
サンデェイゴマガジン(ゆうゆう)6/16掲載
江戸千家ロサンゼルス不白会、シェルドン宗園社中は五月二十六日のアート&ミュージュック フェスティバルに参加いたしました。当日は立礼式のデモンストレーションでしたので、亭主、シェルドン宗園 半東、グリーン美和、正客、グリーン舞佳と一つになって行いました。
野点傘の歌花筒に朝顔、短冊には自筆の(喫茶去)を掲げました。お琴の音色に励まされながら、落ち着いてお点前がでました。デモンストレーションは午前、午後行い、その間に百人のお客様にこ大福とお薄のおもてなしを致しました。場所柄高級なものはございませんが、抹茶は八女星の園・星の昔、生菓子・サンフラワーパンのこ大福でした。日本人の作法、精神、美意識を親しみやすい茶の湯を通してご紹介できた事は、嬉しい限りでした。
江戸千家を歓迎して頂いた、このグループに感謝致します。
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2013年5月4日
お城まつりで呈茶席を
河野春雪(大分不白会)
木々の若葉が、日の光を受けて一層鮮やかに目に映る五月四、五日「きつきお城まつり」がありました。全国各地より大勢のお客様がおいでくださり、江戸時代の仮装をなさっている方やお着物をお召しの方、洋服をお召しの方と江戸時代から平成の時代の服装で、散策する楽しいお祭りです。
杵築藩時代のご家老屋敷大原邸での亭茶で、前日より、お座敷の床に「鯉」の掛け軸をかけ、子どもの健やかな成長を願う気持ちを込め、香合を御神輿にしてお祭りの雰囲気を出し、大山蓮華の花を入れました。毛氈を敷き、御棚などの道具を並べ、お庭の木陰に長椅子を出して、お客様をお待ちしました。
おまつりの当日は、天気に恵まれ、中・高校生を中心にお運びと点前をし、先生方が水屋と全体の指導をしてくださいました。お客様は「このお菓子とお茶が飲みたくて来ました」とおっしゃるご常連さんや、「お茶は全く知りませんが、入りやすかったので」とおっしゃる方など、幼稚園のお子さんからお年寄りの方までお入りいただき、「静かなお座敷でいただくお茶は、とてもおいしい」と、喜んでくださいました。お客様との一期一会は、楽しく過ごすことができました。
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2013年5月1日
初めての亭主役
田島和雪(群馬不白会)
新緑の坂を上るとそこは、今回の研究会会場である山徳記念館です。美しい庭園は若葉の息吹でいっぱいでございました。暫し散策を楽しみたいところですが、この日、私は且座で亭主役を仰せつかりまして、初めての経験にこの美しい新緑を満喫するゆとりはございませんでした。そんな折、支部長の河田先生より「いつものお稽古のように」と声をかけていただき、少し緊張がほぐれまして精一杯努めさせていただこうと気持ちを切りかえることができました。
常日頃、恩師の都丸先生より丁寧にご指導をいただきましたことを一つ一つ確認しながらお客様をお迎えいたしました。覚束ない亭主ですが、お客様の心づかいで場が和みお花は涼やかに、お炭はほどよくほこりお香は新緑のようにやさしく、そして小鳥たちの囀り、お席は初夏のおもてなしでいっぱいでございました。
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2013年4月7日
東京不白会春の茶会に参加して
長野不白会(艸雷庵:亭主 李宗福支部長)
■護国寺春の茶会 初デビュー……原 宗友
私事ながら昨年四月より、長年勤めた仕事を退き主婦に専念することになりました。お陰様で、休んでばかりいた稽古にも、少しばかり精進できる時間と心のゆとりが持てるようになりました。
そんな折、今年の護国寺春の茶会のお誘いがありました。しかも、支部長李先生が艸雷庵のお席を持たれるとのこと。今まで一度も出席できなかったので、初めて参加し体験できることに興味と期待感でワクワクしながら、そして、未熟者の私なりに少しでもお手伝いできることがあればと思いながら出席のお願いをしました。ところが、何とお手伝いどころか、支部長先生よりお点前役のご指名をいただいてしまいました。ワクワク感が一気にドキドキ感にとって代わり、楽しみだったお茶会が不安なお茶会となり私の心にのしかかりました。そんな中、諸先輩の先生方から、誰でも経験できることではないよ」「良い勉強の機会だと思うよ」などと温かい励ましの言葉をいただき、確かに有り難いことだと思い直すと同時に、できることの巡り合わせに感謝しつつ、やらせていただくことに致しました。
