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喫茶往来


 宗雪宗匠の呼んだり呼ばれたりの茶会の様子を紹介します。

初座と後段

 軽井沢から東京にお戻りになりましたか?  その節は大変愉しい一時を過ごさせて頂きありがとうございました。
 新宮に帰ったら厳しい残暑に圧倒され、私も光子も涼しい部屋で巣ごもりです。スナップ写真をお送りします。秋のお稽古楽しみにしています。
 八月二十二日
                           瀬古伸廣

交流会—tea journey

 拝啓 七月二十四日の暑い日、私達tea journey一同を快く暖かくお迎え下さりありがとうございました。遅くなりましたが感想が集まりましたので送らせていただきます。
 令和三年晩夏  
                 tea joutney 主宰  深澤里雪

○門を一歩潜った瞬間になんとも言えない清涼を感じました。それは建物のなかでも常に感じられとても心が落ち着く空間でした。『日常茶飯事』に心を砕く事で自分自身や周りの人の日常が豊かになるという事を心に留めておきたいです。
 奥行きを感じるように廊下の梁に高低差が施されていることや、網代天井も大変印象に残っています。私事ですが、夫が新宮の隣の熊野出身です。家元のお話を伺いながら、新宮の景色やお軸の那智の滝を心の中で重ねて感じることができなんとも贅沢な時間でした。貴重な体験をさせていただきました。

○有り難いことに、二度目の家元の訪問でした。どうしてお茶を長く続けているのだろう、と改めて考える機会になりました。お稽古に通い始めた頃、慣れない育児に参っていた私は、子供のことを聞かれない、話さなくてよい場に癒やされていました。
 子供が大きくなった今は、変わらず癒やしの場に身を置き、先生とお仲間と、共により良い場にしたいという気持ちで繋がれていることに幸せを感じています。  家元の話を伺い、仕事や家庭、学校など社会に関わる私達は、非日常の空間で癒やされ日常に戻る、私だけではなく皆そうなのだと改めて気付きました。相手を思いもてなし、癒やしを感じてもらえたら自分自身も癒やされる、そうなれるよう、お茶と向き合っていきたいと思いました。

○門を潜り抜けた瞬間に別世界に入り込んだような気持ちになり静寂なお庭と重厚感のある佇まいにあっという間に引き込まれました。江戸千家の歴史から、掛け軸、文化財に指定されている茶室の見学など、貴重なお話を伺うことができました。
 お茶やお菓子を時間をかけていただく、という家元のお話が一番印象に残りました。いつもお作法ばかり気にしてしまい、肝心なことを忘れていたことに気付かされました。家元が時折目を伏せながらゆっくり味わっていらっしゃるお姿を拝見し、日々忙しくしていても、亭主の思いに感謝しながら大事にいただくことを心がけてみたいと思います。心をこめて美味しいお茶を点てられるようになりたいです。自宅に一瞬でもホッとする場所を造り、時には友人を招き別の空間を創り出していきたいと思いました。

江戸千家見学会

 年齢層は私は四十一歳ですが、中小企業庁の方々は二十代から三十代前半となります。
 中小企業庁において中小企業のイメージ・未来等々について議論して考えているメンバーです。別添えの資料にありますようなことをここまで行ってきました。どうぞよろしく。
 十月六日
                           丸橋裕史

池之端一円庵にて

 拝啓 昨日はお伺いして色々と有り難う存じました。
 勝屋様に便乗させて頂き、又家内や孫娘に迄御配慮頂き恐縮に存じております。
 正に江戸時代に戻っての清遊という気が致しました。日ごろの生活ももう半分浮世離れに成って来て居りましたが、お茶人の交わりとはこういうものであったのかと思い至りました。
 さくらも貴重な経験をさせていただき本当に有り難う存じました。

 冷えまさり時雨は濡らす露地の奥
  床に琳派の垂らし絵の蓮

 物のは緑の苔に沁み行くか
  一円庵の秋の夕暮れ

 まるかれと不白の教へ伝はりて
  たゞ点つる茶の味も円やか

 不忍の池吹く風は冷えくれど
  席暖かき語らひの時

 虫食ひの黒き地蔵に備へらる
  小さき花の色新しき

 えにし有りて時の間通ふ人の世の
  又無き時の又も有れかし

  令和三年十月十七日            伊藤松渓(明恭)

茶杓削り

 今回の新宮同好会のお稽古は、家元をお招きして初めての茶杓削りに挑戦。最初に家元より手順をお聞きし、参加者十名が思い思いに作業を開始。蠟燭の火で竹を曲げるには集中力と根気が入り、私を筆頭に粗忽物が多いメンバーは悪戦苦闘。竹を焦がす者・折ってしまう者・削りすぎる者が続出。指を削る人がいなかったのがせめてもの幸い。私は何とか形を整え家元にチェックをお願いしたところ「個性的だね、これはこれで味がある!」との誉め言葉?をいただいた。
瀬古会長からは「真ん中の節の部分が左右に膨らんでいてフラダンスを踊ってるように見えるのでフラガールと命名すれば? 」とのアドバイスも。
 私は考えた。茶杓は個性的なものも評価してもらえるのであれば、私がこれから立ち上げようとしている障害のある人たちの仕事つくりに役立つのではないか?世の中には色々な障害を持った人がいる。茶杓造りにも竹を切る・割る・曲げる・削る等多彩な工程があり、障害者の特性に合わせた仕事が出来るかも知れない。障害のある人がもつ独特の個性と感性が、味のある作品となり社会に貢献できればと夢が膨らんだ。貴重な体験をありがとうございました。
 十月十八日・十九日          新宮同好会  青沼正男

念願

 四年ぶりという神戸の渡辺夫妻に相伴しての月釜にてお心づくしのおもてなしいただき誠に有り難うございました。茶道を習っていますと、作法や手順などにとらわれがちですが、大切なことはおもてなしの気持ちなのだということを改めて学ばせていただく大変貴重な体験となりました。また、「お茶をする人はもっと家に人を招いておもてなしするべきだ」というお話を伺い、茶室や住宅の設計をする者として、仕事を通じてもっとお茶をする方々のお役に立てればという思いを新たにしました。年末も押し迫り寒さも厳しくなります折り、御自愛専一の程お祈り申し上げます。
 十二月十八日                    岩崎 泰

渡辺夫妻と

茶飯釜

 暮れには家元一家お揃いでご来庵いただき真に光栄な事でございました。楽しく良い思い出が出来て本当に幸せでございました。どうぞ雲鶴様、新柳様によろしくお伝え下さいませ。本年もよろしくお願い申し上げます。                         瑛二郎

 茶飯釜の茶事、炭の具合、調整がいかに大切か身にしみた思いでございます。これにこりず本年もよろしくお願い申し上げます。
                             宗里
 令和四年元旦

十二月二十七日 村上汲江庵にて


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