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久留米 八女 福岡 佐賀不白会

改編二十周年記念茶会

平成二十五年十月二十日 (日)
於 久留米梅林禅寺

 この度、久留米、八女、福岡、佐賀不白会の二十周年を祝う合同茶会が、有馬家の菩提所梅林寺において開催された。初代不白の時代から久留米藩主と繋がりをもつ九州において、昭和二十五年に江戸千家九州支部が創立されたが、平成六年に、四つの不白会として改編され独立、今日に至っている。
 この度の記念の茶会は、家元主導により進められた。大書院での久留米不白会席は家元席となり、各席の工夫のあるおもてなしにより参会者は存分に楽しまれた。
*各不白会会長に文章を寄せてもらいました。
梅林禅寺

梅林禅寺門前

●大書院 濃茶席

主 川上宗雪
 家元席は、大書院の四部屋を四十八畳の大広間にしてのおもてなしでした。二間半の床には流祖不白の「紅炉一點雪」。大きな手付籠に六種の秋の花が活けられました。脇床には、十三年前お家元が久留米市に寄贈された久留米初代藩主有馬豊氏宛ての古田織部の書状の掛物が掛かり、前には砧青磁香炉に香が焚かれました。竹台子に梅翁好の染付皆具 瀬戸春慶の茶入、奥高麗茶碗、九谷菊絵大皿の菓子器と、地方ではほとんどお目にかかれないお道具ばかりです。お家元手作りの茶杓の銘「天の岩戸」が花を添えました。
 一席六十名弱、参加者全員(三六八名)が入席できるよう計らいました。午前三回はお家元が、午後三回は宗康先生がご亭主をなさいました。お点前半東は、それぞれ奥様方と東京の先生方がお務めになられ、美しい所作に感動しましたという参加者の声がありました。久留米からも半東とお運びを手伝わせていただき、とても勉強になったと喜んでいました。
 私事で恐縮ですが、この家元席で東京の義姉、久留米の私と娘と三人一緒に出させていただくという機会をいただきました。大変光栄なことであると同時に、江戸千家発展のために生涯を捧げた亡き姑(森田宗香:改編前の九州支部長)が一番喜んでくれているだろうと思いました。
                     (久留米 森田宗尚)
濃茶席

正客は、中里重利氏

書院床

書院床 織部消息

床

床 不白一行「紅炉一點雪」

懇親会会場

東京、高知、岡山、神戸からも参加

【会記】
書院床 古田織部 消息
    久留米初代藩主
      有馬豊氏宛  久留米市所蔵
  香炉  砧青磁 香焚いて
床 川上不白 一行
    紅炉一點雪
  花入 手付大籠
   花 秋明菊 白ホトゝギス 薄
    友禅菊 水引草 吾亦紅 踊子草
 竹台子飾り
  風炉 釜  常什
  皆具 梅翁好 瑠璃染付 亀の図
 濃茶器 瀬戸春慶 肩付  藪内燕庵箱
  茶碗 奥高麗
  茶杓 自作  銘 天の岩戸
  棗  不白好 鶏頭図  守屋松亭作
 御茶  星の奥     八女 星野園
 御菓子 栗ようかん   半田 松華堂
  器  九谷 菊絵 大皿

●上間の間 テーブル茶席

主 八女不白会
 お家元より、「八女不白会は、テーブル茶席でどうですか」とお聞きしました時は、二百名の方にどう対処すればいいかが頭の中を駆け巡りました。
 梅林寺様の上間の間は、御堂の西側で、縦長い造りです。仏様も取り入れてというご提案でしたので、廻りの障子を取り外しお庭の松の緑も取り入れて快い風が通るようにしました。待合も遠景でき、お席と待合に青竹の結界を置きましたら、仏様に見守られた開放感のある広いお席ができました。
 テーブルには、それぞれお火鉢、瓶掛、ポットを用い、三席違った干菓子でお客様をお迎えしました。テーブルを十名がぐるりと囲み、亭主は一人一人のお顔が、間近に拝見できます。初めてお会いした方でもずっと以前から知り合いのように思えて、お話も弾み笑い声もあり、あっという間にお席は終わるのです。とても楽しいお席でございましたので、今後の茶会には、一席はテーブル茶席を設けたいと思います。                (八女 宮原宗恭)
テーブル茶席
【会記】
床 森本兼治画 達磨図
   賛 東海大玄老師

一席 茶碗 フランス エズ町
   茶入 不白好 張抜
   茶杓 名心庵作 銘 豊

二席 茶碗 唐津 中里太郎右衛門作
   茶入 名心庵好 冨貴棗
   茶杓 浩明老師 銘 吉箇

三席 茶碗 高取焼   亀井味楽作
   茶入 瓢蒔絵   西村宗幸作
   茶杓 大玄老師  銘 無尽蔵

●耕月亭   八寸の席

主 福岡不白会
佐賀不白会
 担当することになった八寸の席とは、初めての試みです。皆様もどういう風に接待したらいいか戸惑いも感じました、家元がご持参くださった粉朱根来丸膳の落ち着いた素晴らしい色合い。そこに三種の旬菜(百合根の梅肉添え、他)を配置よく盛付け、お客様に差し上げ、お酒を召し上がっていただきます。いろいろとお話が弾み、お時間が足りないようでございました。
 お家元の合い言葉「ほとめく」(九州の方言で「十二分にもてなす」の意)を基本につとめ、皆様の出会い、繋がりを楽しんでいただけたかしらと思っております。
                (福岡 一木宗知)
八寸の席
粉朱根来丸膳

粉朱根来丸膳

【会記】
床 妙心寺 雪香老師
   色即是空
花入 備前唐津瓢   古賀末広作
 花 数珠珊瑚、ホトトギス、萩、
   茅、水引草
八寸盆 粉朱根来丸膳
        旬菜
  一献
 茶碗 萩   坂倉新兵衛作
  替 乾山写    永楽即全作
 御茶  又玄    小山園
 御菓子 干菓子  かよい路
          銀杏  提匠庵
  器 輪島 沈金丸盆 古今青峯作


●記念茶会を終えて

 私ども九州の四支部は、改編二十周年記念茶会を、無事終わることができました。これもひとえにお家元、並びに宗康先生、諸先生方の協力あってのことと感謝するものでございます。危ぶまれた天候も茶会当日は晴天に恵まれ、梅林寺という由緒ある寺院で催すことができましたことを嬉しく思っています。
 記念品として制作したお扇子には、家元直筆の「破」という言葉をいただき、また祝賀会でお家元は「天岩戸」の話しをされ、少し消極的な九州支部への励ましと受け取らせていただきました。 
 今回の記念行事は、一年前より四支部代表の方々と何度も協議を重ね、下見にも数回まいりました。大変でしたけれどもとてもよい思い出になりました。二十周年にご出席いただいた皆様、ありがとうございました。 
                             (佐賀 山口宗真)
記念の茶杓の贈呈

家元より四支部へ、記念の茶杓、
銘「天の岩戸」が贈呈された

祝の言葉

家元 祝の言葉
祝賀会・懇親会会場:萃香園


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