さて、決断したはよいものの、実力の伴わない私ですので、それからが大変です。濃茶点前の基本を再度見直していただいたり、貴重なお道具を実際に手にとって実践させていただいたりと、先生方からは沢山のご指導をいただきました。取り分け、不白造の掌に納まり切らない程大振りの茶入「末広」から、名心庵作の茶杓「三輪山」にて茶を掬い出すのです。ありえないことです。扱いには手が震える程、気を遣いました。
そして当日、無我夢中の内に何とか持ち場の二点前を終えることができましたが、改めて周囲に目をやると、ご亭主や半東さんは勿論のこと、大風の中で下足番をされる方、汗を拭きながら水屋で準備や片付けをされる方、等、支部の皆さんがそれぞれの持ち場で甲斐甲斐しく気配りされていること、沢山の手によってお席が流れていることに気づきました。私のたどたどしい点前が、その流れの一端を担えたのかと不安になると同時に、大切な仕事を任せて下さった李先生の潔い決断に頭が下がる思いでした。
こうして私の護国寺茶会デビューは、大変思い出深いものとなりました。この場を借りて改めて、このような機会を与えていただいたこと、親身に稽古をつけていただいたこと、そして、当日支えて頂いたことに感謝致します。支部の皆さんで出かけたバスの旅も楽しかったです。でも、次回は是非、もう少し楽な気持ちでお席を拝見できたらなあと願っています。
◇ ◇ ◇
■艸雷庵にて……小宮山宗裕
前日からの雨があがり、爽やかな風の中開催された護国寺の東京不白会春の茶会。
私は点前をさせていただく事になっていましたので、茶室の中、点前座と道具の確認など、そして心の準備へと、気持ちを集中させていきました。
長野不白会一同が心を一つにして作り上げた席、艸雷庵にお客様をお迎えし、濃茶を差し上げる、本当に素敵な事だと思いました。
寄付には、信州を代表する浅間山の掛軸がかけられました。お正客と席主の先生、半東さんとのお話しは、緊張感の中にも和やかな雰囲気で、今日のお客様と、この席をともに出来ることへの感謝の気持ちを込めて濃茶を練るひとときは、亭主としてこの上ない幸せな時間でした。
◇ ◇ ◇
■「春の茶会」感動を再び……神農宗洋
四月二十日春の茶会の慰労会を兼ね、李先生のご厚意により、お茶席に招待していただきました。
寄付で小山敬三の浅間山に迎えられ、そして不昧公の掛軸、流祖不白のお茶入、同じお道具を拝見していると、春の茶会のことが、ありありと思い浮かびます
。
私は、お濃茶を点てさせていただいたのですが、お茶入の「末広」は大振りで清めるのが難しく粗相をしてはと思い緊張しておりました。その時、李先生から「いつも通り」というお言葉を掛けていただき、また教本に書かれてある「濃茶の点前は、静かにゆったりと進めるものである。そして心を込めるということに比重を移す」という言葉を思い出し、ゆっくりとお茶を点てることができたのではないかと思います。
李先生に、めぐり逢い、そして支部の方々と共に、美味しいお茶を差し上げたいという一人一人の思いがかない、無事にお茶会を終えることができ、安堵の思いが致しました。
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2013年3月3日
「岩崎宗蓬先生を送る会」乾杯のご挨拶
青森不白会
岩崎宗蓬先生
長きにわたり江戸千家で茶の湯を学ばれ、青森不白会会長として、また、全国不白会常任理事、そして名誉理事として多大な貢献をされました岩崎宗蓬先生が、青森の地を去られることになり、青森不白会主催で「送る会」が開催されました。その際の岩崎社中のスピーチを、そのまま掲載させていただきます。
◇ ◇ ◇
「月日は百代の過客にして、行き交う年もまた旅人なり」
