護国寺境内は紅葉が舞い散り、冬の到来の風景であった。そして師走にもかかわらず、大勢の参会者でにぎわった。
艸雷庵は護国寺で唯一、寄付のある草庵茶室である。この日の茶会ではその寄付を初座席とし、本席を後座の席という趣向で進められた。
初座では、不白筆の飛石自画賛が掛けられ、青磁香炉に伽羅が焚かれた。せめて一献でもというのが、ご亭主の想いにあったようだ。
本席では、向掛のしつらえで、たっぷりと水のかけられた須恵器に花が活けられ、濃茶の取り合わせであった。茶器には不白手作りで啐啄斎が
「面カケ」 という歌銘を付けている。覚々斎の茶杓と共に、追善の取り合わせであった。
【会 記】
寄 付
床 不白筆飛石自画賛
青磁香炉
菓子 空也双紙 空也製
器 呉須赤絵 染付
本 席
花 白玉 ブルーベリー
花入 須恵器 奈良時代
香合 黄交趾 蜜柑 明時代
釜 芦屋 二十四孝地紋
炉縁 寛永寺古材
水指 南蛮
茶器 不白手造 啐啄斎箱
面カケ ト云
こひしくも綾 若松の色そえて
すきに共なへ 老の面影
茶碗 井戸脇
替 織部 猪の目 桃山時代
茶杓 覚々斎作 歌銘 共筒共箱
種まきて生れいてたる世の中ハ
土よりいてる宝成けり
建水 木地曲
蓋置 青竹
御茶 雲鶴 小山園詰