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■水屋日記 第3回

川上博之

クヌギ林で片岡信夫様からお話を伺う

 茶席では炭を使いますね。今は電気やガスで湯を沸かす事も勿論できますし、実際そうしている茶席も多々ありますが、それでも炭火にはガスや電気とは違う良さを感じる人も多いのではないでしょうか。
 先日、日頃から炭をお世話いただいている片岡林業さまへ、製作現場の見学に伺いました。栃木県の市貝まで、東京からは車で二時間ほどかかります。
 最初にクヌギが植えられている山をご案内いただきました。
 クヌギは茶の湯炭の原材料として代表的ですが、苗木を植えてから六~七年、種からだと八~九年は育てる必要があるそうです。苗木は植えてからある程度育てた後に切ってしまいます。そうすると根本の株から新しい芽が分かれて出てきます。
 山内に繁るクヌギは茶席で見る炭とは全く違う見た目で、まだこれらがいつもの炭に変わる想像がつきません。

 続いて窯場へ。木が燻されたような香りや煙がただよっています。奥に窯が数基。二つは蓋がふさがれ、その内の一つからは煙が。ちょうど窯中で炭ができあがりつつあったようです。
 製作工程も順を追って説明をいただきました。炭は冬に焼きます。落葉して木が水を吸い上げなくなってからでないと、焼いた時に皮が抜けてしまいます。
 まず木を切り、そして乾燥をさせます。焼きに入る時は四十八時間かけて予熱し窯の温度を上げます。三日目に着火。焼いている間は空気を調整して、着火した状態をそのまま維持していきます。そこから七十二時間で火を止めます。五~六日冷やします。窯を開ける時には四〇度くらいになっています。
 この過程において、ゆっくり焼くとゆっくり燃える炭になりますし、炭化の際に五〇〇度で燃やすと五〇〇度で燃える炭になると言います。出来上がった炭は元のクヌギと比較すると、大きさが二割縮んで、重さが八割ほど軽くなっています。
 また茶の湯に合う炭の特徴として挙げられた点は、木には個体差があるがそれでもいつも同じ燃え方をする、そしてやわらかい火がゆっくり続く、菊炭とも言いますが炭の割れ方が良い景色になっている、曲がっている木も真っ直ぐに見えるように切られているなどです。
 白枝炭は枝を結わいて焼くそうです。焼きあがった後で胡粉に浸けて白くします。枝炭にはツツジの木が使われます。
 見学の後でクヌギの種を自分たちで蒔きました。この木でできた炭を使って喫茶できる時が来るのを楽しみにしています。

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