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平成二十二年 孤峰忌

江戸千家家元邸
十一月四日(木)

 十一月四日、家元邸花月の間において、恒例の孤峰忌が執り行われた。床には、不白筆三幅対「空假中」が掛けられた。炉開きでもあり家元の炭点前から始められ、続いて天目茶碗に濃茶が点てられた。本年は、お招きした広徳禅寺福富海雲和尚により、点てられた御茶が不白尊像に供えられ、読経がなされた。
 引き続き行われた説法は、「孤峰不白」という流祖不白の号を基にしたお話で、周囲の色に染まらないという異中の異の意味内容を、和尚自らの体験から話していただいた。人によい所を見せる、迎合することよりも、愚直に生きることの大切さ。そして陰徳、すなわち世間に知られずに徳を積むことの難しさと大切さ。和尚のお話は、宗教というよりも、誰もが現実に直面している問題でありわかりやすく、また禅問答の投げ掛けとも受け取れるものであった。
 午後には、点心に続き、花月の間で口切りの濃茶が振る舞われた。
 蓮華庵では、やつれ風炉の中置きで、やはり口切りの薄茶一服が和やかに楽しまれた。
【会記】

■ 供茶式  花月の間
床 不白筆三幅対
  假  一花五葉開
  空  本来是清浄
  中  結果自然成
 不白座像 三具足
  花 西王母椿 数珠花
 脇床 呂宋真壷 不白所持
     銘 南山 無学宗衍箱
 爪紅及台子
  釜 円窓繰口釜  長野烈造
     名心庵好 共箱
   炉縁 真塗雪輪紋
  皆具 梅翁不白好 亀紋瑠璃染付
  茶碗 油滴天目 真塗天目台
  茶器 不白作 赤楽  共箱
   薄器 不白好菊平棗 松亭共箱
  茶杓 真塗
  御茶 口切り茶 星の奥 星野園詰
  菓子 伽藍餅   空也製

■ 呈茶席  花月の間
  茶入 瀬戸肩付
  茶碗 唐津  中里重利作
  茶杓 一元斎作
      染めあげて散りて錦の紅葉かな

■ 一円庵
 床 不白辞世
  花入 銅製経筒 平安時代
  花 枯蓮 伊勢菊 秋明菊 
    ほととぎす 河原撫子

■ 添釜   蓮華庵
床 不白拝受
   春屋宗園墨跡
    雪覆千山云々
(「孤峰不白」道号の出典)
 花入 古銅 下蕪
 花  白玉 紅葉まんさく
 香合 不白作 木地 在判
 
大やつれ鉄風炉 中置にして
 釜 筒 東陽坊写 敷瓦織部
 水指 信楽
 茶入 如心斎一閑棗 不白朱書き
     乱菊、昔より有るとはきくの棗かな
 茶杓 原叟覚々斎作 二本入
     銘 かくれみの
 茶碗 宗入黒 長次郎大黒写し 不白箱
  替 蓮鶴手造 三島うつし
 御茶 星の昔 八女星野園
 菓子 吹き寄せ
家元供茶式
家元供茶式

家元による供茶

炭点前

炉開きの炭点前

供茶式

不白尊像に御茶が供えられた

和尚による供茶
広徳禅寺福富海雲和尚

説法を行う福富海雲和尚

呈茶式

呈茶式 口切りの濃茶が振る舞われた

一円庵

一円庵床

蓮華庵床

蓮華庵床


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