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第60回東京不白会春の茶会

–––– 第六十回記念茶会 ––––
平成21年4月5日(日)
於 音羽護国寺

■月窓軒      

川上宗雪

 東京不白会主宰の春の茶会は恒例の通り、音羽護国寺茶寮において、四月五日に開催された。本年は六十回の節目の年を迎え、新たな気持ちが込められた記念茶会となった。桜もこの日に合わせたように満開となり、好天のもと花祭りの響きが聞こえてくるなか、祝福の茶会となった。今年から護国寺月光殿の改修工事が五年計画で本格的に始められ、使い勝手の難しさもあったが、茶会担当者の工夫により、茶寮は上手に使いこなされた。

 家元は、月窓軒に釜を掛けられた。席は二間続きに拡げられ、及台子に風炉釜という趣向。月光殿とは異なり、親しみのある雰囲気に包まれていた。床には松永耳庵の一行が掛けられ、春の色ともいえる鮮やかな水色の手桶に、花が咲きほころぶ。入席者の方々も家元のお話を伺いながら、寛がれ、茶を楽しまれていた。

 また、今回はじめて使用される新書院では、家元の茶杓展が催され、参会者の人気を集めていた。

床 松永耳庵一行
      何處山寺送鐘聲来
  花入  萬古手桶
  花   黄金柏 花蘇芳紅・白
      三葉アケビ  
  香合  鎌倉彫
 書院 硯箱
    七重八重花は咲けども……
  青漆及台子
  風炉釜 芦屋 住吉紋
  水指  染付 菱形
  棗   不白好大燈紋 在判
  茶碗  古萩
   替  雪華紋 永楽作
  茶杓  一元斎 霞
   建水 瀬戸  
   蓋置 染付亀甲
  御茶  千代の昔 味岡松華園
  菓子  桜 蕨 蛤 浅草千茶
   器  時代根来四方盆
家元席床
入席者の方々
拝見

お道具を手に取り拝見する参会者

席作り

隣室とのしきりをはずし、大きく空間をとった席作り


■宗澄庵

大柳英二
大柳英二氏
宗澄庵床
 古美術のコレクターで数寄者。2度目のお席持ち、名品にて何にもとらわれることのない取り合わせ。信尹公の和漢朗詠集の色紙。その前に置かれた鳳凰草花紋黒瓶子は圧巻。織部黒の茶碗は、まさに戦国時代の醍醐味。
床 近衛信尹筆 色紙
   (和漢朗詠集)  
          堀江知彦箱書
   遥かに人家を見て花あれば
   すなはち入る
   貴賎と親疎とを論ぜず (白)
 香合  鍍金花喰鳥紋銀合子
 花   辛夷 崑崙黒椿
 花入  彩色鳳凰草花紋黒瓶子
      男山石清水八幡宮伝来
 釜   常張釜 吉備津神社伝来
 炉縁  沢栗
 水指  法花牡丹紋鉢
 茶入  唐物 達磨 
          堆黒屈輪盆添
 茶碗  織部黒  小堀宗慶箱書
  替  わらび紋絵御本
 茶杓  宗和好 銘 神垣
 薄器  イラン 
     彩釉耳付幾何学紋筒 
          紀元前十世紀
  建水 木地曲
  蓋置 古染付 丸三宝
 御茶  音羽の昔   ほりつ詰
 菓子  春霞     喜久月製
  器  古赤絵 紀三井寺鉢
     「大明年造」銘
  替  絵高麗(磁州窯)
     劃花草花紋鉢

■円成庵

蓑一睡庵
円成庵床
円成庵席
 中峰明本の墨跡が掛けられ、古銅鶴首の花入に金魚葉椿が一輪。さすが見事なる名品取り合わせ。鈍翁所持の古井戸茶碗に目を奪われる。是非一服を所望したくなる一碗。
床 中峰明本 墨蹟 近衛家伝来
 花入  古銅鶴首
 花   金魚葉椿(白)
 香合  青白磁 双魚
 釜   末廣鐶付 繰口釜
 炉縁  古材
 水指  信楽
 茶入  備前広口
 茶碗  古井戸 銘江山 
         益田鈍翁遺愛
 茶杓  不白作 銘宝舟
  建水 曲
 蓋置  青竹
 御茶  玉昔    三丘園詰
 菓子  花のどか   末富製
  器 銘々盆

