2018年11月30日
ライプツィヒで茶の湯を
大黒 耿雪(青森不白会)
旧東ドイツの南にあるライプツィヒを訪れた。この街にマクス・プランク研究所というノーベル賞受賞者を何人も輩出している物理学や生理学の研究施設があり、息子が勤務している。変わり者で高校時代は作曲家を目指し、その後、理学療法士になって病院に勤務すると次は「脳の研究をしたい」」と大学院に進み、医学博士の称号を得、東京大学、オックスフォード大学の研究員を経て現在に至る。厳しい世界らしく、来春までに評価される論文を書かないと雇用が継続しないかもしれず、在籍している間に見ておきたい、と訪れる事にした。
すると息子から「研究所でお茶を点てて欲しい」と要請、慌てて道具一式をトランクに詰めたのだった。
研究の合間にコーヒーなどを入れるための部屋で、テーブルでの立礼の略式。最初の客は「日本の茶道にとても興味をもっている」という台湾からの若い男性で、息子が私の事を「ティセレモニーのマイスターだ」と説明、お茶を点てて出すと「日本のマナーを教えて欲しい」と尋ねてくる。「両手で持ち、正面を避けるように少し右に回し、二口か三口で飲んでください」と教えると「台湾にもお茶を飲むときのマナーを大切にする文化があり、とても親しみを覚える」と話した。二人目の栗毛色の髪をしたヨーロッパ人女性は飲んだ後「デリシャス」と感想を漏らした。この建物の中で茶の湯の作法を見せたのはおそらく私が最初、研究者も初体験の珍しさに満足してたようだ。私も未来のノーベル賞学者の卵にお茶を振る舞ったのは、後の誇りになる事だろう。
カテゴリー:茶の湯を楽しむ 「ライプツィヒで茶の湯を」のリンク
2018年11月25日
招かれて味わった至福のとき
家元招請研究会 - 課題「唐物(茶通箱)」
高橋宗津(岩手不白会)
十一月二十五日、平成最後となる家元招請研究会は課題「茶通箱」でした。私は正客として学ぶ貴重な場を与えていただきました。
家元が亭主、半東は博之様です。まず、「茶通箱」とはどのようなものか、本来の意味や用途などをご説明下さいました。また、今回は箱を表道具として棚に飾られました。
箱の扱いは、指の運びや動きだけに気を遣う事ではないこと、心して取り扱うしぐさなのだと学びました。
初座では、床の「茶是長寿友 宙心庵閑雪」のお軸で、若い頃の筆であろうと家元は由緒をお話しくださいました。翌日、十一月二十六日が、先々代さまのご命日、なにか特別な思いがいたしました。
炭点前に入り、炉に寄ると、その種火の美しかったこと、感激いたしました。
点心席では、お料理やお酒をいただきましたが、お茶事でのこの席は主席とは別のものだとわかりました。初座でも半東の役割は大事だと気づきました。
後座では、喚鉦に迎えられて、お床の見事な花に見入り、座に着きました。
厳粛で、美しい流れるようなお点前を間近で拝見し、丁寧に練られたお濃茶は、本当に美味しい最高のお茶でした。今、一つのお濃茶もいただいて二種の味の違いをはっきり感じました。茶碗拝見で、二服目の濃茶を飲み切ったときにも拝見に出されましたことに気づきました。一服目と同じ茶碗なのにと不思議に思いましたが、茶碗拝見は、お茶の色や香りを見、感じることだとお教え頂き、一服目とは別のお茶だからと、茶碗を見せてくださったとわかりました。
半東の博之さまは、気づくとお茶やお道具をお運び下さっていて、その動きは、まったく自然で美しいお姿でした。
いつの日か、茶通箱のようなお道具で、お茶好きな友を招き、二種の濃茶を点てちがいを味わい、楽しみたいと思っております。
田山宗由(岩手不白会)
家元と博之様を岩手山の一際美しい小春日にお迎えしての研究会、茶通箱のお茶の掃き方から丁寧にご指導いただき、自ら亭主をなさり楽しみにしておりました炭点前をはじめ、全ての所作の変わらぬ美しさは体操十種の賜物でしょうか。またほっこりとした優しい銘の「木守」のお茶碗でとろりとしてふくいくたるお濃茶をたっぷりいただきました。お茶の味わいに集中できるように配慮されたお点前の進め方、お茶入、お箱の花押を拝見では一瞬身も心も引き締まりました。木守のエピソードや富士登山のお話を楽しくお聞きしてすっかり和みまして、席の設定を始めお心遣いをひしひしと感じ客として本当に何と幸せな研究会でした。社中もお稽古で茶通箱のお点前が思ったより簡単だったとそれぞれ言っておりました。まお亭主が二種のお茶を用いた事の方が会話もごく自然で現代にはあっているように思いました。お稽古に活かして楽しんで参りたいと思っております。ありがとうございました。
博之様の半東としてのお働き大変勉強になりました。
カテゴリー:研究会/家元招請研究会 「招かれて味わった至福のとき」のリンク
2018年11月17日
家元教場研究会レポート(16)
課題ー古典(相伝物) 第四回 茶通箱
炉開き
下火に菊の葉を乗せ、塩をまいて清める。切り火をする
半東として
河内 彩雪(土B:東京不白会)
お当番では、十一月の炉開きで行う茶通箱の半東という貴重な機会に恵まれました。半東は通常のお稽古でも動きに気を配りますが、研究会での相伝物ではなおさらのことでした。家元の濃茶点前の最中、ふっと口切りの茶の香りが漂ってきました。ああ、なんていい香りだろうと顔を上げて、ゆっくりと茶室全体を見渡すことができました。
芳しいお茶を、美味しいうちにお客様にお届けしようと、自然と思いがわき、少し落ち着いて動けたような気がします。
一瞬ですが、茶席の皆様と心が通い合ったように感じました。お客様をもてなすには、まず自分の心の平穏を保つことが大切だと気付きました。
花月の間 水屋の準備1
水屋の準備2
水屋の準備3
水屋の準備4
カテゴリー:研究会/家元招請研究会 「家元教場研究会レポート(16)」のリンク
2018年11月2日
郡山市民茶会で茶箱の点前
渡邉宗翠(福島不白会)
平成三十年十一月三日、郡山諸流茶道連盟主催にて七会場で茶会が開かれました。
私は公民館の会議室が担当でしたので立礼卓での茶箱を使ったお席ににしました。
大寄せの茶会での立礼の茶箱は初めての経験でしたのでご指導、ご意見を仰ぎ準備を進めました。
当日、お客様も「珍しいお席で楽しませていただきました」とお話くださったり、「もう一回入ってもいいですか」と二回、私の席に入ってくださったお客様もいらして、亭主を務めた私も大変うれしく、楽しい茶会を経験させていただきました。
カテゴリー:行事・茶会 「郡山市民茶会で茶箱の点前」のリンク