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2018年4月11日

家元教場研究会レポート(8)

課題ー古典(相伝物) 第一回 唐物(盆点) 

永井宗悦(水B:岩手不白会)

 今年の研究会の課題は「茶事の趣向で相伝物を学ぶ」でした。御亭主は家元。半東と水屋は当番でした。客は当番から話し合いで決めました。不安でしたが、正客を受けて、とても貴重な時を体験しました。
 床に進みますとお軸の本紙の上部にかかれた「達」の大きな一文字に圧倒されました。達成、到達の意で相伝式で掛けられる軸であると伺い、相伝の意義を理解できました。
 お席は長板に桜の色合いの萬古の皆具、お釜は雪洞型のたっぷりした釣釜でした。お炭点前の後、八寸と盃が運ばれました。桜鱒、菜花のおひたし寒天仕立、チコリに蕗味噌を添えて。お酒は新潟のフルーティーなお酒でした。やさしい春らしい、さりげない盛り付けも茶事ではとても大事な気遣いと後座のお濃茶を意識した八寸のお料理と思いました。また寄付での家元の短冊の蕗味噌が飛び出したようでした。ほっとする瞬間でもありました。
 中立後昼食を教場でとり、寄付でお菓子をいただき、喚鉦で後座が始まりました。床には竹の花入に白の山吹、藤が生けられていました。自分の呼吸が聞こえるような緊張を感じて座っていました。相伝式などではじっと目を凝らして見るという姿勢だった気がしました、大切な濃茶器で一服を建てるという心こめたお点前の流れに、徐々にリラックスした静かな充実した時間と空間が共有できました。濃茶器の扱いやお茶を掬う所作が心に残りました。おいしい濃茶を皆様といただきました。茶事の体験を積んで、客としての姿勢を学んで行きたいと思いました。

家元教場研究会 - 古典(相伝物) 

本間宗円(水B:東京不白会)

 嬉しく楽しい研究会でした。ただ一つ、亭主の考えにどのような動きで寄り添えるかのみを考えました。集中することを意識し、リラックス、深呼吸と言い聞かせて控えました。
 反省点は、お酒、料理をきちんと把握せずお出しした事です。お尋ねがあってから、聞いてまいります、では半東は失格と思います。また、あまりお酒が飲めない方への勧め方も工夫がいるようです。そして濃茶の際、唐物ではありましたが、お客様の座が少し遠かったので立って運びましたが、それが適切であったのか、座ってするべきだったか。
 茶事の流れを説明し、要点を伝えて、ゆったりとお席の入るという家元の方針が、今後の自宅の茶に生かしたいと思いました。
 釜の扱い、炉中の炭の要領、時間配分、釜の据え方、皆具の準備等々、ご指導を受けながら実践させていただき、大変勉強になりました。

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