■不昧軒

富田宗志
不昧軒床
不昧軒席
 東京不白会名誉理事のお席は、いつも親しみやすく、ご本人が楽しまれているご様子。家元が若い時に削られ、時を経て改めてお手を入れた茶杓が人気を博す。時の流れと人との繋がりを感じさせてくれた。
床 名心庵筆 玄鳥至
 床脇 香炉 萩篭地透彫
 盆   伊智塗
 花入  若宮焼 瓢
  花  花筏 紺侘助
 長板  矢筈爪紅
  釜  不二釜
 炉縁  当代好み 雪輪
 風炉先 南部細目組 
 水指  浅井白山筆 松 染付
           加藤五助作
 茶器  面取 波に千鳥蒔絵 
             正之作
 茶碗  堅手呉本
  替  朝日
 茶杓  名心庵作 
     銘 さいらい 共筒共箱
  建水 砂張塗
  蓋置 楽 蕨   名心庵花押
 御茶  松籟の昔   ほ里つ詰
 御菓子 春ぼたん   喜久月製
 菓子器 赤絵写 鉢   城山窯

■牡丹の間

落合文雪
牡丹の間席
牡丹の間床
 本年家元ご母堂蓮鶴先生が米寿を迎えられた。流祖不白の「寿」自画賛、如心斎作「丹頂」竹花入に可憐な花。茶杓は蓮鶴先生自作「千代結」。祝いの気持ちが込められた。
床 孤峰不白筆寿画賛 名心庵箱
 ほしがりし年も来にけり寿饅頭
 花入 如心斎作 銘 丹頂 
            不白箱
 花 白根葵 裏白二輪草
 香合 染付隅田川 與三兵衛造
  脇 古清水焼菊桐模様
 風炉先 名心庵好
 炉縁 雪輪蒔絵
 釜 富士形羽釜   名心庵箱
 棚 真塗米棚
 水指 御本一重口
 茶入 住吉蒔絵平棗
 茶杓 蓮鶴作共筒共箱
     銘 千代結
 茶碗 左入作 赤楽  不白箱
  替 松の図 乾也造  共箱
  蓋置 名心庵好亀甲型 
           木村隆造
  建水 佐波理塗   玉栄造
 御茶 星峰   八女星野園詰
 御菓子 菜畑  越後屋若狭製
  器 白磁輪花鉢   竹志造
    彩色皿

■艸雷庵

足立淳雪
艸雷庵席
茶杓二本
 茶人大場宗韻宗匠について『ひとゝき草』に連載され、完結された気持ちを込めての席。寄付にはタイの民族仏画。安南系を随所に入れながらの自在な取り合わせ。その中に、家元の茶杓、大場宗匠の記念の茶杓が生かされる。
 寄付
床 泰国民画風仏画
  名心庵作茶杓二本の筒と箱 
      泰国蒟醤大盆に飾る

 本席
床 花入 竹一重切 
   銘 宇治川  柴田是眞作
 花 花筏 椿(卜伴)
   名心庵作茶杓二本
    銘 磨墨と池月を飾る
 釜  尻張   鈴木忠兵衛作
 炉縁 本桑    村山杉峰作
 香合 安南染付八角
 水指 備前かや壺
 茶入 富貴棗   川北良造作
 茶碗 花三島   加藤閑陵作
  替 紅安南 銘 泰国土産
           名心庵箱
 茶杓 銘 鴬   大場宗韻作
  建水 砂張    泰国仏具
  蓋置 玉琮    中国
 御茶 法の白    寿喜屋詰
 御菓子 伽藍餅    空也製
  器 宋磁州窯花文掻落鉢
    明民窯染付鳳凰文皿

■江戸千家十世家元 茶杓展

新書院
茶杓を見る参加者たち
茶杓展会場
 長い年月にわたる、家元の自作茶杓。一つ一つ、その方のために削られた三十八本が展示された。作振り、銘に思いが込められ、いただいた方の感激が伝わる。
茶杓展に展示された茶杓の銘
1・2 ヲシ鳥 番
3 徒然
4 一声
5 秋の色谿に落合ふ錦かな
6 櫂歌
7 みちのく
8 この道
9 常盤
10 垂水
11 うひこ
12 等閑
13 さ牡鹿       
14 女郎花
15 左義長
16 来ぬ人を 
17 吉水
18 巴猿三叫
19 若駒 
20 松虫や
21 久方
22 墨田川       
23 浮舟
24 長閑
25 茅花
26 面影
27 乞巧奠
28 ほとゝきす
29 ひさゝち
30 吾友
31 ことふり
32 信濃なる浅間の嶽に
   たつけぶりをちこち人の
   見やはとがめぬ 伊勢
33 後の葵 
34 田植
35 一家風
36 北窓庵
37 合歓
38 冨士の嶺


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