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2024年10月6日

熊谷家元招請研究会

家元招請研究会〈課題:台天目〉

小倉宗全(熊谷不白会)

 家元と次期家元の新柳様にお越し頂き研究会が開催されました。
 課題の「台天目」は貴人を迎える作法で、身分制度が厳格であった時代に培われてきたものであること。皆平等という今日では当時のような場面はないかもしれないけれども、相伝物の作法として学ぶだけではなく、特別なおもてなしとして行うことも出来るので、目上の方をお迎えして行う茶事の中に取り入れてみるのもよいのではとのことでした。
 午後は実践です。家元ご所蔵の、不白筆利休円窓図「心法双忘一味常顕」を拝見。心と法をともに忘れ去ったところに茶の湯の真実が現れ出るとの意味合いで、いつまでもお点前の手順とか半東の動きとかにばかり囚われていてはいけないと、改めて気付かされました。新柳様に貴人となっていただき「台天目」を行いました。亭主として最高のお茶をお点てしておもてなしすること、いかに快く過ごしていただくか、場を整えることの難しさを感じました。茶の湯の本質を実践してゆけるようお稽古に取り組み、また日常の中にお茶で学んだことを取り入れて、お茶を身近なものにして行こうと思いました。最後に全員で一服頂き、和やかな歓談のひとときを過ごさせていただきました。とても充実した一日となりました。

新井千鶴(熊谷不白会)

○『ひとゝき草』巻頭言の「井の中」に書かれた思いを拝聴。二十歳で江戸千家を襲名したことからはじまり、今まで広めようとした「自宅の茶」「札なし花月」「左利き点前の普及」「自分一人のためのお茶の奨励」などゆっくりお話しくださった。
 茶の湯はお客が主人公。「台天目」は、貴人の方にお茶を差し上げること、と話された。お客様や自分自身のために、心をこめて茶の湯の技術を磨いていくと、自ずと自分自身が見えてきたり、お客様の本質も垣間みえてくる、とのこと。
 家元はあと半年で、伝えられることは伝え、伝えられないのは仕方ないという境地とのこと。心も技術も磨いて、二つとも忘れてお客様や弟子たちのために色々伝え、清々しいお気持ちなのではないだろうか。貴重なお話、理事の方々の台天目のお点前、今後のお稽古の励みになります。

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