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川上不白生誕三百年記念

『川上不白茶会記集』出版祝賀会

2019年12月1日 (日)
帝国ホテル東京「孔雀の間」

帝国ホテル東京 孔雀の間

 二〇一九年十二月一日、『茶会記集』『不白筆記』(中央公論新社刊)の出版を記念して、全国各不白会、また御縁のある方々六百五十人が集い帝国ホテル東京「孔雀の間」で、祝賀会が開催されました。書籍の編纂をされた野村美術館の谷晃先生、記念の展覧会「江戸の茶の湯」を開催された根津美術館の根津公一館長、西田宏子先生はじめ、多くの皆様からお祝いの言葉をいただき、端唄・清元の演奏、不白に因んだスライド上映も行われ、和やかで華やかな会となりました。

江戸千家家元 宗雪宗匠

●家元のお話

 流祖の川上不白が生誕三百年を迎えるにあたり永年温めていた二つのことについて話された。
 茶会記の出版は、不白の基礎資料を残そうと地道に続けてきた最後の集大成。谷晃先生と出会い、中央公論新社と御縁ができ、多くの方々の協力のお陰で発行できた。二つ目は、西田宏子顧問との交渉、学芸員の方々の尽力により「江戸の茶の湯」という根津美術館主催の展覧会が実現した。心から感謝申しあげますと、話された。
 ご子息の博之様が、今年の孤峰忌に際し、海雲和尚より不白の若い頃の斎号である「新柳」を授けられたことを報告。
 不白はお祭りが好きだった。今日は皆さん楽しく交流してもらいたい、と結ばれた。

野村美術館 谷 晃館長

●谷先生祝辞

 今回の書籍の発行にいたる経緯と意義について次のように話された。
 二十種類千五百回にも及ぶ不白の茶会記から数百を選び、若い研究者の協力の元発行にこぎ着けた。中央公論新社の編集者郡司氏の尽力が大きい。『不白筆記」は多くの茶の湯資料の中でも五本の指に入る書物。この二冊の発行により江戸時代末期の茶の湯に光が当てられ、研究が進む機会になると信じている。川上不白が江戸千家の流祖、江戸末期の茶人というだけでなく、茶の湯史上の重要人物としてその業績と人物像が明らかになる事が期待される。

根津美術館 西田 宏子顧問

●西田先生祝辞

 不白の展覧会を開催すると決めてから、書画、俳諧、作陶と幅広い分野に業績を残す川上不白について、学芸部の総力を上げて取り組ませていただいた。不白が目指したものは何か、近代数寄者にどう影響を及ぼしてきたかを見ていただける展示になっている。ご来館いただき、粋な不白の茶の湯を感じていただきたいと思います。
祝いの演奏
『端唄・紀伊の国』(伝江戸千家二代作詞)
『清元・青海波』      
  浄瑠璃  清元清榮太夫 清元國惠太夫 
  三味線  清元菊輔   清元美三郎
  笛   福原徹彦
根津美術館 根津公一館長
 乾杯のご発声

祝賀会に思う

江戸千家常任理事

岩手不白会 澤野宗桂

 江戸千家御初代の生誕三百年記念「川上不白茶会記集」出版祝賀会が、令和元年十二月一日、東京帝国ホテルにて盛大に開催されましたこと誠におめでたく心からお祝い申し上げます。
 この『川上不白茶会記集』の出版と根津美術館におけるご初代の遺作品の展示は、家元が三年前古稀を迎えられた時からの念願の二大事業でございましたから、家元のお慶び、ご安堵はいかばかりかと拝察いたしております。ここにいたるまでに数々の難題に遭遇し、その都度クリアされ、この偉業を成し遂げられた家元に、全国から集いました各支部の会員は、誇りと敬意の念で一杯でございました。そしてこのような祝賀の席に参列できましたことも幸せなことでございました。
 当日ご来賓のご挨拶で会記集を編纂なされた茶の湯研究の大家、谷晃先生が話されたお言葉は、厖大な資料を解読、執筆なされたそのご苦労を感じさせない淡々としたお話で、一層感銘を受けました。ご初代が記録された会記が見やすく書かれそれが常に手元にあります事に驚きと感動を覚えております。根津美術館顧問の西田先生から「江戸の茶の湯」展示のお話は、前日に美術館で拝見したこともありまして臨場感のあるお話でございました。改めて、江戸時代後期におけるご初代の活躍の素晴らしさが伝わって参りました。開催に至るまでに相当の期間の準備をされ、観る側の知的関心を揺さぶる展示を感じまして感慨深い思いをいたしました。南部藩三十四代利雄公がご初代から真台子の相伝を受けられていた誓約書も含まれおり、感慨深いことでした。
 それぞれの来賓のお話も心温まるもので、各テーブルも皆笑顔と喜びにあふれていました。祝いの演奏も新柳様のご講演も格調高く、何もかもこの記念の式典に相応しく、忘れられない祝賀会となりました。

《お祝いのスピーチ》

新宮市長 岡田実千年様

慶應義塾大学名誉教授 河合正朝先生

中央公論新社 社長 松田陽三様

柳家小満ん師匠

各テーブルを回られる家元ご夫妻

全国各地からの参加者

川上新柳氏 スライド説明
『不白ゆかりの人・ゆかりの地』

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