江戸千家 > 行事の予定・報告(2025年) > 神戸同好会十五周年記念茶会

神戸同好会十五周年記念茶会

令和7年5月17日 (土)
有馬グランドホテル「雅中庵」

 江戸千家神戸同好会が十五周年を迎え、関西の奥座敷といわれる有馬温泉を会場として記念茶会と祝賀会が行われました。発会から今日に到るまでの思いを渡辺宗倫支部長に寄せてもらいました。

●濃茶席

    主 渡辺宗倫
式典 寄付
 寄付 時鳥図 西山芳園
床 小堀遠州 和歌詠草
  正保三年元旦試筆 於 有馬
 花入 唐物手付籠
 花 大山蓮華 都忘れ
 香合 唐物青貝 人物文
 長板飾り
 釜 朝鮮切合 高木治良兵衛
 皆具 不白好染付鳳凰紋 川瀬竹春
 茶器 不白作 黒楽 銘「那智」
      名心庵箱
 茶杓 一元斎作 銘 「須磨」 共筒
 茶碗 斗々屋 平
  替 古萩
 御茶 星の奥 星野製茶園詰
 菓子 杜若 末広屋一祐製
 器 染付芙蓉手兜鉢
  紅地緑黄彩花鳥紋

●薄茶席

   立礼 賛助 新宮同好会
松楽亭 本席 秋水庵 本席 寄付
 立礼 賛助 新宮同好会
床 名心庵筆「麦秋風温」
 花入 白磁桔梗口
 花 杜若
 釜 肩衝筒 菊・干網地紋
      大西定林
 水指 高取鮟鱇 亀井味楽
 茶器 名心庵好黒中棗
      川北良三
 茶杓 一元斎作
     銘「明石」共筒
 茶碗 高麗青磁
  銘 「翡色」 名心庵箱
  替 唐津 中里重利
 御茶 星の昔
    星野製茶園詰
 干菓子 雪輪と有馬富士
    宮本香織製
  器 光琳流水紋四方
    玉林院古材批目
    八角

◎神戸同好会十五周年を迎えて

  神戸同好会会長 渡辺宗倫
 平成7(1995)年阪神淡路大震災より、今年で丁度30年を迎えます。激震地にあった拙宅は、あっという間に崩れ落ち、主人と私は瓦礫の下敷きとなりました。暗闇の中を手探りでなんとか這出て、命を取り留めました。
 震災から一カ月経った頃、名心宗匠が、被災地の視察にお見えになりました。瓦礫と化した神戸の町並みを歩きながら、宗匠は終始寡黙であられました。
 庭の片隅に設置した仮設小屋にお上がり頂き、蓮鶴先生からお見舞に送って頂いたペットボトルのお水で湯を沸かし、今は亡き前原先生が送ってくださった、抹茶と茶筌で一服を差し上げることが適いました。宗匠はまだ四十代の若さでいらしてすでに遠い昔の出来事になりました。
 震災より15年後(2010年)、復興が進み巷に活気が戻り始めた頃、神戸教場が江戸千家同好会として、全国連合不白会に加えていただくことになりました。
 そして発会式より更に十五年が経ち、今年、令和7年5月17日、有馬にて発足十五周年記念茶会を開催致す事となりました。
 この間、世の中はめまぐるしく変化し、コロナという目に見えない脅威に世界中が震撼しました。あまりにも早い速度で変わりゆく時代の変貌に、ある時は必死に、ある時は翻弄されながら、自分の立つ位置さえ見失いそうになるとき、炭を起こし湯を沸かして、立ち上る抹茶の香りに癒やされ、いただく一服のお茶に、ふと立ち止まる自分が心地よいのです。
 どんなに時代が目まぐるしく変貌を遂げようと、ここには何百年と変わらぬ世界があるのです。「たかが茶、されど茶」(名心宗匠のお言葉です)私はこの言葉をいつも胸に、街の片隅で美しいお茶を楽しみ続けたいと願っています。
 これまでお支えくださいました名心宗匠はじめ、ご宗家の皆様、江戸千家の皆様、そして神戸同好会の皆様に心より感謝の気持ちをお伝えしたく存じます。

◎記念茶会を終えて

   神戸同好会 安高宗幸
 記念の茶会は、家元、名心宗匠ご夫妻、宗康先生ご夫妻、里雪様、そして西日本各地の支部、東京、新潟より47名のご参加を頂き、同好会員共、総勢63名での開催となりました。
 有馬グランドホテルの「雅中庵」は広い庭のゆったりとした敷地に建つ素晴らしいお茶室でした。茶会前夜の雨音に、お庭を通っての席入りができるか心配でしたが、当日の昼前には晴れ間がのぞき、お茶室から見える雨に濡れた新緑の風景には心が洗われる様でした。
 立礼席では、新宮の方々の頼もしく凛々しい袴姿でのお点前、半東、お運び、そして私達神戸とのコラボで始まりました。緊張する中、名心宗匠の〝楽しく…〟、家元の〝楽しいお茶を皆さんと…〟のお言葉を思い出し進めて参りました。あたたかく見守って下さったご列席の江戸千家の皆様、そして細やかにご指導下さった渡辺先生、共に学び支え合ってきた神戸同好会の皆さんとの心に残る記念茶会となりました。

© 2025 edosenke
表紙へ歴史流祖茶室茶の湯のすすめ会報から不白会行事ご案内出版物事務局サイトマップ