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喫茶往来


 宗雪宗匠の呼んだり呼ばれたりの茶会の様子を紹介します。

七月の月釜


 盛夏の候 宗雪御家元におかれましてはご健勝のことお慶び申し上げます。
 先日は心つくしのおもてなしありがとうございました紅心宗慶宗匠が一緒に席にいらっしゃるようで感激いたしました。
 また暑さ涼しさは温度でなく感じるものと身をもって教えて頂きました。楽しいお話、旬でやさしい奥様のお料理、新柳先生の細やかなお灰、とくに一碗ずつ頂けたお濃茶の味は格別でした。ありがとうございました。
 まだ暑さ厳しき折、どうぞご自愛下さいませ。
 七月廿三日                    森田知実拝

七月の月釜


 過日は素晴らしいお茶事に寄せていただきまして誠にありがとうございました。
 お席の設え、お灰のとびっきりの美しさ、格別のお心づくしのお食事、雪見障子からの苔の清々しさが今も目に残っています。
 そして一番は家元がひと時ひと時を大切にしていらっしゃるご様子、親身にお話されるお姿に深く感銘し、人としてこうありたいと気づかせていただきました。
 もっとお話をお伺いしたいと思いましたが次回お会いできますようとっておきます。
家元のご丁寧なお心遣いご家族様の暖かいおもてなしに心より御礼申し上げます。
大暑の折柄お大切にお過ご しくださいませ。  かしこ
 文月二十三日                    高石典子

九月の月釜


 台風一過も思った程ではなく、急に涼しくなりましたが、澄んだ空が気持ちまで晴れやかにしてくれました。
 昨日は、お茶事にお招き頂きありがとうございました。初めての他流でのお茶事にたいへん緊張しておりましたが、お出迎え、路地のご案内まで家元にして頂き、とても恐縮でございました。
 お床も會津八一のお筆で、昨年淡交会新潟支部七十周年と會津八一生誕百四十年にて記念特別展が開催されたばかりで、とても興味深く拝見させて頂きました。まさかみみづく談議までとは……
 木の風炉も本当にめずらしく、思わず「お初にお目にかかります」とお声をかけさせていただきました。
 また、若宗匠のお薄席も〝お幸せのおすそ分け〟 を一服いただきました。ありがとうございました。
 そして、家元のお濃茶にとても感動を覚え、〝一服〟の意をお教え頂いた様に思いました。
 三年前に私の師である田中宗睦先生が他界してからも甘粕さんにかわいがって頂き、今回、ご一緒させていただけた事、感謝しております。
 まだまだ未熟な上に、勉強不足ではありますが、一歩でも近づけますよう精進して参ります。
 九月二十二日                   遠藤美佐子

十月の月釜


 名残の侯 宗匠ご家族の皆様には益々ご清栄の御事とお慶び申し上げます。
 先日は月釜にお伺いできましたこと御礼申し上げます。席中には沢庵の消息、侘びた板風炉など名残の風情を感じる取り合わせでした。特にご丹精の花の数々は印象に残る目のご馳走でした。
 奥様のお手製の料理も秋の実りを感じる献立で、誠に美しく我々客と相伴のご亭主の話も弾み、その後の御茶をより引き立ててくれました。
 宗匠のいつも説かれている「自宅の茶」に触れられる貴重な機会がこの月釜であると私は思っております。茶席の取り合わせなどを学ぶことはもちろんの事ではありますが、宗匠の立居、姿勢を拝見し、身体を保つ大切さや家庭を和やかにしなければ自らの茶の湯を長く続けることは難しいのではないかと感じております。
 来年は宗匠から身体の保ち方を学ぶ機会に恵まれますとうれしいです。
 十月十日
    小林徹信

十一月の月釜

拝啓 菊花薫る秋 家元には御清祥の事とお慶び申し上げます
 過日はお茶事にお招き頂き誠にありがとうございました。心ときめかせた素晴しい至福の時でございました
 開炉の時に伺えました事、ルソンの茶壺を拝見し手に取らせて頂けた時の感激は私の宝物でございます。奥様のお手作りのお懐石に恐縮いたしましたが大変ありがたく嬉しゅうございました
 家元の深いお心入れのおもてなし、さりげない御心配りに感謝申し上げます。
 お忙しい毎日の事と存じます。どうぞお健やかに好き日をお過ごし遊ばされますよう心よりお祈り申し上げます。
                         かしこ
 霜月吉日 
                           赤羽洋子

十一月の月釜


 十一月九日
                           海田曲巷


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