七月九日、恒例の東京不白会主催夏期講習会がオンラインで開催されました。今年は二人の講師を迎えま した。お話の一部を紹介します。
奈良・平安時代から近代までの一千年に亘る歴史の中で、中国陶磁がどのように日本にもたらされたか、特に茶道具の観点からみた中国陶磁について、多くのスライド資料を示し、貴重な実物の解説を加えながらお話いただいた。
鎌倉時代には武士や僧侶が中国の文物(唐物)を高価で崇高なものとして楽しむ喫茶の風潮が生まれ、室町時代に確立。
茶の湯の世界では特に中国龍泉窯の青磁が好まれ多くの名品が伝来した。茶道具は用としての性格が強いが、鑑賞的な側面から高い評価を得たものが珍重され伝来してきたことがわかる。近代以降には、中国清王朝の動乱期に宮中の名品が流出したり、古代の名器が大量に発掘されるなど、著名なコレクションを形成したことなど興味深いお話もあり、壮大なテーマを一望できるような講演であった。
江戸城の無血開城をはじめ、日本の近代国家樹立のために活躍した勝海舟とはどんな人物だったのか、子孫だからこそ知る素顔も含め、膨大な調査資料を示しながらお話いただいた。
米国へ渡った際乗船した咸臨丸は長さ四十八メートルと意外と小さく、
百九人の人間とたくさんの食料を載せ雨風吹き荒む中、三十七日間の航海だったという。この年は海舟生誕二百年。家元邸花月の間は、海舟も通った不忍池「松源」という料亭の遺構と伝えられ、講演当日は、会場に勝海舟の書がかけられて家元の解説もあった。、江戸千家との縁についても改めて感じさせられるお話であった。