お稽古で先生のお宅に伺いますと、玄関のドアを開けた瞬間から、そこは別天地です。季節ごとに変わる床飾り、お道具は、普通ならガラス越しにしか拝見できないものばかりです。野に咲く花が、先生のおん手で床の間に生けられますと、一段と光を増します。
お花の大好きな岩崎先生に、MOA美術館の創始者岡田茂吉師のお歌を進呈させていただきます。
「美はしき 花に憧る人こそは 花にも似たる 心持つなり」
さてJR三島駅に降り立ちますと、そこには大きなおおきな富士山がドーンと眼前に迫って参ります。
最高の芸術品を求めて止まない岩崎先生は、ついに日本一のお山、富士山をお求めになりました。これからは富士山のふもとで「めざして百歳」です。
蓮鶴先生三回忌の際に、家元から贈られた色紙「めざして百歳」
それでは、岩崎先生が富士山のふもとで百歳を迎えられますことを、皆様と共にご祈念申し上げます手乾杯です。ご唱和お願いいたします。
「乾杯!」
どうもありがとうございます。
岩崎社中 奈良宗規 (平成二十五年三月三日、ホテル青森)
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総会の茶会に参加して
坂田宗秀(熊谷不白会)
平成二十五年度熊谷支部総会が、去る三月三日開かれました。総会後、お席が二席用意されました。当日は春とは名ばかりの寒い一日でしたが、お席を担当された先生の趣向を凝らした、春らしい楽しいお席ができました。特にお料理上手でアイディア豊富な中田先生のお席では、手作りの温かい白玉ぜんざいが寄付で振る舞われ、お客様に大変喜ばれました。水屋では本席の準備、白玉作り、ぜんざいの温め盛り付けと、それぞれが責任を持って仕事を分担し、社中全員による見事な連携プレーで無事終わることができました。
日頃から、お水屋の大切さについてご指導いただいておりますが、実際お水屋に入って体験することで、その重要性をますます痛感いたしました。大変勉強になった一日でした。
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2013年2月2日
祝いの席で精進誓う
西村宗櫛社中(ロサンゼルス不白会)
羅府新報より クリックすると大きな画像で見られます
江戸千家ロサンゼルス不白会西村宗櫛会長宅にて二月二日、お初釜を兼ねて西村社中の舟木綜雪、乗富宗久二人の相伝式が執り行われました。江戸千家十代川上宗雪家元より師範の免状とお看板を授かりました。
床には相伝式に相応しく「福寿」が飾られ、鶴首の竹入れに松竹梅椿などが生けられ、黄瀬戸不二窯の「福寿」宝珠香合そして結び柳が添えられました。
竹台子にしめ縄飾り,江戸千家不白好み青花鳳凰紋皆具・川瀬順一作。八卦盆にて西村宗櫛師により「乱飾」のお点前にて厳粛の内濃茶が煉られ相伝式が始められました。その後お免状と木礼のお看板が手渡されました。
ミヤコホテル「多門」より祝い懐石膳、吸い物とお酒が甲山貴明社長自らお持ちくださり乾杯の音頭にて花を添え、皆祝いの味覚満載の膳を堪能しました。
ドラの音にて蹲をし席入りの後、亭主・舟木綜雪、半東・乗富宗久により「台天目」の点前
が始まりました。続いて亭主・乗富宗久、半東・舟木綜雪により「盆点」にて濃茶が煉られ、厳かな祝いの席にふさわしく美味しく濃茶を堪能し、和やかな相伝茶会となりました。
舟木氏は今まで面倒を見てくれた人達に「おめでとう」と言う言葉をかけられて初めて実感がわいて来ました。家元より戴いた「御看板」これには沢山の意味が含まれている事に気付きました。此れからが大変です。今日まで教えていただいた基礎を基に綜雪と言う名にはじない、皆様にご理解いただける美味しいお茶を楽しんでいこうと思います。と豊富を述べた。
介添えをした西村宗櫛師は「入門してから13年以上地道な努力を重ねてきました。今後は精神文化である茶の湯の精神を土台として精進してください」と励ましの言葉を贈り師範を喜こび、祝品を2人に贈りました。又来賓者一同に内祝いが贈られました。
*今回,「不白会だより」で紹介できなかったロサンゼルス不白会西村社中の相伝式の写真は,同不白会新井社中の初釜とあわせて
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