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第42回 東京不白会夏期講習会

2024年6月27日 (木)
オンライン開催 於 家元教場

 六月二十七日、恒例の東京不白会主催夏期講習会がオンラインで開催されました。今年は二人の講師を迎えました。お話の一部を紹介します。

会場風景

(教場床)

何處山寺送鐘聲来
      耳庵(松永安左ヱ門)

■時の鉦と江戸の時刻

浦井祥子先生 
(徳川林政史研究所特任研究員) 
 「花の雲鐘は上野か浅草か」
 芭蕉が深川の芭蕉庵で詠んだ「時の鐘」とはどういうものだったのか。当時の時刻制度である不定時法の仕組みとは、何故「一、二、三…」と数えないのか等々。当時の資料や多くの画像を用いて意外と知られていない江戸時代の「時」について解説された。
 当時の人々の時間感覚は漠としたものではないかという予想に反し、さまざまな方法で時を計る科学的な視点もあり、「時の鐘」は、幕府の管理の下に正確を期して運用されていて、江戸は時刻を厳密に人々に知らせようとしていた世界でも珍しい都市であったという興味深い指摘もあった。 複数の時の鐘が聞こえていた江戸の風景、そこに暮らす人の生活に思いを馳せることのできたお話であった。

■江戸千家の建築と自然

伊郷吉信先生 
(自由建築研究所代表) 
 木造建築の設計、保存修理の他、歴史的建造物活用保存のための提言、調査、設計をされている立場から、まず江戸千家の建物の複雑な構造について歴史的な視点から解説いただいた。その複雑さが美的な自然の空間を生み出していることを、多くの写真を使ってお話しいただき、これまで手がけられた江戸千家表門や教場の修復修理の経緯、広間、玄関、一円庵、蓮華庵各所の構造や特徴について解説くださった。
 歴史的な建物を保護しつつ維持するためには、自然の素材や伝統工法を理解し親しむこと、助け合いの輪をもって維持していくことの重要性について語られ、日頃接している江戸千家という建造物と自然の貴重さを改めて感じられたお話であった。

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