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2022年7月10日

2022年度 家元教場研究会レポート(5)

家元教場研究会 実践「自宅の茶」

七月十日(金曜A) 森宗鈴宅
     客 加賀秀雪(青森)

 雨の中高知土佐の森宗鈴先生宅を訪れました。奥深い道を進むと折に触れお聞きしていた光景が目の前に広がりすぐ奥に山が迫り圧倒されます。土佐独特の入母屋造りのゆったりとしたお部屋で茶事が始まりました。
床には玄峰老師の書「茶是長寿友」。盲目の老師の生い立ち、高知と和歌山との繋がりのお話は興味深く、流祖不白とのご縁を感じとりました。大徳寺弁当には今朝採りたての野菜が彩り良く炊かれ美味しく、何とも贅沢なおもてなしです。
 後座、床に竹の釣り花入が置き付けられもろ飾りに、とらの尾、桔梗、しま葦が入り、舳先には不白の花押があります。迷い無く濃茶を点てられる亭主のお姿にお訊ねしましたら、毎朝心を無にして濃茶を点てておりますとのお答えでした。本願寺御用達の茶「憶昔」は八女のお茶とはまた異なる味わいが有りました。ご亭主の思い入れのお道具のお話をお聞きし和やかに時が過ぎます。
 帰り道には沢山の花や草木があり、皆さん一つ一つに足を止め拝見し名残を惜しみました。自然豊かな土地での茶事を楽しみにお越し下さいとのお誘い、今一度振り返り景色を心に刻みました。各々の土地の風土に溶け込みながらも綿々と揺るがぬモノが伝えられ、どの地でも精神は同じなのだとの思いが致しました。
一瞬遠い地に居る事を忘れかけた自分がおりました。親しさ故に客に徹する事に幾分甘えがあったのではとの反省もいたしましたが心豊かな経験と成りました。

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2022年7月8日

2022年度 家元教場研究会レポート(4)

家元教場研究会 実践「自宅の茶」

七月八日(金曜B)小林宗淳宅
   客 菅原素雪 (東京)

 山深い青葉を渡る風の波に気分良く、ここは禅寺かと思われるような接待に感動致しました。
 すべてが御亭主の手作り、寄付の飲み物は冷たいサッパリ味の梅ジュース。指物師の作と見まごう足付折りたたみの木目の通ったテーブル上の膳、昆布出しだけの精進料理の見事さ、入れ子になった椀が手縫いの唐桟の帛紗に包まれ、上に膝掛け用に一枚のせ、真っ白い布巾(最後に椀をふく為)ものせ、黙食なので手話も教わりながら楽しく美味しい料理でした。
 中立後、席入り。寄付、本席共ご亭主が修業なさった和尚様の掛物。漢文で何とか意味は分かりました。花入の鉄鉢に、菅、半鐘蔓、小さな白撫子、一本ずつ小さな青竹の落し(手造り)に活けられ印象的でした。続き薄茶の菓子も銘々に青竹に流し込んだ水羊羮、美味。
 心のこもった接待に帰りの車中の会話も弾みました。長年お茶の道を歩いてのきた私も同行のお弟子さんもとても良い一日だったと感じました。

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2022年7月6日

2022年度 家元教場研究会レポート(7)

家元教場研究会 実践「自宅の茶」

七月六日(水曜A) 武井宗房宅
      主 阿部宗汀(東京)

 皆様、蓮田駅から来る途中、大きな木に無花果がたくさんなっていて驚いていらっしゃいました。未だ田舎の風景が残っている話になり、ザリガニ、カマキリの話等、私も住んでみて驚いたことを話しました。
 後座では小柴先生にいただいた「結果自然成」の軸で、皆様と懐かしい思い出話を致しました。お食事ではお肉がとても柔らかくて美味しかったので作り方をお教えしました。果物をお出しして終了です。
 お客様に楽しんでいただけましたか心配でございましたが、私と致しましてはほんの少し満足をして居ります。お茶事は準備、後片づけと大変ですけれど、終わりましたあとの気持ちはとても爽やかです。終活に近づいている年になりまして、お茶事の楽しさがほんの少し分かってきたような気がいたします。

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2022年度 家元教場研究会レポート(8)

家元教場研究会 実践「自宅の茶」

七月六日(水曜A)
     主 今井光雪(熊谷)

 暑さとコロナ対策を第一に考えての準備となりました。   お料理はお客様より「お弁当を持参いたします」とのお申し出をいただきましたので、一献のおつまみのみを用意しました。写真の「星合い」はお正客の榎本先生の手作りです。初座はお酒の強い方がいらして、なごやかな楽しいお席でした。用意したお酒を楽しんで飲んでいただけたのは亭主として大変嬉しく、私ももう少しお酒が飲めるたらと、思いました。
 家元が「初座を大切に」とおっしゃる意味が実感としてわかりました。各服点のお濃茶はまだまだ慣れず、 もう少したっぷりと差し上げればよかったと反省しております。
 お薄は「札なし花月」で一服ずつ飲みました。楽しく有意義な時間となりました。
 紫陽花の花が皆茶色く焦げてしまった猛暑も少しやわらぎ、お客様のやさしさに支えられて楽しいひとときを過ごすことができました。今回「札なし花月」を取り入れてみて、「七事式やご相伝の点前は単独であるのではなく、皆お茶事の一部です」と家元が話されていた事を思い出し納得できた一会でした。

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2022年7月5日

2022年度 家元教場研究会レポート(6)

家元教場研究会 実践「自宅の茶」

七月五日(火曜A)
     主 堀地宗章(群馬)

 お客様が到着前に皆で抗原検査をし、楽しい一日になりますようにと笑顔でうなずき合う。この状況で茶席に集えるのは喜ぶべきこと。台風接近の予報が心配でしたが、「気楽に伺いますね」と東京、埼玉からお越し頂き、天候の悪い中ありがたいです。
 道具組やお料理など何度も先生のところへ相談に伺い、「無理しないでできることを精一杯やるのがいいわよ」「お客様も、迎える側も楽しくないとね」と言っていただき、その思いを大切に心がけました。
 七夕をテーマに五色の布と竹の香合、お酒は響きがよいので「流輝」に決め、近くで笹を一枝いただき半夏生に添えました。お客様方には不慣れでゆるゆる進むのを温かく見守っていただきありがとうございました。精一杯がんばって、反省点も沢山でしたが、暑い季節によい経験となりました。

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